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10月30日(火) 暗雲漂うなかで船出した臨時国会 [国会]

 10月24日に安倍首相の所信表明演説が行われ、昨日から代表質問が始まりました。3選を実現して3期9年間という最長の任期を視野に入れて発足した第4次改造内閣ですが、その前途は容易ではありません。
 長期政権の驕りや緩み、安倍首相自身の焦りなどが随所で垣間見えるからです。臨時国会は暗雲漂う中での船出となりました。

 第1の暗雲としては漂流を始めた外交を挙げることができます。日中首脳会談と日印首脳会談を立て続けに開催するなど順調に進んでいるように見えますが、実はそうではありません。
 トランプ政権による米中新冷戦への対応に苦慮し、米中両国の板挟みにあっているからです。一方で中国との関係改善を進めながら、他方でインドとも関係を強化して中国包囲の姿勢を示すなど、安倍外交は揺れています。
 トランプ米大統領の顔色をうかがいながら中国に急接近する安倍首相に、外務省がストップをかけようとしたのが「3原則」をめぐる行き違いです。この先、朝鮮半島での南北接近と緊張緩和の進展や中国との関係改善がすすめば、安倍首相による北朝鮮や中国への「敵視政策」、安保法制・改憲、軍備増強・基地強化などの好戦的な軍事大国化路線との整合性が問われ、政策転換が迫られることになるでしょう。

 第2の暗雲は序盤から与野党が激突して本会議の開会が45分も遅れてしまったことです。そのきっかけを作ったのは、安倍首相の側近で衆院議院運営委員長に抜擢された高市早苗氏でした。
 衆院本会議に先立って開かれた理事会において、議運委員長名で高市氏が出した国会改革試案をめぐって紛糾したからです。この試案は政府提出法案の審議を優先し、一般質疑は会期末前にするとの内容を含んでいたため、立法府の役割や議運委員長の役割が公正公平で行政監視機能を果たさなければいけないということを理解していないなどと野党は強く批判し、試案の撤回と謝罪を求めました。
 森友・加計学園疑惑などで国会による行政監視が不十分で行政の私物化と暴走が大きな問題となっているときに、高市氏は政府寄りの提案をして安倍首相を援護射撃しようとしたわけです。中立であるべき議運委員長の立場を逸脱する暴挙で批判されて当然ですが、森友・加計学園疑惑や閣僚の資質などへの追及を恐れる安倍首相の焦りを反映したものだと言って良いでしょう。

 第3の暗雲は出入国管理法改正案をめぐる混乱です。これは外国人労働者の受け入れ拡大に向けて新たな在留資格創設を柱とするものですが、自民党内でも異論や懸念、反対、慎重意見などが続出して法務部会が紛糾し、議論は4時間も続きました。
 この問題は代表質問でも取り上げられ、「新たな移民政策ではないのか」という懸念を安倍首相は打ち消しました。しかし、与党内でも異論があり、自民党内で安倍首相を支えてきた右派議員からの批判もあって亀裂が生まれました。
 この改正案は内容だけでなく、来年4月からの実施を予定するというスケジュールについての異論も強く、臨時国会での審議の行方は不透明です。このような形で急ぐのも、早く成果を出したいという安倍首相の焦りの表れかもしれません。

 臨時国会はまだ始まったばかりですが、ここに挙げた問題以外にも10%への消費増税や「全世代型社会保障改革」など重要な課題が目白押しです。会期が12月10日までと短いことも、安倍首相の焦りを生んでいる要因かも知れません。
 それとも、6年間も政権を担当してきたのに、「売り物」だったアベノミクスも外交も上手くいかず、誇るべき成果が何もないことに気が付いたのでしょうか。このままでは、モリ・カケだけが国民の記憶に残ってしまうかもしれないのですから。

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7月21日(土) 「打倒安倍政権」を実現するために「ひるまず、忘れず、諦めず」力を尽くしていこう [国会]

 通常国会が事実上、閉会しました。「通常国会」というよりも「異常国会」と言った方が良いような体たらくです。
 理不尽で不条理、嘘とデタラメ、隠ぺいに虚偽、失言というより妄言・暴言が相次ぎ、常識が通用しない異常な国会でした。戦後最低で最悪の安倍首相の横暴と強権が猛威を振るった最低・最悪の国会だったと言うべきでしょう。

 こんな逃亡、許して良いのかと思います。森友学園疑惑での安倍首相夫人の昭恵氏と嘘をつき続けた佐川元理財局長、加計学園疑惑での加計孝太郎氏と柳瀬首相秘書官、責任逃れと暴言に終始した麻生財務相、それに疑惑の中心で深く関与していた安倍首相。
 国会が幕を閉じ、これで逃げおおせたと思っているにちがいありません。「やれやれ、何とか逃げ切ったわい」と、ほくそ笑んでいるかもしれません。
 公文書が改ざんされ廃棄され、「ない」とされた文書が見つかり、答弁のうそが明らかになって国会審議の前提は根底から覆されました。それなのに誰も責任を取らず、真相は明らかにならないままです。これで良いのでしょうか。

