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5月20日(金) 連合は脱原発へと明確にエネルギー政策を転換するべきだ [労働組合]

 2010年8月19日付の「朝日・コム」に、下記のような注目すべき記事が出ていました。「原子力『推進』を明記 連合、エネルギー基本方針を策定」という見出しが付いています。

 連合は19日、エネルギー問題に関する基本方針を初めて策定した。現在計画中の原子力発電所の新増設を「着実に進める」とし、これまで内部で意見が分かれていた原子力エネルギーについて推進する姿勢を明記した。
 これまでは2年ごとにまとめる国への政策提言の中で、原発を「重要なエネルギー源」と位置づけるにとどめていた。連合傘下の労働組合には、原発に反対の立場をとる旧総評系と、積極派の電力関係労組などの旧同盟系がおり、統一見解には至らなかったためだ。
 今回の基本方針は、今後10~20年を見すえた中長期的なものとしてまとめられた。地球温暖化防止に向けて温室効果ガスの排出量削減が迫られるだけでなく、新興国の発展など世界的なエネルギー需要の増加で、資源の獲得競争がますます激しくなってくるとの共通認識に立った。原発の利用向上をはじめ、石油・石炭といった化石燃料によるエネルギーや、再生可能エネルギーとの最適な組み合わせが欠かせないと判断した。
 連合が支援する民主党も、昨年のマニフェストで原子力利用の推進を掲げている。連合の古賀伸明会長は同日の定例会見で「これまでの政策から一歩踏み込んだ方向性が出た。具体的な議論を始めなければならない」と語った。(以上、引用終わり)

 ここで指摘されている「エネルギー問題に関する基本方針」というのは、「エネルギー政策に対する連合の考え方」のことです。これは、昨年(10年)の8月19日に連合第11回中央執行委員会で採択されました。
 この「考え方」は化石エネルギー、原子力エネルギー、再生可能エネルギーの「ベストミックスの推進」を図るとし、原子力エネルギーについて「現在計画中の原子力発電所の新増設については、地域住民の理解・合意と幅広い国民の理解を前提に、これを着実に進める」として推進する方向を明確にしました。ここに登場する「ベストミックス」という言葉は、民主党政権によって昨年の6月に策定されたエネルギー基本計画にも登場した「キーターム」です。
 同時に、この「考え方」は、「原子力エネルギーをエネルギー安定供給に欠かすことのできない重要なエネルギー源として位置づけるとともに、CO2削減に有効な手段として位置づけることが妥当である」との位置づけも示していました。これも、エネルギー基本計画と同様です。

 こうして、連合はエネルギー政策の転換を確認し、「原子力発電所の新増設」を「着実に進める」との「考え方」を明らかにしました。この方針転換は、その後も続いています。
 連合は、東日本大震災が発生した3月11日のまさにその日、第18回中央執行委員会を開いていました。そこでまとまられた「政策・制度 要求と提言」には、次のように書かれています。

 国は、国家戦略として原子力エネルギーの位置づけを明示するとともに、安全・安心の確保や国民・住民に対する理解活動に責任を持って取り組む。また、より高度な安全確保体制の確立を大前提に、原子力発電の高経年化対策と設備利用率向上をめざす。(以上、引用終わり)

 しかし、福島第1原発での放射能災害がここまで拡大してしまった現在、このような路線を今後も維持することは不可能でしょう。連合は4月20日に開いた中央執行委員会で、原子力エネルギーを推進する従来の政策は「より高度な安全確保体制の確立、地域住民の理解・合意という前提条件が確保され難い状況を考慮し、凍結する」として棚上げを提案しました(『連合通信』2011年4月23日付)。
 放射能漏れ事故の収束のめどがつかず、「住民の理解が確保され難い」というのがその理由ですが、当然でしょう。今後の方向付けの「原案は、政策委員会で修正を含めて議論し、6月の中央委員会で決定する」そうです。
 前述の「政策・制度 要求と提言」についての政策制度中央討論集会が4月25~26日に開催されました。棚上げの方針はここで提案され、「政策の総点検や見直し作業は、事故の収束を待って始める」とされましたが、「この判断には、『脱原発』も視野に入れた早期の議論開始を求める意見が相次いだ」そうです(『連合通信』2011年4月28日付)。

 この「凍結」方針は、原発推進派と慎重派に組織が二分されることを回避するためだと見られています。連合は今後、福島第一原発の事故処理の進ちょく状況を踏まえて、「然るべき時期」に原子力政策の総点検・見直しを行うとし、政府に対しては深刻な放射能漏れの事態を打開するためのあらゆる対策と「被害者への適切な救済」を求めていくとしています。
 しかし、エネルギー政策の見直しについて、古賀連合会長は「どういう方向付けになるかわからない」と述べ、必ずしも脱原発の方向ではありません。原発推進政策の継続にも含みを持たせたものとなっており、連合が明確に反原発・脱原発の方向に転換できるかどうかが注目されます。

 このような連合の原発政策の推移は、規制緩和についての政策的な推移と良く似ています。連合は、人材サービスゼネラルユニオンという派遣労働者の労働組合が加盟するUIゼンセン同盟を有力な民間単産として抱えており、そのせいもあって労働分野での規制緩和を要求してきました。
 しかし、その後、貧困の増大や格差の拡大、ワーキングプアの増大や「派遣切り」によって世論や行政当局の対応が変化するにつれ、連合の対応も変わってきました。中央に非正規労働者センターを設置し、今日では34の地方組織でも設置を進めて非正規労働者の相談に応じたり、労働条件の改善に取り組み、労働者派遣法についても「早急な改正」を求めています。
 このような経緯からすれば、原発政策においても連合が方針を再転換する可能性は少なくないと思われます。ただし、電力総連や電機連合、基幹労連などの有力単産の方針が転換しているわけではなく、民主党政権の脱原発政策への転換もそれほど明瞭ではありません。

 この点では、今後の世論やマスコミ、そして何よりも連合傘下の労働組合員の動向が極めて重要であるということになるでしょう。とはいえ、いやしくも労働組合であろうとする限り、連合も脱原発の方向へと明確に舵を切ることなしには社会的な存在として生き延びていくことはできないのではないでしょうか。

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