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6月28日(木) 米朝首脳会談が切り開いた「対決から対話へ」の歴史的転換 [国際]

 国際政治を動かすベクトルが逆転したということではないでしょうか。米朝首脳会談の歴史的な意義はそこにあると言うべきでしょう。
 この意味を理解せず、その大転換を前提としないどのような議論も、国際政治の行く末を論ずることや見通すことはできません。それほど大きな激変が、6月12日にシンガポールで起きたということです。

 朝鮮半島を舞台にした戦争の危機が回避されただけでも大きな成果でした。アメリカと北朝鮮の「どちらが勝ったのか」などという議論がありますが、どちらも戦争を望んでいなかったというのであれば、「どちらも勝った」ということになります。
 戦争で大もうけを狙っていた一部の軍産複合体という「戦争屋」どもを除けば、平和的な解決を望んでいたのは朝鮮半島やその周囲の人々だけでなく世界の大多数の人々でした。戦争ではなく平和的な交渉による問題解決への道が開かれたのですから、これらの人々も「勝者」だったと言えます。
 もし、「敗者」がいるとすれば、それは日本の安倍首相でしょう。「圧力」一辺倒で首脳会談実現の足を引っ張ったあげく、トランプ米大統領には貿易面で裏切られ、ロシアのプーチン大統領にも領土問題で騙され、北朝鮮の金正恩委員長からは相手にされず、韓国の文在寅大統領とはギクシャクしたままで、中国の習近平主席からも適当にあしらわれるという醜態を演じ、「蚊帳の外ではない」と叫びながら蚊帳の外で飛び回っている一匹の蚊のようになってしまったのですから。

 特に、北朝鮮との関係では先方の厳しい対応が際立っています。これまでの拉致問題をめぐる日朝交渉で北朝鮮は日本への強い不満を抱き不信感を高めてきたからです。
 しかも、その中心に居て、時にはアメリカの背後で軍事的な対応さえほのめかし、常に圧力のみを主張し続けてきたのが安倍首相でした。このような安倍首相への嫌悪と反感は、米朝首脳会談後も払しょくされていないようです。
 なかでも最悪だったのが、1月16日に河野太郎外相がカナダ・バンクーバーで開催された北朝鮮問題を話し合う関係国の外相会合で、北朝鮮との外交関係の断絶や北朝鮮労働者の送還を呼びかけた声明でした。平昌での冬季オリンピックへの北朝鮮代表団の参加などが予定され、米朝首脳会談に結びつく動きが始まっていた段階でのこのような呼びかけは、日本政府がいかに事態の進展を見誤っていたかを象徴的に示すものだったと言って良いでしょう。

 米朝首脳会談では、アメリカによる体制保障と北朝鮮の非核化が約束されました。同じようなことはこれまでも約束され、北朝鮮によって破棄され覆られるという歴史が繰り返されています。
 このような経過もあって、北朝鮮は信用できない、今回の合意も抽象的で具体性に欠けており、裏切られるにちがいないという悲観的な見方が支配的です。しかし、このような見方は今回の首脳会談の歴史的な意義を十分に理解していない誤ったものだと思います。
 米朝両国における外交・安全保障政策のベクトルが大きく変化したことは誰にも否定できない事実だからです。非核化に向けて揺れ戻しや紆余曲折はあるでしょうし、一直線には進まず時間はかかるでしょうが、この方向でしか問題の解決はあり得ず、それをどう確実なものにするのかという立場から対応すべきではないでしょうか。

 これまでとの違いを言えば、今回の合意は米朝両国の最高指導者によってなされたものだという点が重要です。担当者や実務者レベルの約束ではなく、史上初めての米朝首脳会談による合意であり、簡単に覆されるようなものではありません。
 また。米朝首脳会談に関連して、南北朝鮮の首脳会談、北朝鮮と中国との首脳会談など、関連するトップ同士での合意が積み重ねられているという点も重要です。なかでも、中国との間では3回もの首脳会談が行われ、シンガポールへの往来のために特別機まで中国から提供されました。
 このように、今回の米朝合意の後ろ盾になっているのが中国だという点も重要です。アメリカや日本が軍事的なオプションを含めた圧力路線を主張していた時にも、朝鮮半島での戦争に反対し非核化を望んでいた中国とロシアはあくまでも対話による問題の解決を主張していたからです。

 決定的に重要なのは、対話と交渉の道が開かれ、朝鮮半島における緊張の緩和と信頼の醸成に向けての具体的な措置が次々に実施されているということです。その結果、日本に対する脅威も大きく減少しました。
 『朝日新聞』6月27日付の社説「ミサイル防衛 陸上イージスは再考を」が「安全保障分野で脅威とは、相手の『能力』と『意図』のかけ算とされる。北朝鮮にミサイルがあることは事実だが、対話局面に転じた情勢を無視して、『脅威は変わらない』と強弁し続けるのは無理がある」と指摘しているように、北朝鮮の「意図」が大きく変化しました。小野寺防衛相が「北朝鮮の脅威はなにも変わっていない」と繰り返しているのは、このような安全保障のイロハを理解していないからです。
 もちろん、非核化とミサイルの削減によって攻撃「能力」を減らしていくことが必要です。同時に、緊張緩和と信頼醸成による攻撃「意図」の縮小も大きな意味を持ち、この点ではすでに多くの具体的な措置が取られているということに注目する必要があります。

 6月25日に、韓国と北朝鮮は朝鮮戦争の開戦68周年を迎えましたが、南北は軍の通信回線を復旧させる実務協議を行い、今は1回線しかない回線を過去に最大で9回線あった状態まで復旧させることで合意しました。韓国統一省は、26日に鉄道連結、28日に道路連結、7月4日に北朝鮮の荒廃した山林復旧の実務協議を板門店などで行うという新たな対話の日程を明らかにしました。
 韓国の各地では記念式典も開かれましたが、李洛淵(イナギョン)首相は、ソウル市内で開かれた式典で、「(南北の軍事境界線近くに展開する)長距離砲を後方に移すことが議論されている」と明らかにしています。他方、朝鮮通信によれば、北朝鮮の労働新聞(電子版)は25日付で、朝鮮戦争に関する7件の記事を載せましたが、米国を名指しで非難せず「米帝」の表現も使いませんでした。
 すでに米朝首脳会談前に、拘束されていた3人のアメリカ人が帰国し、首脳会談直後には米韓軍事演習の中止も発表されています。訪ロした文韓国大統領とロシアのプーチン大統領との間でシベリア横断鉄道と朝鮮半島を横断する鉄道の連結についても協調していく方針で一致し、プサン発ロンドン行きのユーラシア大陸横断鉄道も夢ではなくなっています。

