So-net無料ブログ作成

9月7日(木) 北朝鮮危機でどのようなことがあっても軍事衝突だけは避けなければならない [国際]

 相変わらず北朝鮮危機が国民を不安な気持ちに追い込んでいます。襟裳岬の東方に落下したミサイル発射に続いて「水爆」実験が行われ、ICBMの発射実験の兆候が見えるという報道もありました。
 このような北朝鮮の行動は断じて許されません。国連を中心として国際社会が団結し、危機の鎮静化を図ることが急務になっています。

 「米朝の軍事衝突が絵空事でなくなった」との見方が強まっています。軍事的な挑発行為が繰り返されエスカレートするなかで、意図せざる偶発的な衝突が生ずる危険性も高まってきました。
 しかし、いかなる状況の下でも、軍事衝突だけは絶対に避けなければなりません。今最も必要なことは、戦争につながる可能性を高めるのではなく衝突回避のために努力することです。
 北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返しているのは、アメリカの圧倒的な軍助力を恐れ、自国の安全保障と体制維持に大きな不安を感じているからです。そうであれば、このような恐れや不安を低めるための措置を取ることこそが必要なのであり、軍事を含めた「圧力」を強めて危機を煽ることは完全な逆効果になります。

 トランプ米大統領は「あらゆる選択肢」があると言って、軍事的な手段を否定していません。場合によっては、北朝鮮を攻撃する可能性があることを示唆しています。
 韓国は北朝鮮の指導部を直接攻撃する部隊を新設する方針を明らかにし、THAADの追加配備を行い原子力空母の派遣をアメリカに要請しています。日本政府も陸上イージスの導入を目指し、日米韓の共同訓練や連携強化など軍事的対応策を強め、石破さんは核兵器の持ち込みについての議論を始めるべきだと言い出しています。
 北朝鮮が危機感を高めることが分かっているのに、日米韓こぞって軍事的な圧力を強めて脅しつけようとしているわけです。当然、北朝鮮は反発して軍事的な対抗措置を強めますから、危機は沈静化するどころかエスカレートするばかりです。

 もちろん、アメリカも北朝鮮も軍事的な解決を望んでいるわけではありませんし、そうしてはなりません。もし、戦争になれば韓国に甚大な被害が出るだけでなく、日本も攻撃され、その影響はアジアのみならず世界全体に及ぶことになるでしょう。
 日本にとって軍事的な選択肢はありえず、非現実的なものです。それにもかかわらず、安保法の成立によって「日本の安全に重大な影響がある場合」や「重大な危機にさらされた場合」には、集団的自衛権を行使して米軍を支援することになっています。
 現在の自衛隊は安保法成立以前の自衛隊ではなく、日米軍事協力の意味も大きく変質しました。「今の内なら攻撃されることはない」と考えてトランプ大統領が北朝鮮への攻撃を決断した場合、巻き込まれるのは自衛隊だけではなく日本と日本人全体なのです。

 いささかでもそのような危険を生んではなりませんが、そのために安倍首相は何をしてきたのでしょうか。「これまでにない深刻かつ重大な脅威」とか「異次元の圧力」などと勇ましい言葉を繰り返し、対話を拒んで圧力強化一本やりの対応に終始してきただけではありませんか。
 「出口」のない圧力強化は「暴発」を招くだけです。少なくとも、相手にとって「挑発」と受け取られ、反発して危機感を高めるような行動を慎むだけの冷静な対応が必要なのではないでしょうか。
 トランプ米大統領と一体となって北朝鮮を刺激することは、日本にとってのリスクを高めるだけです。スイスのロイトハルト大統領は4日、北朝鮮情勢をめぐる問題の解決に向けて仲介役を務める用意があると明らかにしましたが、本来これは平和憲法を持つ日本の総理大臣こそが言うべき言葉だったのではないでしょうか。

 北朝鮮が戦争への突入覚悟で危機を高めていくということは考えにくく、いずれは対話へと舵を切ることでしょう。駆け込み実験でアメリカに到達できるICBMの開発などを終えることをめざし、それまでは何があっても屈しないと腹を固めているのかもしれません。
 もしそうなら、いくら「圧力」を強めても無駄です。アメリカとの直接交渉を働きかけ、体制維持を約束して自国の安全保障への不安を和らげ、無理をして軍事力を増強する必要はないのだということを分からせることの方が、衝突回避にとってずっと効果的なのではないでしょうか。

nice!(0) 

9月2日(土) 市民と野党との共闘重視の「ニュー前原」にならなければ民進党の再生は困難だ [民進党]

 注目された民進党の代表選挙が終わりました。当選したのは、予想されていた通り前原誠司元外相です。
 「昔の名前で出ています」と、古い歌を歌っていてはいけません。市民と野党との共闘を重視し推進する「ニュー前原」とならなければ、新しい執行部の下で民進党の再生を実現することは難しいでしょう。