 こんな法律、成立させて良いのかと思います。「働き方改革」関連法、カジノ新設を認める統合型リゾート(IR)実施法、定数6増の改正公職選挙法などです。
 「働き方改革」とは名ばかりで実態は過労死促進法にほかならず、「せっせと働いて、とっとと死ね」と言わんばかりの高度プロフェッショナル制度が導入されました。賭博を合法化して来る人を増やし、てら銭を稼いで景気を良くしようというのでは、江戸時代の宿場を牛耳っていたヤクザの親分のやり方と変わりません。
 あきれ返ってしまうのは、自分の都合だけで定数を増やした「合区救済」法です。「自分勝手」な法律である以上に「自民勝手」な法律だと言うべきでしょう。

 こんな首相、続投させても良いのでしょうか。疑惑にフタをして逃亡した張本人・最高責任者で、国民の多くが反対した法案をゴリ押しして成立させてしまった極悪人の安倍首相を。
 野党が分裂し、弱体化している今なら無理を押し通しても大丈夫だと高をくくっているのではないでしょうか。疑惑を払拭するための丁寧な説明も真相解明のための努力もせず、ひたすら不誠実な答弁を繰り返す姿にはうんざりさせられました。
 国会は閉幕しましたが、このまま頬かむりで逃亡するのを許してはなりません。特別委員会を設置するなど、引き続き疑惑解明と責任追及の努力を行い、安倍首相の3選阻止を目指すべきでしょう。

 この通常国会で「打倒安倍政権」を実現できなかったのは残念ですが、安倍首相が狙っていた改憲発議の野望を阻止することができました。しかし、自民党総裁選での争点として言及するなど安倍首相はまだあきらめておらず、3選されれば秋の臨時国会での最大の争点になる可能性があります。
 内閣支持率は下げ止まったとはいえまだ半分以下であり、調査によっては不支持率の方が高いままです。引き続き、戦後最低で最悪の安倍首相の横暴と強権の実態を明らかにし、「打倒安倍政権」を実現するために「ひるまず、忘れず、諦めず」力を尽くしていきたいものです。

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5月2日(水) 野党の国会欠席について『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメントと若干の補足 [国会]

 〔以下の私のコメントは、4月27日付の『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。参考のために、アップさせていただきます。〕

 「野党が要求する4項目はどれも至極まっとうで、主権者である国民の要望でもあります。与党が本気で国会を正常化したいのであれば、野党の要求をのめばいい。公文書改ざん問題で引責辞任が当然の麻生財務相を辞めさせないのは、あらゆる疑惑の中心にいる安倍首相を守る砦として居座らせているだけ。加計学園の獣医学部新設をめぐり、愛媛県と今治市の職員と官邸で面会して<首相案件>と発言したとされる柳瀬氏は、昨年7月の参考人招致で<記憶の限りでは会っていない>と答弁した人物です。愛媛県文書のほか、農水省や文科省からも官邸面会を裏付ける物証が出てきている状況で与党が証人喚問を拒むのは、柳瀬氏の答弁がウソだと分かっているからではないのか。すべて政権の都合でしかない。野党は雑音にひるまず、徹底的に戦い、真相を追及してもらいたい」

 「国民が今、求めているのは、政策の是非よりも政治に対する信頼の回復です。安倍首相は先日も<信なくば立たず>と言っていましたが、果たして現状をキチンと認識しているのか。疑惑の核心にいる安倍首相が誠実な姿勢で野党の追及に応えて、信頼を取り戻す努力をしているようには見えません。進退を考えるほかない」

 今日の『毎日新聞』に、次のような記事が出ていました。
 「学校法人『加計学園』による国家戦略特区を利用した獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)は、2015年4月2日に同学園関係者と首相官邸で会ったことを認める意向を固めた。面会をうかがわせる文書が愛媛県や農林水産省などで見つかり、否定し続けるのは難しいと判断した。与野党が国会招致で合意すれば、答弁で説明する。」

 もうこれ以上、ウソをつき続けることが難しくなったからです。しかしそれでも、会ったのは「同学園関係者」だから「愛媛県と今治市の職員」の記憶はないと言い張り、前の答弁との整合性を図るつもりではないでしょうか。
 前についたウソを誤魔化すために新たなウソをつくようなことはやめるべきです。そのために「答弁で説明する」というのであれば、国会に招致する意味はありません。
 参考人としてではなく証人喚問として招致に応ずることは、柳瀬さんにとってもプラスになるでしょう。ウソをついて言い逃れるつもりでなければ、身の潔白を証明する最善の機会になるはずですから。

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8月11日(金) 幕引きのためのアリバイ作りにすぎなかった日報隠蔽疑惑についての閉会中審査 [国会]