 新しい歴史的な局面に向けての扉が、東アジアで開かれようとしているということです。朝鮮戦争の終結が宣言され、最後まで残った「冷戦」が終わろうとしているように思われます。
 「対決」から「対話」へとベクトルが逆転し、国際関係を律する原則が大きく方向を転じました。日本国憲法前文と9条が本格的に活かされ、その本領を発揮するような「活憲の時代」が、今こそ幕を開けようとしているのではないでしょうか。

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6月27日(水) 拉致問題などの諸懸案を解決するためにも安倍首相を引きずり降ろさなければならない [国際]

 昨日のブログで、こう書きました。「トランプ大統領によれば、金正恩委員長は拉致問題について『解決済み』とは言及しなかったとされていますが、論評は北朝鮮が従来の立場を変えていないことを示唆するものでした。その後、この問題についての報道はないようですが、北朝鮮の出方が注目されます。」
 今日の『毎日新聞』には、「この問題についての報道」が新たに掲載されていました。その表題は「拉致問題『ない』 北朝鮮がけん制」となっており、記事は以下のようなものです。

 <北朝鮮の国営ラジオ、平壌放送は26日に伝えた論評で、「日本は今日まで過去の犯罪について謝罪し賠償するどころか、逆にありもしない拉致問題をわめきたてて自らを『拉致被害国』に化けさせようと破廉恥に策動している」と非難した。ラヂオプレス(RP)が伝えた。
 拉致問題の解決に向け日朝首脳会談の実現を目指す安倍政権を改めてけん制した。平壌放送は15日にも、拉致問題は『既に解決された』と主張する論評を伝えていた。>

 ここで言及されている15日の放送については昨日のブログでも紹介し、「米朝首脳会談で事態が大きく動くかのような期待は、またも裏切られるのではないでしょうか」と指摘しました。この記事は、このような指摘をさらに裏付けるものとなっています。
 政府もマスコミも、このような事実をなぜきちんと国民に伝えようとしないのでしょうか。安倍首相によって拉致問題の解決に向けて事態が動き始めているような幻想をまき散らすことはやめるべきです。
 お昼のTVニュースでも、国連軍縮会議で北朝鮮代表は非核化について「日本は首を突っ込むべきではない」と批判したと伝えていました。これらの報道が示しているのは、北朝鮮は米朝首脳会談前から示していた安倍首相に対する厳しい姿勢を、首脳会談後も取り続けているということです。

 これらの経緯を見れば、日朝首脳会談の実現はかなり難しいように思われますが、もし実現したとしても、そこで安倍首相は何を主張するのでしょうか。拉致問題は解決済みだという北朝鮮に対して、これまでと同様の主張を繰り返すだけであれば事態が打開される可能性はほとんどありません。
 打開の道は、日朝平壌宣言が示していた拉致、核・ミサイル、植民地支配など過去の清算という両国間の諸懸案を包括的に解決して国交正常化を目指すという方向しかありません。これらの諸懸案を総合的に議論する中で拉致問題についても解決の道が切り開かれるのではないでしょうか。
 しかし、月刊誌『FACTA』の最新号の記事によれば、北朝鮮を非難して国内の人気を高めるために拉致問題を中途半端な状態にしておくよう安倍首相が外務省に圧力をかけたそうです。そのような安倍首相に、日朝平壌宣言に沿った国交正常化交渉と北東アジアの緊張緩和に向けての包括的で総合的な対話が可能でしょうか。

 拉致問題をはじめとした日朝間の諸懸案を解決することも、北東アジアをめぐる平和体制の構築についても、安倍首相では不可能だと言わなければなりません。「必要なのは対話ではない。圧力だ」と言い続けてきたツケが、今、回ってきているということではないでしょうか。
 安倍政権を打倒することは、これらの問題の解決への展望を開くためにも必要になっています。安倍首相がその座を去ることが早ければ早いほど、外交面でも新たな希望と展望が早まるというのが現時点における北東アジア情勢の大きな特徴にほかなりません。

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6月26日(火) 米朝首脳会談などによる国際情勢の激変についての『日刊ゲンダイ』へのコメントと若干の補足 [国際]

 〔以下の私のコメントは、米朝首脳会談などによる国際情勢の激変についての『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。参考のために、アップさせていただきます。〕

*『日刊ゲンダイ』2018年6月13日付
 「世界のリーダーは、安倍首相に呆れているでしょうね。重要な外交方針を〝圧力〟から〝対話〟にカンタンに変えてしまった。しかも、変更した理由も情けない。ひとつは、トランプ大統領が〝米朝融和〟へカジを切ったから合わせるしかなかった。もうひとつは『このままではバスに乗り遅れる』と慌てて北朝鮮に秋波を送ったのでしょう。関係国の米、中、ロ、韓は北朝鮮との対話に向かっているのに、日本だけは接触できていませんからね。要するに、信念から外交方針を変えたわけではない。国際社会では、口にしたことをころころ変える、こういううトップが一番信用されない。しかも、安倍首相は心の中で米朝会談の〝失敗〟を期待していることも見透かされています。世界のリーダーは、日本の首相を哀れに思っているはずです」(法政大学名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

*『日刊ゲンダイ』2018年6月23日付
 「安倍政権がこの5年間に強引な手法で成立を急いだ特定秘密保護法や安保法、共謀罪などは、いずれも北朝鮮の脅威などを理由にしていましたが、北をとりまく国際情勢が激変した今、エネルギーと時間の無駄遣いだったことがはっきりしました。そして、その間のアベ政治によって、三権分立も民主主義も総崩れになり、経済や外交もメタメタ。アベノミクスは異次元緩和の出口すら見えず、外交では米ロにだまされ、北からは相手にもされず孤立化している。現実に目を向けず、やれW杯だ、東京五輪だと浮かれていると、行き着く先は国民生活の破綻。死屍累々の状況を覚悟した方がいいでしょう」