 代表選での得票は、前原さんが国会議員、国政選挙の公認候補予定者、党員・サポーター、地方議員による投票の全てで枝野幸男前幹事長を上回って502ポイントとなり、総計851ポイントの過半数を制しました。枝野さんは332ポイントでしたが、東京での地方議員票、党員サポーター票では上回り、今後の党運営に影響する国会議員票でも前原さんが83票、枝野さんが51票で、予想よりも善戦したと見られています。
 今回の代表選は蓮舫代表の辞意表明を受けて実施されもので、新代表は9月末に召集される予定の臨時国会、10月の衆院3補選(青森4区、新潟5区、愛媛3区)の対応など、党勢の立て直しに向けての手腕が問われます。
 特に3つの補選については、蓮舫前代表が6月に、共産、自由、社民3党の党首と会談して総選挙でも「4野党が協力して候補者調整を行う」ことなどで合意しています。枝野さんはこの合意に基づいて連携を進めると主張していましたが、前原さんは見直す考えを示していました。

 このように、今回の党首選では共産党との選挙共闘が争点の一つになりました。このこと自体が、日本政治における新たな段階を示しています。
 これまでであれば、このような形で民進党と共産党との共闘への対応が問われることもなく、それが代表選での大きな焦点に浮かび上がることもなかったでしょう。それが代表を選ぶ基準の一つとされ重要な争点となったところに、市民と野党との共闘が極めて重要な政治課題となっていることが示されています。
 その点では、民進党の代表選は前進的な変化の中で闘われたということが言えるでしょう。この変化をさらに前へと進めるのか、それともここでストップさせてしまうのかが、民進党だけでなく市民と立憲野党の全体に問われています。

 そもそも、このような新たな政党連携に向けての動きは安保法(戦争法)反対運動の中から自然に沸き上がってきました。「戦争法廃案」と合わせて、次第に「野党は共闘」という声が高まってきたのです。
 それは「力を合わせなければ勝てない」という冷静な現状認識に基づき、「力を合わせることができる」という共通の立場と一地点の形成を踏まえたものでした。そして、市民と立憲野党は「力を合わせれば勝てる」という可能性に賭けたのです。
 こうして、政治への失望が希望に変わり、新たな共闘によって支持を拡大すれば勝てるという「勝利の方程式」が編み出されました。その後の5党合意、参院選1人区での11人当選、新潟県知事選、仙台市長選などによって、単に可能性を生み出すだけでなく実際に勝利を勝ち取れることが実証されました。

 このようななかで民進党内にも変化が生じ、前原さんも以前の前原さんではなくなりました。北海道5区補選の投票日前日、共産党の小池書記局長や穀田国対委員長とともに宣伝カーの上で演説した前原さんの姿が記憶に残っています。
 一時は「犬猿の仲」で決別した小沢一郎さんとの関係を修復したとのニュースもありました。こうして「ニュー前原」への変身が注目されたものです。
 その前原さんは、さっそく10月の補選にどう対応するのか、共産党などの立憲野党との選挙協力をどうするのかが問われることになります。最近では、党内の保守系議員たちが望む「日本ファーストの会」との協力関係構築を目指す考えに傾いているとも言われていますが、これまでの経緯を尊重し約束を守って「ニュー前原」の道を歩み続け、立憲野党の統一候補擁立に踏み出す以外に民進党再生の道はありません。

 すでに、多くの地域や選挙区で市民や立憲野党などによる共闘実現に向けての努力が積み重ねられ、衆院小選挙区で市民連合などの共闘組織が誕生するなど具体的な成果が生まれています。東京では25選挙区中19の選挙区で、神奈川・埼玉・千葉ではすべての小選挙区で、このような組織ができました。
 野党共闘を是とし、そのために努力してきた誠実な民進党員や地方組織も存在しています。このような地域や選挙区の実情を無視することは許されず、また選挙で勝利したいのであれば、無視することはできないでしょう。
 有権者の支持を得ようとすれば、支持が得られるような方針を掲げて行動せざるをえないからです。安保法の廃止など一致できる政策ではすでに一定の合意があり、選挙協力に向けての約束は公党間でのものですから、それを一方的に反故にすることは許されません。

 信義を重んじず、約束を守らないような人も政党も信頼を失います。理念が異なる別の政党であっても、政策が一致すればその範囲内で共に行動することは可能です。
 だからこそ、アベ暴走政治をストップさせ、立憲主義を守るという一点での共同を進めてくることができたのではありませんか。それを否定してひっくり返し、元に戻そうとしてはなりません。
 これからは、前原さんをとりまく民進党内の保守系議員などとの綱引きが始まるでしょう。私たちとしては、再び「野党は共闘」の声を高め、統一への流れを強めていくしかありません。