 自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題に関する閉会中審査が衆参両院で開かれました。この隠蔽に稲田朋美前防衛相がかかわっていたのではないかとの疑惑を解明するためのものでしたが、中心人物は招致されず、事実関係ついての説明が拒まれ、再調査もしないなど、結局は幕引きのためのアリバイ作りにすぎなったようです。

 そもそも、隠蔽問題を協議したのではないかという疑惑の中心である稲田前防衛相や防衛省事務方トップの黒江哲郎事務次官、陸上自衛隊トップの岡部俊哉陸上幕僚長の出席が自民党によって拒否されました。疑惑解明のための参考人招致であるにもかかわらず、その疑惑の中心人物を招致しなかったわけです。
 初めから疑惑を解明する気がなかったと言うしかありません。野党の要求に応えたポーズをとり、国民の批判を和らげるためのアリバイ作りにすぎない対応でした。
 自民党は辞任したことを招致拒否の理由としていましたが、田中真紀子元外相を招致した例がありました。今回の対応によって、辞任すれば説明責任を逃れられるという前例を残したことになります。

 委員会の冒頭、小野寺五典防衛相は特別防衛監察の結果を説明して「大変厳しく反省すべきものだと受け止めている。再発防止に努めたい」と述べ、「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しい中、国民の皆さまに本当に申し訳ない」と陳謝しました。そのうえで、「情報公開に対する姿勢に疑念を抱かせ、防衛省・自衛隊のガバナンスに対する信頼を損なった」と反省の弁を述べました。
 しかし、質疑では、野党が防衛監察報告の有無やそれぞれの証言者の内訳などを追及したのに対し、防衛監察本部の担当者は「個人が特定され、供述が明らかになる恐れがあるので差し控える」と踏み込んだ説明を拒み、防衛省の辰巳審議官も「これ以上申し上げることは差し控える」と繰り返し、具体的な説明を拒否ました。また、稲田防衛相に日報データを報告した際のやりとりを残したとされるメモや、陸自がまとめた調査結果の公表を要求されると、小野寺さんは「入手した資料を開示すれば、今後の監察業務に支障をきたす」とノーコメントを連発しました。
 新しい事実が出てこない不毛なやり取りが続いたわけですが、それは関係者が新しい事実を出すことを拒み、隠蔽問題の解明にかかわる事実関係についても更なる隠蔽を繰り返したからです。不毛なやり取りは、野党の質問に対して誠実に答え事実を解明すると言う姿勢が欠落していたからにほかなりません。

 野党側は、防衛省が行った特別防衛監察では引稲田朋美元防衛相の関与の有無が曖昧だとして再調査を求めたのに対し、小野寺防衛相は稲田さんにも間違いがないかを確認したとして「しっかり報告された内容だ」と強調し、再調査を行う考えがないことを明らかにしました。
 これで幕引きを図るために開かれた閉会中審査でしたから、こう答えるのは当然かもしれません。しかし、それで世論は納得するのでしょうか。
 国民の信頼を回復するためには、「隠蔽内閣」としてのあり方を一掃しなければなりません。真相を明らかにするために必要なこと、国民が知りたいことを包み隠さず明らかにすることが必要です。

 自衛隊が日報を公表しない判断をした背景には、安保法に基づく「駆け付け警護」などの新しい任務を付与するために撤収するわけにはいかないという政権への忖度があったのではないでしょうか。この判断については稲田さんだけでなく安倍首相も関与していたのではないかという疑惑は残ったままです。
 第三者による再調査や国会による真相解明、稲田さんだけでなく黒江前防衛事務次官や岡部前陸上幕僚長ら関係者らの証人喚問などが不可欠です。幕引きを図ってウヤムヤにしようという「隠蔽内閣」の目論みを許してはなりません。

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7月11日(火) 加計学園疑惑の参考人質疑で前川「奇兵隊」の逆襲が始まった [国会]

 注目の参考人質義でした。加計学園疑惑での焦点の人である前川喜平前文科省事務次官が国会で初めて証言しました。
 当初、中継しないと言っていたNHKも、世論に押されて中継することになったようです。午前中に衆院で、午後には参院での質疑が放映されました。

 質疑では前川さんと菅官房長官、萩生田官房副長官、山本地方創生担当相などの証言が真っ向から食い違う場面がたびたび見られました。どちらが正しいのか、どちらが嘘を言っているのか、よく分かりません。
 このような質疑を見て、所詮は水掛け論だから真相がはっきりすることはないと思われたかもしれません。しかし、この質疑の開かれ方やそこでの応答から明確になったことがあります。
 加計学園疑惑をめぐる状況証拠からすれば、どう考えてみても安倍首相は「真っ黒」だということです。見解が対立しているということは、どちらかが嘘を言っているということになりますが、今回の質疑によってそれについいての判断材料が沢山提供されたからです。

