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10月10日 3選された安倍首相を悩ます4つの誤算 [首相]

 安倍首相は3選され、今後3年間の任期を確保しました。憲政史上最長の長期政権を視野に入れたことになります。
 しかし、その視界は良好とは言えません。出発した途端に躓いてしまったような誤算が次から次へと持ち上がり、安倍首相を悩ませているからです。
 とりあえず、自民党総裁選、沖縄県知事選、第4次改造内閣、そして日米貿易交渉で明らかになった4つの誤算について見てみましょう。このような誤算がこれからも続くとすれば、長期政権どころか来年の参院選を乗り切るのも難しいのではないでしょうか。

 第1の自民党総裁選挙です。これについては、すでによく知られているように党員票の誤算があります。
 7割の得票を目指していたのに、55%しか獲得できませんでした。公選法の適用を受けず、金あり恫喝あり、飲ませ食わせの何でもありの選挙だったにもかかわらず、投票率が62%でしたから党員全体の34%しか安倍首相に投票していなかったことになります。
 これはショックだったでしょう。3選されたものの、すでにこの時から安倍首相の躓きが始まっていたのですから。

 第2の沖縄県知事選の結果も、安倍首相にとっては大きなショックだったにちがいありません。総力を挙げて支援した佐喜間候補が当選できなかったこと以上に、差が8万票も開いたことの衝撃が大きかったのではないでしょうか。
 政権側が全力を出し切って総力戦を挑んだにもかかわらず、そのことがかえって沖縄県民の反発を強め、予想外の大差につながったと思われます。大きな力を総動員して力づくで言うことをきかせようとする安倍首相お得意のやり方自体が逆効果になり、県民には通用しませんでした。
 「争点隠し」と「利益誘導」によって組織戦を展開し、事前投票によって囲い込むという「勝利の方程式」が「敗北の方程式」に変わってしまったのです。逆に、辺野古新基地建設反対と普天間飛行場の即時閉鎖という最大の争点を前面に掲げて「オール沖縄」を野党共闘が支え、一部の保守層や創価学会、7割もの無党派層の支持を集める闘い方こそ、市民と野党の側にとっての「勝利の方程式」であることがはっきりと証明されました。

 第3の安倍改造内閣への国民の冷ややかな反応も、安倍首相にとっては大きな誤算だったにちがいありません。内閣が改造されれば多少の「ご祝儀」があって支持率が上がるのが普通で、それ目当てに改造する場合すらあるというのに今回は逆で、こんなに評判の悪い改造も珍しいと言えるでしょう。
 改造後の10月2、3日に実施された世論調査すべてで「評価しない」が「評価する」を上回り、内閣支持率も前回調査から日経で55%から50%に5ポイント、共同でも47.4%から46.5%に0.9ポイント下落し、読売でさえ50%の横ばいで上がっていません。毎日による10月6、7日実施の世論調査でも内閣支持率は37%の横ばい、40%の不支持率の方が高く、改造について「期待できない」37%が「期待できる」8%を大きく上回りました。
 これはNHKの世論調査でも変わありません。内閣支持率は改造前の先月と同じで変化せず、内閣改造と自民党役員人事を全体として評価するか聞いたところ、評価するが34%なのに対して評価しないが65%になっています。
 応援してもらったお礼のためとはいえ、本来ならとっくにやめていなければならない麻生太郎副総理兼財務相を残留させ、「改憲シフト」のために盟友の下村博文自民党憲法改正推進本部長と加藤勝信総務会長を新任し、「選挙シフト」のために甘利明選対委員長、稲田朋美総裁特別補佐兼筆頭副幹事長、萩生田光一内閣官房副長官という側近が起用されています。そのうえ、12人の新入閣組では、片山さつき地方創生担当相、桜田義孝五輪担当相、平井卓也科学技術担当相、原田義昭環境相など過去の言動やスキャンダルが問題になりそうな面々がそろい、衆院当選7回以上のベテランなのに初入閣という新閣僚が7人にも上るなど、改憲極右のガラクタ寄せ集め内閣の本質が国民に見透かされた結果ではないでしょうか。
 派閥のバランスを取り「滞貨一掃」を狙ったためにそうなったわけですが、初入閣が多ければそれだけ大臣としての手腕や国会での答弁、普段からの言動などが不安になるものです。早速、柴山昌彦文科相が教育勅語について「アレンジした形で、今の道徳などに使える分野があり、普遍性を持っている部分がある」などと述べて追及を受けています。