 歴史は「見ている」ものではなく「作るもの」であり、問うべきは「どうなるか」ではなく「どうするか」です。そして、「どうするか」を判断する基準、いわば「リトマス試験紙」は安倍首相です。
 安倍さんが「青くなる」かどうかで判断するべきでしょう。市民と野党が力を合わせ、内閣打倒にまで安倍首相を追い込んでいかなければなりません。
 そのために必要なことは何でもやるべきです。間違っても安倍さんを手助けしたり、喜ばせたりするようなことをしてはなりません。

nice!(0) 

9月1日(金) 日米同盟のみに依存して目先の圧力強化にこだわってはならない [国際]

 「北朝鮮に関する日米の利害はミサイル問題などで必ずしも一致してこなかった。米国は中国とは安保理でも協議を深めており、日米同盟のみに依存して目先の圧力強化にこだわれば、はしごを外されかねない。」

 これは「国連で安保理担当の政務官を4年前まで務め、交渉の舞台裏に詳しい川端清隆・福岡女学院大教授(国際政治)」の発言です。昨日の『朝日新聞』8月31日付に掲載されていました。
 川端さんが指摘する通り、「日米の利害はミサイル問題などで必ずしも一致」していません。大陸間弾道弾(ICBM)が開発される以前から、日本は短距離や中距離ミサイルの射程内に入っており、余りにも北朝鮮に近いためミサイル防衛は技術的にほとんど不可能だからです。
 したがって、トランプ米大統領にはICBMがアメリカ大陸に届くようになる前に軍事的手段を行使する選択肢があったとしても、すでにミサイルの射程内に入っている日本にはそのような選択肢はあり得ません。安倍首相には、このような違いが分かっているのでしょうか。

 中国との関係も、アメリカと日本では大きく異なっています。「米国は中国とは安保理でも協議を深めて」いると川端さんは指摘されていますが、逆に安倍首相は中国を敵視し、その包囲網づくりを外交政策の重要な柱としてきました。
 北朝鮮危機が高まったために慌てて中国との関係を強めようとしていますが、足元を見透かされるだけです。ここでも、安倍外交は破綻していると言わなければなりません。
 北朝鮮の核開発やミサイル実験を抑制し、朝鮮半島の非核化を実現するために中国との協力関係をどう打ち立てていくのかという長期的な戦略を欠いたまま、ひたすら包囲網づくりに精を出してきたのが間違いだったのです。その結果、北朝鮮危機打開のために協力できるような信頼関係を失ってしまいました。

 さらに川端さんは、「日米同盟のみに依存して目先の圧力強化にこだわれば、はしごを外されかねない」と指摘されています。誰によって「はしごを外され」るのかと言えば、それはアメリカです。
 安倍首相は「北朝鮮に対話の用意がないことは明らかで、今は圧力をさらに高める時だ」と強調し、トランプ大統領もツイッターで北朝鮮との「対話は解決策ではない」と書いて再び態度を硬化させました。2度の電話による日米首脳会談で、トランプ大統領は安倍首相に説得されたのかもしれません。
 しかし、マティス米国防長官は「我々は外交的解決を決してやめていない」と述べて、交渉による解決を目指す米政府の姿勢を改めて強調しました。マクマスター米大統領補佐官(安全保障担当)も「米国は北朝鮮問題の平和的解決を優先する」と語っています。

 かたくなに「対話」を否定する安倍首相の態度は極めて特異なものであり、まるで危機の激化と緊張関係の強化を望んでいるかのようです。その対応は冷静さを欠き、国民に対して危機感を煽る異常な姿勢が際立っています。
 歴史を振り返って見れば、いつの時代でも権力者は自らの利益のために紛争を起こし、危機感を煽りたててきました。安倍首相も例外ではなく、自らの利益のために北朝鮮との紛争を利用し、危機を煽り立てているかのようです。
 「森友」「加計」学園疑惑や都議選での敗北、内閣支持率の低下などで守勢に立った内政から外政へと国民の目を転じ、頼りになる指導者を演じて支持回復を図ろうとしているのではないでしょうか。北朝鮮危機を軍事費の増大や軍備の強化、軍需産業の拡大、ひいては9条改憲に結びつくような世論作りに利用しようとしているように見えます。

 国民に不安を与えないこと、安全や安心への配慮よりも自らの政治的な思惑を優先しているから、北朝鮮危機を本気で解決する気がないのです。ただひたすら圧力強化のみを主張し、日米共同演習など軍事的な対応をちらつかせながら北朝鮮を屈服させようとするばかりです。
 このような対応はまさに「武力による威嚇」そのものであり、憲法9条に反しています。日本が「はしごを外され」国際的に孤立する前に、このような対応を転換するか、安倍首相を交代させなければなりません。

 これについて、『日刊ゲンダイ』8月30日付で私は次のようにコメントしました。
 「日本国内が過剰に反応すればするほど、北朝鮮の思うツボですよ。騒ぎを起こして、世界に見せつけようというのが北の狙いなのですから。それに、国民が不安を感じざるを得なくなってしまったのは外交・安保政策の失敗にあるのに、安倍政権は不安を煽って対外緊張を支持率回復につなげようとしている。ひどい話です」(政治学者の五十嵐仁氏)