 まず明らかになったことは、政府・与党が真相解明の場を設定することから逃げ続けてきたということです。野党が憲法によって要求している臨時国会の開会を拒み、当初は閉会中審査もやらないと言い、都議選での敗北を受けて前川さんを国会に呼ぶことになっても証人喚問は避け、質疑での資料の扱いについても難癖をつけて開始時間を遅らせました。
 しかも、重要な主役である安倍首相と準主役である和泉首相補佐官、藤原内閣府審議官は出席せず、前川さんが「在職中に担当課からの説明を受けたときに入手した、目にした文書に間違いない」と存在を確言し探せばあるはずだという「萩生田副長官ご発言概要」という内部文書についても松野文科相は再々調査をしないと答えました。カギを握る重要人物であるからこそ出席させないということであり、見つかっては困るからこそ調べないということなのでしょう。
 答弁についても、菅官房長官はつっけんどんな受け答えに終始し、山本地方創生担当相は聞かれてもいないことに早口で延々と答えて時間稼ぎをするなどの醜態をさらしました。落ち着いて堂々とした態度で正確に受け答えしていた前川さんとは大違いです。

 テレビでの放映を見ていた人のほとんどは、証言の内容もさることながら、異なった立場にある当事者相互の対応から、どちらが信用できるのかということを感覚的に判断できたのではないでしょうか。閉会中審査によって参考人質疑を行い、その映像を放映したことは無駄ではなかったと思います。
 証言の中身としても、判断材料がたくさん提供されました。おなじみのセリフである「記憶にありません」という言葉も登場しました。
 この言葉は、都合が悪い事実について肯定するわけにも否定するわけにもいかず、さりとて嘘をつくのも避けたいという場合に用いられる独特の用語です。そして、重要なポイントにさしかかるたびにこの用語を多用していたのは萩生田官房副長官と文科省の常盤高等教育局長でした。

 今回の質疑を通じて、安倍首相の関与を示唆する事実が一つ明確になりました。それは和泉首相秘書官の存在です。
 以前から前川さんは、昨年秋、和泉さんに呼ばれて加計学園の獣医学部の開学手続きを急ぐように催促され、その際、和泉さんが「総理は自分の口から言えないから私が言う」と発言したと証言していました。その内容が事実かどうかは分かりませんが、少なくとも国家戦略特区とは職務上のかかわりを持たないはずの首相秘書官が文科省の次官を呼びつけたことは事実です。
 国家戦略特区については内閣府の所管であって官邸や首相秘書官とは無関係のはずなのに、首相秘書官が登場したということ自体、首相の指示なり依頼なりがあったと理解するのが自然でしょう。「自分の口から言えないから君から行ってくれないか」と。

 和泉さんこそ、カギを握る人物なのだということがはっきりとしてきました。だからこそ、政府・与党はこの人の国会での証言をかたくなに拒んでいるのではないでしょうか。
 隠せば隠すほど、そこには真実が存在しているのではないかとの疑いが増すものです。嘘をつき誤魔化しているからこそ、逃げ回っているのです。
 安倍首相本人もやましいところがないのであれば、堂々と国会を開いて疑問に答えればよいではありませんか。「反省している」「丁寧に説明したい」という自らの言葉が嘘でないというのであれば。

 水掛け論になるのは、嘘を言っても罰せられない参考人質疑だからです。真実を語らなければ罪に問われる条件の下で、改めて証人喚問するべきでしょう。
 早急に臨時国会を開いて予算委員会での集中審議を設定し、安倍首相や前川さんをはじめ関係者の証人喚問を行い国民の疑惑に答えるべきです。逃げれば逃げるほど、「私は真っ黒です」と自白しているようなものなのですから。
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6月15日(木) 「森友」「加計」疑惑封じ込めを狙った共謀罪法案の強行採決を断固として糾弾する [国会]

 本日の朝、政府・与党は「共謀罪」の成立要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を参院本会議で強行採決しました。自民党と公明党の与党と、それに手を貸した日本維新の会の暴挙を断固として糾弾するものです。

 この採決は、与党が参院法務委員会での採決を省略する「中間報告」という異例なやり方で強行されました。野党の抵抗に対して機先を制し、何としても会期内に成立させるための「奇策」が採用されたためです。
 しかし、これこそ究極の強行採決にほかなりません。審議を途中で打ち切り、野党の裏をかいて委員会での採決を行わず、突然本会議を開いて採決を強行してしまったのですから。
 こんな議会運営が許されるのでしょうか。「中間報告」という異例の奇策による完全な「だまし討ち」ではありませんか。

 国民の多くが不安に思っており、最近の世論調査では反対が増え、成立を急ぐ必要はないという意見も多い法案です。これまでの審議でも、心の中が取り締まられるのではないか、一般の人が対象とされるのではないか、拡大解釈によって適用範囲が広がるのではないか、政府に都合の悪い運動などが日ごろから監視され委縮してしまうのではないかなどの疑問が出され、国民の懸念は解消されていません。
 これらの疑問や懸念に丁寧に答えるどころか、問答無用の強権的な対応が取られました。しかも、「良識の府」とされてきた参議院で。
 一体、どこに「良識」が示されているというのでしょうか。まさに立法府の劣化そのものであり、審議の場としての議会の「自殺」ではありませんか。

