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9月1日(木) 自衛隊をどう「活かす」のか [自衛隊]

 憲法の理念を再生させ、それを政治や生活に活かすことが必要だというのが「活憲」です。この「活憲」の中でも最大の課題が自衛隊をどう「活かす」かという問題だということは、たいがいの人が同意されることでしょう。
 自衛隊についてどう考えたらよいのか、それはどうあるべきなのか。これについて、私の考えを述べ、一つの「試論」として今後の議論の素材を提供させていただきます。

 この問題は改憲論議とも密接に関連しています。改憲には賛成でも9条改憲には反対だという立場や9条改憲に賛成でもそれは自衛隊の「国防軍」化や「外征軍」化を阻止するための改憲だという意見もあるからです。
 このような人々も味方にして「壊憲」阻止勢力を拡大するには、この問題についての回答を示さなければなりません。そのためには、自衛隊の役割と位置づけを明確にする必要があります。
 たとえば、「自衛隊を活かす会」は「自衛隊を否定するのでもなく、かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、現行憲法のもとで生まれた自衛隊の役割と可能性を探り、活かす道」を「提言」しています。これなどを参考にした政策の緻密化が求められているのではないでしょうか。

 そもそも、自衛隊は矛盾した存在です。憲法9条に反していますから、存在してはならないはずのものです。
 それが存在しているだけでなく、5兆円もの国費を費やしているのが現実です。これはまさに「反憲法的現実」そのものですが、直ちに解消することは不可能です。
 このような矛盾は歴代自民党政権によって意識的に生み出され、拡大され、ついにはこの現実にあわせて憲法の方を変えようとしているのが、安倍首相の目指している「壊憲」策動になります。このような策動を許さず、矛盾は矛盾として受け入れながら、憲法の理念に基づいて運用し、活用を図ることが必要です。

 そのためには、第1に、自衛隊が持っている「戦闘部隊」としての性格と「災害救助隊」としての性格という二面性のうち、前者の役割を最小にして後者の役割を最大化することが必要です。今は前者が主たる任務で後者が副次的任務となっていますが、実際には「災害救助隊」として機能し、その有用性が高まっていることは明らかです。
 阪神・淡路大震災以降、自衛隊は災害救助面で大きな役割を果たし、東北大震災や熊本地震での活動などもあって副次的任務への期待と評価が増しています。自衛隊に入隊する若者の志願動機の多くは「人の役に立ちたい」というもので、それはとりもなおさず被災者を救うことを意味しています。
 このような自衛隊の活動の実際、国民の期待、隊員の希望というあらゆる面から言って、災害救助隊としての役割の増大と活用を図ることが合理的です。そして、将来は改組・再編して主たる任務と副次的任務を逆転させ、「自衛」の対象を軍事的脅威から自然災害へと移行しなければなりません。

 第2に、「戦闘部隊」としての任務も、9条に基づく「専守防衛」という国是を忠実に守り、外敵による急迫不正の侵害から国土を防衛する「拒否力」としてのあり方に徹する必要があります。もともと、自衛隊には海外での任務遂行は前提とされていませんでしたし、国土防衛の基盤をなす防衛力の最低水準を整備するという「基盤的防衛力構想」が政策の基本でした。
 もちろん、集団的自衛権など考えられもせず、歴代の政府や内閣法制局長官、最高裁もそのようなことを憲法が予定しているなどとは夢にも思っていませんでした。だからこそ「専守防衛」であり、そのような「自衛」隊を海外の戦地に送り、戦闘に巻き込まれるリスクを高めてはならないというのが、安保法に反対する論拠の一つでした。
 このような「専守防衛」の立場から、自衛隊の部隊編成や装備、米軍との関係、基地のあり方などについて洗い直すことが必要です。海外派兵への対応のために編成されている「中央即応集団」を解散し、周辺海域の警備のための海上保安庁の役割を高めて海上自衛隊の機能を縮小するとともに、陸上自衛隊や航空自衛隊の装備や部隊編成、基地機能についても「国防軍」化や「外征軍」化に通ずる部分を削減するべきです。

 第3に、これ以上の自衛隊の増強や機能強化を防ぐために、その存在を憲法に明記するべきだという意見があります。9条改憲論ではあっても、自民党改憲草案や日本会議が目指している「国防軍」化や「外征軍」化とは逆の主張であり、この両者はきちんと区別されなければなりません。
 しかし、このような9条改憲論には慎重でなければならないと思います。一つにはタイミングの問題があり、今の時点でのこのような提起は「壊憲」勢力に利用される恐れがあるからです。
 もう一つは、9条の戦争放棄・戦力不保持という規定はもう二度と戦争の脅威を与えないという国際社会、とりわけ周辺諸国に対する国際的な誓約となっており、それを変えて自衛隊の保持を明記すれば国際社会や周辺諸国に誤ったメッセージを与えることになるからです。まして、戦前型社会と軍国主義の復活を目指しているのではないかと疑いの目で見られている安倍首相の下での変更は避けるべきでしょう。

 さらに、自衛隊の存在は歴代自民党政権によって意識的に生み出されてきた「反憲法的現実」そのものですから、それを憲法に明記してしまえば現実を追認することになります。自民党による長年の「反憲法的政治」によって9条と大きく乖離してしまっている現実をそのまま受け入れるのではなく、そのような歪んだ現実を9条に近づけていく努力こそが求められるという「活憲」の課題が失われ、戦争放棄・戦力不保持が実現できるような周辺環境や国内状況を生み出すという将来ビジョンを掲げることができなくなります。
 このような戦争放棄・戦力不保持という9条の理念を実現しようという意思と方向性を持っているかどうかが、今後の安保・防衛政策や外交路線にとって決定的です。そのための緊張緩和や友好関係の樹立など、外交努力が不可欠になるからです。

 これがアベ暴走政治に代わるべき安保・防衛政策や外交路線の基本であり、自衛隊を「活かす」道でもあります。それは安倍首相にとっては実行不可能であり、だからこそ新しい政府が必要なのだということを国民に理解してもらうことができれば、野党共闘による政権交代も決して夢ではないでしょう。

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