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4月12日(土) 小保方さんの問題は大学政策の歪みによって生じたのではないか [教育]

 小保方晴子さんの問題というのは、新型万能細胞「STAP細胞」についての論文をねつ造したのではないかという疑惑を招いている件です。いずれこのような問題が生ずるのではないかという心配は、大学関係者であれば以前からあったのではないでしょうか。
 というのは、大学政策の大きな変化によって任期制や競争の激化、成果や業績による研究費の配分、そのための事務手続きの煩雑さなどの問題が生じ、研究テーマや研究内容、研究者の処遇などが大きな影響を受けてきたからです。

 小保方さんも任期制の職に就いているといいます。この間に研究成果を上げなければ、次の職に就けません。
 このような状況に置かれている研究者は、短期間に論文などを書いて業績を上げなければならず、それを考慮してテーマなどを選択することになります。長期的で基礎的な研究が手薄になり、研究面でも焦りが生ずることは避けられません。
 今回の問題でも、以前書いた論文や写真の使い回し、コピーの貼り付けなどの問題が指摘され、そのような不備があったことは小保方さん自身も認めています。それは故意ではなかったというのが小保方さんの弁明ですが、そのような不備を生じさせた暗黙の圧力はこのような研究環境から生じたように思われます。

 同じようなことは、理化学研究所についても言えます。競争を勝ち抜いて評価されるためには、成果と業績を上げることが要求されるからです。
 多額の研究費の配分を受け有利な研究環境を獲得するためには、世間をあっと言わせるような研究成果を上げなければなりません。小保方さんのSTAP細胞についての研究は注目を集めている再生医療の分野での業績であり、政府が後押ししている成長戦略にも合致し、格好の研究成果だと考えられたことでしょう。
 しかし、これは今回の問題によって裏目に出てしまいました。昨日、下村文科相は閣議のあとの記者会見で、理化学研究所を「特定国立研究開発法人」に指定するのに必要な法案について、不正防止策の内容が不十分な場合は今の国会への提出が見送られる可能性もあるという認識を示したからです。

 今日の大学と研究所、研究者のすべてが、このような厳しい競争にさらされています。それは研究を促進させ、業績と成果を高める目的で導入されたものですが、実際には逆効果を生み出しました。
 科学研究費補助金をどれだけ申請し、どれほど獲得できたかが評価の対象になり、それによってどのような研究が発展し、どれほど成果が上がっているかはさして問題にされなくなったからです。そうなると、短期間に成果が上がり、注目を集めるようなテーマを選択しがちになるも当然でしょう。
 研究内容を評価することは簡単ではなく、論文の数だけで測ることはできません。しかし、だれにでもわかる尺度が必要ですから、そのような形で成果が比較されがちになるのも避けられません。

 このような環境の下では落ち着いた基礎的な研究は軽視されるようになります。アカデミズムの世界で評価対象とされることの少ない社会的な活動は敬遠されがちになるのも当然でしょう。
 論文を書くよりも、研究計画を立てたり科学研究費補助金の申請書を作成したりすることの方に時間と精力を取られるなどという倒錯も生じます。研究者自身がこれらの事務作業に忙殺され、しかも激しい競争にさらされていれば、若手研究者に対する指導がおろそかになります。
 このような問題の積み重ねのなかで、今回のような問題が生じたのではないでしょうか。それは偶然ではなく、以前から問題点が指摘されていた大学政策の歪みが具体的な形をもって発現したということになるでしょう。

 今回の問題については理研と小保方さんの双方の主張が対立しています。それを判断する材料を私は持っていませんが、疑惑を晴らすための最善の道はSTAP細胞を再現することであるように思われます。
 すでに「私自身、STAP細胞の作製に200回以上成功している」というのであれば、あと1回、このような細胞を生み出すことは簡単でしょう。そもそも、STAP細胞の特性とは、これまでのものより作製法が格段に容易であるという点にあったのですから……。

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