 政府・与党があえてこのような「禁じ手」に訴えたのは、危機感の裏返しでもあります。都議選を前にして会期延長は避けたかったからであり、安倍首相夫妻にかかわる「森友」「加計」疑惑に一刻も早く幕を引きたかったということでしょう。
 追い込まれていたのは安倍首相です。疑惑は膨らむばかりで、「総理のご意向」と書かれた内部文書の「追加調査」の結果はまもなく公表されます。
 その前に共謀罪を成立させたいというのが、安倍首相の狙いだったのではないでしょうか。自分の都合で国民の懸念を置き去りにし、議会での審議を足蹴にして逃げ込みにかかったというわけです。

 このような強権的で国会軽視のやり方が都議選にどう影響するか、不安を抱えたままの強行だったにちがいありません。こうなった以上、都議選できっぱりとやり返すほかありません。
 野党や国民を馬鹿にした「だまし討ち」によってどれほど大きな代価を支払うことになるのか、目にものを見せてやろうではありませんか。そのチャンスは直ぐにやってきます。
 2013年の特定秘密保護法、15年の安保法、そして17年の共謀罪と、アベ政治の暴走は続いてきました。この戦争できる国造りへの道は、9条改憲へと結びつけられようとしています。

 それをストップさせるためにも、来る都議選で自民党と公明党、維新の会を惨敗させなければなりません。自民党には天罰を、公明党には仏罰を、そして手助けした維新の会には懲罰を……。

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6月8日(木) アベ政治の凶暴化と逆行を象徴する共謀罪法案の強行を許してはならない [国会]

 「いい加減なことばっかし言ってんじゃねーよ」
 これは暴力団の言いがかりでしょうか?
 そうではありません。安倍首相が自席から発したヤジだそうです。

 驚きましたね。こんな人が総理大臣だなんて。
 安倍晋三にトランプ、それに金正恩。こんな人たちが一国のリーダーとして国を率いているなんて、信じられない思いがします。

 その安倍首相は、いよいよ本性を明らかにしてきました。改憲の“本丸”である9条を標的にすることを宣言し、この9条改憲のために共謀罪を新設して反対運動を抑え込もうとしています。
 テロ等準備罪という名前に変えて粉飾を凝らし、オリンピックを名目にして成立を強行しようという狙いです。テロやオリンピックという看板を掲げれば、国民を騙せると高をくくっているのでしょう。
 騙されてはなりません。やってもいない犯罪を取り締まるために、市民や市民活動との違いを曖昧にし、拡大解釈の余地を残しているのは、政府に都合の悪い発言をしたり活動に加わったりする一般市民や正当な市民活動、社会運動を取り締まるためであり、拡大解釈によって共謀罪を適用する余地を残すためです。

 この共謀罪法案の成立に向けて、与野党の攻防が強まっています。加計学園疑惑と「前川の乱」によって追い詰められた安倍首相は、ますます焦りの色を濃くしています。
 野党の質問に対して、思わず口ぎたなくののしってしまったのは、この焦りの現れでしょう。それだけ、余裕を失っているということでもあります。
 共謀罪法案の審議では来週がヤマ場になります。野党が結束して強行採決を許さず、ぜひ審議未了・廃案に追い込んでもらいたいものです。

 国連人権理事会の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチさんがプライバシーを制約する恐れを指摘し、報道の自由に関して懸念を表明しています。菅官房長官は口汚く批判するだけでまともに回答していません。
 報道の自由については、日本の「表現の自由」の状況を調査するために昨年4月に訪日した人権理事会のデービッド・ケイ特別報告者も特定秘密保護法について、ジャーナリストに萎縮効果を与えることのないよう改正を促しました。また、共謀罪については、組織犯罪防止条約についての立法ガイドを執筆した刑事司法学者のニコス・バッサスさんが「条約はテロ防止を目的としたものではない」と語り、「新たな法律などの導入を正当化するために条約を利用してはならない」と警告しています。
 日本政府がこれほどに国連や海外の識者から懸念を表明されたり警告されたりしたことが、かつてあったでしょうか。「美しい国」を唱えていた安倍首相によって、この国は国連や国際社会から後ろ指を指されるような「醜い国」「恥ずかしい国」になってしまったというわけです。

 ここでストップしなければ、取り返しのつかないことになりかねません。そのために残されている時間はそれほど多くないのです。
 追い込まれているのは、安倍首相の方です。森友学園疑惑や加計学園疑惑で国民の信頼を完全に失ってしまった権力者の逆走と強行を、もうこれ以上許してはなりません。

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5月24日(水) 共謀罪の強行採決で安倍首相が作ろうとしている「恥ずかしい日本」 [国会]

 「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案が23日、衆院本会議で自民、公明、日本維新の会などの賛成多数で可決され、衆院を通過しました。維新と自民の「共謀」によって衆院法務委員会で行った強行採決に次ぐ暴挙です。
 これこそ、安倍政権の「狂暴」化を示す何よりの証拠ではありませんか。舞台は参院に移りますが、今後の審議のあり方や加計学院疑惑の進展などによっては廃案に追い込む可能性が生まれてきています。