 第4の日米貿易交渉でのアメリカの対応も、安倍首相にとっては大いなる誤算だったにちがいありません。これはまだ始まったばかりで今後どのように推移するか分かりませんが、少なくとも2国間交渉を早々と呑まされてしまったことは間違いありません。
 日米首脳会談で発表した共同声明について、在日米国大使館がホームページで掲載している日本語訳では「物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する」として物品だけでなくサービスを含む包括的なものだということが明確にされています。ハガティ駐日米国大使も「われわれはTAGという用語を使っていない」「共同声明には物品と同様にサービスを含む主要領域となっている」と発言しています。
 ところが、外務省が発表した共同声明の日本語訳(仮訳)では、「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉を開始するとして新貿易協定があたかも物品のみの交渉であるかのような表現になっています。正文にはない「日米物品貿易協定(TAG)」という用語をねつ造して、「包括的なFTAとは、全く異なる」という安倍首相の発言との整合性を合わせるように改ざんしたのではないかとの疑惑が濃厚で、森友学園疑惑で安倍首相の発言とつじつまを合わせるために公文書の改ざんやねつ造が行われた構図と極めて似通っています。
 アメリカのペンス副大統領は4日の演説で「日本と歴史的な自由貿易交渉(Free Trade Deal)をまもなく始める」と述べて事実上の日米FTA(自由貿易協定)であることを明言しました。パーデュー米農務長官も4日、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)などを上回る農林水産品の関税引き下げを求める考えを示唆して強硬姿勢を鮮明にしていますから、日本政府のウソがばれるもそれほど先ではないでしょう。

 以上のような誤算は、まだこれからも続きそうな状況が生まれています。昨日のブログでも書いたように、「幕引き」を狙って開かれた加計学園疑惑での加計理事長の会見が臨時国会での追及に向けての新たな「幕開け」になりそうなことも安倍首相にとっては誤算だったでしょう、
 また、ポンペオ米国務長官を介して提起してもらった拉致問題への北朝鮮側の反応も、安倍首相にとっては誤算だったと思われます。この提起に対する金委員長の反応は単に聞き置くだけで積極的な返答はなされず、日朝首脳会談についても消極的な反応だったようです。
 かつてない長期政権に向けて船出した安倍首相ですが、誤算続きで暗雲漂う中での出航となりました。臨時国会に向けてさらに風雨が強まるのは確実で、果たしてこの先も無事に航海を続けることができるのでしょうか。


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10月9日(火) 終わっていなかった加計学園疑惑 [スキャンダル]

 愛媛県今治市での獣医学部新設をめぐって、加計学園理事長の加計孝太郎氏が7日、2度目の記者会見を開きました。通常国会が終わって野党の追及も一段落したように見える段階で、「腹心の友」である安倍首相の3選を見届けて臨時国会が始まる前に、加計学園疑惑の「幕引き」を図ろうとしたのではないでしょうか。
 直接的には、説明責任を果たすことを求めた愛媛県議会の決議に応ずる必要があったためですが、このタイミングを選んだのには、以上のような計算が働いていたと思われます。しかし、「やればいいんだろ」と言わんばかりのアリバイ的な記者会見だということが見え見えで、かえって新たな疑惑の「幕開け」となってしまったように見えます。

