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6月3日(月) 米国の本音むき出し 「TPPに縛られない」トランプ氏〝戦闘宣言〟  [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、農協協会が発行している『農業協同組合新聞』5月30日号、に掲載されたものです。記事のリードとインタビューの部分をアップさせていただきます。〕

 米国のトランプ大統領が来日し5月27日、日米首脳会談が行われた。トランプ大統領は会談前に貿易問題で進展があるとし、とくに農業と牛肉に期待を寄せていることを自身のツイッターに書き込み、成果は7月の参院選後まで待つとし「大きな数字を期待している」と早期妥結への意欲を表明した。また、記者会見では「TPPには参加していない。アメリカは縛られていない」と強調、農業分野でTPP(環太平洋連携協定)を念頭に昨年9月の日米共同声明では「過去の経済連携の内容が最大限」と両国で合意した内容と食い違う認識も示した。
 この日米交渉をどうみるか、今回は政治学の五十嵐仁法政大名誉教授に聞いた。

-どんな印象を持ちましたか。

 「中身はそれほどなかったが、貿易問題がやはりかなり中心的な争点であるということが、そこはかとなく分かるような記者会見だったと思います。首脳会談全体が1時間延びたということですが、少人数会合が1時間以上かかったという。こうした経過から浮かび上がってくるのは、やはりトランプが農産物問題を持ち出したということでしょう。
 安倍首相は議論の加速とウィンウィンの関係となることをめざすと言いましたが、トランプ大統領は対日貿易赤字の削減を明確に打ち出し、8月に合意できるだろうといいました。しかし、安倍首相はそれには何も応えず、防戦一方の印象でした」。

--TPPには縛られないとの発言も飛び出しました。

 「TPPには参加していないのだから、当然、無視していいんだということを言いたかったのでしょう。戦闘宣言だともいえます。
 それから、トランプ大統領が8月合意にこだわるのは自身の大統領選挙があるからです。合意が延びてしまうと選挙に影響してくる。しかし、安倍首相は参院選前に選挙に不利なる合意はできない。両方の条件を絞ったところ8月となった。つまり、日本の参議院選挙とアメリカの大統領選挙がこんなところで深くつながっているわけです。
 今回の訪日は天皇の代替わりに対する表敬訪問として位置づけられましたが、実際は日米貿易交渉が非常に重要な局面にあることがかいまみえました」
 
◆防衛費で赤字削減

--トランプ大統領は記者会見のなかで貿易赤字の削減には日本による軍事品の購入も貢献することを強調し、F35戦闘機を105機も保有する「米国以外ではもっとも保有する国だ。防衛装備品では日本は最大の買い手」とも強調しました。

 「まさに安全保障のためにではなく貿易のためです。トランプの機嫌をとろうとして防衛装備品を購入することにし、5年間で27兆円もの防衛予算を確保しています。
 しかし、F35は洋上で消息不明になる事故があったように性能に疑問があるとされています。それでも性能はどうでもいいから買うということでしょうか。これは防衛整備計画からしてもいびつになってしまうし、何より性能に不安な戦闘機に自衛隊員が乗るということです。予算も防衛装備費にとられて自衛隊員の待遇面も悪化してしまうのではないか。これは防衛費でもなくアメリカとの交際費ではないですか」
 
◆交渉方針 隠すな

--今後、どのようなことが求められるでしょうか。

 「トランプ大統領は嘘つきですから、本当にどうなるか分かりません。ワシントンポストの調査では2年間で8000回の嘘をついたといいます。その後も嘘をついて今や1万回を超え、1日平均16.5回になるといいます。
 ただ、参院選まで待つということを明らかにしたということは、これは弱みを握られたことになりますから、まさに攻勢を跳ね返すことができなくなってしまうのではないか。待ってやったじゃないか、というわけです。
 安倍首相は米国との友情、絆を世界にアピールしていますが、トランプ大統領はそんなことはまったく気にかけていません。やるべきことはやる。交渉に立ち向かうには当たり前のことですから交渉方針をしっかり持つことです。そのすべてを国民に明らかにすることは交渉ですからできないとしても交渉方針を隠したまま選挙をするということは考えられない。しかし、そうなりかねません。地方で農家を守れるのはJAしかない。JAもおそれずに政権に立ち向かってほしいと思います」


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