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4月10日(金) 「戦争立法」ではなく対話と交渉による紛争解決こそ憲法の要請 [集団的自衛権]

 「かぶき者慶次」というドラマが始まりました。NHKの木曜時代劇です。
 そこで、主人公の前田慶次が、こう言いました。「これからは人を殺す剣はいらん。妻子と仲間を守る剣があればよい。大切なものは命。命だ」と……。
 自衛隊は、いわば「妻子と仲間を守る剣」でした。それを国の外にまで送りだして「人を殺す剣」にしても良いのかが、今、問われています。

 国会では今年度予算が成立し、いよいよ消費税10%への路線が引かれました。連休明けには集団的自衛権の行使容認などを含む「安全保障法制の整備」に向けての法案が国会に提出されます。
 あわせて、「残業代ゼロ法案」と言われる労働基準法改定案や「生涯ハケン」を強いる労働者派遣法改定案などの対決法案も本格的に審議入りすることになります。安倍首相は「今がチャンス」とばかりに、外交・防衛政策から内政に至るまで、戦後日本の枠組みを全面的に作り替えるための総攻撃を始めようとしています。
 今、私たちは戦後最大の分岐点にさしかかっているということを自覚しなければなりません。これまでの平和と安全を維持してきた憲法の内実が掘り崩され、米軍とともに海外で戦争に加わって自衛隊員の血が流される危険が現実のものになろうとしています。

 「安全保障法制の整備」については、多くの嘘がちりばめられています。その嘘を見抜くことが、何よりもまず必要になっています。
 第1に、「安全保障法制」と言うからには、日本の「安全」を高めるための法的整備であるかのように見えますが、それは違います。3月20日の与党協議会での合意にも明らかなように、それは「海外で戦争する国」になるための法整備であり、「戦争立法」にほかなりません。
 恒久法によっていつでも、「周辺」概念の削除によってどこでも、「現に」戦闘行為が行われていなければ戦闘地域であっても、自衛隊を派兵するための立法が目的とされています。米軍の「ポチ」として戦争の手伝いをさせられ、自衛隊員のリスクが今以上に、格段に増すことは明らかです。

 第2に、集団的自衛権の行使容認を可能にするためとされていますが、それは「戦争立法」の一部にすぎません。今回の法整備の根拠とされているのは昨年5月15日に出された「安保法制懇」の答申ですが、その正式名称は「安全保障の法的基盤の再構築」というもので、「集団的自衛権の法的整備」ではありません。
 今回の与党協議会の合意も「安全保障法制の整備」であって、その具体的な内容は以下のようになっています。

① グレーゾーン(武力攻撃に至らない侵害への対処)
② 後方支援(我が国の平和と安全に資する活動を行う他国軍隊に対する支援活動)
③ 国際的な平和協力活動(国際社会の平和と安全への一層の貢献)
④ 集団的自衛権(憲法9条の下で許容される自衛の措置)
⑤ その他(その他関連する法改正事項)

 つまり、集団的自衛権にかかわるのは④だけなのです。自衛隊の海外派兵と軍事活動の拡大、米軍などとの軍事協力のための法的整備を行うことが目的なのであって、日本の防衛や安全を直接の目的としない「国際的な平和協力活動(国際社会の平和と安全への一層の貢献)」なども含むものとなっています。

 第3に、集団的自衛権の行使容認に当たっては新「3要件」が判断基準とされています。その一番目には「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」とありますが、「他国」というのは嘘で、正しくは「他国軍」のことです。
 「我が国と密接な関係にある他国」の最たるものはアメリカですが、米国への武力攻撃が発生することは考えられません。実際にあり得るのは米軍に対する武力攻撃です。
 しかし、ベトナム戦争やイラク戦争などでも明らかなように、実際に攻撃を始めるのは米軍の方です。そのような「先制攻撃」に対しても自衛隊が協力することは排除されないと、安倍首相は国会で答弁しています。

 このように、「安全保障法制の整備」というのは大きな嘘です。いま、行われようとしているのは「安全」を保障するための法律の整備ではなく、米軍が始める戦争への軍事協力をしやすくするための法律を作ることです。
 それは直接的には自衛隊員の安全を損ない、同時に日本と日本国民の安全を脅かすことになりますから、「安全保障」の役には立ちません。「安倍よ、悪夢を始めよう」とISがテロ宣言をしているとき、世界中での米軍との軍事協力を可能にして軍事同盟を強めることが、賢明な選択だと言えるのでしょうか。
 このような形で国際紛争への軍事的関与を増大させることは、憲法の精神に真っ向から反する愚行です。また、日本の軍事協力の強化によって軍事介入を容易にすれば、ベトナム戦争やイラク戦争のような間違いを繰り返すリスクを増すだけであり、アメリカのためにもなりません。

 しかも、世界の現実は、力による制圧や軍事的な介入によってテロや紛争を解決することはできず、かえって問題を拡大し解決を困難にするということを教えています。安倍政権が目指している「積極的平和主義」は、このような世界の現実に学ばない時代遅れの逆行政策です。
 イランの核問題をめぐる米欧など6カ国とイランとの交渉が、包括的解決に向けた枠組みでようやく合意に達して平和的な解決の道が見えつつあるときに、安倍首相はホルムズ海峡の機雷封鎖を想定した政策転換を行おうとしています。中国の習近平国家主席とベトナムのグエン・フー・チョン共産党書記長との会談で「南シナ海の平和と安定を守らなければならない」という認識で一致し、紛争の平和的な解決に向けての動きが始まっているときに、安倍首相は南シナ海における米軍との共同の警戒監視を可能にしようとしています。
 何という外交音痴。何というチグハグぶりでしょうか。

 軍事ではなく外交で問題を解決するべきです。現に、世界はそのような方向に動き始めています。
 軍事力の行使や威嚇によってではなく対話と交渉によって紛争を解決するためにこそ、日本は貢献するべきでしょう。それこそが憲法の要請するところであり、紛争解決と平和構築のための現実的で効果的な唯一の解決策にほかなりません。

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