 『毎日新聞』10月8日付の「加計氏またゼロ回答」「愛媛文書読まず否定」という見出しの記事は、そのリードで「疑惑を否定しつつも根拠は示さないままの『セロ回答』で、疑惑が晴れたとはおよそ言い難い。会見を開いた趣旨も判然とせず、臨時国会でも野党から追及されるのは必至だ」と書いています。何のために開いたのかと言わんばかりの記事ですが、そういわれても仕方がないような無内容な会見でした。
 森友・加計学園疑惑で共通しているのは、疑惑を指摘する側は具体的な文書や根拠、事実を示しているのに、それを否定する側は具体的な根拠を明らかにせず、ひたすら記憶に頼って言葉で言い逃れるだけだという点にあります。今回の加計学園理事長の会見での説明も同様です。
 証拠を示して指摘された疑惑について、具体的な根拠を明示して反駁することができていないということになります。裁判であれば、もうこれだけで「有罪」を言い渡されても仕方がないような状況に追い込まれているのです。

 質問の中で、加計氏は「愛媛県文書で安倍晋三首相と面会したと報告された15年2月25日、理事長は何をしていたか」と聞かれ、「3年前なので覚えていない。記憶がないということは、会っていないと思う」と「即座に否定」しています。今回の会見で、加計氏が最もはっきりさせたかったのは、この点だったと思われます。
 しかし、ここでも否定の元になっているのは「記憶」だけで、それを裏付ける事実が示されたわけではありません。それどころか、「覚えていない」と言っています。
 「覚えていない」のに、否定だけはきっぱりとする。これも森友・加計学園疑惑での証言に共通する特徴です。

 同じ『毎日新聞』には、10月6,7日に実施された世論調査の結果が出ています。森友・加計学園問題について、「安倍首相や政府のこれまでの説明に納得していますか」という質問に対して、「納得している」13%、「納得していない」71%となっています。
 この調査は加計氏の会見前でのものですが、会見を見た国民は「説明に納得」したでしょうか。愛媛県文書を見もせず、何の準備もせずに出てきてほとんどが「ゼロ回答」でした。
 これで、国民の納得が得られるはずがありません。証人喚問でなければ真相は明らかにならないということを、かえって強く感じさせるような会見でした。

 野党からの追及は止まず、その舞台は臨時国会に移ることになるでしょう。3選されたがために安倍氏は今も首相の座にあり、森友・加計学園疑惑追及の矢面に立つ資格を持ち続けているのですから。

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10月8日 『日刊ゲンダイ』でのコメント [コメント]

 〔以下の私のコメントは、『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。〕

*10月3日付巻頭特集「沖縄の乱は全国へ 亡国内閣改造で尽きた安倍内閣の命運」
 現地で沖縄県知事選を取材した法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
 「安倍首相が苦戦した“総裁選”と“沖縄県知事選”は、よく似ていると思います。沖縄県民が安倍政権にノーを突きつけたのも、自民党員の45%が石破支持に回ったのも、具体的な政策というより、安倍政治の強権的な手法そのものに反発した結果でしょう。『沖縄の気持ちに寄り添う』と口にしながら、民意を無視して辺野古基地の移設を強行した。総裁選では市議や現職大臣まで恫喝していた。力ずくで批判や不満を封じ込めているのが安倍政治です。逆らう者は脅し、スリ寄る者には褒美を与える。でも、さすがに安倍政治は限界を迎えている。総裁選の苦戦ぶりは、そのことを表している。いずれ“沖縄の乱”は、全国に伝播するはずです」

*10月4日付巻頭特集 「自壊へ一直線 「安倍改造内閣」国民唖然の酷い顔触れ」
 「ここまでヒドい組閣をするのか、と言葉を失いました。沖縄県知事選で突き付けられたアベ強権政治へのNO、総裁選で地方票が示した異議申し立て、モリカケ問題を巡るアベ首相の説明に納得できない7割超の世論はすべて無視。国民に挑戦状を叩きつけた布陣です」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 「分かりやすいほどの憲法改正シフトです。盟友の加藤総務会長もそうですが、安倍首相と思想信条が近い下村氏を本部長に据えることで、党内の反発を抑え込み、改憲論議を強引に加速させる思惑がミエミエです」(五十嵐仁氏=前出)

