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11月3日(木) 参議院選挙後の情勢と国民運動の課題(その1) [論攷]

〔下記の論攷は、『建設労働のひろば』No.100、2016年10月号、に掲載されたものです。4回に分けてアップさせていただきます。〕

 はじめに

 7月に実施された参院選では与党が勝利しました。しかも、「改憲勢力」とみなされている政党や議員を合計して参院の3分の2の議席を超えました。すでに、衆院でも与党は改憲発議可能な3分の2を超えていますから、衆参両院で改憲へのハードルをクリアしたことになります。
 しかし、このような与党の「勝利」は、嘘とペテンで塗り固められたものでした。安倍首相は経済政策を前面に出して「アベノミクスは道半ば」だと言い張り、本来の争点であった憲法問題について街頭演説では一言も触れず、消費税の8%から10%への再増税についても再延期してしまいました。本来であれば、これこそが参院選での最大の争点になるはずだったのに、それを消してしまったのです。さらに、同一労働同一賃金など野党が掲げていた政策を盗んで政策的な違いを曖昧にしました。
 このような選挙戦術が国民感情にうまくマッチしたように見えます。中国の海洋進出や北朝鮮の核実験・ミサイル発射などで不穏な状況にある日本周辺の安全保障環境、途上国の経済不振やイギリスのEU離脱などで不透明感を増す経済情勢などに直面して、国民は不安を感じていたからです。
 同時に、今回の参院選ではこれまでにない新しい動きがありました。それは市民と野党とが力を合わせて選挙に取り組んだことです。その結果、32の1人区で野党の統一候補が擁立され、11勝21敗という成績を収めました。3年前の参院選では2勝29敗でしたから、画期的な前進を遂げたことになります。このような新しい共闘の実現が今回の参院選での最大の成果でした。
 この共闘を維持・発展させてアベ暴走政治をストップさせ、来るべき総選挙での政権交代に向けての準備を始めることが、これからの最大の課題となります。そのためにはどうするべきなのでしょうか。情勢はどう変化し、そこでの新たな課題はどのようなものなのでしょうか。私たちはそれをどう受け止めて、どう対応していったら良いのでしょうか。

1、第3次安倍改造内閣の発足と野党共闘

 *第3次安倍改造内閣の発足

 参院選での改選を受けて安倍首相は内閣改造と自民党役員人事を行い、第3次安倍改造内閣が発足しました。これまでの内閣と基本的な骨格が変わらないばかりか、これまでより以上に「エンジンを吹かせる」ことを狙った「暴走加速」内閣になっています。安倍カラーを一段と強めて右へと大きくハンドルを切るための布陣がなされているからです。
 それを象徴的に示しているのが稲田朋美防衛大臣の起用です。早速、中国や韓国のマスコミは警戒感を示しました。稲田防衛相が極右の改憲論者で靖国神社への参拝を繰り返してきた人物であることはよく知られています。そのことを安倍首相も知ったうえでの起用ですから、周辺諸国を挑発しているようなものです。
 このような暴走の加速は参院選が終わった直後からすでに始まっていました。沖縄の高江ではオスプレイの発着用ヘリパッド建設に向けての工事を始め、辺野古での新基地建設に向けての和解を破棄して裁判を再開し、地上部分での工事を強行しています。
 原発問題でも、再稼動と建設促進に向けての暴走が加速されています。運転開始から40年になる福井県の美浜原発3号機について、原子力規制委員会は関西電力の安全対策が新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめて再稼働への道を開き、山口県上関町では中国電力が建設を目指す原発について、県は建設予定地の海を埋め立てる工事の免許延長を許可しました。
 この原発を所管する経済産業大臣に抜擢されたのが世耕弘成さんです。第2次安倍政権発足時から官房副長官として「メディア対策」を担ってきた側近中の側近で、改憲団体である「創生『日本』」の副会長にして神道政治連盟国会議員懇談会のメンバーですから、改憲・タカ派という一面もあります。
 この内閣について安倍首相は「未来チャレンジ内閣」と名付けました。これは表の看板にすぎません。この看板の裏には「延長チャレンジ内閣」や「改憲チャレンジ内閣」と書かれています。自民党総裁としての任期延長や改憲への道筋をつけることを、ひそかに狙っているからです。
 二階俊博総務会長を幹事長に横滑りさせたのは総裁任期延長の工作を進めてもらうためでした。しかし、「改憲チャレンジ内閣」という別の目標の足を引っ張る可能性もあります。二階幹事長は憲法改正について「急がば回れだ。慌てたら、しくじる」と述べ、「首相の政治的信条は分かるが、強引にやっていくスタイルは受け入れられない」と指摘していますから。
 いずれにしても、これから危険な運転が続くことは明らかです。日本社会全体が右への傾斜を強めています。これにブレーキをかけて事故の発生を防ぐことができるのは市民と野党の共同しかありません。アベ政治の暴走加速にストップをかけられるかどうか、正念場を迎えています。

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