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12月6日(木) 戦後世界秩序の激変の下で混迷深める安倍外交(その2) [論攷]

 〔以下の論攷は、市民の意見30の会発行の『市民の意見』No.171、2018年12月1日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 拉致・領土問題で成果なし

 朝鮮半島の非核化と平和構築に向けて米朝首脳会談が開催されましたが、「圧力一辺倒」の安倍首相は事態の急進展に対応できず、完全に孤立してしまいました。東アジアでの緊張緩和が進むなかで、安倍政権が進めてきた軍事大国化を目指した好戦的政策とのミスマッチも拡大しています。
 日本がのけ者にされているような事態も生じました。5月24日に北朝鮮がプンゲリ(豊渓里)の核実験場を爆破して公開したとき、6カ国協議に参加している国の中で日本のメディアだけが除外され、代わりにイギリスの記者が招待されたからです。
 6カ国協議でも、日本だけが除外されそうです。モスクワからの報道によれば、「ロシア外務省は10月10日、朝鮮半島の緊張緩和のため、米国と韓国を交えた5カ国協議が必要だとの認識でロシア、中国、北朝鮮が一致したことを明らかにした」そうですから。
 ロシアとの関係も予断を許さないものになっています。これまで安倍首相はプーチン大統領と22回も首脳会談を行って個人的な関係を築いてきましたが、北方領土問題を解決する点では何の役にも立たず、かえって経済開発のお手伝いをさせられ実効支配を強めてしまっています。プーチン大統領から突然、前提条件なしでの平和条約締結を持ち掛けられても反論すらできませんでした。
 最近目立つのは北方領土での軍事力の強化です。外務省によれば、ロシア政府から択捉島の近海でロシア軍が射撃訓練を行うと日本側に通知があり、これに抗議したところ、ロシア外務省は「自国の領土であらゆる活動を行う権利がある」と主張し、「儀式のような抗議ではなくすでにある政府間対話の枠組みを通して解決すべきだ」と反発したといいます。慌てた外務省は年内に2回も日露首脳会談を開いて関係を改善しようと躍起になっています。
 拉致問題や北方領土問題は全く進展せず、北朝鮮の金正恩委員長からは相手にされていません。韓国とは慰安婦問題や損害賠償を請求した徴用工への最高裁判決などをめぐって対立が深まるばかりです。成果ゼロではありませんか。「外交の安倍」だなんて、聞いてあきれます。

 中国への急接近

 このような孤立から抜け出そうとして、窮地に陥った安倍首相が助けを求めているのが中国です。安倍首相は北京を訪問して関係改善に乗り出しました。友好関係が回復され日中関係が正常化されるのは結構な話ですが、これまでの中国敵視政策や「中国包囲網の形成」政策との整合性をどのようにして取るつもりなのでしょうか。
 依然として、南シナ海での海上自衛隊の潜水艦訓練や米空軍の戦略爆撃機と航空自衛隊との共同訓練、種子島での水陸機動団と米海兵隊との国内初の合同演習などを実施しています。いずれも「仮想敵国」として想定されているのは中国です。
 一方で握手の手を差し伸べながら、他方で対中接近に反発する極右勢力や中国敵視を強めているトランプ米政権に「言い訳」しようとしているようです。この点に安倍外交のジレンマとチグハグぶりが明瞭に示されています。

 むすび

 安倍外交の失敗の背景には、歴代の自民党政権による外交政策の誤りがありました。アメリカに従属するばかりで独自の外交政策を持たず、戦争責任を曖昧にして周辺諸国を敵視し、もっぱら軍事同盟と抑止力の強化によって安全を確保しようとして軍事大国化をめざしてきたからです。
 極右的なイデオロギーに駆られて、このような誤りを極大化させたのが安倍首相です。軍事費の増大や軍事基地の強化、アメリカからの防衛装備品の大量購入、特定秘密保護法や安保法制(戦争法)、「共謀罪」法の制定、憲法9条改憲の野望など「戦争できる国」づくりに向けての軍事大国化路線を走り続けてきました。
 戦後世界秩序と日本周辺の国際環境の激変によって、このような好戦的政策と変貌する現実とのミスマッチもかつてなく大きなものとなり、安倍外交の漂流が始まったのです。もはや、このような政策を続行することは不可能になりました。国際社会での日本の孤立を避けようとすれば、外交・安全保障政策の根本的な転換は避けられません。

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