 この法案は犯罪の合意段階で罪に問い、実行段階から処罰する日本の刑事法の原則を大きく変えるもので、「内心の自由を侵害する」との強い批判がありました。「一般の人」は対象にならないとされましたが、警察などの捜査機関が権限を乱用して市民への監視を強めるのではないか、どういう人が何をした場合に処罰されるのか、は明確になりませんでした。
 また、条文で「準備行為」は「資金や物品の手配」や「下見」とされましたが、普通の市民生活での行為と「準備行為」を区別する基準もはっきりしません。桜並木の下を歩くのが「花見か下見か」が議論されましたが、結局は心の内にまで分け入って調べなければ分かるはずがありません。
 そもそも、この法案でテロが防止できるのか、そのために277もの罪が必要なのかなどの根本的な疑問も解消されないままです。東京オリンピックやテロ防止は、モノ言えぬ社会を作るための口実にすぎません。

 この法律の必要性を裏付けるためにイギリスでのテロ事件などが例に挙げられています。しかし、欧米でのテロ事件の続発は、組織犯罪防止条約によってテロを防止することができないということを証明しています。
 このようなテロ事件は許されず、防止するためのあらゆる手段が用いられなければなりません。その一つがこの条約の締結だとされていますが、近年のテロはこの条約を締結しているイギリス、フランス、アメリカなどで続発しています。
 逆に、この条約を結んでいない日本では、今世紀に入って思想的背景に基づくテロ事件は起きていません。テロ防止のためにすでに13の条約を結んでおり、重大犯罪については予備罪なども導入されており、これらが一定の効果を発揮しているからです。

 このようななかで、共謀罪法案についてプライバシー権に関する国連人権理事会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が懸念を表明した公開書簡を安倍政権に送付しました。「国連人権理事会の特別報告者」とは、単に「個人の資格」でものを言う専門家ではありません。
 国連人権理事会に任命されて報告義務を負い、個別のテーマや個々の国について人権に関する助言を行う、独立した立場の人権の専門家です。「個人」で不適切だとして抗議した菅官房長官は、このことを知らなかったということになります。
 ケナタッチ氏は「早まった判断をするつもりはありません」と断ったうえで、情報の正確性を確かめるための4つの質問を行いました。指摘に間違いがあれば正して下さいと質問をし、「日本政府はいったん立ち止まって熟考し、必要な保護措置を導入することで、世界に名だたる民主主義国家として行動する時だ」と訴えています。

 この問題をめぐって国内の人権団体や国際NGOなど6団体が記者会見を開いて、国連人権高等弁務官事務所に抗議した日本政府を批判しました。法案の審議をストップし、国連の懸念にきちんと対応するよう訴えています。
 会見で「共謀罪NO!実行委員会」の代表の海渡雄一弁護士は、ケナタッチ氏が「日本政府の抗議は、私の懸念や法案の欠陥に向き合っておらず、拙速に法案を押し通すことの正当化は絶対にできない」と反論していると紹介し、「国連からのこのような問いかけに、いったん採決手続きを中止して、きちんとした協議をして欲しい」と述べました。また、ヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士も、「政府の態度に遺憾に思っている。特別報告者は、日本だけをターゲットにしているわけではない。日本政府は昨年立候補して、人権理事会の理事国になり、今後3年間、人権理事会規約や特別手続きを重視することを約束している。国際社会から出された声にきちんと、耳を傾ける必要がある」と政府の対応を批判しています。
 日本政府が書簡を無視して抗議したことについて、当のケナタッチ氏は本質的な反論になっておらず「プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」と指摘し、報道ステーションのインタビューでは「日本政府からの回答を含めて全てを国連に報告する」と述べています。今まで以上に強い対応を検討しているようで、もし国連が動き出すということになれば共謀罪をめぐる状況は大きく変化するにちがいありません。

 安倍政権は国際社会との協調を掲げながら、国際社会から示された懸念を足蹴にして応えようとしていません。日本は何という「恥ずかしい国」になってしまったのでしょうか。
 国会での審議を軽視し、国民に説明して納得を得る努力もせず、採決を強行するばかりか国際的な懸念にも耳を貸そうとしないのが、今の安倍政権の姿です。このような国が、安倍首相のめざす「美しい国」なのでしょうか。

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4月25日(火) 共謀罪で恐るべき監視社会が当たり前になってしまうという悪夢 [国会]

 国会の衆院法務委員会で、共謀罪の審議が進んでいます。特に目立つのは、自民党による慣例を無視した強引な国会運営です。
 野党の反対を押し切って、職権で刑事局長を参考人登録したり、職権で委員会を開いたり、強引に参考人質疑の開催を決定したり、異様なやり方が続いています。これは、何としても今国会中に成立させたいという安倍首相の執念を示すものですが、同時に、このような強引なやり方が野党の反発を強めて世論の警戒心を高め、逆に審議を遅らせるという側面も生まれています。

