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7月13日(水) 改憲の野望実現の可能性が高まったがゆえに当面慎重姿勢を示している安倍首相 [憲法]

 「このチャンスを逃したくない」と考えているのでしょう。衆参両院で改憲発議可能な議席を手に入れた安倍首相のことです。
 釣り竿から垂れていた浮きが水面下に引き込まれたのを確認した安倍首相は、ゆっくりと慎重に竿を引き上げようとしています。一旦ばらしてしまえば、二度と釣り上げるチャンスが巡ってこないことを良く知っているからです。

 かつて安倍首相は、ネット番組で憲法の前文について「いじましいんですね。みっともない憲法ですよ、はっきり言って。それは、日本人が作ったんじゃないですからね」と発言していました。憲法を制定した先人に対する侮辱であり、まことに不遜な発言だと言わなければなりません。
 また、官房長官だった06年7月、自民党東京都連の会合で「経済成長は達成できたが、憲法改正などは後回しになった。父(安倍晋太郎元外相)も祖父(岸信介元首相)も達成できなかった課題を達成したい」 と述べています。改憲への野望を率直に吐露していたわけです。
 さらに、2000年5月の衆院憲法調査会では「米国の手でできた憲法を最高法として抱いていることが、日本人の精神に悪い影響を及ぼしている。まず前文から全面的に見直していく」と主張しています。安倍首相が改憲に向けてあくなき執念を抱き続けてきたことは疑いありません。

 そして、具体的な準備に着手したのが第1次安倍政権の時代です。このとき国民投票法を成立させ、改憲に道筋をつけました。
 その後、第2次安倍政権になった2014年6月に改正国民投票法が成立し、国民投票の投票権年齢が「18歳以上」に引き下げられました。このとき与党の自民・公明両党だけでなく、民主党も賛成していたことを忘れてはなりません。
 これ以降、改憲に向けての制度的前提が整ったことになります。そして、14年12月の総選挙で与党が3分の2以上の多数を占め、今回の参院選でも改憲勢力が発議可能な3分の2の壁を突破したため、政治的な前提も整ったわけです。

 こうして、安倍首相が悲願としてきた改憲の野望を実現する可能性が高まりました。改憲が現実味を帯び、安倍首相は「いよいよ着手できる」と胸を高鳴らせているにちがいありません。
 このような可能性が生まれたのは、今回の参院選における「改憲隠し選挙」が功を奏した結果でした。安倍首相の作戦勝ちだったわけですが、改憲の意図を隠して参院選を戦ったことには、改憲発議可能な議席を獲得したという点でのメリットがありましたが、実はデメリットもありました。
 それは、選挙中の野党による批判などを通じて「手のひら返し改憲」への警戒感が高まったことです。公明党も「改憲は争点ではない」として公約に載せず、「改憲勢力ではない」と弁明していました。

 その結果、手のひらを反すように直ちに改憲に着手することが難しくなったという面があります。改憲勢力が3分の2を占めたとは言っても憲法のどこをどう変えるかという点については様々で、選挙中の沈黙を破って改憲を無理強いすれば改憲勢力内の不協和音を生み、公明党の抵抗が強まり、野党の批判と国民世論の反発を高めるリスクがあるからです。
 何よりも、改憲勢力にとって頭の痛い問題は、最終的に国民投票での承認を得なければならないという関門が控えていることです。しかも、自民党内には「最初に失敗したら永久にできなくなる」という懸念もあります。
 安倍首相にすれば、念願の改憲を急ぎたいけれど、さりとて世論の反発を招いて国民投票で否決されるリスクを高めるような冒険は避けたいと考えていることでしょう。このジレンマのなかでどうするのが最善かを、いま見極めようとしているのではないでしょうか。

 改憲に向けての手続きそのものは、衆参両院での発議が可能であれば60日以上180日以内に国民投票が行われます。解散・総選挙との同時選挙になる可能性も一概には否定できません。
 しかし、そのためには憲法審査会での改憲案についての協議と合意が必要になります。安倍首相は当面、衆参両院の憲法審査会での与野党の議論に改憲項目の選定を委ねる構えを示しています。
 もし、審議を再開したいのであれば、その前提として自民党は改憲草案を撤回しなければなりません。この草案は近代憲法としての基本的要件を欠いており、そもそも協議のたたき台にはならないからです。

 いずれにしても、改憲をめぐる今後の動向を注視し、戦争法の発動による既成事実化を阻み、民進党内の改憲派の蠢動を抑えて立憲4党の共闘を維持することが必要です。同時に、憲法に対する国民の理解を深めて改憲勢力の狙いと危険性を周知していく活動が重要になっています。
 国民の世論をどちらが獲得するかが決定的です。緊急事態条項に限っての「お試し改憲」という奇策が打ち出されても、それに打ち勝つだけの世論状況を作りだすことができれば改憲に向けての策動そのものをストップさせることができるにちがいありません。



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