 なお、9月の講演などの予定は以下の通りです。お近くの方や関心のある方に足を運んでいただければ幸いです。

9月2日(土)13時 横浜市上郷・森の家:神奈川革新懇
9月3日(日)13時30分 横浜市市民活動支援センター:横浜市中区革新懇
9月9日(土)14時 レインボープラザ北九州:北九州革新懇
9月10日(日)13時 千葉土建船橋習志野支部会館:船橋革新懇
9月24日(日)14時 あ~ちぷらざ東京土建板橋支部会館:なかいた・ときわ台9条の会

nice!(1) 

8月29日(火) 北朝鮮危機は対話で解決するしかない [国際]

 戦争の危機が間近に迫ってきたような緊迫感に包まれました。日本の上空をミサイルが通過し、太平洋に落下したからです。
 このような危機を高めたのは北朝鮮の金正恩政権であり、国連決議違反のミサイル発射は許されるものではありません。同時に、北朝鮮をここまで追い込んだのはトランプ米大統領の恫喝であり、安倍首相による圧力一辺倒の瀬戸際政策であったということも、同時に指摘しておかなければなりません。

 本日午前5時58分ごろ、北朝鮮は北東方向に向けて飛翔体を発射し、北海道の襟裳岬の東方約1180キロの太平洋上に落下しました。発射されたのは中距離弾道ミサイルとみられ、発射7分後に北海道に達し、9分後に襟裳岬上空を通過したと発表されています。
 米韓両軍は21日から合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」を行っており、演習に反発し対抗した形です。金正恩政権は大陸間弾道ミサイル(ICBM)などミサイル試射を繰り返していますが、金正恩政権下で日本上空を通過させたのは初めてのことになります。
 北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて全国瞬時警報システム(Jアラート)が発令され、記者会見した菅義偉官房長官は「わが国の安全保障にこれまでにない深刻かつ重大な脅威だ」と北朝鮮を強く非難しました。また、安倍首相も「わが国を飛び越えてミサイルが発射されたのは、これまでにない重大な脅威だ」と強調し、国連安全保障理事会の緊急会合を開催するよう要請する意向を明らかにしました。

 とうとう、事態はここまで悪化してしまいました。対話を拒否して圧力一本やりで北朝鮮を屈服させようとしてきた安倍首相の方針が、ミサイル発射の抑止にとって全く無力だったからです。
 このような形で国民の不安を高める結果になったのは、歴代自民党政権の北朝鮮政策が失敗したからであり、安倍首相の対応が間違っていたからです。日朝関係の改善を最優先にして取り組んできていれば、事態は異なった形になり、ここまで危機が高まることはなかったかもしれません。
 かつて、小泉首相の訪朝と日朝平壌宣言、その後の拉致被害者5人の帰国、日朝国交正常化交渉という流れがありました。しかし、拉致問題最優先ということでこの流れをストップさせたために、結局は日朝間の国交正常化に向けての動きも拉致問題解決の可能性も閉ざしてしまことになりました。

 今また、対話を求める国際世論に背を向け、安倍首相は軍事力に頼る選択肢を排除せず、さらに圧力を強化すると言い続けています。しかし、このようなやり方ではミサイル発射を防げないことは、この間の経過がはっきりと示しています。
 今回の発射について、安倍首相は「レベルの異なる深刻な脅威だ」と発言しました。それなら、このような「脅威」を防ぐことができず、エスカレートさせてしまったことについての責任をどう考えているのでしょうか。
 そもそも、安保法制が審議されていた時、安倍首相はそれが必要な理由として日本周辺の安全保障環境の悪化を挙げ、安保法が成立して日米同盟の絆が強まれば抑止力が増大し、このような環境は改善されると請合っていたではありませんか。実際には、日米同盟の強化によって北朝鮮による敵視と警戒感が強まり、軍拡競争が激化して緊張感が高まり続けています。

 今回の例で明らかなように、北朝鮮のミサイルは7~8分で日本に到達します。これをミサイル防衛によって防ぐことは極めて困難です。
 アメリカとはちがって日本にとっての脅威は大陸間弾道弾(ICBM)ではなく、ノドンやスカッドなどの短距離・中距離のミサイルであり、それはすでに早くから配備されていました。このような脅威を防ぐための軍事的な手段は役に立たず、有効な防止策は政治的な手段だけです。
 軍事的抑止と経済制裁の強化には限界があり、そのような対抗措置以上に外交交渉を行う可能性を模索しなければなりません。米朝間の直接対話、南北間の交渉、日本を含む周辺諸国による6カ国協議の再開など、公式・非公式を問わず、戦争の危険性を低減させる可能性を追求するべきです。

