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5月10日(火) 民主党政権は「エネルギー基本計画」を根本的に転換するべきだ [民主党]

 中部電力は菅首相の要請を受け入れ、浜岡原発の全炉を数日中に停止することを決めました。それは、「2~3年後の運転再開へのめどが立ち、菅政権から電力供給などの支援の確約も得られたと判断したためだ」(『朝日新聞』5月10日付)といいます。
 つまり、今回の全炉停止は将来的な再開を前提にしたものだということになります。民主党政権の原子力政策が転換したためではありません。

 同じ『朝日新聞』には、「原子力政策について、政権が新たな方向性を湿せたわけではない」として、「原発政策の基本は変わっていない」という枝野官房長官の9日の会見での説明や、「戦略、政策としては原発を堅持する」としている仙谷官房副長官の発言が紹介されています。

 5月7日付のブログ「浜岡原発の原子炉の運転停止は当然だけれど」で、私は「浜岡原発だけでなく、他の原発も、できるだけ早く稼働停止にして廃炉にするべきです。再生可能で危険性の少ない自然エネルギーへの転換を前提としたエネルギー政策へと転換するべきでしょう」と書き、次のように指摘しました。

 しかし、現実には、そうなっていません。今日の『東京新聞』には、「原発の緊急安全対策を進めて『安全宣言』を早期に行うことで既設の原発からの電力供給を確保し、2030~50年には『世界最高レベルの安全性に支えられた原子力』をエネルギー政策の3本柱の一つとするとした、経済産業省の内部文書が明らかになった」ことを報じています。
 エネルギー政策は、基本的に変わっていないということです。うがった見方をすれば、「安全宣言」をして「既設の原発」を救うために、最も危険であるとされている浜岡原発を犠牲にしたという見方も可能です。
 浜岡原発の稼働停止を打ち出すことによって、他の原発の稼働を維持できるようにし、同時に、国民の喝采を浴びて政権基盤を強めようと考えたのかもしれません。今回の「英断」は、菅首相の「高騰戦略」なのかもしれないのです。(以上、引用終わり)

 『朝日新聞』が報じている枝野さんや仙谷さんの発言は、私のこの指摘を裏付けているように思われます。
 しかし、同時に、菅首相は別の可能性も示唆していました。エネルギー政策を転換する可能性です。
 『朝日新聞』の記事は、先ほどの枝野さんや仙谷さんの発言に続いて、菅さんの次のような発言も報じていました。

 首相はこれまで「原子力、エネルギーせー策は(今回の)事故の検証を踏まえ、改めて議論する必要がある」と指摘。2030年までに14基以上の原発を新増設するとした現行のエネルギー基本計画についても「決まっているからそのままやるということにはならない」としており、新増設の凍結や太陽光、風力などの新エネルギーの推進などを議論していく意向だ。(以上、引用終わり)

 ここで言及されているエネルギー基本計画こそ、原発推進を明示した元凶です。民主党政権は首相の言葉どおり、「決まっているからそのままやるということ」ではなく、明確にこれを転換しなければなりません。
 かつて、民主党の03年の衆院選マニフェストには「風力や太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギーなどの再生可能エネルギーの開発普及のため、新エネルギーに関連する予算を現行より倍増させます」と書かれていました。
 原子力発電を過渡的エネルギーと位置づけ、太陽光や風力発電などへの転換を目指す姿勢を明確にしていたのです。この地点に立ち戻るべきでしょう。

 ところが、09年のマニフェストでは、「国民の理解と信頼を得ながら着実に取り組みます」と原発推進に転じてしまいました。その後は、原発輸出を「国家戦略プロジェクト」にするなど、自民党政権以上に原発政策に肩入れすることになります。
 このような民主党政権の転換を明確にしたのが、10年6月18日に閣議決定された「エネルギー基本計画」でした。これは自民党政権時代の02年6月に制定された「エネルギー政策基本法」に基づいて03年10月に策定された「エネルギー基本計画」を改定したものです。
 この計画は3年ごとに検討を加えて必要に応じて改定されることが定められており、07年3月に第1次改定が実施されました。したがって、10年6月の改定は第2次ということになります。

 この「基本計画」の第2章は「2030年に目指すべき姿と政策の方向性」となっており、その第2節「エネルギー源のベストミックスの確保」では、「非化石エネルギーの最大限の導入、化石燃料の高度利用等により、エネルギー源のベストミックスを確保する」とされています。
 そして、「我が国のエネルギー安全保障の強化に資する原子力や再生可能エネルギーなどの非化石エネルギーについては、政策総動員により、最大限の導入を図る」として、「原子力は、供給安定性・環境適合性・経済効率性を同時に満たす基幹エネルギーである」と書かれていました。こうして、「原子力は、……基幹エネルギー」としての位置づけを与えられ、「安全の確保を大前提として、国民の理解と信頼を得つつ、新増設の推進、設備利用率の向上等により、積極的な利用拡大を図る」ことが打ち出されます。
 続いて第3節は、「政策手法のあり方」となっており、「2.原子力発電の推進」の「(1)目指すべき姿」では、「原子力発電を積極的に推進する」「核燃料サイクルは、……確固たる国家戦略として、引き続き、着実に推進する」と述べています。そのうえで、具体的な目標として、次のような方針が掲げられていました。

 まず、2020 年までに、9基の原子力発電所の新増設を行うとともに、設備利用率約85%を目指す(現状:54 基稼働、設備利用率:(2008 年度)約60%、(1998年度)約84%)。さらに、2030 年までに、少なくとも14 基以上の原子力発電所の新増設を行うとともに、設備利用率約90%を目指していく。これらの実現により、水力等に加え、原子力を含むゼロ・エミッション電源比率を、2020 年までに50%以上、2030 年までに約70%とすることを目指す。(以上、引用終わり)

 同時に、「核不拡散、原子力安全、核セキュリティを確保しつつ、我が国の原子力産業の国際展開を積極的に進める」ことも、打ち出されていました。今から見れば、まことにとんでもない「基本計画」だったと言わざるを得ません。
 菅首相が「決まっているからそのままやるということにはならない」というのは、あまりにも当然のことなのです。かつて自公政権が敷いた原発推進路線をそのまま引き継ぐようなエネルギー政策は、きっぱりと転換しなければなりません。
 かつての民主党が打ち出していた「風力や太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギーなどの再生可能エネルギーの開発普及のため、新エネルギーに関連する予算を現行より倍増させます」という03年のマニフェストこそが時代を先取りするものであり、福島の教訓を踏まえた次代のエネルギー政策であるということができるでしょう。

 今からでも遅くはありません。エネルギー基本計画を根本的に転換するべきです。
 この点でこそ、政権交代の意味と菅首相のリーダーシップが問われているのだということを、是非、自覚していただきたいものです。

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