 ここでも指摘しているように、米朝首脳会談をめぐる安倍首相のトランプ米大統領への追随ぶりは、これまで以上に際立っています。首脳会談を開催すると言えば、「対話のための対話には意味がない」と言い続けてきたこれまでの発言を翻して「支持」を表明し、途中で「開催をやめる」と言った時も直ちにこれを「支持」し、さらにその後、「やめるのをやめる」と言った時にも、安倍首相は直ぐに「支持」を表明しました。
 トランプ大統領のやること、言うことは何でも支持するという無定見ぶりです。どこに、独立国としての判断や主張があるのでしょうか。
 拉致問題でも、首脳会談で取り上げてもらいたいとトランプ大統領にお願いするだけでした。トランプ大統領は首脳会談で拉致問題を取り上げ、北朝鮮の金正恩委員長は「安倍首相と会う可能性がある。オープンだ」と前向きな姿勢を示したと伝えられています。

 しかし、これで拉致問題についての事態が進展するほど、甘くはなかったようです。安倍首相に対する北朝鮮側の評価が厳しく、日朝首脳会談を急ぐ必要はなく、従来の態度を変えたという確証もないからです。
 最近も、北朝鮮の朝鮮中央通信は安倍政権が森友学園の問題をはじめとするスキャンダルで行き詰まるなど安倍政権に批判が集まっていることを紹介しながら、「安倍一味は、彼らに集まる怒りのまなざしをそらして政権の危機を免れるために」 「拉致問題」や「最大の圧力」を持ち出しているなどと主張していました。岡田充共同通信客員論説委員は、北朝鮮との日朝首脳会談の可能性を打診した安倍政権に対し、北朝鮮当局が「一切取り合うな」との指示を出していたことが明らかになったと伝え、4月27日の南北首脳会談と米朝首脳会談など、国際的対話の枠外に置かれる安倍政権は当面、北との対話の契機をつかめないまま孤立を深めることになると報じていました。
 5月12日にも、朝鮮中央通信は安倍政権が「既に解決した拉致問題を再び持ち出して世論を形成している」とし、「朝鮮半島の平和の流れを阻もうとする稚拙で愚かな醜態だ」と非難する論評を配信していました。米朝首脳会談でのやり取りは、このような風向きが変わったのではないかとの期待を高めましたが、そうではなかったようです。

 米朝首脳会談が開かれた2日後の6月14日、外務省の志水史雄アジア大洋州局参事官はモンゴルのウランバートルで開催された国際会議の場で、北朝鮮外務省のシンクタンク、軍縮平和研究所のキム・ヨングク所長と短時間接触し、拉致問題の解決に向けた日本政府の基本的な立場を伝えたと外務省が発表しました。これが首脳会談後の最初の「接触」でした。
 外務省は「非公式に意見交換した」と発表していますが、正式の会談を設定することができず、面と向かっての「意見交換」もできなかったようです。実態は廊下での立ち話、それも行き過ぎる北朝鮮の代表団を追いかけて一方的に話したのではないでしょうか。
 志水氏は、拉致問題は日朝が直接向き合い、解決すべきだとの安倍晋三首相の考えを伝達したとされ、キム氏の発言については明らかにせず、外務省幹部は北朝鮮側の反応について「(従来の姿勢と)大きな変化はなかったようだ」と語っています。モンゴル外務省の関係者によると、北朝鮮代表団の一人は「日本が提起する内容は今の良い流れを阻害しかねない」と語ったということで、拉致問題に対する拒否反応とみられています。

 つまり、これまでと変わらない反応だったということになります。米朝首脳会談で事態が大きく動くかのような期待は、またも裏切られるのではないでしょうか。
 このような見方を裏付けるように、北朝鮮の国営ラジオ「平壌放送」は6月15日に報じた論評で、日本人拉致問題について「既に解決された」と言及しています。トランプ米大統領が米朝首脳会談で拉致問題を提起した後、北朝鮮メディアが拉致問題は解決済みとの従来の主張を表明したのは初めてのことです。
 トランプ大統領によれば、金正恩委員長は拉致問題について「解決済み」とは言及しなかったとされていますが、論評は北朝鮮が従来の立場を変えていないことを示唆するものでした。その後、この問題についての報道はないようですが、北朝鮮の出方が注目されます。

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5月9日(水) 朝鮮半島情勢の劇的な変化に関して『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメントと若干の補足 [国際]

 〔以下の私のコメントは、朝鮮半島情勢の劇的な変化に関して『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。参考のために、アップさせていただきます。〕

 「安倍首相がどうかしているのは、国際社会の変化を見ようともしなかったことです。金正恩委員長の〝新年の演説〟を聞けば、朝鮮半島が動き出す可能性があることは想像がついたはずです。少なくとも、平昌オリンピックに参加し、妹の与正氏を送り込んだ時点で、正恩委員長が本気だということは分かったはず。なのに、全く手を打とうとしなかった。ひたすら、北朝鮮と対話を進めようとする韓国に文句を言っていただけです。安倍首相は国際社会を大局的に見る能力も、歴史的な視野もない。やったのは、トランプ大統領に『米朝会談では拉致問題も言って下さいね』と頼み込んだくらいです。そのトランプ大統領には『アメリカの兵器をもっと買え』と迫られている。安倍首相はレベルが低すぎます」(2018年4月24日付)

 「日中韓が連携し、米国とも協力して北朝鮮の非核化に取り組まなければならないのに、ひとりで圧力と言い続けている姿は滑稽ですらあります。和平を後押しするどころか、水を差すような発言を繰り返しているのは、北の脅威がなくなったら困るからでしょう。安倍政権は『日本を取り巻く安全保障環境が悪化している』と国民を脅して、安保法や共謀罪を成立させてきた。Jアラートを鳴らして危機を煽り、総選挙にも利用した。北朝鮮の危険性を理由に防衛費も増やし、軍事大国化を推し進めてきたのです。半島の和平で在韓米軍も撤退ということになれば、これまでの言動がすべて覆されてしまう。北の脅威を利用した憲法9条改正もできなくなってしまいます。沖縄の辺野古新基地も完成まで10年ほどかかるというから、それまでは半島に危機があって欲しいのでしょう」(2018年5月9日付)

 「米朝会談で東アジアが歴史的転換点を迎えようとしている今は、日米地位協定や日米安保のあり方などを根底から見直す好機でもあります。戦後レジームからの脱却というのなら、占領体制の象徴である在日米軍の撤退は、真の独立国になるためにも、本来は望ましいことのはず。しかし、残念ながら、そういうう議論を現政権が始めることはない。他ならぬ安倍首相が現状維持を望んでいるからです。在日米軍にいてもらうことで、軍事力を背景に周辺国に睨みを利かせることができると考えている。対米従属で虎の威を借ることが、国際社会での発言力向上になると勘違いしているのです。米朝和解なら、日本の政治も劇的に変わる可能性があるのに、米国べったりで北を挑発し続けるしか能がない安倍政権では、時代の変化に対応できません」(同前)

