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9月22日(火) 政官財癒着の利益誘導型政治と構造改革路線の両方に対する反省が前提 [自民党]

 土曜日からの連休。シルバーウィークなのだそうです。
 仕事の関係で、今日は研究所に出勤しました。今日から後期の授業が始まっているはずなのに、多摩キャンパスは静かなものです。

 連休とはいっても、普段の休日と変わりません。今月中に、論文を2本、仕上げなければなりませんから、家にいるというだけの「休日」です。
 それでも、土曜日には、デビュー50周年記念という中村紘子さんのピアノ・リサイタルでサントリーホールに行きました。ここには、7月にもモスクワ管弦楽団のコンサートで来たばかりですが、どちらも知人に招待してもらったからです。
 正直に申せば、音楽の善し悪しはよく分かりません。そんな私にも、中村さんのピアノは、芳醇なウィスキーの香りが上り立つような円熟味あふれる熟達した演奏だったような気がしました。

 ところで、自民党の総裁選挙です。西村、河野、谷垣の3人の方が立候補しています。
 一方で「世代交代」、他方で「全員野球」が叫ばれています。しかし問題は、それによって何をめざし、何を実現しようとするのか、ということでしょう。
 自民党の敗北は、古い自民党のやり方と新しい自民党のやり方の両方が国民によって拒否されたために生じました。この両者に対する反省と、そのいずれでもない政治のあり方が示されなければ、自民党の再生は不可能でしょう。

 古い自民党のやり方とは、政(族)・官・財(業)の癒着による利益誘導型政治です。これは、旧日本型とでも言うべき開発主義的経済発展の政治でした。
 新しい自民党のやり方とは、新自由主義的な構造改革路線です。これは、アメリカ型とでも言うべき規制緩和と民営化の政治でした。
 このいずれもが失敗し破綻したために、自民党は歴史的な役割を担うことができなくなったのです。したがって、旧日本型とアメリカ型の両者に対する反省と、そこからの転換が前提とされなければなりません。

 民主党が掲げている旗印は、「官僚政治の打破」と「生活が第一」です。前者は旧日本型に代わるものであり、後者はアメリカ型が生み出した問題の解決を目指すものです。 つまり民主党は、それなりに、旧日本型とアメリカ型に代わる「第三の道」を指し示していました。だからこそ、総選挙で国民の支持を得ることができたのです。
 一方では、官僚に対する政治の優位を打ち出し、新しい政・官関係を生み出そうとする模索が続いています。他方では、構造改革が生み出した貧困と格差の拡大を是正するために、再分配政策に着手しようとしています。

 自民党は、このような民主党に対抗する新しい政治の姿を示さなければなりません。官僚政治を打ち破り国民の生活を立て直すことができるような「もう一つの選択肢」を示すことができるかどうかが、今回の総裁選挙では問われているはずです。
 しかし、候補者の誰一人として、そのような問題意識を持ち合わせているようには見えません。「世代」と「派閥」に目が奪われ、時代が提起している課題を自覚できていないということです。
 ここに、自民党の最大の危機があるというべきでしょうか。このままでは、誰がなっても、自民党が勢いを盛り返すのは難しいように見えます。
 
 なお、以上の点について、詳しくは、24日(木)の夜、アジア記者クラブでの講演でお話しさせていただくつもりです。関心のある方は、渋谷区勤労福祉会館までお越しいただければ幸いです。

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コメント 4

与太郎

五十嵐さん、そろそろ20世紀の博物館へ行かなければならないような政治勢力にわざわざ儚い未来を期待させるようなお説教をするよりも、「民主党政権の限界」や彼らの改革と左派的改革の差別化を明確にする理論的努力をされた方がよろしいのではないでしょうか?

オバマ米大統領や鳩山新政権の打ち出している方向をみていると、左派の改良主義的な改革目標がそれらの改革とも明確な差別化をはかって人類的支持を本当に獲得出来るのかどうか、最近ちょっと心配になってきましたよ。

かつても「植民地なき帝国主義」や「核兵器なき資本主義」が理論的に可能か?などという議論があったようですけれど、従来保守勢力とみなされていた政治勢力が環境問題や金融、税制、雇用などの政策分野で資本への規制を強めざるを得ない情勢になってくると果たして改良主義的な左翼が存在意義を増大出来るのか疑問になってきました(美化論、楽観論が過ぎるでしょうかね?)