*10月7日付巻頭特集「なぜ庶民は怒らないのか 「死ぬまで働け」という安倍政治」
 労働法制に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言った。 
 「過去15年の歴代政権は『100年安心』の年金制度を掲げ、第1次政権時代に安倍首相は『消えた年金』について『最後の1人まで支払う』と約束しました。ところが、第2次政権以降は3党合意の『社会保障と税の一体改革』を棚上げ、消費増税も2度先延ばし。年金財政の逼迫を長年放置した揚げ句、支給開始を遅らせる。その分を雇用延長で民間企業に肩代わりさせるとは、責任放棄も甚だしい。安倍首相は、未来投資会議の関係閣僚に盟友や“茶坊主”を寄せ集め、“やっている感”のアピールに余念がありませんが、ダマされてはいけません」

 「内閣支持率を年代別で見ると、すでに年金を受給している60代以上の“アベ離れ”は進んでいますが、40~50代は依然、支持率が高い。年頃の子どもを抱えて会社人生も長くなった、この世代こそ『死ぬまで働け社会』で最も割を食うのです。この働き盛り世代が、安倍政権にもっと異議を申し立てなければ、いいように痛めつけられるだけです」(五十嵐仁氏=前出)

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10月6日(土) 自民党と内閣の改造人事に示されている安倍首相の二つの狙い [内閣]

 10月2日に自民党役員と内閣の改造が行われ、第4次安倍改造内閣が発足しました。内閣の「土台」とされている菅官房長官や麻生太郎副総理兼財務相は留任し、その周りを安倍首相の側近や「お友達」の議員が固め、過去最多となった新入閣者は派閥均衡・滞貨一掃の古手がほとんどという顔ぶれです。
 その結果、公明党出身の石井国交相を除く19人の閣僚全員が改憲右翼団体と連携する「神道政治連盟国会議員懇談会」に所属し、「日本会議国会議員懇談会」にも14人が加盟しているなど極右政権の本質は変わらず、失言や暴言のリスクが高い「ガラクタ」ばかりをかき集めた形になってしまいました。早速、柴山昌彦文科相が教育勅語を評価するような発言をして批判を浴び、釈明に追われています。
 このような自民党と内閣の新しい布陣には、安倍首相の二つの狙いがはっきりと示されています。その一つは改憲発議の強行を狙った「改憲シフト」であり、もう一つは選挙対策を強化した「選挙シフト」です。

 第1の改憲発議強行の狙いは「改憲シフト」と評されるような人事に明瞭です。改憲の先頭に立つ司令塔を穏健派とされる細田博之氏から強引なやり方をためらわない腹心の下村博文氏に変え、自民党内で改憲案を承認させるために重鎮でもない加藤勝信前厚労相を総務会長に抜擢しました。
 これまで公明党とのパイプ役を果たしてきた高村正彦前副総裁も後ろに引っ込めました。必ずしも、公明党との了解を前提としないという姿勢を示したことになります。
 安倍首相は成算の少ない改憲路線へのこだわりを、依然として諦めていません。自民党だけでも改憲発議に向けて突っ走ることができるような態勢をとりあえず人事面で固めたというのが、今回の改造が示しているポイントです。

