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12月6日(火) 安倍首相が真珠湾訪問に込めた狙い [首相]

 年の瀬も押し詰まった今頃になって、安倍首相の新たなパフォーマンスが発表されました。最近は失態続きだった外交政策で「逆転ホームラン」の巻き返しを狙っているのかもしれません。

 安倍首相は昨日、今月26、27両日の日程でアメリカのハワイを訪問し、第2次世界大戦で日米開戦の舞台となったホノルル市の真珠湾を訪問すると発表しました。日本の現職首相が真珠湾を訪れるのは初めてのことになります。
 真珠湾ではアリゾナ記念館を訪れてオバマ米大統領とともに犠牲者を慰霊する予定だといいます。併せて、オバマ大統領とは最後になる首脳会談も行うそうです。
 アリゾナ記念館は、真珠湾攻撃で沈没した戦艦・アリゾナの上につくられています。私も訪問したことがありますが、海の中をのぞくと下に横たわっている船の姿を見ることができます。

 このような形で真珠湾を訪れて「日米和解」を形にして示すことは歓迎すべきであり、大いに評価したいと思います。しかし、戦後70年以上も経ってからですから、「今さら」という声もあるように、遅きに失したという感はぬぐえません。
 せっかく訪問して慰霊するのですから、先の戦争は日米両国の国民に多大の犠牲を強いることになった間違った戦争であったということをはっきりとさせて反省の意を示し、きちんと謝罪したうえで再び戦争を繰り返さず紛争は武力によってではなく平和的な手段で解決すべきことを、全世界に向かって明言するべきでしょう。
 本来は、オバマ大統領が広島に来る前に日本の首相が真珠湾を訪問すべきでした。さらに言えば、それ以前に、戦後和解を掲げて中国の南京や韓国のナヌムの家に行って犠牲者の追悼と戦争への反省、そして謝罪をはっきりとした形にして示すべきではなかったでしょうか。

 真珠湾への訪問がこれほどに遅れ、中国や韓国に対する侵略戦争と植民地支配への反省が明示されていない原因ははっきりしています。戦後の歴代保守政権が戦争犯罪人の末裔を含んでいたため、戦前の支配層を批判したり戦争を反省したりできなかったからです。
 それなのに、A級戦犯容疑者の孫である安倍首相がなぜ、真珠湾への訪問を決断したのでしょうか。以前から考えていたそうですが、このタイミングで実行に踏み切った理由ははっきりしています。
 せっかくの「歴史的訪問」でありながら、このような狙いが透けて見えるために、その意義と価値が損なわれてしまうのが残念です。相変わらずの外交の政治利用だというべきでしょうか。

 第1に、退任するオバマ米大統領のご機嫌取りという狙いがあります。オバマ政権が慎重な対応を求めたのに安倍首相は慌てて就任前のトランプさんに会いに行き、オバマさんの機嫌を損ねてしまったからです。
 そのために、日米両政府に「すき間風」が吹き、直後に訪れたリマで正式の首脳会談を設定できず、立ち話に終わりました。「このまではまずい」と、安倍さんは考えたにちがいありません。
 そこでオバマさんに切った「カード」が、真珠湾を訪問して年末休暇中のオバマさんと一緒に犠牲者を慰霊し、首脳会談をやり直すことだったのではないでしょうか。しかし、オバマさんとの信頼関係は回復できるでしょうが、そうすると今度はトランプさんがヘソを曲げるという心配が出てくるかもしれません。

 第2に、日米関係やアジアへの関与を見直すと言っているトランプ次期大統領へのけん制という狙いがあります。オバマさんとの関係を修復して親密さを演出することで、日米同盟の強化をアピールしようというわけです。
 これまでオバマさんが進めてきた対日政策をそのまま引き継いでもらいたいという魂胆もあるでしょう。とりわけ、トランプさんが離脱を明言して「風前の灯」となっているTPPについて、起死回生の逆転打を狙っている可能性もあります。
 真珠湾への訪問と戦争犠牲者への追悼は、日米同盟の強化を再確認するための付け足しということなのでしょうか。そうであれば本末転倒であり、真珠湾攻撃で犠牲になった戦没者への冒涜であるとの批判を免れないでしょう。

 第3に、この間に相次いだ外交的失点を挽回し、解散・総選挙に向けての条件を整備するという狙いがあるのかもしれません。外交で点数を稼いで内閣支持率を高め、あわよくば解散・総選挙に打って出て長期政権に向けての基盤を固めたいと考えている可能性があります。
 当初、12月15、16日に予定されている日露首脳会談で領土問題での成果を上げ、それを「手土産」に解散・総選挙に打って出るのではないかと見られていました。しかし、最近では領土問題での譲歩はなく、新たな進展は望めないとの観測が強まっています。
 それに代わるのが今回の真珠湾訪問と日米首脳会談であり、これを「手土産」に解散・総選挙に打って出る可能性があります。今週発売の『サンデー毎日』12月18日号は「決断できるか!『クリスマス』電撃解散」「1・15投開票」という記事を掲げていますが、もし12月14日までの臨時国会が再延長されれば、この記事が現実のものとなるかもしれません。

 自分の都合で、勝手に国会を解散してもいいのか。そのために外国首脳との会談や戦没者の慰霊を利用することが許されるのか。
 もしそうなったら、このような疑問や批判が生ずるにちがいありません。しかし、安倍首相にとっては「どこ吹く風」でしょう。
 一部では、通常国会冒頭の1月10日か16日に解散して2月19日投開票という具体的な日程もささやかれています。年末年始にかけて、解散・総選挙含みで油断のならない緊張した日々が続くことになりそうです。


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