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11月8日(木) トランプ大統領の暴走へのブレーキを生み出した米中間選挙 [国際]

 注目の米中間選挙が終わりました。残念ながら、共和党の地滑り的大敗はありませんでした。
 しかし、トランプ大統領が豪語するような「とてつもない勝利」とはほど遠いものです。「とてつもない敗北」が回避されただけなのですから。

 中間選挙の結果は、上院では共和党の勝利、下院では民主党の勝利となり、痛み分けの形になっています。一勝一敗ですから、「引き分け」のように見えます。
 しかし、そうではありません。同時に実施された州知事選挙でも、民主党は改選前の16州から23州へと増やし巻き返しています。
 上院選挙は定数100で改選は35にすぎず、改選されなかった選挙区では、当然ながら上院議員の選挙は実施されていません。しかも、改選されるべき選挙区の現有議席は共和党9、民主党26で、もともと共和党に有利な形での改選でした。

 その上院で、予想通り共和党は勝利したにすぎません。全選挙区で改選された下院と州知事選挙で巻き返されたわけですから、共和党は1勝2敗です。
 しかも、大統領選挙で勝利した州でも、今回は知事選で敗北しています。これらの州では次の大統領選挙で共和党候補が敗北する可能性があるということになります。
 再選を狙うトランプ大統領にとって、実は上院での勝利より州知事選や下院での敗北の方が気になる結果だったのではないでしょうか。前回の大統領選挙で勝てたところでも、黄色の信号が灯ったことになるのですから。

 このような民主党の勝利を導いた要因は、青年、女性、マイノリティの投票率が上がったことにあります。これらの人々はトランプ大統領の発言や政治手法への危惧や反発から投票所に足を運んだものと見られます。
 初めて投票した有権者の投票先は民主党が61%で共和党が36%、30代以下の若者では民主党に68%、共和党に31%が投票したそうで、タフツ大学の調査でも、若者の投票率は21%から31%へと10ポイントも上昇したそうです。CNNの出口調査では、男性は民主48%、共和51%なのに対し、女性は民主59%、共和39%。白人は民主45%、共和54%、非白人は民主76%、共和22%となっています。
 その結果、女性やイスラム教徒、先住民出身者など、多様な人々の代表が議会に送り込まれました。このような議員を支援する民主党の新しい波こそが、今回のような選挙結果をもたらした最大の要因だったと言えるでしょう。

 このような形で若者や女性、マイノリティの人々を投票所に引き寄せ、その結果、投票率をかつてなく上昇させ、民主党を勝たせたのは、トランプ大統領の「お陰」だったと言えます。大統領がトランプ氏でなければ、この間の暴走が有権者の分断を強めなければこれほど投票率は上がらず、今回のような結果にはならなかったでしょうから。
 その結果、上院は共和党、下院は民主党という形での「ネジレ」が生じました。このような「ネジレ」は決められない政治として否定的に語られます。
 しかし、両院の多数派が同じでは院が二つ存在する意味はなく、その多数派が異なって初めて両院制の意味が出てきます。しかも、これまではアクセルが二つもあってトランプ大統領の暴走を止められませんでしたが、これからは民主党が多数派の下院というブレーキが装備されることになります。

 トランプ大統領はこれまでと同じような暴走を続けられなくなるでしょう、国境の壁の建設、オバマケアの撤廃、富裕層や中間層向けの更なる減税は難しくなりました。
 ロシア疑惑や脱税疑惑などについてのさらなる調査や捜査が行われる可能性が強まります。早速、司法長官が解任されましたが、大統領弾劾を避けるために先手を打ったものと見られます。
 ツイッターでの強気なツブヤキとは裏腹に、選挙結果へのいらだちと今後の政権運営への不安は大きいのではないでしょうか。民主党との連携を呼びかけたのはその表れですが、同時に、政治の停滞が生じた場合の責任を民主党におっかぶせるための布石かもしれません。

 議会運営も困難になりますから、大統領権限で実行可能な分野でのトランプ流はかえって強まると見られています。その最たるものは外交で、日本などの貿易相手国への圧力が強まり、貿易交渉には厳しい姿勢で臨んでくるにちがいありません。
 とりわけ、中国との「貿易戦争」はさらに激しくなると思われます。一方で中国への接近を強め、他方でアメリカとの2国間交渉に臨まなければならない安倍首相にとって、極めて難しい対応が迫られることになります。
 米中間選挙の結果にいらだちと不安を高めているのは、トランプ米大統領だけではないかもしれません。安倍首相にとっても、前途に黒い雲がもう一つ広がってきたということでしょうか。

 アメリカ国民は今回の中間選挙を活用して「ネジレ状態」を生み出し、トランプ大統領の暴走をストップするためのブレーキを手に入れました。次は、私たちの番です。
 来年の参院選が衆参両院の「ネジレ状態」を生み出して安倍暴走政治へのブレーキを手に入れるチャンスです。そのためにも、市民と野党との共闘によって1対1の対決構図を生み出し、若者や女性、マイノリティの投票率を上げれば勝てるという「勝利の方程式」を充分に学ぶ必要があるのではないでしょうか。
 

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