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3月10日(火) 昔は「事変」で今は「事態」というのが国民を騙すためのテクニック [集団的自衛権]

 「満州事変」という出来事を覚えていますか。1931年9月18日に中国東北部(旧満州)での柳条湖事件を契機に始まった侵略戦争です。
 それは関東軍の列車爆破という謀略事件による戦争の始まりでした。しかし、当時は「満州戦争」とは言われずに「満州事変」として発表されたのです。

 「戦争」なのに「事変」と言われました。言葉の言いかえによって、戦争に巻き込まれることを心配する国民の不安や警戒心を薄めようとしたからです。
 同じような言葉の言いかえによる騙しのテクニックは、その後も様々な形で用いられました。戦争に敗北して「退却」することを「転進」と表現し、部隊の「全滅」は「玉砕」という美しい言葉によって誤魔化されたのです。
 今また、同じような騙しのテクニックが用いられるようになってきています。「武器」は「防衛装備品」、「輸出」は「移転」と言い換えられ、「武器輸出三原則」による原則禁輸は「防衛装備品移転三原則」によって原則自由とされました。

 そして今、「事態」という言葉の氾濫によって、「戦争」であることが誤魔化されようとしています。国民を騙して煙に巻くための新たなテクニックの登場です。
 武力攻撃事態や武力攻撃予測事態、緊急対処事態、周辺事態などという言葉はこれまでもありました。現在進行中の集団的自衛権行使容認のための安保法制整備に関する与党協議の中で、これに加えて存立事態や重要影響事態などという言葉が登場し、存立事態という名称はわかりにくいからということで白紙に戻して「新事態」という言葉に変えるなど、「事態」「事態」の大売出しです。
 これで国民に理解されるのでしょうか。国民の理解を得ることよりも、このような言いかえの氾濫によって国民を騙そうとしているのではないでしょうか。

 政府は昨年7月の閣議決定で、憲法9条の解釈を変更しました。日本が直接攻撃を受けていなくても、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由などの権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などの新3要件を満たせば、「自衛の措置」としての集団的自衛権の行使が可能だという方針を打ち出したからです。
 政府は与党協議会でこの3要件を満たす「新事態」を新たに規定し、自衛隊法と武力攻撃事態法に盛り込む方針を伝えています。武力攻撃事態とは別に「新事態」を設ける理由について「新事態と武力攻撃事態は重なることがあるが、(日本への武力攻撃があるかないかの)評価の軸が異なる」と説明されています。
 ここに言う「武力攻撃事態」は日本が「武力攻撃」を受けた場合で、それに反撃すれば戦争になります。「新事態」は日本が攻撃されていなくても、新「3要件」を満たせば反撃できますから、やはり戦争に加わることになります。

 どちらの「事態」も戦争の始まりを意味しています。前者は武力攻撃を受けた場合、後者は武力攻撃を受けていない場合で「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由などの権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などの新3要件を満たした場合です。
 つまり、ここに言う「事態」とは戦争の始まりです。しかも、後者の場合には、日本が攻撃されていなくても、一定の条件が満足されたと判断されれば戦争に加わることができるようになります。
 その条件を判断するのは政府です。国会での承認が条件とされていますが、緊急の場合には事後承認となるでしょうし、現在のような「一強多弱」国会では事前承認であっても何の歯止めにもならないでしょう。

 言葉の言いかえによって国民を欺くというやり方で、戦前の軍部は国民を騙して戦争へと引きずり込んでいきました。今また、言葉の言いかえによって国民を欺くというやり方で、安倍政権は与党の公明党や国民を騙して戦争に引きずり込もうとしています。
 「日本を取り戻す」と言っていた安倍首相は、かつての軍部が駆使した「騙しのテクニック」をすでに「取り戻した」ようです。今日の政治指導者は、この点でかつての軍事指導者と同様の誤りを犯そうとしています。
 騙されてはなりません。もしそうなれば、またもや「騙されたことの責任」を私たちも問われることになるでしょうから……。

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