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11月1日(木) 植民地支配への反省と被害者救済こそが問題の本質ではないのか [国際]

 元徴用工の訴えに対する損害賠償を認める韓国最高裁の判決が大きな波紋を呼んでいます。1965年に結ばれた日韓条約(日韓請求権協定)によって問題は最終かつ完全に解決されたと理解されてきたからです。
 日本政府は韓国政府に対して、この立場から対応し善処することを求めています。日韓関係を悪化させたくない韓国政府も最高裁の判決を尊重しつつ外交問題ではなく国内問題として解決する姿勢を示しています。

 しかし、日本政府としても日韓条約は国家間の請求権問題を決着させただけで個人の財産・請求権そのものを消滅させるものではないと受け取れる余地のある認識を示したこともありました。1991年12月の参議院予算委員会における柳井俊二外務省条約局長の答弁がそれです。
 ここで柳井局長は、「いわゆる日韓請求権協定におきまして両国間の請求権の問題は最終かつ完全に解決したわけでございます」としながら、「その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます」と答えています。
 この答弁をどう解釈するのか。誰でも持っている一般的な「個人の請求権」は消滅していないというにすぎないのか、日韓条約で「最終かつ完全に解決した」とされている請求権も個人のレベルでは消滅していないと言っているのかが問題になります。日韓両政府の立場は前者で、韓国最高裁の立場は後者に近いということでしょう。

 しかし、問題の本質はそこにあるのでしょうか。かつて韓国が日本の植民地であり、韓国の人々が日本の支配下で苦難の生活を強いられ、アジア・太平洋戦争中に日本製鉄(現新日鐵住金)で強制連行・奴隷労働をさせられたことは事実ではありませんか。
 このような植民地支配と強制連行・奴隷労働への反省や補償が不十分なまま、日韓条約が締結されたこと自体に大きな問題があったのです。従軍慰安婦の問題を含めて、侵略戦争と植民地支配の過去に対する戦後処理が不十分であったため、今もなおこのような問題が繰り返され、日韓両国にとっての「棘」となっている点に最大の問題があるのではないでしょうか。
 歴代の自民党政権が戦争責任に誠実に対応してこなかったツケが、このような形で回ってきたというべきです。日韓条約で解決済みだと突っぱねて解決を韓国政府に委ねるような強硬な対応は、今もなお日本が過去を反省していないのではないかという疑念と憤りを強め、さらなる訴訟を誘発して混乱を拡大するだけでしょう。

 韓国政府がどう対応するかを見守るだけでなく、日本政府としても被害者の救済に向けて協力する姿勢を示すべきではないでしょうか。原因を生み出したのは日本の企業なのですから。
 いずれにしても、安倍政権は新たな難問を抱え込むことになりました。文在寅大統領の年内訪日が難しくなって日韓両国の接近にブレーキがかかるだけでなく、同様の問題を抱えている中国にも波及する可能性があります。
 非核・平和構築に向けた朝鮮半島の緊張緩和に日本が関与しにくくなり、日朝首脳会談の開催や拉致問題の解決に向けて韓国の仲介も期待できなくなるでしょう。臨時国会が始まったばかりなのに、安倍政権はかじ取りの難しい新たな外交的困難に直面することになりました。

 なお、今月も以下のような講演が予定されています。お近くの方や関係者の方に沢山おいでいただければ幸いです。

11月4日(日)10時30分 全日通霞が関ビル:憲法共同センター
11月5日(月)18時30分 札幌エルプラザ:北海道憲法共同センター
11月10日(土)15時 大和市桜丘学習センター:大和市革新懇
11月17日(土)14時 守山生涯学習センター:名古屋市守山革新懇
11月18日(日)14時 豊田産業文化センター:豊田革新懇
11月25日(日)13時30分 大江山農村環境改善センター:新潟市大江山革新懇

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