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12月25日(水) 「積極的平和主義」の危険性を示している弾薬1万発の無償譲渡 [自衛隊]

 まあ、こういうことなんでしょう。安倍首相の言う「積極的平和主義」というのは。
 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に従事する韓国軍に弾薬1万発を無償譲渡したことです。これが安倍首相が行った韓国軍へのクリスマス・プレゼントでした。

 これは武器輸出3原則やPKO5原則、シビリアン・コントロールの徹底や非軍事的支援活動など自衛隊の海外展開に対する「しばり」を解除し、国際的な「平和」活動に軍事的に深くコミットしたいという安倍首相の願望を具体化したものです。このような狙いからすれば、韓国軍からの要請は「渡りに船」で、安倍首相からすれば「待ってました」と言いたくなるようなものだったでしょう。
 こうして、一歩一歩、日本は「戦争できる普通の国」に近づいていくことになります。それに連れて、日本は「戦争しない平和な国」でなければならないとした日本国憲法から遠ざかることになります。
 しかし、おかしいじゃありませんか。まだ、憲法は変えられたわけではなく、「専守防衛」という国是も「自衛のための必要最小限度の実力」であって「戦力」ではないという自衛隊の位置づけも、変化していないのですから……。

 政府は今回の弾薬の提供をPKO法25条の「物資協力」に基づくと説明していますが、法律の制定当時から国連への自衛隊の武器・弾薬の譲渡は明確に否定され、1991年の国会審議では「『物資協力』に武器や弾薬、装備は含まれるか」との問いに政府側は「含まれていない」(国際平和協力の法体制整備準備室長)と答弁し、「(国連)事務総長から要請があった場合は」との質問にも「そもそも事務総長からそういう要請があることは想定していないし、あってもお断りする」(同)などと強調していました。今回の措置はこれまでの説明を覆すもので、過去の「解釈」と「説明」を勝手に変えてしまうという点では「解釈改憲」と同様の手法になります。
 菅官房長官は「緊急性」を強調して、今回の措置が正当であるかのように言い繕っています。しかし、韓国政府の報道官は「予備分を確保するために臨時に借りた」と説明し、切迫した状況ではなく「念のために予備の弾薬を借りただけだ」と説明しています。
 どこに、「緊急性」があるのでしょうか。そもそも、インフラ整備のために安全であるはずの地域に派遣されている自衛隊が、韓国軍に無償譲渡できる弾薬を1万発も持っていたというのですから驚いてしまいます。

 自衛隊が活動している地域が、それだけの防備を必要とする場所なのでしょうか。もしそうなら、そのような危険な所に派遣することはPKO5原則に反することになります。
 もし、それほどの危険性がないというのであれば、菅官房長官の言う「緊急性」も説得力を失います。安全であれば緊急性はなく、緊急性があれば安全ではないということなのですから。
 今回の措置が例外中の例外だというのも信じられません。先に閣議決定された国家安全保障戦略(NSS)では武器輸出3原則に代わる新原則を年明け以降に定める方針が打ち出されており、日本とイギリスの間での武器共同開発の合意やトルコとの戦車用エンジン開発での協力などの既成事実化も着々と進んでいるのですから。

 今回の措置は国会での審議抜きに、国家安全保障会議で決定されています。重要な国策の例外措置がたった4閣僚の密室での合議によって決まってしまったわけです。
 ここにこそ、国家安全保障会議設置の意味があったのだと言うべきでしょうか。このような密室での国防政策の専断を合理化することこそ、まさにその狙いだったからです。
 このようなシビリアン・コントロールの弱体化も、今回が初めてではありません。すでに、自衛隊の部隊運用と作戦指導における制服組の主導権の確立が図られつつあるからです。

 こうして、一歩、また一歩と、日本は「戦争できる普通の国」へと歩みを進めています。この現実を直視し、その一つ一つの芽を摘んでいかなければなりません。
 気がついたときには、もう後戻りできなかった戦前のような失敗を繰り返さないためにも。

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