 ところが、安倍首相は「対話のための対話は無意味だ」として交渉に反対してきました。相手側が軍事的な挑発だと受け取る可能性のある対応を自制し、交渉のテーブルに付きやすい環境を整備することこそ、何よりも今、求められていることではありませんか。
 一方が牽制し他方が反発するという形での軍事力による応酬が続く限り、このような対話は実現できません。前提条件を付けず、無条件での対話を実現するために、日本政府としても努力するべきです。
 これが憲法9条の求める道でもありますが、安倍首相にそのような意思はうかがえません。北朝鮮危機を解消し、日本周辺の安全保障環境を改善して戦争を防ぐためにも、安倍首相を退陣に追い込むことは急務となっています。

nice!(1) 

8月27日(日) 共闘のレベル上げてこそ [論攷]

〔以下のコメントは、『しんぶん赤旗』8月24日付、に掲載されたものです。〕

 これまで4野党は、野党だからということではなく、アベ政治を許さず暴走をストップするという大きな目標があり、この点で一致しているから共闘してきました。それが市民などの願いに沿ったものであったからこそ、参院選1人区、新潟県知事選や仙台市長選などで勝利することができたのです。
 このような共闘によって保守票が逃げることもなく、無党派層を引き付けることができるということは実証済みです。その効果を高めるためには、共闘のレベルを上げ、本気になって力を合わせなければなりません。
 共闘の実現は民進党になってからの大きな成果であり、旧民主党とは異なる重要な到達点でした。
 安倍政権を打倒するという大目標を実現するためには、これまで以上に政策的な一致点の水準を高め、幅を広げることが重要です。
 必要なのは、こうすれば勝てるという確信を持てる陣立てを実現することです。そうすれば、諦めていた人々に展望を示し、政治や投票への参加を促せるにちがいありません。


nice!(0) 

8月23日(水) 古い民主党の前原さんと新しい民進党の枝野さんの対決となった代表選挙 [民進党]

 「昔の名前で出ています」という歌を思い出しました。前原さんの出馬に当たっての発言を読んだときです。
 この発言のどこに新しさがあるのでしょうか。この間の運動の到達点が、一体どこに反映されていると言うのでしょうか。

 8月21日告示、9月1日投開票という日程で、民進党の代表選が実施されます。立候補したのは前原誠司元外相(55)と枝野幸男前幹事長(53)の二人で、一騎打ちの様相になりました。
 憲法改正や野党共闘、消費増税などをめぐって、保守系とされる前原さんとリベラル系と見られている枝野さんの主張は対照的になっています。しかし、代表選後にしこりを残さないようにするという配慮もあって、二人の違いはそれほど決定的なものではありません。
 記者会見の冒頭発言で枝野さんが「代表選の相手は、安倍晋三首相であり、自民党だ。同志である前原さんと競うのではない。前原さんと力を合わせ、遠からず政権を奪い返す」と強調しました。2人とも「目指す社会像は同じ」と述べて、党内融和を優先する姿勢を明らかにしています。

 改憲問題でも、民進党憲法調査会長である枝野さんは改憲を否定しないとしつつも安倍首相が目指す9条改憲には否定的です。前原さんも「9条3項などの形で自衛隊の明記を」としつつも、安全保障法制については「違憲」だとして安倍首相との違いを強調しています。
 つまり、両者ともに安倍さんの目指す改憲スケジュールには与しない姿勢を示しているということになります。この点では、共産党など他の野党とも共通しています。
 「対照的」とされる2人の候補者ですが、安倍さんの目指す2020年9条改憲施行という方針に対決するという点で共通していることは、今後の改憲阻止の運動にとって極めて重要です。この点で民進党はまとまっており、市民や立憲野党との共闘の基盤が存在しているということを確認しておきたいと思います。

 ただし、その他の消費増税や原発、共産党との共闘については、両者の主張に微妙な違いがあります。消費税増税をめぐっては、前原さんが増税を前提に「相当の覚悟」を要求しているのにたいし、枝野さんは「当面消費税を上げると言ってはいけない」と消極的です。
 また、原発政策では、前原さんが民主党政権時代に決めた「2030年代原発ゼロ」方針を踏襲しているのに対し、枝野さんは「相当早く原発ゼロを実現できる」として具体的な工程表を示す法案を年内にでも提出する考えを明らかにしました。前原さんは、ここでも「昔の歌」を歌っているということになります。
 福島第1原発での事故以降、原発ゼロを目指す運動が継続され、反原発の世論にも依然として大きなものがあるにもかかわらず、前原さんの見解には全く反映されていません。電力関連の労働組合や連合の圧力に屈し、労働組合頼りの姿勢を取り続けているという点で、民主党時代の「体質」と大きな変化はないと言わざるを得ません。