 安倍首相は総裁選で改憲を重要な争点の一つに掲げ、これまで臨時国会での条文案の「提出」に意欲を示してきました。しかし、最近になって、議論のたたき台として「説明」するだけでも構わないとトーンダウンしたと報じられています。
 10月3日に自民党の高村正彦前副総裁と会談した際、安倍首相は自衛隊の明記など4項目の党憲法改正案を臨時国会で与野党に説明したいと表明し、高村氏が「党の条文案を衆参両院の憲法審査会で説明するという意味でいいか」と真意を尋ねると、首相は「そうとらえてもらって結構だ」と答えました。「提出」から「説明」へのトーンダウンだと受け取られています。
 だからと言って、油断してはなりません。このような形で印象を操作することが、安倍首相一流の「隠す、誤魔化す、ウソをつく」作戦である可能性が高いからです。
 当面、「説明」だからと言って世論と野党を油断させ、与野党を巻き込んで憲法審査会を開かせて改憲発議を強行するチャンスをうかがうということが十分に考えられるからです。こんなことは常識的には考えられませんが、そのような常識の通用しないのが安倍首相です。

 そのような形で強行したら、野党や世論の大きな反発を買うことは目に見えています。統一地方選挙を控えている地方議員や参院選で立候補を予定している参院議員の予定候補者も動揺するでしょう。
 そこで意味を持ってくるのが第2の「選挙シフト」です。今回の改造で、安倍首相は来年の選挙に向けての体制を格段に強化したからです。
 選対委員長に今回の総裁選で安倍陣営の選対事務総長を務めた盟友の甘利明氏、総裁特別補佐兼筆頭副幹事長に安倍首相の秘蔵っ子と言われている稲田朋美氏などを要職に付け、幹事長代行には総裁特別補佐や官房副長官として常に側近くで仕えてきた側近中の側近である萩生田光一氏を再任するなど、安倍首相の盟友や側近を起用して万全の構えが取られています。党内の動揺を抑えて睨みを利かせ、首相の指導力を強化して選挙を勝ち抜こうという並々ならぬ決意が示された布陣です。

 安倍首相は、今回の改造によって大きな賭けに出たということでしょう。公文書改ざんやセクハラ問題、暴言などでとっくの昔に辞任して当然だった麻生副総理を再任し、政治とカネの問題を抱えている甘利氏や下村氏、岩屋氏などを起用し、女性大臣を1人しか起用しないとなれば、世論の反発や批判を受けることは十分に分かっていたはずです。
 しかし、「改憲シフト」や「選挙シフト」を敷き、80人とも言われている入閣待望組の不満を抑え、再選に協力してもらった派閥のご機嫌を取るためには、そうせざるを得なかったのです。安倍首相としては、「苦渋の選択」だったということになるでしょう。
 それもこれも、改憲を自分の手でやり遂げたいという野望の実現を願ってのことだったと思われます。今回の改造人事には、隙あらば参院選の前に改憲発議を強行したい、それで混乱しても参院選で勝てるようにしておきたい、発議に失敗しても参院選後に可能性を残すために何としても勝ち抜きたいという首相の執念がにじみ出ています。

 このような執念をしっかりと見抜き、油断することなく対応しなければなりません。トーンダウンしたとされている首相の「死んだふり」に騙されてはいけません。
 さし当り、「説明」のための憲法審査会の開催には断固として反対する必要があります。同時に、捏造したとされる「TAG」問題をはじめ日米貿易交渉などについての追及を強め、安倍政権の「死に体(レームダック)」化を促進することによって改憲発議の余裕を与えないようにすることが、臨時国会において野党のめざすところとなるでしょう。


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10月5日(金) 「打倒 安倍政権」にむけた労働組合運動の役割(その3) [論攷]

 〔以下の論攷は、「2018年・勤労者通信大学・通信」の『団結と連帯』3、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