 異常で強引な運営が行われているのは、正常で普通の運営方法では会期中での成立が危ぶまれるからです。それだけ、この共謀罪法案には問題が多くあります。
 先週の21日に共謀罪法案を審議した衆院法務委員会で、盛山正仁法務副大臣は「一般の人が(共謀罪の捜査の)対象にならないということはない」と明言しました。「一般の方が対象になることはない」と繰り返し強調してきた安倍首相や菅官房長官、金田法相の発言を否定したのです。
 井野俊郎法務政務官も「捜査の結果、シロかクロかが分かる」と、一般の人に対する捜査の可能性を示唆しました。捜査してみなければ怪しいかどうかわからないと言っているわけで、「一般の人」が捜査対象になるのは避けられません。

 それだけではありません。法務委員会で民進党の階猛議員が枝野幸男議員と少々相談をしたとき、それを見ていた自民党の土屋正忠理事が大声でこう叫んだのです。「あれは、テロ等準備行為じゃねえか!」
 共謀罪については「話し合うだけで罪になる」危険性が指摘されてきました。土屋議員の野次は、議員2人の話し合いを「テロ等準備行為」だと恫喝したわけで、まさにこのような危険性を裏付けるものでした。
 たとえ話し合わなくても、準備行為に当たるとみなされるような連絡がメールやラインで送られていれば、それを読んでいなくても「共謀」の罪に問われる可能性があります。そして、このようなメールなどを幅広く監視できるシステムが、すでに存在していることが、今日の『朝日新聞』で次のように報じられました。

 調査報道を手がける米ネットメディア「インターセプト」は24日、日本当局が米国家安全保障局(NSA)と協力して通信傍受などの情報収集活動を行ってきたと報じた。NSAが日本の協力の見返りに、インターネット上の電子メールなどを幅広く収集・検索できる監視システムを提供していたという。

 報道によると、NSAは60年以上にわたり、日本国内の少なくとも3カ所の基地で活動。日本側は施設や運用を財政的に支援するため、5億ドル以上を負担してきた。見返りに、監視機器の提供や情報の共有を行ってきたと指摘している。
 たとえば、2013年の文書では、「XKEYSCORE」と呼ばれるネット上の電子情報を幅広く収集・検索できるシステムを日本側に提供したとしている。NSAは「通常の利用者がネット上でやりとりするほぼすべて」を監視できると表現している。ただ、日本側がこのシステムをどう利用したかは明らかになっていない。

 このような「通常の利用者がネット上でやりとりするほぼすべて」を監視できるシステムが、今のところ、どのように使われているかは不明です。もし、共謀罪が成立すれば、このようなシステムが全面的に活用され、「ネット上でのやり取り」が監視されることになるでしょう。
 すでに、街中には数多くの監視カメラが作動しています。通信傍受法の「改正」によって盗聴の対象が拡大され、知らないうちに通信の内容が傍受される危険性が高まっています。
 超小型発信機によって位置を測定できるGPS(全地球無線測位システム)も犯罪捜査で使われています。3月15日に最高裁は令状なしでの使用は違法だとの統一判断を示して歯止めをかけましたが、共謀罪が成立すれば捜査手段として活用することが合法化されるにちがいありません。

 さらに、コンピューターに蓄積されたビッグデータの犯罪捜査への活用も図られるでしょう。このデータには、ネット通信での情報、監視カメラによる映像、盗聴による音声、そしてGPSによる所在情報など、多様な個人情報が含まれることになります。
 これらの情報を用いて犯罪の計画、準備、相談をでっち上げ、「共謀」した罪によって社会から抹殺することは、今までよりもずっと容易になるでしょう。「犯罪」は犯される前に取り締まられ、当局の判断に応じて恣意的に「犯罪者」が作られることになります。
 監視されていることに気づかず、権力者にとって不都合な言動を行ったとたん「テロ等準備」のための「共謀」を行ったかどで逮捕される、などという恐るべき監視社会が当たり前になるという悪夢が現実となるでしょう。

 たとえそうならなくても、そうなるかもしれないと国民に思わせることが本来の目的なのかもしれません。監視を恐れて不都合な言動を行わず、従順な国民が増えていけば、このような法律の発動さえ必要なくなるのですから……。
 でも、そのような社会になれば、権力の暴走を抑えることができなくなり、民主主義は死滅することになるでしょう。自由な言動が圧殺された息苦しい社会の出現こそ戦争前夜を予示するものであったことを、今こそ思い出す必要があるのではないでしょうか。

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4月14日(金) 共謀罪法案の審議が抱える3つの弱点と1つの壁 [国会]

