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7月13日(月) 「安保法案」を廃案に追い込み安倍政権を打倒し新たな民主的政権の樹立をめざそう [内閣]

 先日、久しぶりにハーバード大学教授のアンドルー・ゴードンさんにお会いし、お酒を酌み交わして旧交を温めました。早稲田大学での研究会でゴードンさんが報告され、その後、懇親の機会があったたからです。

 ゴードンさんとは、彼がデューク大学に就職する前で私も大原社研の兼任研究員だった時代からの付き合いですから、もう30年以上になります。その縁で、彼がハーバード大学のライシャワー日本研究所の所長をしていた時に客員研究員として留学し、大変、お世話になりました。
 ゴードンさんは、いま在外研究として京都大学に滞在しており、ひと月だけ早稲田大学に招聘されて東京に来ていたそうです。今回の研究会は「『失われた20年』の政治変容(2):日本型保守とジェンダー」というもので、4回にわたった研究会の最後に当たるものでした。
 4回の研究会のうち、前半の2回は鼻の手術で入院していために出席しできませんでした。いよいよゴードンさんの研究が現代史に焦点を当てるものとなり、それも「政治変容」や「日本型保守」を取り上げるというのですから、大いに期待しています。

 私は後半の2回の見解に参加したわけですが、報告とその後の議論を聞いていて、気がついたことがありました。ゴードンさんは「失われた20年」の検証に関心を持たれているようで、報告は大平内閣の政策研究会から始まりました。
 それから今日までの内閣の変遷を振り返ってみると、面白い「法則」があるように思われたのです。以後の「政治変容」は左右への揺れを繰り返してきたという「法則」です。
 もう少し詳しく言えば、「保守本流・ハト派・吉田」の流れと、「保守傍流・タカ派・岸」の流れが、一定の期間を経て交代するような形で入れ替わってきたということになります。簡単にいえば、左の後に右、そしてまた左へという変化が繰り返され、そのようななかで、軍事大国化、右傾化、新自由主義化が深まり、その行き着いた頂点が今の安倍政権だということになるでしょう。

 大平政権からの流れを見ても、その後の鈴木政権までは左です。中曽根政権で右に揺れ、竹下・宇野・海部・宮沢・細川・羽田・村山・橋本・小渕政権は、いずれも宏池会(旧池田派)や旧田中派の流れを汲み、その源流は吉田茂ですから左のハト派政権だったとみることができます。
 この後はまた右に揺れ、森・小泉・安倍・福田政権が続きました。いずれも旧福田派の流れを汲むタカ派政権です。
 麻生さんは吉田茂の孫にあたりますから、一応、吉田亜流とすれば、その後の政権交代で、鳩山・菅・野田の左派政権が続くことになります。そして、再び政権交代が起こって安倍さんの再登場となり、大きく右に揺れていることは皆さんが目撃されている通りです。

 以上の経過を見て、直ぐに気が付くことがあります。中曽根政権、小泉政権、安倍政権は、他の左の政権とは異なっていずれも長期政権の維持に成功しているということです。
 中曽根さんは1982年から87年、小泉さんは2001年から06年、そして、安倍さんは06年から07年の1年間と再登場した12年から今までをあわせて3年半になります。中曽根さんや小泉さんの例から言えば、あと1年半くらいは政権を維持できるということでしょうか。
 そして、以前のような「法則」が働くとすれば、その後には左への揺れが生じ、「保守本流・ハト派・吉田」の流れを受け継ぐ政権が登場するということになります。このハト派の流れには、旧田中派出身の岡田さんが率いている民主党も含まれます。

 このように、自民党政権においても、中曽根、小泉、安倍政権は「保守傍流・タカ派・岸」の流れを汲む特異な政権であることが理解できます。それが長期政権を維持できたのは、対米協調路線を取って来た保守本流よりも軍事大国化を志向する傍流の方が軍事分担を求めるアメリカにとって都合が良かったからであり、右傾化を強める社会意識の変化にも適合し、新自由主義的改革路線によって本流が担ってきた従来の保守支配の構造を打破する強い志向性を持っていたからです。
 しかし、それは憲法を前提とした戦後支配のあり方へのバックラッシュ(反動)でもあるため、平和志向の民意との乖離と衝突を避けられません。また、民主党の結成や第3極諸党の結成によって「保守本流・ハト派・吉田」の流れを汲む勢力が自民党の外に流出したために自民党内での「保守傍流・タカ派・岸」の比重がたまり、キャッチオールパーティーとしての性格がなくなっていきます。
 こうして自民党は右傾化を進め、極右政党としての性格を強めたために合意形成能力が失われていきました。そして、合意形成が難しくなればなるほど、さらに右派的イデオロギーによる国民統合を図ろうとして右傾化を強めるという悪循環に陥っています。