 労働組合運動はどのような役割を果たすべきか

 このようななかで、労働組合運動の対応も問われることになります。労働組合運動には、市民と野党との共闘の重要な構成員としての課題や役割と、労働組合としての固有の運動の課題や役割があります。
 安倍政権打倒に向けて、特に大きく期待されるのは前者です。労働組合は組織された社会運動体として大きな力を持っており、古くから活動してきた社会運動における「敷布団」としての貴重なネットワークや豊富な経験があるからです。
 その第1は、安倍9条改憲阻止に向けての取り組みです。3000万人署名は引き続き9月末まで続けられます。この署名運動は通常国会での改憲発議阻止の大きな力になりました。引き続き、憲法共同センターなどに結集して署名運動に取り組む必要があります。
 組合内での討論や署名への取り組みは重要ですが、すでに組合員の多くは署名している場合が少なくありません。これからは9条の会や革新懇などとも協力し、地域に打って出ることが重要です。宣伝活動や署名集めでも、労働組合としての組織力は大きな力となるにちがいありません。
 第2は、安倍政権を追い込み、悪法の発動を阻んで内閣支持率を低下させるための取り組みです。国際情勢の激変によって、安全保障関連の施策の存立根拠や正当性は失われつつあります。特定秘密保護法や安保法制(戦争法)などの廃止を求め、沖縄・辺野古での新基地建設や横田へのオスプレイ配備、秋田と山口で予定されている陸上イージスの設置、基地強化と防衛装備の拡充など安倍政権の歴史逆行の愚策に反対し、その無益と危険性を明らかにしなければなりません。
 緊急に取り組むべき課題は、通常国会で成立したカジノ法案を「立ち枯れ」にすることです。国内3カ所でIR(統合型リゾート)が設置されますが、具体的な場所は決まっていません。候補地での反対運動によって阻止できれば、安倍政権の「命取り」になる可能性もあります。
 第3は、来年の統一地方選挙や参院選に向けての準備です。特定政党支持の押し付けに反対して組合員の政党支持の自由を守ると同時に、政策の一致する候補者や政党を支援する活動に取り組まなければなりません。とりわけ、統一地方選挙の首長選での共闘実現と統一候補の擁立のために力を尽くすことが必要です。
 議員選挙では来年の参院選での野党共闘の実現を、今から準備しなければなりません。参院選で与野党逆転を実現して衆参の「ネジレ」状態を生み出せば、安倍政権を打倒できます。そのためには、32の1人区はもとより可能な選挙区での野党共闘を実現することが必要です。それぞれの選挙区で野党間の相互支援による統一候補の擁立を仲立ちし、労働組合としてのイニシアチブを発揮しなければなりません。

 むすび

 安倍政権打倒に向けてのこれらの取り組みは、賃金・労働条件の改善という労働組合固有の課題・役割である18年秋闘や19年春闘と並行して実施されることになります。両者の結合によって相乗効果を生み出すことが大切です。
 また、この間の「働き方改革」関連法案の国会審議を通じて、過労死・過労自殺をなくすための取り組みの重要性が明らかになり、世論の支持が得られるようになってきました。不十分とはいえ、労働基準法の36条に罰則付きの制限が導入されたことには大きな意味があります。その趣旨を生かして、労働基本権の実現や国際労働基準の具体化を職場レベルから進めていかなければなりません。
 労働組合は労働者の生活と権利、働く環境を守るだけでなく、働く人々の生命を守る役割を果たすことが必要です。日本人の労働環境はそれだけ悪化し、達成すべき課題もそれだけ切実なものになってきています。
 そのためには、何としても安倍政権を打倒しなければなりません。この点でも、労働組合運動はその真価を問われているということになるでしょう。
(2018年9月3日記)

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10月4日(木) 「打倒 安倍政権」にむけた労働組合運動の役割(その2) [論攷]

 〔以下の論攷は、「2018年・勤労者通信大学・通信」の『団結と連帯』3、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