 以上にコメントしたように、朝鮮半島情勢の劇的な変化に対して安倍政権は圧力の維持を主張するだけで、基本的には無為無策、傍観者的な立場に終始してきました。安倍首相は「蚊帳の外ではないか」という批判に反論し、「蚊帳の外ではない」と「蚊帳の外」で叫んでいるばかりです。
 現に、アメリカのトランプ政権で北朝鮮政策を担当していた米国務省前北朝鮮担当特別代表のジョセフ・ユン氏は「大きな勝者は韓国と北朝鮮だ。負けているのは日本だ。なぜなら日本は置き去りにされている」と述べています。今日、日中韓の首脳会談が開かれますが、安倍首相はこの「置き去り」状態から抜け出せるのでしょうか。 
 『日刊ゲンダイ』でコメントしたように、「日中韓が連携し、米国とも協力して北朝鮮の非核化に取り組まなければな」りません。したがって、中国や韓国との関係が改善され協力する態勢ができるのは大きな前進であり、歓迎したいと思います。

 しかし、そうなれば安倍首相の強固な基盤であった反中・嫌韓派の極右勢力からの支持を失うリスクが高まります。安倍首相としては大きなジレンマだと言うべきでしょう。
 このジレンマをどう乗り切るつもりなのでしょうか。対話と交渉による朝鮮半島危機の解決や極東における緊張緩和も、安倍首相にとっては好ましくない変化であるにちがいありません。
 このような危機の回避と平和構築に向けての積極的な動きを素直に喜ぶことができないところに、安倍首相の根本的な弱点があります。時代の変化に対応できない極右の好戦的首相の出番はもう終わっているのです。

 なお、本日の午後5時からJR新宿駅西口で、全国革新懇代表世話人として街頭演説を行う予定です。関心のある方においでいただければ幸いです。

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4月28日(土) 歴史的な南北会談のカヤの外でただ見守るしかない安倍政権 [国際]

 歴史が大きく動く瞬間を目撃したような気がしました。新たに開かれた扉が、朝鮮半島の平和に結びつくことを祈りたいと思います。
 その可能性を世界中の人々に確信させるに足る南北首脳会談でした。この動きが米朝首脳会談の成功へと引き継がれることを期待したいものです。

 昨日、南北の軍事境界線をまたぐ板門店で、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は11年ぶりの首脳会談を行い、朝鮮半島の「完全な非核化」実現を目標に掲げた「朝鮮半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店宣言」に署名しました。1953年7月から休戦状態にある朝鮮戦争を年内に終わらせる意思も確認し、文大統領が今年の秋に平壌を訪問することでも合意しました。
 南北首脳による会談は3回目で、北朝鮮の指導者が韓国側に入ったのは史上初めてになります。会談は板門店の韓国側の施設「平和の家」などで行われ、宣言に署名した後、両首脳は共同発表しましたが、金委員長にとっては西側メディアの前で初めての記者発表になりました。
 会談では朝鮮半島の非核化、恒久的な平和の定着、南北関係の進展が主な議題になり、最大の焦点である非核化について、宣言は「南北は完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」と明記しました。ただ「完全な非核化」の具体策やその手法、期間は記されず、金委員長は非核化や対米関係などに一切言及しませんでした。

 この会談と共同宣言については様々な評価が可能ですし、それがどこまで実効性があるのか、北朝鮮が誠実に順守するのか、疑問視する意見も根強くあります。しかし、これまでの敵対関係から抜け出す第一歩として歓迎し、朝鮮半島の平和と非核化、南北の統一に向けて前進する出発点になってもらいたいと思います。
 この首脳会談と宣言の合意によって、少なくとも第2次朝鮮戦争の危機が遠のいたことは明らかです。南北間の対話と交渉が続く限り、軍事的なオプションが選択肢に上ることはないでしょう。
 朝鮮半島の非核化や南北間の交流、統一に向けての動きが始まることも確実です。朝鮮戦争の終結によって平和構築に向けての新たな可能性も生まれてきています。

 このような歴史的な南北会談の開催と成功に関して、日本政府は「対話ではなく圧力を」と特異な主張を繰り返すだけで、背極的な役割を果たすことができなかったのはまことに残念です。日本政府は文大統領に拉致問題を取り上げるように頼んだだけで、指をくわえて事態の推移を見ているだけでした。
 戦前、朝鮮半島を植民地支配していた日本としては、南北の分断に対しても責任があり第3者というわけではありません。南北間の和解を仲介し、統一に向けての動きを支援する歴史的な責任があるのではないでしょうか。
 しかも、憲法9条には戦争や武力の行使だけでなく武力による威嚇も、国際紛争を解決する手段としては放棄すると書かれていますから、安倍首相は戦争や武力による威嚇に反対し、対話や交渉によって南北間の対立や紛争を解決するべき立場にありました。しかし、北朝鮮危機に際して、安倍首相はこのような立場に立つことができず、今回の南北対話に際しても第3者的立場をとり続けています。

 一部の報道では、北朝鮮との日朝首脳会談の可能性を打診した安倍政権に対し、北朝鮮当局が「一切取り合うな」との指示を出していたとされています。南北首脳会談と米朝首脳会談など、国際的対話の枠外に置かれる安倍政権は当面、北との対話の契機をつかめないまま孤立を深めることになるという見方がもっぱらです。
 平昌冬季五輪の開会式に出席した安倍首相は、北朝鮮代表団の金永南最高人民会議常任委員長との立ち話で「平壌宣言と(拉致被害者らの再調査を約束した)日朝ストックホルム合意に立ち戻ろう」と呼びかけました。これに対して金議長は「謝罪と賠償が先」と取り合わなかったといいます。
 拉致問題についても、安倍首相は日米首脳会談や文大統領との電話会談で拉致問題を取り上げるよう要請し、いずれも快諾を得たとされています。しかし、今回の南北会談で話題になった形跡はなく、合意された宣言にも記載されていません。

 南北関係の改善と緊張緩和の促進によって、安倍首相は北朝鮮の核やミサイル発射を口実に危機を煽ることができなくなりました。このような事態の急変を、心の中でどう思っているのでしょうか。
 日本周辺の安全保障環境は急速に改善されようとしています。安倍首相によって推進されてきた軍事力増強政策の根拠は、今や音を立てて崩れ去ろうとしていると言うべきでしょう。