「資本主義の枠内での改革」や「市場社会主義」などしかヴィジョンを示せない左翼勢力じゃ、政治的インパクトや理念の点で人類の希望の星にはなれないように思うんですがねぇ。
by 与太郎 (2009-09-25 15:01) 

bogus-simotukare

与太郎さん
私個人は狭義の左派(アンチ資本主義・ポスト資本主義的なもの?)じゃないんで、オバマや鳩山がいい政治を行うのであれば、狭義の左派がどうなろうと構わないのですが、いくつか。

>従来保守勢力とみなされていた政治勢力が環境問題や金融、税制、雇用などの政策分野で資本への規制を強めざるを得ない情勢

与太郎さんがおっしゃるように現段階では「美化論、楽観論が過ぎる」のでは?
鳩山については今のところ分からないことが多いですし、オバマについても国民保険改革(アメリカでは騒がれているが、ヨーロッパなどでは当たり前の改革に過ぎないらしい)以外に左派的なのって、どれだけありましたっけ。
(また、オバマ、鳩山が左派的な理念を持っていたとしてもそれで党内をまとめていけるのかという問題もある)

それと「市場社会主義」はともかく、「資本主義の枠内での改革」はあくまでも過渡的なもの(すぐに資本主義から脱却するというのは現実的でないし、日本はヨーロッパの資本主義レベルよりも福祉等が後れた国なので)だと思いますが。
by bogus-simotukare (2009-09-26 07:35) 

与太郎

bogus-simotukareさん、コメントありがとうございます。

いやね、「私の杞憂」は国連総会での「チャベスの冗談」だけじゃなく、すでに多くの左派系人士の間で出始めているように思うのですよ。左翼のアイデンティティーや存在意義を脅かされるんじゃないか?という杞憂です。
もちろん、それはそれで政治的に前進ではあるんですけれど、だからこそ「民主党政権の限界」なんて変なことも書いたわけで・・・

「チャベスの冗談」も公的保険制度の導入問題だけではなく、大企業や富裕層への課税強化や環境問題などでの企業規制をみてのものだと思うのですね。諸国民が支持するこういう方向性が、今後いっそう進化・普遍化する可能性も排除出来ないでしょ?どうでしょう?
そして、オバマや鳩山新政権の改革が、しょせんは「資本主義の枠内の改革」だとしても、一方の左派も「資本主義の枠内の改革」以上の改革を具体性をもって対置出来ているわけではない以上、あの「冗談」には半ば左翼の杞憂も含まれているんじゃないでしょうかね?
国有・国営型「社会主義」が崩壊したと思ったら、今度は「社会主義市場経済」や抽象的な「反資本主義」のスローガンしかないようですからね、現在の世界の左派には。「進んだヨーロッパ」でも左派が今一歩支持を伸ばせない原因にはそこら辺があるのではないでしょうか?

どうでしょう???
by 与太郎 (2009-09-26 17:29) 

bogus-simotukare

私は狭義の左派じゃないんでぶっちゃけ狭義の左派がどうなろうと知ったことではないし、バカなので彼らがどんな議論をしているかもよく知らないのですが・・・・。

>左翼のアイデンティティーや存在意義を脅かされるんじゃないか?という杞憂

現時点では、それは杞憂では?。残念ながら、「新自由主義万歳」「国家主義万歳」という従来型保守は完全に滅んだ訳じゃありません(むしろ今もそういった保守が主流では?)。とりあえずはそういう従来型保守にどう完全勝利するかが当面の目標でしょう。もしオバマ的な方向に世界の保守の大勢も行くなら私としては望ましいことだと思います。その時は、左派も頑張ってほしいと思いますがどうでしょうねえ?

>「社会主義市場経済」や抽象的な「反資本主義」のスローガンしかないようですからね、現在の世界の左派には。

左派も神様じゃないから、「これで全て解決」と言う処方箋を書くのは難しいでしょう。試行錯誤で頑張るしかないんじゃないですか?
by bogus-simotukare (2009-09-27 15:58) 

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