 このようななかで、最も大きな違いが示されているのが野党共闘をめぐる姿勢です。前原さんは共闘を「選挙互助会だ」と批判しています。
 「何を、今さら」と言いたくなります。民進党自体がある種の「選挙互助会」ではありませんか。
 これに対して、枝野さんは「参院選で成果を上げることができたのは理念、政策が違うなか、自民党の暴走を止めて欲しいという市民の声を受け、ギリギリの努力をしたからだ」と反論し、「排除する理由はない」と共闘を評価しています。幹事長時代に野党共闘路線を推進した枝野さんからすれば当然の発言ですが、ここでも連合との腐れ縁に引きずられ、この間の共闘の成果をきちんと評価できない前原さんの弱点が示されています。

 なお、理念・政策について枝野さんは「理念、政策が違うなか」と言い、前原さんも「政権選択をする選挙で理念・政策が合わないところと協力するというのはおかしい」と述べています。おかしくありません。おかしいのは、この考え方です。
 違う政党ですから、理念や目標が異なっているのは当然です。これが一致していれば、別の政党である理由はなく、合流すれば良いだけです。
 しかし、政策については事情が異なります。別の政党ですから全ての政策が一致することはありませんが、全ての政策が異なっているというわけではなく一致できる点もあります。

 この一致できる政策の実現を目指して協力し、必要であれば政権連合も組むというのが共闘の論理であり、連立政権の姿です。自民党と公明党の連立でも世界のどの国の連立政権でも、このような例は普通に見られます。 
 しかも、共産党を含む立憲野党には、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪などに反対するという明確な一致があり、「森友」「加計」学園疑惑や南スーダンPKOの日報隠蔽問題では疑惑解明という点での合意があり、アベノミクスに反対し「中間層」を大切にする経済政策という点でも共通する立場が形成されました。これらの政策的な一致点や合意、共通の立場があったからこそ共闘が可能になったのであり、それはアベ暴走阻止という一点に集約されたのです。
 まさに、枝野さんが「自民党の暴走を止めて欲しいという市民の声を受け、ギリギリの努力をした」と指摘されている通りです。この「市民の声」こそ共闘や連立の基盤であり、それに応えて勝利へと至ることのできる唯一の道が野党共闘だったのです。

 他方、小池百合子東京都知事の「小池新党(日本ファーストの会)」や離党組との関係では、枝野さんが「厳しく対応しなければならない」と述べているのに対して、前原さんは「総合的に判断する」として連携に含みを残しています。小池新党の理念や政策がどうなるかが、全く分かっていないにもかかわらず。
 これはダブルスタンダードであり、矛盾した対応ではありませんか。政策が部分的に共通している共産党との連携については背を向け、一致点があるかどうかも分からない小池新党との連携には前のめりになっているわけですから。
 この点に関連して、本日の『朝日新聞』には細川護熙首相の下記のような興味深いインタビューが掲載されています。「まさにその通り」と言いたくなるような内容です。

 「小池さんは例えば憲法や原発にしても、どの方向を目指しているのか分からない。知事就任後、2人で何度か会った際に『そうしたところをはっきりさせれば、政治的な幅ももっと広がっていく』と伝えたが、小池さんからはまだはっきり聞いていない。
 ――前原さん、枝野さんはどうですか。
 前原さんは小池さんと同様、明確に言っていないところがある。例えば自民党との距離感。『自民党と何が違うんだ』と感じることもあるし、憲法もそう。安倍晋三首相と言っていることは違わないんじゃないかと心配になることもある。野党共闘については、枝野さんの方が現実的に進めるんじゃないか。憲法も、私は枝野さんに考え方が近い。しかし、どちらかに肩入れしているわけではない。
……連立政権ができると政治も変わる。細川内閣の時は8党派で連立を組んだのだから。共産党とも政策的に一致できるところは一緒にやったらいい。同じ小選挙区に民進、共産両党が候補者を立てて、共倒れになるのは愚の骨頂だ。」

 民進党にとって、今回の代表選は「党分裂の危機」を乗り越えるためのものではありません。それは市民や野党との共闘を確固とした基盤の上に据え「党再生の好機」を生み出すためのものです。
 すでに「15年安保闘争」や参院選、新潟・仙台などでの地方選挙を通じて共闘の威力は実証されてきました。これらの取り組みにおいて、共闘実現のために力を尽くして汗を流し誠実に努力してきた民進党の関係者の方も沢山おられます。
 民進党の議員・党員・サポーターの皆さんには、この間の経験や実績を十分に踏まえた賢明な選択をしていただきたいものです。市民や立憲野党とともに「新しい歌」を歌えるような希望の持てる選択を……。

nice!(1) 

8月14日(月) ようやく1週間の帰省と休養、充電期間が可能になった [日常]

 明日、故郷の新潟・上越市に帰省します。1週間ほどの休養を取り、充電に努めたいと思います。
 実家の集落は日本海に近い古砂丘の上にあり、陸側は水田が海のように広がっています。その彼方には頸城連山が横たわり、子ども時代には「その向こう」に思いをはせていたものです。

