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10月10日 3選された安倍首相を悩ます4つの誤算 [首相]

 安倍首相は3選され、今後3年間の任期を確保しました。憲政史上最長の長期政権を視野に入れたことになります。
 しかし、その視界は良好とは言えません。出発した途端に躓いてしまったような誤算が次から次へと持ち上がり、安倍首相を悩ませているからです。
 とりあえず、自民党総裁選、沖縄県知事選、第4次改造内閣、そして日米貿易交渉で明らかになった4つの誤算について見てみましょう。このような誤算がこれからも続くとすれば、長期政権どころか来年の参院選を乗り切るのも難しいのではないでしょうか。

 第1の自民党総裁選挙です。これについては、すでによく知られているように党員票の誤算があります。
 7割の得票を目指していたのに、55%しか獲得できませんでした。公選法の適用を受けず、金あり恫喝あり、飲ませ食わせの何でもありの選挙だったにもかかわらず、投票率が62%でしたから党員全体の34%しか安倍首相に投票していなかったことになります。
 これはショックだったでしょう。3選されたものの、すでにこの時から安倍首相の躓きが始まっていたのですから。

 第2の沖縄県知事選の結果も、安倍首相にとっては大きなショックだったにちがいありません。総力を挙げて支援した佐喜間候補が当選できなかったこと以上に、差が8万票も開いたことの衝撃が大きかったのではないでしょうか。
 政権側が全力を出し切って総力戦を挑んだにもかかわらず、そのことがかえって沖縄県民の反発を強め、予想外の大差につながったと思われます。大きな力を総動員して力づくで言うことをきかせようとする安倍首相お得意のやり方自体が逆効果になり、県民には通用しませんでした。
 「争点隠し」と「利益誘導」によって組織戦を展開し、事前投票によって囲い込むという「勝利の方程式」が「敗北の方程式」に変わってしまったのです。逆に、辺野古新基地建設反対と普天間飛行場の即時閉鎖という最大の争点を前面に掲げて「オール沖縄」を野党共闘が支え、一部の保守層や創価学会、7割もの無党派層の支持を集める闘い方こそ、市民と野党の側にとっての「勝利の方程式」であることがはっきりと証明されました。

 第3の安倍改造内閣への国民の冷ややかな反応も、安倍首相にとっては大きな誤算だったにちがいありません。内閣が改造されれば多少の「ご祝儀」があって支持率が上がるのが普通で、それ目当てに改造する場合すらあるというのに今回は逆で、こんなに評判の悪い改造も珍しいと言えるでしょう。
 改造後の10月2、3日に実施された世論調査すべてで「評価しない」が「評価する」を上回り、内閣支持率も前回調査から日経で55%から50%に5ポイント、共同でも47.4%から46.5%に0.9ポイント下落し、読売でさえ50%の横ばいで上がっていません。毎日による10月6、7日実施の世論調査でも内閣支持率は37%の横ばい、40%の不支持率の方が高く、改造について「期待できない」37%が「期待できる」8%を大きく上回りました。
 これはNHKの世論調査でも変わありません。内閣支持率は改造前の先月と同じで変化せず、内閣改造と自民党役員人事を全体として評価するか聞いたところ、評価するが34%なのに対して評価しないが65%になっています。
 応援してもらったお礼のためとはいえ、本来ならとっくにやめていなければならない麻生太郎副総理兼財務相を残留させ、「改憲シフト」のために盟友の下村博文自民党憲法改正推進本部長と加藤勝信総務会長を新任し、「選挙シフト」のために甘利明選対委員長、稲田朋美総裁特別補佐兼筆頭副幹事長、萩生田光一内閣官房副長官という側近が起用されています。そのうえ、12人の新入閣組では、片山さつき地方創生担当相、桜田義孝五輪担当相、平井卓也科学技術担当相、原田義昭環境相など過去の言動やスキャンダルが問題になりそうな面々がそろい、衆院当選7回以上のベテランなのに初入閣という新閣僚が7人にも上るなど、改憲極右のガラクタ寄せ集め内閣の本質が国民に見透かされた結果ではないでしょうか。
 派閥のバランスを取り「滞貨一掃」を狙ったためにそうなったわけですが、初入閣が多ければそれだけ大臣としての手腕や国会での答弁、普段からの言動などが不安になるものです。早速、柴山昌彦文科相が教育勅語について「アレンジした形で、今の道徳などに使える分野があり、普遍性を持っている部分がある」などと述べて追及を受けています。

 第4の日米貿易交渉でのアメリカの対応も、安倍首相にとっては大いなる誤算だったにちがいありません。これはまだ始まったばかりで今後どのように推移するか分かりませんが、少なくとも2国間交渉を早々と呑まされてしまったことは間違いありません。
 日米首脳会談で発表した共同声明について、在日米国大使館がホームページで掲載している日本語訳では「物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する」として物品だけでなくサービスを含む包括的なものだということが明確にされています。ハガティ駐日米国大使も「われわれはTAGという用語を使っていない」「共同声明には物品と同様にサービスを含む主要領域となっている」と発言しています。
 ところが、外務省が発表した共同声明の日本語訳(仮訳)では、「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉を開始するとして新貿易協定があたかも物品のみの交渉であるかのような表現になっています。正文にはない「日米物品貿易協定(TAG)」という用語をねつ造して、「包括的なFTAとは、全く異なる」という安倍首相の発言との整合性を合わせるように改ざんしたのではないかとの疑惑が濃厚で、森友学園疑惑で安倍首相の発言とつじつまを合わせるために公文書の改ざんやねつ造が行われた構図と極めて似通っています。
 アメリカのペンス副大統領は4日の演説で「日本と歴史的な自由貿易交渉(Free Trade Deal)をまもなく始める」と述べて事実上の日米FTA(自由貿易協定)であることを明言しました。パーデュー米農務長官も4日、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)などを上回る農林水産品の関税引き下げを求める考えを示唆して強硬姿勢を鮮明にしていますから、日本政府のウソがばれるもそれほど先ではないでしょう。

 以上のような誤算は、まだこれからも続きそうな状況が生まれています。昨日のブログでも書いたように、「幕引き」を狙って開かれた加計学園疑惑での加計理事長の会見が臨時国会での追及に向けての新たな「幕開け」になりそうなことも安倍首相にとっては誤算だったでしょう、
 また、ポンペオ米国務長官を介して提起してもらった拉致問題への北朝鮮側の反応も、安倍首相にとっては誤算だったと思われます。この提起に対する金委員長の反応は単に聞き置くだけで積極的な返答はなされず、日朝首脳会談についても消極的な反応だったようです。
 かつてない長期政権に向けて船出した安倍首相ですが、誤算続きで暗雲漂う中での出航となりました。臨時国会に向けてさらに風雨が強まるのは確実で、果たしてこの先も無事に航海を続けることができるのでしょうか。


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