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2月1日(木) ヘイト大統領と好戦首相をともに権力の座から放逐するのが今年の目標 [国際]

 今日から2月です。「もうそろそろ春ですね」と言いたいところですが、雪が降るようで春はまだ先です。

 アメリカの連邦議会で、トランプ大統領の一般教書演説が行われました。日本の通常国会で冒頭に行われる施政方針演説に相当するものです。
 トランプ大統領の演説も安倍首相の演説も、美辞麗句と誇張をちりばめた自画自賛に満ちたものでした。これでどれだけ、国民に希望を与えることができたでしょうか。
 トランプ大統領は「今こそ米国の新時代だ」と宣言し、「米国の強さと自信を国内で立て直し、海外でも強い地位を取り戻す」と主張。今年11月の中間選挙をにらんで、税制改革法の成立や株価上昇など政権1期目の成果を強調し、インフラへの大規模な投資や移民制度改革への決意を表明しました。

 引き続きアメリカファーストを掲げて国際社会を「敵」と「味方」に色分けし、中国とロシアへの対抗意識をむき出しにしています。核戦力の強化を打ち出すなど非核化へと歩み出した国際社会の動向に背を向け、北朝鮮への先制攻撃も示唆するなど安倍首相と同様の「力による平和」を打ち出しました。
 好調な経済を自慢しながら軍事力をさらに強化する方針を示しましたが、その直前にニューヨーク株式市場のダウ工業株が急落し、前日比362.59ドル安となったのは皮肉です。この下げ幅は昨年5月17日以来、約8カ月半ぶりの大きさで、一般教書演説を前に冷や水を浴びせた形になりました。
 11月に中間選挙があるというので、「アメリカは一つのチーム、国家、家族だ」と融和の姿勢を示し、民主党にも秋波を送っています。しかし、民主党の議員14人がボイコットし、抗議の黒い服も目立っていたようです。

 確かに、アメリカに「新たな時代が到来」したことは確かでしょう。これほど国内に亀裂が拡大し、国際的な威信を低めて孤立することはかつてありませんでした。
 壁にこだわって公約を守ろうとする姿勢は、強固な30%ほどの支持者には受けるかもしれません。しかし、それよってアメリカの政治と社会はさらに分断と対立を深めるにちがいありません。
 公約を守らなかった実施されていないと言って批判されるのが通例ですが、公約を守って政策を実現したと言って批判されるのはこれまでにないことです。確かに、「新たな時代」がやって来たとは言えますが、それはやってきてはならない時代だったのです。

 このトランプ大統領との密接な関係を自慢しているのが安倍首相です。施政方針演説では「トランプ大統領とは、電話会談を含めて二十回を超える首脳会談を行いました。個人的な信頼関係の下、世界の様々な課題に、共に、立ち向かってまいります」と、親密さや関係の深さを誇示していました。このようなことが自慢の種になるという感覚がすでに異常です。
 トランプ大統領が、アメリカ国内はもとより世界中の鼻つまみ者になっていることが分からないのでしょうか。まあ、似た者同士だから分からないのも仕方がないのかもしれません。
 これから1年、トランプ大統領と安倍首相はともに手を取り合って世界とアメリカ、日本を分断し混乱の渦に巻き込むことになるでしょう。アメリカ国民とともに日本国民も、それに対する覚悟と責任を自覚しなければなりません。

 それを阻むことが、今年1年の両国の国民にとっての大きな獲得目標になります。中間選挙での敗北と通常国会での追及によって、ヘイト大統領と好戦首相を権力の座から放逐することをめざして全力を尽くさなければなりません。 

 なお、今月も以下のような講演が決まっています。お近くの方や関係者の方に沢山おいでいただければ幸いです。

2月1日(木)18時30分 江東区総合区民センター:戦争法廃止をめざす大島の会
2月3日(土)18時 河辺市民センター:市民連合おうめ
2月4日(日)13時 東京革新懇総会:東京労働会館ラパスホール
2月11日(日)14時 静岡市あざれあ(男女共同参画センター):静岡県革新懇
2月18日(日)13時30分 田無公民館:西東京革新懇
2月20日(火)13時30分 八王子由井市民センターみなみ野分館:スイートピーお喋り会

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12月25日(月) 急速に進みつつある国際社会における日本の地位の低下 [国際]

 間もなく激動の2017年も暮れようとしています。アメリカのトランプ大統領とそれに追随する安倍首相の暴走によって、世界と日本が大混乱に陥った1年でした。
 その中でも目立ったのは国際社会における日本の地位の低下です。これは安倍政権の下で急速に進みつつありますが、日米同盟の強化をめざしてアメリカへの隷属状態を深めてきたことの当然の結果でした。

 これには二つの面があります。一つは安倍・トランプ関係の親密さから生じてきている悪影響であり、もう一つは唯一の核被爆国でありながら核廃絶の動き背を向けてきたことによる国際的な地位の低下です。
 トランプ米大統領は地球温暖化防止のための「パリ協定」からの離脱を宣言し、10月にユネスコ脱退を表明したばかりか12月には「エルサレムをイスラエルの首都と認める」と宣言しました。このエルサレム首都化を支持したのは世界でイスラエルただ1国にすぎず、16億人のイスラム教徒を敵に回し国連臨時総会では128ヵ国が反対決議に賛成しています。
 この決議には、日本も賛成に回りました。中東の原油に依存している日本は、アラブ諸国を敵に回すわけにはいかなかったからです。

 この決議案が提出されたとき、トランプ大統領は賛成すれば援助を打ちきると述べて国威社会を恫喝しました。札束でほっぺたをひっぱたくような脅しをかけて決議案を葬り去ろうとしたことも、トランプ政権への国際社会の反感を強めています。
 このようなトランプ大統領の一連の言動によって、アメリカは世界から孤立して影響力を低下させ、覇権を失いつつあります。第2次世界大戦後に確立してきた国際秩序の創造者・維持者としての立場から国際秩序の破壊者になってしまったからです。
 これは「アメリカファースト」というトランプ大統領の哲学からすれば、当然の結果だったと言うべきでしょう。こうして、アメリカがこれまで国際社会で築いてきた威信や信用、影響力などの「ソフトパワー」が失われ、国際的な地位を急速に低下させています。