 安倍改憲策動の激突の場となる臨時国会

 通常国会開会日の午前中、安倍首相は自民党両院議員総会で「改憲を実行するときが来た」とハッパをかけました。衆参両院での3分の2を上回る与党勢力を背景に、この通常国会で一気に改憲発議まで実行しようと目論んでいたのです。
 しかし、森友学園疑惑で公文書改ざんが発覚した3月以降、政権は防戦に追い込まれていきます。疑惑追及のための野党間の国会共闘は大きな威力を発揮し、野党国対委員長連絡会議(野国連)などによる合同ヒアリングは118回、院内集会は8回、野党の共同提出法案も原発ゼロ基本法案など20本を数えました。安倍改憲に反対する3000万人署名運動や国会前などで繰り返された市民と立憲野党との共同集会なども世論を変える大きな力になりました。
 こうして、3月末の自民党大会で9条への自衛隊明記など改憲4項目が承認されたものの、衆参両院での憲法審査会で実質的な審議はほとんど行われませんでした。改憲発議は次の臨時国会へと引き継がれ、安倍首相は自民党総裁選で改憲を争点として提起しました。極右の支持基盤にアピールするとともに、求心力を維持するために9条改憲にこだわらざるを得ないからです。
 しかし、改憲スケジュールは大幅に狂いました。内閣支持率が下げ止まったとはいえ不支持率より低く、来年の統一地方選や参院選に不安を抱く地方議員や参院議員の支持は揺れています。再選確実と言われた現職の橋本龍太郎総裁を小泉純一郎氏が破った例もあります。「地方の反乱」次第では、安倍3選後に「死に体」内閣になる可能性もあります。
 政治への信頼は失われ、「安倍一強」や個々の政策課題への批判は強く、朝鮮半島情勢やトランプ米大統領による「貿易戦争」も始まっています。頼みのアベノミクスは破綻し、来年10月からの消費税再増税への対応も問われます。臨時国会での波乱は避けられません。
 決定的なのは世論の動向です。内閣支持率が低空飛行を続けるのか、それとも回復するのかによって、臨時国会をめぐる状況は変わってきます。安倍首相は改憲発議に向けて執念をたぎらせていますが、世論は改憲など求めていません。秋の臨時国会が安倍9条改憲をめぐる激突の場となることは間違いないでしょう。


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10月3日(水) 「打倒 安倍政権」にむけた労働組合運動の役割(その1) [論攷]

 〔以下の論攷は、「2018年・勤労者通信大学・通信」の『団結と連帯』3、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

 私は通常国会の終盤に向けて、『打倒 安倍政権―9条改憲阻止のために』という本を出しました。何としても安倍政権を倒して9条改憲を阻止しなければならないと思ったからです。残念ながら、安倍政権を打倒することはできませんでしたが、通常国会での改憲発議を阻止することができました。

 「賞味期限」が切れて腐りかけている安倍政権

 この通常国会で、安倍暴走政治は新段階を迎えたように思います。森友・加計学園疑惑で始まり、カジノ法の成立で終わったと言われるように、戦後最低の首相による最悪の国会となったからです。森友・加計学園疑惑の中核には「安倍首相夫妻と不愉快な仲間たち」がおり、自衛隊のイラク派遣や南スーダンへのPKOでの公文書隠ぺい、「働き方改革」や裁量労働制の拡大についてのデータの改ざん、ねつ造、虚偽答弁が相次ぎ、お手盛りでの参院議員定数の6増やカジノ合法化のための法制定が強行されました。
 外交・安全保障面でも安倍政権の政策とのミス・マッチが際立ちました。朝鮮半島の非核化と平和体制の構築に向けて歴史的な南北会談や米朝間の首脳会談が開催されましたが、「圧力一辺倒」の安倍首相は事態の急進展に対応できず、完全に孤立してしまいました。東アジアでの緊張緩和が進むなかで、安倍政権が進めてきた軍事大国化を目指した好戦的政策はほとんど無意味になりつつあります。
 鳴り物入りで進められてきたアベノミクスも、その破たんが明らかになっています。日銀の黒田総裁が進めてきた異次元金融緩和は失敗し、その手直しが始まりました。景気は改善されず、収入は増えていません。労働者の働き方を改善して過労死や過労自殺を解決するはずの「働き〝過多〟改革」は、働かせ放題で残業代ゼロの「高度プロフェッショナル制度」の導入によって全く逆のものになりました。
 通常国会の期間中、麻生太郎副総理兼財務相や杉田水脈衆院議員など自民党幹部や国会議員の妄言・暴言、福田財務次官のセクハラなど高級官僚の失態も相次ぎました。まさに自民党は「根腐れ」してしまったと言うべきでしょう。長期政権の「緩み」や「驕り」が露呈したためですが、党の規約を変えて総裁の任期を延ばして安倍首相の3選を可能にし、さらに長期化しようというのですから呆れてしまいます。
 自民党も安倍首相も、「賞味期限」が切れて腐り始めています。国民が「食中毒」で倒れてしまう前に安倍政権を打倒し、自民党を政権与党の座から引きずり下ろさなければなりません。その必要性は、ますます強まっているのです。

