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5月21日(土) 原発の新増設推進に合意した自治労の責任は大きい [労働組合]

 連合が原発の推進へと舵を切った背景には、二つの理由があったと思います。その一つは、電力総連という強力な「アクセル」の存在であり、もう一つは、それまで効いていた「ブレーキ」が効かなくなったことです。

 電力総連という「アクセル」がいかに強力であったかについては、すでに紹介した木下力さんの『週刊金曜日』の論攷が詳しく書いています。「とりわけ原発推進については同盟時代から強く要求してきた」と書かれているとおりです。
 しかし、それにもかかわらず、連合はこれまで原発推進を明示しませんでした。それは、「連合傘下の労働組合には、原発に反対の立場をとる旧総評系と、積極派の電力関係労組などの旧同盟系がおり、統一見解には至らなかったため」(2010年8月19日付「朝日・コム」)です。
 その事情に、変化が生じました。自治労が「PTの報告書について『安全確保と住民の合意は譲れないという考えに立った上で、新設を推進する』と」、それまでの態度を変えたからです。

 自治労の委員長は連合の会長代行を兼ねています。ですから、連合の三役会議にも出席していますし、当然、エネルギー政策を転換したPTにも参加していました。
 その自治労も合意したうえでPTの報告が出され、「原子力発電所の新増設」を「着実に進める」との昨年8月の「エネルギー政策に対する連合の考え方」も採択されました。当然、自治労内では、大きな反発が生ずることになります。
 「エネルギー政策に対する連合の考え方」が採択された昨年8月に、自治労は徳島市で第82回定期大会を開催しました。この連合の転換は、そこでも問題とされたようです。

 徳島大会について報じた『連合通信』(2010年8月31日付)は、「住民の理解を前提に原発の新増設を容認するなど、連合がこのほど打ち出したエネルギー政策について、本部に態度表明を求める発言が、多数出されたのも特徴だ」と書いています。記事は、「岡本博書記長は連合のエネルギー政策に関し、『原子力発電についての認識が不十分』との味方を表明、『脱原発』の立場で引き続き平和フォーラムと連携していくと述べた」と続いており、自治労が「脱原発」の立場を維持しているかのように報じています。
 しかし、そうではありませんでした。徳島大会の最終日である8月27日に行われた総括答弁で、徳永委員長は「最終的には連合の三役会議そして中央執行委員会でこのエネルギー政策の確認をしましたけれども、三役会のなかでは私の方から改めて自治労としての立場を明確にしながら、ベストミックス、化石エネルギー、原子力エネルギー、そして自然エネルギーのこのベストミックスをいかにきっちりと対応していくのか、そのうえで脱原発に向けての取り組みを展開をするという自治労方針について明確にしたうえで、全体での確認がされてまいりました」http://www.geocities.jp/toukyoujititai/doc/20100827tokunagasoukatutouben.docと、苦しい弁明を行っていたからです。
 連合のエネルギー政策についての「全体での確認」は、「ベストミックスをいかにきっちりと対応していくのか」ということを踏まえたうえであったことが強調されていました。ここに登場している「ベストミックス」という用語は、民主党のエネルギー基本政策でも、連合のPT報告でも用いられていたものです。

 こうして、自治労もまた、それまでの方針を事実上、転換していました。ただし、『連合通信』での岡本書記長の発言では、それは明示されていません。
 また、この時の大会方針でも「脱原発の取り組み」が掲げられ、「低迷する電力需要にもかかわらず、原発の新増設の動きが進んでいます。上関原発新設は大きなヤマ場になっており、引き続き100万人署名の取り組みや現地の運動と連携した取り組みを強化します。また、大間原発(青森)、川内原発(鹿児島)3号機、浜岡6号機などの新増設の動きに対し、地元のねばり強いたたかいに連帯し、全国的な支援の力で、推進側の動きを押し返す運動を進めます」と書かれていました。「ベストミックス」に向けた原発方針の転換をうかがうことはできません。
 それは隠微な形で、組合員から隠れてこっそりとなされたということでしょうか。だからといって、自治労が責任を免れることはできません。

 このように、連合がエネルギー政策を原発推進へと転換した背景としては、その内部に、電力総連、電機連合、基幹労連など、原子力産業に関わる企業の労働組合を傘下に収めているという事情があります。それに加えて、原発が「発電時にCO2を排出せず」「地球温暖化対策」に効果的であると思われていた点も大きかったでしょう。
 さらに、このような政策転換には、政治的な背景があったことも指摘しておかなければなりません。それは政権交代の実現であり、当初は鳩山連立政権に社民党も加わっていたということです。
 民主党政権が作成した「エネルギー基本計画」が閣議決定される直前に、社民党は連立政権を離脱しますが、それは米軍普天間基地の移設をめぐる対立に起因するものでした。自治労の政策転換は、社民党が連立を離脱したとはいえ、いずれ復帰する可能性のあった民主党政権に対する配慮によるものだったのではないでしょうか。

 このような経過を見れば、連合の政策転換において自治労の合意が持っていた意味は大きく、その責任もまた大きかったように見えます。もし、自治労が合意しなければ、連合は原発の新増設を認めるような方向に舵を切ることはできなかったでしょう。
 福島第1原発での放射能漏れ事故の後、自治労の徳永委員長は「計画中の原発の新増設を容認した連合のエネルギー政策について問われ、現状のままであれば、自治労として充分な議論を申し入れる考えであることを明らかにした」と報じられています。そうえで、「自治労として、事態が収束したうえで改めて問題点を整理し、今後のエネルギー政策についての議論をしたいと申し上げていく」と語ったそうです(『連合通信』2011年4月5日付)。
 「現状のまま」ではなく、「改めて問題点を整理し」たうえでの議論とは、どのようなものなのでしょうか。連合に対して、「脱原発」路線への明確な転換を求めていくということなのでしょうか。

 昨日のブログでも紹介したように、連合は今後、エネルギー政策の見直しを行うようです。しかし、古賀会長は「どういう方向付けになるかわからない」と述べていました。
 大震災と原発事故による被災への救援活動の最前線に立って、自治労組合員の多くは大きな役割を演じ苦労しています。その自治労こそが、今後の連合内での議論において「脱原発」の方向を明確にするために大きなイニシアチブを発揮するべきではないでしょうか。

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