 この孤立し落ち目になっているトランプ大統領と手に手を取り、同じような外交的影響力の低下に直面しているのが日本の安倍首相です。安倍首相はトランプ大統領と最も親しく強い関係を持っていると見られ、安倍首相自身はその良好な関係と親密さを誇っていますが、それは国際社会における日本の強みではなく弱みになっているのではないでしょうか。
 トランプ大統領の訪日に際して一緒にゴルフに興じたことも、「こんな時に、一体何をやっているのか」と国際社会の顰蹙を買ったにちがいありません。この時、バンカーに球を打ち込んだ安倍首相は、さっさと歩き始めたトランプ大統領を追いかけようとして、その最上部でバランスを崩して転び一回転してしまいましたが、これこそ安倍政権の姿を象徴するものでした。
 この映像はたまたま上空を飛行していたテレビ東京のヘリコプターから撮影され、それを入手したイギリスのBBCによって世界中に配信されました。慌ててアメリカに追従する日本の姿として、嘲笑の的になってしまったというわけです。

 もう一つの核兵器禁止条約への不参加は、より一層、国際社会での日本の立場を弱めるものでした。戦争で核兵器の被害を受け、その悲惨で残酷な現実をどの国よりも良く知る唯一の被爆国である日本こそが、このような条約の発効に向けてイニシアチブを発揮するべき国際的な責務を負っていると考えられているからです。
 国連総会は7月に人類史上初めて核兵器の使用や威嚇などを違法化した核兵器禁止条約を採択しました。12月にはこの採択を歓迎する一連の決議案を賛成多数で採択しています。
 全加盟国に条約への早期署名・批准を求めた決議案「多国間核軍縮交渉の前進」は賛成125、反対39、棄権14となりました。日本が背を向けていたにもかかわらず、122カ国の賛成多数で採択された7月の条約交渉会議の時点から賛成国が3カ国増えており、この条約の方向こそが国際世論になりつつあることが示されました。

 日本政府はこの決議にも7月の核兵器禁止条約にも反対しました。それはアメリカの「核の傘」の下にあるからです。この条約の制定に貢献した国際NGOネットワーク「ICAN」はノーベル平和賞を受賞しましたが、これについても日本政府は冷淡な対応を示し、被爆者の失望を買いました。
 他方で、日本政府は国連総会第1委員会(軍縮)に核兵器全廃を目指す決議案を提出しています。この決議案は、日本が1994年から毎年提出し、採択されてきたものです。
 しかし、これに対しては核兵器禁止条約に触れておらず、核廃絶に関する文言も弱まっていました。例えば、「核兵器のあらゆる使用」が壊滅的な人道上の結末をもたらすと明記していた昨年の文言から「あらゆる」が削除され、「核兵器のない世界を『達成するための』決意を再確認する」という文言が「核兵器のない世界に『向けた』決意」という表現に変わっています。

 核軍縮に向けて活動するNGOの関係者からは「日本は米国の圧力に屈して核廃絶への訴えを弱めたとしか思えない」として「日本は核保有国と非核保有国の橋渡しをしたいと言っていたが、米国側に立ってその橋を焼き払っているようにみえる」と非難される始末です。昨年12月の国連総会に提出された条約は加盟193カ国中、167カ国が賛成していましたが、今年の条約については賛成156、反対4、棄権24となっており、昨年から賛成が11票減り、棄権が8票増えました。
 このように、この間、核兵器の禁止や廃絶に向けての訴えや動きハ弱まってきており、国際社会の支持も失ってきています。そればかりか、かえって「核の傘」への依存を強めてきているのが現状です。
 その格好の口実として利用されているのが、北朝鮮の核・ミサイル開発による緊張感が高まりです。安倍首相は「対話よりも圧力だ」と言って朝鮮半島危機を煽り、国民の不安感を高め、それを「核の傘」への依存と軍事力の増強に利用してきました。

 例えば、2017年8月には核搭載可能な戦略爆撃機B52が飛来して日本海上空での空自戦闘機との共同訓練を行い、10月末の航空機観閲式では核兵器を搭載できる米戦略爆撃機B2の参加が検討されています。北朝鮮の核開発に対して、一方で「朝鮮半島の非核化」を主張しながら、他方では「核の傘」に依存し、核搭載の戦略爆撃機の飛来や自衛隊との共同訓練に道を開いているのです。
 自らはアメリカの核に頼りながら北朝鮮には「核に頼るな」と言っているようなものです。このようなダブルスタンダードによって日本の国際的信用はがた落ちになっているということが、安倍首相には分かっているのでしょうか。

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9月16日(土) 戦後国際政治において失敗続きだったアメリカの後追いをしても失敗するだけだ [国際]

 安倍首相の9条改憲構想は、アメリカの尻馬に乗って日本を「戦争する国」「戦争できる国」にするためのひとつながりの「物語」の完結編を意味しています。日本を「戦争する国」「戦争できる国」にするためには、法律や制度などのシステム、戦闘部隊や軍備、基地などのハード、若者への教育やマスコミによる国民の意識や世論形成などのソフトという3つの領域での整備が必要になります。
 憲法を変えることは、このシステム変更の中核をなしています。この「物語」は起(特定秘密保護法)、承(安保法)、転(共謀罪法)、結(9条改憲)という形で、最後の段階を迎えつつあると言ってよいでしょう。

 このような「物語」は、多極化し世界の秩序維持をもはや一国では担えなくなったアメリカからの分担要請であるとともに、アメリカのような国になって世界の中心で活躍したいと願う安倍首相の個人的な野心も反映しています。それは憲法を変えた最初の首相として歴史に名を残したいという願望にも通ずるものです。
 その「モデル」はアメリカですが、安倍首相にとってはオバマのアメリカより以上にトランプのアメリカこそが、理想的なパートナーであるにちがいありません。「アメリカ第一」を掲げて排外主義と人種差別を公言するトランプ米大統領は、安倍首相のと「うり二つ」なのですから。
 しかし、日本がその後を追おうとしている第2次世界大戦後のアメリカは失敗の連続でした。成功しているならともかく、失敗ばかりしてきたアメリカの後を追っていけばやはり失敗するに決まっているではありませんか。

 戦後国際政治におけるアメリカは失敗の連続でした。主なものでもベトナム戦争、9.11の同時多発テロ、イラク戦争などがあります。いずれも、自国民の多くが犠牲になり、それをきっかけに国力を弱め、国際的な地位を低下させてきました。
 ただし、9.11同時多発テロでアメリカは被害者であって、テロを引き起こしたのは中東地域出身の犯人たちでした。とはいえ、何故あのような形でアメリカが狙われたのかと言えば、その背景にはアメリカによる中東政策の失敗がありました。
 戦後のアメリカは、中東だけでなくアジア、中南米、アフリカなど地球規模で、中央情報局(CIA)などを使った隠然とした工作や海兵隊などを用いた公然とした介入を行ってきました。このような工作や介入にたいする積年の恨みや怒りがあったからこそ、アメリカがテロの対象として狙われたのです。

