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6月15日(金) 戦後政治をぶっこわしてしまった安倍政権の5年間(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、全農協労連の機関誌『労農のなかま』No.572、2018年5月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 「戦争できる国」に向けての暴走の連続

 安倍政権によってぶっ壊されてきたのは政治への信頼だけではありません。「専守防衛」という国是にもとづく「平和国家」としてのあり方も掘り崩されてきました。特定秘密保護法の強行成立から始まり、武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」の閣議決定、歴代の自民党政権が「憲法違反」としてきた集団的自衛権の一部行使容認、多くの憲法学者や国民の反対を押し切った安保法=戦争法の強行成立などが相次いできました。
 安倍首相がめざす「戦争できる国」を作るためには、システム・ハード・ソフトの各レベルにおける整備が必要とされます。システムというのは戦争準備と遂行のための法律や制度であり、一連の違憲立法とともに日本版NSC(国家安全保障会議)や安全保障局の設置などによっても実施されてきました。9条改憲はこのシステム整備の中核をなし、総仕上げの意味を持っています。
 ハードの整備とは戦争遂行のための「実力組織」の拡充であり、米国との軍事同盟の強化と軍備の増強などがその内容になります。沖縄での地元の意向を無視した辺野古新基地建設の強行や過去最高となった防衛費の増大、オスプレイや巡行ミサイルの購入、ヘリ空母「いづも」の攻撃型空母への改修計画など、他国に脅威を与える敵基地攻撃能力の確保の動きが強まりました。
 ソフトの整備とは「戦争できる国」を支える人材の育成と社会意識の形成を指しています。すでに第1次安倍政権で教育基本法と関連する学校教育法など3法が変えられ、第2次政権になってから教育改革実行会議による道徳の教科化や学習指導要領の改訂、教育への管理・統制の強化、マスメディアに対する懐柔や恫喝による情報の操作などが進められてきました。
 このような「戦争できる国」作りへの動きに対して、これまで憲法は抵抗の拠点であり、異議申し立てのための武器となってきました。しかし、安倍首相がめざす9条改憲によって自衛隊の存在が明記され、憲法上の位置づけが与えられ正当化されれば、その意味は大きく変わるでしょう。抵抗のための武器から戦争へと動員する手段になってしまいます。

 隠され続けてきた「戦場の真実」

 このような形で「戦争できる国」になれば、自衛隊は海外に派兵され「戦闘」に巻き込まれることになります。イラクへの自衛隊の派遣や南スーダンPKOでの自衛隊の活動の実態は、このような「戦場の真実」を赤裸々に示すものでした。それを国民に知られたくないからこそ、日報が隠蔽され続けてきたのではないでしょうか。
 南スーダンPKOの日報問題で「無い」と言っていた陸上自衛隊のイラク派遣時の活動報告(日報)が「発見」されました。イラクに派遣された陸上自衛隊の現地部隊が報告した日報も見つかりましたが2004年から06年にかけてのもので45%にすぎず、ミサイルが撃ち込まれるなど「戦闘」が激化したときのものは見つかっていません。しかも、イラク派遣関連文書にも改ざんの疑いがあります。
 この日報の隠蔽と発見は、この間の安倍政権による情報の隠蔽や改ざんという一連の事案と共通の背景を持っています。知られたくない不都合な情報を廃棄し、隠し、改ざんする。逃れられなくなると渋々存在を確認し公表するというやり方が繰り返されてきました。
 とりわけ、自衛隊の日報隠蔽は知られたくない文書を隠していただけでなく、そのことが防衛大臣に報告されず、事態を全く把握できていませんでした。シビリアンコントロール(文民統制)は機能せず、現場が独走して戦争へと突き進んで行った戦前の過ちや、終戦に当たって公文書を焼き尽くしてしまった間違いが繰り返されているということになります。
 イラク関連の日報隠蔽は「非戦闘地域」に反する実態を隠すためであり、南スーダンでのPKO関連の日報隠蔽は「駆けつけ警護」など戦争法による新任務の付与に影響を与えないためだったのではないかと疑われています。戦争法案はうその説明の下に強行採決されたことになり、これらの日報が当時から明らかになっていればイラクや南スーダンへの自衛隊派兵の正当性の根拠が崩れ、法案が成立しなかったかもしれません。


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