 そして今は、「その向こう」のはるか遠くに住んでいます。「思えば遠くに来たもんだ」という歌の文句にある通りの人生になってしまいまいました。
 穀倉地帯新潟の専業農家の長男であったにもかかわらず、その家業を継ぐことなく縁遠い大学での研究者生活を送ってきました。その意味でも、「遠くに来た」ということになります。
 その学者人生もすでにリタイアしてしまいました。とはいえ、講演や執筆などに追われる日々を送っており、社会活動や運動からの「引退」はまだまだ先のことになりそうです。

 世界では、アメリカと北朝鮮が互いに挑発しあい、脅しあう「チキン・レース」が始まりました。不穏な空気が漂い戦争の危機が高まっていることに、遠く離れたドイツやフランなどのヨーロッパや中南米の指導者たちまでもが冷静な対応と自制を求め話し合いでの解決を主張しています。
 しかし、すぐ隣の日本の安倍首相は「交渉のための交渉はするべきではない」と述べて話し合いに反対し、故郷に帰って夫婦での盆踊りに興じています。何という大きな違いか、なんという無責任な態度なのかと驚くばかりです。

 安倍政権はアメリカのB1爆撃機と航空自衛隊機との共同訓練を行い、グアム周辺へのミサイル発射に備えてPAC3ミサイルを島根、広島、愛媛、高知の自衛隊基地に配備しました。しかし、PAC3は射程距離数十キロと短いので届かず、ほとんど「気休め」にすぎません。
 日本だけが軍事的対応一本やりである点に危うさを感じている国民は多いでしょう。 米朝ともに戦争を望んでいるとは思えませんが、偶発的な衝突の可能性は否定できません。
 戦争ではなく対話によって問題を解決するべきであるということを、各方面に訴える必要があります。政府は「武力による威嚇」を禁じた憲法9条に沿った冷静な対応に努めるべきでしょう。

 このような時に故郷に帰って休みを取るのはいささか気が引けますが、これも冷静な対応の一環ということでお許し願いたいと思います。情勢に流されず、一喜一憂することなく日常の生活を送ることこそ、私たち庶民にできることなのですから。
 『日刊ゲンダイ』8月12日付は、「『死に体』安倍政権を待つ時限爆弾」という記事で「心ある有権者は、帰省先で先祖に手を合わせながら、「政権打倒」を誓った上で、お盆休みを満喫して欲しい」と書いています。私は「心ある有権者」を自任していますから、「帰省先で先祖に手を合わせながら、『政権打倒』を誓った上で、お盆休みを満喫」させていただこうと思います。

 ということで、しばらくの間、このブログをお休みさせていただきます。来週の中ごろには再開しますので、ご了承いただければ幸いです。


nice!(0) 

8月12日(土) 「こんな人たち」の怒りが噴出した都議選 [論攷]

〔以下の論攷は、『東京革新懇ニュース』第424号、2017年8月5日付、に掲載されたものです。〕

 「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかないんです」
 都議選の最終盤、安倍首相は秋葉原駅前でこう叫びました。「こんな人たち」として敵視された都民の怒りが噴出し、驚天動地の結果になりました。自民党は改選57議席を23議席に激減させ、都民ファーストの会は49議席を獲得。その間で「埋没」すると見られていた共産党は改選17議席から19議席へと善戦健闘しました。

 積み重なった敗因

 自民党の敗北はかつて経験したことのないものです。これまでの最低は38議席でしたが、それを15議席も下回りました。文京区と日野市で惜敗した共産党候補が自民党候補を蹴落として当選していれば、21議席で並んでいたのに惜しいことをしました。
 どうしてこれほどの歴史的惨敗を喫したのか。それはいくつもの敗因が重層的に積み重なったからです。築地市場移転問題の混迷など「都政の闇」を生み出してきたことへの責任追及、通常国会での共謀罪法案の強行採決や不祥事、暴言など政治と政治家の劣化への批判、改憲発言や「森友」「加計」学園疑惑での安倍首相と夫人の昭恵氏への忖度や国政の私物化に対する不信感、安倍首相の政治姿勢や体質への嫌悪感などが蓄積され、怒りのマグマとなって爆発したのです。
 これにとどめを刺したのが、秋葉原駅前での安倍首相による「こんな人たち」演説でした。全ての国民を視野に入れ、その生命と生活を守って国全体を統合する役割を担うべき首相が、自分を批判する人々を「こんな人たち」とひとくくりにして非難したのです。国民を線引きして分断し、「味方」や「お仲間」には優しいアベ政治の本質が顕われた瞬間であり、それに対しても厳しい審判が下されました。