 このように、多年にわたる「世界の憲兵」としてのアメリカの活動は感謝されるどころか激しい敵意と怨念を生み出してきたということを忘れてはなりません。しかも、この9.11同時多発テロ事件はブッシュ大統領による「対テロ戦争」を引き出し、さらに中東への介入を強めてアフガン戦争を泥沼化させました。
 そして、その後に始まったイラク戦争は、さらに大きな失敗を生み出すことになります。核や化学兵器などを開発して貯蔵しているという「濡れ衣」によってフセイン政権が攻撃され打倒されましたが、そのような「大量破壊兵器」は発見されませんでした。
 日本政府も支持したこの戦争によってフセイン政権は倒されましたが、それによって中東地域に平和と安定が訪れたというわけではありません。混乱がさらに拡大し、その結果、二つの大失敗がもたらされることになります。

 その一つは、「イスラム国(IS)」というモンスター(怪物)が誕生し、増大していったことです。その母体は「イラクの聖戦アルカイダ」だと言われるように、イラク戦争がなければおそらく誕生することのなかった怪物でした。
 もう一つは、北朝鮮の金正恩労働党委員長による核とミサイル開発への暴走です。イラクのフセイン政権やリビアのカダフィ政権などの崩壊を目の当たりにして恐怖を覚えた金正恩氏は、核兵器とその搭載が可能でアメリカに到達できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発によらなければ北朝鮮の体制維持は不可能だと思い込み、その開発に狂奔する決意を固めたにちがいありません。
 結局、イスラム国と金正恩氏は、戦後におけるアメリカの外交・軍事政策の失敗が生み出した二つの「怪物」だったのです。それを退治しようとしてアメリカと同様の外交・軍事政策を取れば、その失敗をさらに上塗りして問題の解決を遅らせるだけでしょう。

 安倍首相には、このような戦後国際政治に対する反省もアメリカの失敗についての認識もありません。あるのはアメリカに対する追従と中国への敵意だけです。
 アメリカの失敗の結果、世界が大きく変化し多極化してきており、これまでとは異なったアプローチが必要になってきているということも全く理解できていません。古めかしいアメリカの栄光の復活を夢見て、そのおこぼれにあずかろうとしているだけです。
 トランプ米大統領はアメリカの失敗から抜け出そうとして、その失敗を別の形で繰り返そうとしています。北朝鮮を口汚くののしって軍事的な圧力を強め、その尻馬に乗った安倍首相は圧力一本やりの強硬路線を主張するばかりです。

 出口のない緊張の高まりによって、偶発的な衝突の可能性が高まってきています。トランプ米大統領が核のボタンに手をかけないことを祈りつつ、一刻も早く対話路線に転換し、交渉による解決の糸口を見つけ出してもらいたいものです。
 このような非軍事的な解決策の模索こそが、戦後アメリカの失敗の歴史から抜け出す唯一の道なのです。アメリカの後追いではなく日本独自の立場から非軍事的な解決を促しその実現を目指すことこそ、憲法9条の平和主義を尊重し擁護すべき義務を有している日本の首相のとるべき態度ではないでしょうか。

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9月7日(木) 北朝鮮危機でどのようなことがあっても軍事衝突だけは避けなければならない [国際]

 相変わらず北朝鮮危機が国民を不安な気持ちに追い込んでいます。襟裳岬の東方に落下したミサイル発射に続いて「水爆」実験が行われ、ICBMの発射実験の兆候が見えるという報道もありました。
 このような北朝鮮の行動は断じて許されません。国連を中心として国際社会が団結し、危機の鎮静化を図ることが急務になっています。

 「米朝の軍事衝突が絵空事でなくなった」との見方が強まっています。軍事的な挑発行為が繰り返されエスカレートするなかで、意図せざる偶発的な衝突が生ずる危険性も高まってきました。
 しかし、いかなる状況の下でも、軍事衝突だけは絶対に避けなければなりません。今最も必要なことは、戦争につながる可能性を高めるのではなく衝突回避のために努力することです。
 北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返しているのは、アメリカの圧倒的な軍助力を恐れ、自国の安全保障と体制維持に大きな不安を感じているからです。そうであれば、このような恐れや不安を低めるための措置を取ることこそが必要なのであり、軍事を含めた「圧力」を強めて危機を煽ることは完全な逆効果になります。

 トランプ米大統領は「あらゆる選択肢」があると言って、軍事的な手段を否定していません。場合によっては、北朝鮮を攻撃する可能性があることを示唆しています。
 韓国は北朝鮮の指導部を直接攻撃する部隊を新設する方針を明らかにし、THAADの追加配備を行い原子力空母の派遣をアメリカに要請しています。日本政府も陸上イージスの導入を目指し、日米韓の共同訓練や連携強化など軍事的対応策を強め、石破さんは核兵器の持ち込みについての議論を始めるべきだと言い出しています。
 北朝鮮が危機感を高めることが分かっているのに、日米韓こぞって軍事的な圧力を強めて脅しつけようとしているわけです。当然、北朝鮮は反発して軍事的な対抗措置を強めますから、危機は沈静化するどころかエスカレートするばかりです。

 もちろん、アメリカも北朝鮮も軍事的な解決を望んでいるわけではありませんし、そうしてはなりません。もし、戦争になれば韓国に甚大な被害が出るだけでなく、日本も攻撃され、その影響はアジアのみならず世界全体に及ぶことになるでしょう。
 日本にとって軍事的な選択肢はありえず、非現実的なものです。それにもかかわらず、安保法の成立によって「日本の安全に重大な影響がある場合」や「重大な危機にさらされた場合」には、集団的自衛権を行使して米軍を支援することになっています。
 現在の自衛隊は安保法成立以前の自衛隊ではなく、日米軍事協力の意味も大きく変質しました。「今の内なら攻撃されることはない」と考えてトランプ大統領が北朝鮮への攻撃を決断した場合、巻き込まれるのは自衛隊だけではなく日本と日本人全体なのです。

