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9月26日(土) 現場に足を運び国民の声に耳を傾ける閣僚たち [政権交代]

 鳩山首相の国連総会への出席と外交デビューは大成功だったと思います。このような形で日本外交の発信力が示され、それに対する注目が高まったのは、初めてのことではないでしょうか。

 鳩山首相は、国連気候変動首脳会合、安保理の核不拡散・核軍縮首脳会合、国連総会演説の三つをこなし、ピッツバーグでのG20金融サミットにも出席しました。英語で演説し、温室効果ガスの1990年比25%削減、途上国支援の「鳩山イニシアチブ」の提唱、「非核三原則の堅持」などを言明して大きな拍手を浴びました。
 ピッツバーグには私も行ったことがありますが、川に囲まれた丘の上にあるきれいな町です。かつての鉄鋼の町から、今ではIT関係の研究所などの町に変貌しています。
 今朝のNHKテレビで報じられた記者会見では、鳩山さんは原稿も見ずに発言していました。原稿を読み上げても漢字を読み間違えていた麻生前首相とは大違いです。

 もう、「アメリカのスカートの陰から世界を見る」日本ではなくなったのです。独自の目標を掲げて世界をリードする日本への転換が始まりました。
 「外交」が復活した、ということでもあります。アメリカの意を受けた外務官僚のシナリオに従って行動していたこれまでの日本には、「外交」など存在してなかったのですから……。
 もちろん、沖縄の普天間基地の移転問題やインド洋での給油問題などではアメリカとの違いがあります。それは、これからじっくりと交渉すればよいことです。違いがあるからこその交渉なのですから……。

 鳩山首相の不在中、各大臣は精力的に歩き回っていました。現場に出かけて、自分の目で見て関係者の意見を聞くという姿勢も、新しい政権の特徴であると言えるでしょう。
 政治家や行政官であれば当然とも言える現場主義も、これまでは実行されてきませんでした。問題があったとき、現場に来てその目で見て、関係者の意見を聞いて欲しいと言っても、なかなか大臣が足を運ぶことはありませんでした。
 しかし、前原国交相は八ッ場ダムや川辺川ダムの建設予定地に、赤松農水相は築地市場に、川端文科相は東京海洋大などに、北沢防衛相は沖縄に、直接出かけて関係者から話を聞いています。政治の風景は、大きく変わりました。

 なかでも、注目されているのは八ッ場ダムの中止問題です。色々な意見はあるでしょうが、「無駄なものは作らない」ということが基本でしょう。
 「7割もできている」と言われていますが、予算の7割が支出されているというにすぎません。予算を7割も使って、それでもなお本体工事が始まっていないのが現実です。
 その予算も、04年の変更によって当初の2100億円が4600億円に倍増されています。ダム本体の入札は延期され、軟弱な地盤による地滑り対策やダム完成後のランニング・コストなども含めると、いくらかかるか分かりません。「中止した方が高くつく」と言う声もありますが、このような方に「それでは、継続した場合いくらかかるのか」と尋ねても、答えることはできないでしょう。

 「ダム湖を観光資源に」という意見もあるそうですが、風光明媚な峡谷の方がずっと「観光資源」としての価値は高いでしょう。今日の『東京新聞』の「特報」欄に、「渓谷や温泉、遺跡などの資源を生かし、国の生活再建を得ていけば、地域の再生は可能」という意見が紹介されていますが、私もそう思います。
 57年間かかってもまだダム本体の工事が始まっていないという事実自体が、この事業の必要性の低さを立証しています。まだ本体工事が始まっていない今が、中止する最後のチャンスではないでしょうか。
 前原国交相は、地元住民を犠牲にし自然を破壊して必要性の低いダムを建設するという自民党政権の愚行の尻ぬぐいをさせられています。地元住民も話し合いを拒むことなく、最も犠牲の少ない形で解決するために、一緒に知恵を出し合うべきではないでしょうか。

 これまでは、政府の方針に意義を申立てる場合、担当の省庁に出かけていって現場に来て直接意見を聞けと求めるのが通例でした。その場合、往々にして門前払いされてきたものです。
 しかし、今回は、担当の大臣が現場に出かけて行って意見を聞こうとしました。これに対して、住民の側が姿を現さずに門前払いを食わせました。
 これまでとは、逆になっています。対話を求めるのではなく拒否する「住民運動」もあるということなのでしょうか。

 そう思って報道を見ていたら、驚くような情報がウェッブに出ていました。最近よくテレビで目にする女性は、どうも一般の「住民」というわけではないというのです。
 この女性は、建設推進派の長野原町議会議員でダム特別委員会副委員長の星河由起子さんという方だというではありませんか。なるほど、威勢がよいはずです。
 もし、それが本当だとすれば、批判は免れません。一般の住民を装って建設推進派の町議を登場させ、その意見だけを一方的に放映するのは報道の公平性を疑わせることになり、テレビ報道としては自殺行為に等しいものではないでしょうか。

 なお、現在発売中の『日本労働研究雑誌』2009年10月号(No.591)は、「企業別労働組合の現在と未来」を特集しています。この特集号の巻頭提言として、私の論攷「戦後労働運動の第3の高揚期を生み出す新たな条件が生まれている」が掲載されました。
 もし、お目にとまることがありましたら、ご一読下さい。