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12月10日(月) 臨時国会と安倍改憲阻止の展望と課題(その2) [論攷]

 〔以下の論攷は、北海道憲法改悪反対共同センター学習交流集会での講演の記録で、北海道経済研究所発行の『北海道経済』No.592、2018年11月号、に掲載されました。かなり長いので、6回に分けてアップさせていただきます。〕

 1 改憲強行に向けての本格的な攻勢

 安倍首相は、先ほど言ったように所信表明演説の中で、あるいは国会での答弁で、しきりに「憲法を変える、憲法を変える」と呼びかけているわけですけれども、常識的に考えれば、臨時国会で改憲発議までもっていくのはかなり難しいと思いますね。12月10日までの会期しかない。しかも、やらなければならない課題がたくさんある。時間が足りない。いまから延長するという話が出ていますけれども、来年1月にはまた通常国会が始まりますから、そんなに長く延長するわけにはいかない。ということで、常識的に考えれば臨時国会で改憲発議までもっていくのは非常に難しいと考えるのが普通です。
 しかしみなさん、ここでいわなきゃならないのは、安倍首相という人は、常識が通用しない人だということです。何を言い出すか、やりだすか、わからない。しゃにむに強行策に打って出る可能性もある。そういう人ですから、臨時国会で憲法審査会に案を出して自民党だけでも改憲発議にもっていきたいと考えているかもしれない。こういう危険性を彷彿とさせるような事例がすでに生まれている。
 第4次安倍改造内閣が発足しましたけれども、改憲シフト、それと選挙シフトという2つの特徴がある。もうひとつ言いますと、極右・靖国派が大半を占めているということです。20人の閣僚のうち15人が「日本会議国会議員懇談会」に入っている人たちで、公明党の大臣以外は全部、宗教関係の「神道政治連盟」に入っている、靖国派といっていい人たちですね。
 改憲シフトでいえば、自民党の憲法改正推進本部長に盟友の下村博文さんが抜擢されました。自民党の法案を審議・決定する役割がある総務会の会長に加藤勝信さんを、これも盟友、側近のひとりですね、あてると。さらに衆議院の憲法審査会筆頭理事に新藤義孝さんなど、自分の意を汲んで動くような盟友や側近を起用したということです。
 さっそく下村さんは、各衆議院小選挙区に憲法改正推進本部を設置しろという指示を出し、草の根から改憲機運を盛り上げるために地方遊説を始めました。この前、北海道の北斗市に来て演説をしていましたね。いろんな人の意見を聞くと、どうも安倍さんがネックのようだと。だから安倍色を払しょくしなければならないと言っていましたけれど、下村さん、払拭しなきゃならないのは安倍色じゃない、安倍首相その人だ。
 安倍なき改憲なら、まだ議論の対象になるかもしれませんけれども。しかし先ほど言いましたように、平和主義に抵触する自衛隊の存在を書き込む、あるいは基本的人権を阻害する可能性のある緊急事態条項を新設する、こういう内容を提案しようとしているわけですから、これは認められない。
 この改憲をゴリ押しすれば、大きな不都合が出てくるんです。どういう不都合かというと、来年選挙があるということです。4月に統一地方選挙、7月に参議院選挙がある。この選挙が「大丈夫か」という地方議員や参議院議員の不安が出てくる。大丈夫だよと思わせるために、甘利明さんを選対委員長に据える。そして稲田朋美、萩生田光一などの側近を選挙関係の役職につける。これは選挙を乗り切るための体制づくりということになるわけです。
 こういう中で、安倍首相は所信表明演説で、各政党が案を出してほしいといっている。自民党が党大会で決めた4つの案は議論を進めるための提案にすぎないと。
 おかしいじゃないですか。憲法を変えるというなら、ここが不都合だと言うべきだ。だから変えなきゃならない、不都合なところがあるから変える。これが当たり前のことです。ところが、不都合なところはみんなで相談して決めてくれと。気の狂った医者みたいです。
 新しいやり方で手術をしてみたい。これを最初にやったということで歴史に名前を残す。野心に満ち溢れた気の狂った医者ですよ。切らせてくれというんです。どこが悪いか、よくわからないから、手術するところをみんなで相談して決めろと。さしあたり反対の少ない切りやすいところから切らせてくれというのが、いまの安倍首相の改憲提案です。
 そもそも切る必要がない。健康体だからいいじゃないか。改憲提案を出せといわれたって困っちゃいますよ、いまのままでいいといっているんですから。いまの憲法はすでに公布されてから72年ですよ。安倍さんは50年、100年もつような国の理想の姿を、といっていましたけれども、いまの憲法はもうすでに50年以上定着している。いい憲法だから定着したんです。変える必要がないから、変えようという意見が出て来ない。それを無理やり変えようとしている。もう改憲が自己目的化しているといっていいんではないかと思います。
 「できるだけ幅広い合意の下で」というんです。いいじゃないかと思っちゃいけません。「できるだけ」ということは、できなければやらないということですから。「幅広い合意」も限定付きです。やれなければしようがないなあと、こういうことでしょうね。
 「説明だけでもさせてくれ」ということでトーンダウンしたと言われていますが、とにかく憲法審査会を開いて、そこに案が出たという実績をつくりたいということでしょう。これを手掛かりにする。そのために野党の中の「援軍」を利用する。「維新の会」ですね。代表質問で馬場幹事長が「憲法を変えろ」と迫っていましたから。野党の中でも自民党の改憲論に近い政党を利用する。あるいは「国民投票法を審議するから憲法審査会を開いてくれ」と餌をまく。国民民主党がCM規制などで新しい国民投票法の案を出しました。これを利用しようとしている。
 いろんなやり方で、とにかく憲法審査会を開きたい。これをとにかく動かし、そこに自民党の案を出して臨時国会から通常国会へと継続させ、土俵にのせて時間をかけて審議したからよかろうということで発議に持ち込む。できれば臨時国会で、できなければ通常国会で改憲発議にもっていく。これがいま安倍首相の考えているねらいなのではないかと思います。
 スキあらば発議に持ち込む、ということであれば、これにどう対抗するか。スキを見せないということです。改憲問題を提起したり、あるいは発議に持ち込んだりというような余裕を与えない。通常国会で野党はそういうやり方をとったわけですね。森友・加計学園問題などを厳しく追及し安倍さんは防戦一方で、とても憲法問題に取り組む余裕がなかった。この臨時国会でも、野党が安倍内閣にたいする鋭い追及をおこなうことによって、つけ入るスキを与えないというたたかいかたが必要なのではないかと思います。

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