 いささかでもそのような危険を生んではなりませんが、そのために安倍首相は何をしてきたのでしょうか。「これまでにない深刻かつ重大な脅威」とか「異次元の圧力」などと勇ましい言葉を繰り返し、対話を拒んで圧力強化一本やりの対応に終始してきただけではありませんか。
 「出口」のない圧力強化は「暴発」を招くだけです。少なくとも、相手にとって「挑発」と受け取られ、反発して危機感を高めるような行動を慎むだけの冷静な対応が必要なのではないでしょうか。
 トランプ米大統領と一体となって北朝鮮を刺激することは、日本にとってのリスクを高めるだけです。スイスのロイトハルト大統領は4日、北朝鮮情勢をめぐる問題の解決に向けて仲介役を務める用意があると明らかにしましたが、本来これは平和憲法を持つ日本の総理大臣こそが言うべき言葉だったのではないでしょうか。

 北朝鮮が戦争への突入覚悟で危機を高めていくということは考えにくく、いずれは対話へと舵を切ることでしょう。駆け込み実験でアメリカに到達できるICBMの開発などを終えることをめざし、それまでは何があっても屈しないと腹を固めているのかもしれません。
 もしそうなら、いくら「圧力」を強めても無駄です。アメリカとの直接交渉を働きかけ、体制維持を約束して自国の安全保障への不安を和らげ、無理をして軍事力を増強する必要はないのだということを分からせることの方が、衝突回避にとってずっと効果的なのではないでしょうか。

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9月1日(金) 日米同盟のみに依存して目先の圧力強化にこだわってはならない [国際]

 「北朝鮮に関する日米の利害はミサイル問題などで必ずしも一致してこなかった。米国は中国とは安保理でも協議を深めており、日米同盟のみに依存して目先の圧力強化にこだわれば、はしごを外されかねない。」

 これは「国連で安保理担当の政務官を4年前まで務め、交渉の舞台裏に詳しい川端清隆・福岡女学院大教授(国際政治)」の発言です。昨日の『朝日新聞』8月31日付に掲載されていました。
 川端さんが指摘する通り、「日米の利害はミサイル問題などで必ずしも一致」していません。大陸間弾道弾(ICBM)が開発される以前から、日本は短距離や中距離ミサイルの射程内に入っており、余りにも北朝鮮に近いためミサイル防衛は技術的にほとんど不可能だからです。
 したがって、トランプ米大統領にはICBMがアメリカ大陸に届くようになる前に軍事的手段を行使する選択肢があったとしても、すでにミサイルの射程内に入っている日本にはそのような選択肢はあり得ません。安倍首相には、このような違いが分かっているのでしょうか。

 中国との関係も、アメリカと日本では大きく異なっています。「米国は中国とは安保理でも協議を深めて」いると川端さんは指摘されていますが、逆に安倍首相は中国を敵視し、その包囲網づくりを外交政策の重要な柱としてきました。
 北朝鮮危機が高まったために慌てて中国との関係を強めようとしていますが、足元を見透かされるだけです。ここでも、安倍外交は破綻していると言わなければなりません。
 北朝鮮の核開発やミサイル実験を抑制し、朝鮮半島の非核化を実現するために中国との協力関係をどう打ち立てていくのかという長期的な戦略を欠いたまま、ひたすら包囲網づくりに精を出してきたのが間違いだったのです。その結果、北朝鮮危機打開のために協力できるような信頼関係を失ってしまいました。

 さらに川端さんは、「日米同盟のみに依存して目先の圧力強化にこだわれば、はしごを外されかねない」と指摘されています。誰によって「はしごを外され」るのかと言えば、それはアメリカです。
 安倍首相は「北朝鮮に対話の用意がないことは明らかで、今は圧力をさらに高める時だ」と強調し、トランプ大統領もツイッターで北朝鮮との「対話は解決策ではない」と書いて再び態度を硬化させました。2度の電話による日米首脳会談で、トランプ大統領は安倍首相に説得されたのかもしれません。
 しかし、マティス米国防長官は「我々は外交的解決を決してやめていない」と述べて、交渉による解決を目指す米政府の姿勢を改めて強調しました。マクマスター米大統領補佐官(安全保障担当)も「米国は北朝鮮問題の平和的解決を優先する」と語っています。

 かたくなに「対話」を否定する安倍首相の態度は極めて特異なものであり、まるで危機の激化と緊張関係の強化を望んでいるかのようです。その対応は冷静さを欠き、国民に対して危機感を煽る異常な姿勢が際立っています。
 歴史を振り返って見れば、いつの時代でも権力者は自らの利益のために紛争を起こし、危機感を煽りたててきました。安倍首相も例外ではなく、自らの利益のために北朝鮮との紛争を利用し、危機を煽り立てているかのようです。
 「森友」「加計」学園疑惑や都議選での敗北、内閣支持率の低下などで守勢に立った内政から外政へと国民の目を転じ、頼りになる指導者を演じて支持回復を図ろうとしているのではないでしょうか。北朝鮮危機を軍事費の増大や軍備の強化、軍需産業の拡大、ひいては9条改憲に結びつくような世論作りに利用しようとしているように見えます。

 国民に不安を与えないこと、安全や安心への配慮よりも自らの政治的な思惑を優先しているから、北朝鮮危機を本気で解決する気がないのです。ただひたすら圧力強化のみを主張し、日米共同演習など軍事的な対応をちらつかせながら北朝鮮を屈服させようとするばかりです。
 このような対応はまさに「武力による威嚇」そのものであり、憲法9条に反しています。日本が「はしごを外され」国際的に孤立する前に、このような対応を転換するか、安倍首相を交代させなければなりません。

 これについて、『日刊ゲンダイ』8月30日付で私は次のようにコメントしました。
 「日本国内が過剰に反応すればするほど、北朝鮮の思うツボですよ。騒ぎを起こして、世界に見せつけようというのが北の狙いなのですから。それに、国民が不安を感じざるを得なくなってしまったのは外交・安保政策の失敗にあるのに、安倍政権は不安を煽って対外緊張を支持率回復につなげようとしている。ひどい話です」(政治学者の五十嵐仁氏)

 なお、9月の講演などの予定は以下の通りです。お近くの方や関心のある方に足を運んでいただければ幸いです。

9月2日(土)13時 横浜市上郷・森の家:神奈川革新懇
9月3日(日)13時30分 横浜市市民活動支援センター:横浜市中区革新懇
9月9日(土)14時 レインボープラザ北九州:北九州革新懇
9月10日(日)13時 千葉土建船橋習志野支部会館:船橋革新懇
9月24日(日)14時 あ~ちぷらざ東京土建板橋支部会館:なかいた・ときわ台9条の会

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