 いよいよテロ等防止罪という形で「化粧直し」された共謀罪法案が国会に提出されます。自民党の「オウンゴール」続きで予定されていたスケジュールより大幅に遅れました。
 今日、衆院法務委員会で共謀罪の趣旨説明が行われることになっています。すでに3回も廃案になっていますから、与党からすれば「4度目の正直」を目指したいところでしょうが、その前途には「3つの弱点と1つの壁」が立ちはだかっており、そうは「問屋が卸さない」でしょう。

 3つの弱点のうちの一つは法案自体にあります。政府の説明は嘘ばかりで、全く説得力を持ちません。
 実際に罪を犯さなくても計画して準備したと認められれば、捕まえることが可能です。それを認めるのは取り締まる側で、その取り締まりは思想や内心にまで及び、このような法律を制定すれば近代刑法の基本が崩れ、市民や市民運動までが監視の対象となり、モノ言えぬ世の中、政府にとって邪魔なものを排除することのできる社会が出現することになります。
 組織犯罪防止条約の批准やテロ対策を名目にしていますが、組織犯罪とはマフィアなどの経済犯罪であってテロを対象としているわけではありません。この条約を批准しているからといってテロが防げるわけではなく、批准していない日本はすでに多くのテロ対策のための法律を持っていますから今世紀に入ってテロ事件などは起きていず、オリンピック招致の際に安倍首相が胸を張って言ったように、「東京は世界で最も安全な都市」になっています。

 2つめの弱点は、この法案を担当する法務省の金田法務大臣です。金田法相はこの法案の内容を全く理解していず、すでにこれまでの国会審議で明らかになったように、きちんとした説明をする能力を持っていません。
 金田法相は、まだ法案が出ていないからきちんとした説明ができないのだ、本格的な審議は法案が提出されるまで差し控えて欲しいという趣旨の文書を配ったという「前科」があります。大臣が立法府の審議に注文を付けるのかと批判され、撤回して謝罪しました。
 いよいよ法案が提出されるわけですから、本格的な審議が始まり「まだ法案が出ていないから」と逃げ回ることはできなくなります。この法案をめぐっては与党の「オウンゴール」が目立っていますが、本格的な審議が始まって金田法相にまともな答弁ができるのか、自民党執行部としてはヒヤヒヤものでしょう。

 第3の弱点は、与党の一角を占めている公明党です。公明党は国会に提出する以上は成立に全力を尽くすと言っていますが、内心ではそれほど積極的ではなく、腰が引けています。
 もともと、公明党は前の国会から継続審議中の民法改正案と性犯罪を厳罰化する刑法改正案の審議を優先すべきだという立場でしたから、この法案の優先順位は高くありません。そのために与党間の協議に手間どって閣議決定や国会提出が遅れてきたという経過があります。
 この共謀罪法案は「平成の治安維持法」とも言われていますが、その治安維持法によって公明党の支持団体は大きな被害を受けた過去があります。創価学会の創設者である牧口常三郎初代会長は治安維持法違反と不敬罪で逮捕され、獄中で死亡しました。この苦い過去からすれば、やがては創価学会も監視や取り締まりの対象にされてしまうのではないかとの懸念や危惧はぬぐい切れず、公明党支持者の間にも不安があります。

 以上の3つの弱点を強めているのが、通常国会直後に予定されている都議選という「壁」です。都議選の結果はその後の国政選挙に大きな影響を与えてきており、今回の選挙は「都民ファーストの会」を率いる小池都知事による旋風が巻き起こって大きな注目を集める政治イベントになろうとしています。
 共謀罪の成立を目指している与党にとっても、この選挙への影響は意識せざるを得ません。都議会への進出から政治の舞台に登場してきた公明党にとしては最も重視する選挙であり、「離党ドミノ」が止まらず苦戦が予想されている自民党にとっても死活をかけた選挙戦になることでしょう。
 その選挙の前に共謀罪成立に向けて遮二無二強行突破することは、自滅覚悟の「自爆路線」を選択するのでなければ難しいでしょう。この法案がそれほどの緊急性や必要性があるのかという声は、与党の中からも聞こえてきます。

 外交面でも、北朝鮮をめぐって危機的な状況が高まっています。安倍首相の約束と全く逆に、安保法成立以降も日本周辺の安全保障環境は改善せず、悪化を続けるばかりです。
 トランプ政権の樹立を歓迎していた安倍首相ですが、4月16日には東京で日米経済対話が始まります。2国間交渉の開始によってどのような要求が突き付けられるのか、予断を許しません。
 26日からは安倍首相のロシア訪問も予定されていましたが、シリア空爆への支持表明によって実現が危ぶまれています。行ったとしても、大きな成果は期待できないでしょう。

 内政外交ともに、八方ふさがりの状況が強まっています。アベ政治の「黄昏」が訪れてきているということでしょうか。
 このような閉塞状況の下で始まった共謀罪の国会審議です。その前途は決して容易ではなく、野党が結束して対応し、市民とともに手を携えて反対運動を強めていけば、廃案に追い込むことは十分に可能です。
 「2度あることは3度ある」と言うではありませんか。共謀罪を廃案にして、「3度あることは4度ある」ということを証明したいものです。

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