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10月1日(月) 県知事選で示された沖縄の民意を実現するためには安倍政権を打倒しなければならない [選挙]

 沖縄県知事選での玉城候補の歴史的な勝利から一夜明けました。でも、まだ興奮と喜びが冷めやらないという気分です。
 この勝利は、沖縄県民の勝利であるだけでなく、全国から駆け付けて支援したすべての人々の勝利でもあります。以下に見るように、その差は8万174票という圧倒的なものでした。

玉城デニー 39万6632票
佐喜真 淳 31万6458票

 この玉城候補が獲得した「39万6632票」は、沖縄県知事選での「過去最高の得票数」だそうです。つまり、「辺野古に新基地はいらない」という沖縄県民の民意がこれまでで最も多くの票によって、明確に示されたということになります。
 安倍政権が菅官房長官、二階幹事長、小泉進次郎議員などを総動員し、官房機密費などの金をどれほどバラマキ、連立相手の公明党が6000人とも言われた創価学会員を本土から送り込んでも、「辺野古に新基地はいらない」という民意を変えることはできませんでした。
 この民意を尊重することこそ民主主義のあるべき姿にほかなりません。辺野古での新基地建設を直ちにストップするべきです。

 この辺野古での基地建設を普天間飛行場返還の条件とすることも間違っています。普天間飛行場は直ちに、無条件で閉鎖し返還されるべきです。
 新基地建設は完成まで10年以上かかり、今回の選挙結果でさらに遅れる可能性が出ています。それを返還の条件にすれば、完成までの10年以上も普天間飛行場の返還を待たなければなりません。
 しかも、完成した新基地は100年間も使用可能だと言われています。東アジアの情勢変化と沖縄周辺の緊張緩和・平和構築への動きが進んでいる下で、他国を攻撃して侵略する部隊である米軍の海兵隊に5000億円もかけて新しい基地をプレゼントする必要があるのでしょうか。

 今回の選挙では、辺野古での新基地建設や普天間飛行場の返還問題とともに、民主的な選挙のあり方や与党が編み出した「勝利の方程式」も大きな争点になりました。「辺野古での新基地建設の是非」という最も重要な争点についての態度を明らかにせず、政策も示さずにひたすら当選を目指すような「争点隠し選挙」自体が有権者の審判を受けたという点も注目されます。
 安倍政権はカネと利益で誘導し、徹底した組織戦で締め上げながら事前投票で囲い込めば勝てると考えたのでしょう。しかし、このような力づくで屈服させようという強権的な選挙戦術は、かえって県民の反発を買い、逆効果だったのではないでしょうか。
 こんなやり方は、もう通用しません。これからの「選挙イヤー」に向けて、政権側は選挙戦術の見直しを迫られ、逆に野党側は市民と野党との共闘こそが真の「勝利の方程式」であり大きな威力を発揮できるということを学んだのではないでしょうか。

 沖縄での基地問題を根本的に解決するためには、県民や国民の立場に立って米政府と真正面から交渉できる政権を樹立しなければなりません。一刻も早く安倍政権を打倒し、野党連合政権を打ち立てるための準備を着実に進めることこそ、沖縄の民意に添い今回の選挙結果を有効に生かす道なのではないでしょうか。

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