 中曽根政権、小泉政権、安倍政権と変遷するにつれて、軍事大国化が強まり、自衛隊の海外派兵の動きが具体化してきました。中曽根政権の時にもアメリカからペルシャ湾への掃海艇派遣が要請されましたが、旧田中派出身の後藤田正晴官房長官は「閣議ではサインしません」と迫って派遣を断念させています。
 しかし、小泉政権の時にはこのような抑止は働かず、イラク戦争の復興支援ということで自衛隊が派遣されました。そして、今回、自衛隊をいつでも海外に派遣するために「国際平和支援法」という恒久法が制定されようとしています。
 これ以外にも、「重要影響事態」や「存立危機事態」という認定がなされれば、自衛隊は米軍などの「後方支援」のために海外に派遣され、国連平和維持活動(PKO)でも自衛隊の活動範囲を拡大し、治安維持や駆けつけ警護などができるようになります。こうして、事実上の憲法改正がなされるほどに、右傾化が進行しているのが現状です。

 新自由主義化についても、中曽根政権以来の規制緩和路線の終着点が近づいているようです。それは、中曽根政権による「臨調・行革路線」として始まり、小泉政権による「構造改革」へと受け継がれ、安倍政権の労働の規制緩和路線によって総仕上げされようとしています。
 労働者派遣法の改定も労働基準法の改定も、共に原理的な転換を含んでいるからです。それは規制緩和の量的な拡大ではなく、派遣事業や労働時間についての質的な変化をもたらすことでしょう。
 派遣は「一時的・臨時的」なものではなくなり、「常用労働者」に対する代替がすすみ、正規労働者が派遣などの非正規労働者に置き換えられることになります。労働時間に対する制限が撤廃され、労働に対する時間管理という考え方自体が時代遅れであるとして否定されるにちがいありません。

 このような形で軍事大国化、右傾化、新自由主義化が進み、それに伴って自民党も変質してきた結果、自民党は社会の右側に集まっている一部の民意を代表するだけの部分政党に変貌しました。ここに、自民党内でさえ影の存在であった安倍首相とそのお仲間である日本会議や在特会と親和的な極右勢力が政権を担当できる理由があります。
 一部の民意を代表するに過ぎない部分政党が政権を担当できる秘密は簡単です。そのカラクリは小選挙区制という選挙制度にあります。
 昨年の総選挙で、自民党の絶対得票率(有権者内での得票割合)は、小選挙区で24.5%、比例代表で17.0%にすぎませんでした。自民党が代表する「一部の民意」とは、正確に言えば、有権者の4分の1から6分の1ほどにすぎないものなのです(詳しくは、拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』学習の友社、をご覧ください)。

 もともと国民の少数の支持しか得ていないのに、選挙制度のカラクリによって「虚構の多数派」を形成することができたのが、いまの安倍政権です。この「虚構」が、安倍首相自身の暴走によって崩れ始めています。
 小選挙区制のカラクリによって隠されていた本当の民意が、集会やデモ、署名や声明、地方議会での決議や要請書、ツイッターやフェイスブックでのつぶやきや意見表明、そして世論調査での反対の多さや内閣支持率の低下という形で、はっきりと目に見えるようになってきました。「虚構」に対する「実像」の可視化です。
 国会での多数議席は「虚構」の上に築かれた「砂上の楼閣」にすぎません。安倍首相がこの「楼閣」を頼みにして民意に反する強行採決に出れば、たちどころに崩れ去るにちがいありません。

 そして、政権が左右への揺れを繰り返してきたという、これまでの「政治変容」の「法則」が働くとすれば、右派的政権に対する反発が生じ、次の政権は左へと揺れることになるでしょう。その「法則」を現実のものとすることができるかどうかは、これからの私たちの実践にかかっています。
 「安保法案」を廃案に追い込んで安倍首相に引導を渡すだけでなく、自民党内での政権たらいまわしを許さず新たな民主的政権の樹立に結びつけることがこれからの課題です。「政治変容」のレベルを安倍政権打倒から自民党政治打破、政権交代にまで引き上げることができれば、「安保法案」を粉砕する明確な展望が生まれるにちがいありません。

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