 ポピュリズム選挙という「突風」

 今回の選挙では。ポピュリズム選挙という「突風」が吹きました。この風に吹かれて舞い上がったのが小池百合子都知事に率いられた都民ファーストの会です。現有6から49議席に躍進し、追加公認を含めて55議席になりました。「今回だけは支持できない」「安倍首相にお灸を据えたい」と考えた自民党支持者や無党派層にとって「非自民」の「手ごろな受け皿」となったからです。
 このようなポピュリズム選挙の「突風」はアメリカの大統領選挙、フランスの大統領選挙や議会選挙でも吹きました。日本では日本新党、大阪維新の会や名古屋での減税日本などの議員も、ポピュリズムの風に押し上げられ、あれよあれよという間に当選し、議会に送り込まれたことがあります。
 しかし、日本新党の都議はすぐに消え、大阪維新や減税日本のブームもしぼんでしまいました。今回当選した「小池チルドレン」の半分近くは議員経験がなく、きちんとチェック機能が果たせるのか、これから問われることになるでしょう。「突風」による躍進にはポピュリズム選挙の危うさが孕まれていることを忘れてはなりません。

 共産党の善戦

 共産党は2議席増と善戦健闘し、得票数と得票率も増やしました。前回の都議選で8議席から17議席に倍増していますから2回連続での増加で、32年ぶりのことになります。都民ファーストの会への「追い風」が吹いたにもかかわらず、吹き飛ばされることなく前進したのは重要な成果でした。
 これは強固な組織的基盤の成果ですが、市民や他の野党との共闘の前進も大きな力になりました。無党派層の支持も増え、出口調査(8社共同)では、支持政党なし層の投票先として共産党は19.6%で、都民ファーストの会の20.8%に次ぐ2位となっています。
 「森友」「加計」問題などでの調査と追及、アベ政治に対峙し続けてきたぶれない政治姿勢、9条改憲阻止など国政上の争点も訴えた選挙戦術、豊洲移転に反対して築地再整備を掲げた唯一の政党という政策的立場などが支持された結果です。安倍首相に最も強烈な「ノー」を突きつける「反自民」のための「信頼できる受け皿」として選ばれたということでしょう。
 このような「受け皿」を提供することができれば、総選挙でも地殻変動を起こして自民党を大敗させることができます。市民と野党との共闘によってそのような「受け皿」を生み出すことができるかどうかが問われています。
 内閣支持率が低下し続け、「潮目」が変わりました。いつ国会が解散されても勝利できるような準備を進め、安倍政権を解散・総選挙に追い込むことがこれからの課題です。

nice!(0) 

8月11日(金) 幕引きのためのアリバイ作りにすぎなかった日報隠蔽疑惑についての閉会中審査 [国会]

 自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題に関する閉会中審査が衆参両院で開かれました。この隠蔽に稲田朋美前防衛相がかかわっていたのではないかとの疑惑を解明するためのものでしたが、中心人物は招致されず、事実関係ついての説明が拒まれ、再調査もしないなど、結局は幕引きのためのアリバイ作りにすぎなったようです。

 そもそも、隠蔽問題を協議したのではないかという疑惑の中心である稲田前防衛相や防衛省事務方トップの黒江哲郎事務次官、陸上自衛隊トップの岡部俊哉陸上幕僚長の出席が自民党によって拒否されました。疑惑解明のための参考人招致であるにもかかわらず、その疑惑の中心人物を招致しなかったわけです。
 初めから疑惑を解明する気がなかったと言うしかありません。野党の要求に応えたポーズをとり、国民の批判を和らげるためのアリバイ作りにすぎない対応でした。
 自民党は辞任したことを招致拒否の理由としていましたが、田中真紀子元外相を招致した例がありました。今回の対応によって、辞任すれば説明責任を逃れられるという前例を残したことになります。

 委員会の冒頭、小野寺五典防衛相は特別防衛監察の結果を説明して「大変厳しく反省すべきものだと受け止めている。再発防止に努めたい」と述べ、「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しい中、国民の皆さまに本当に申し訳ない」と陳謝しました。そのうえで、「情報公開に対する姿勢に疑念を抱かせ、防衛省・自衛隊のガバナンスに対する信頼を損なった」と反省の弁を述べました。
 しかし、質疑では、野党が防衛監察報告の有無やそれぞれの証言者の内訳などを追及したのに対し、防衛監察本部の担当者は「個人が特定され、供述が明らかになる恐れがあるので差し控える」と踏み込んだ説明を拒み、防衛省の辰巳審議官も「これ以上申し上げることは差し控える」と繰り返し、具体的な説明を拒否ました。また、稲田防衛相に日報データを報告した際のやりとりを残したとされるメモや、陸自がまとめた調査結果の公表を要求されると、小野寺さんは「入手した資料を開示すれば、今後の監察業務に支障をきたす」とノーコメントを連発しました。
 新しい事実が出てこない不毛なやり取りが続いたわけですが、それは関係者が新しい事実を出すことを拒み、隠蔽問題の解明にかかわる事実関係についても更なる隠蔽を繰り返したからです。不毛なやり取りは、野党の質問に対して誠実に答え事実を解明すると言う姿勢が欠落していたからにほかなりません。

 野党側は、防衛省が行った特別防衛監察では引稲田朋美元防衛相の関与の有無が曖昧だとして再調査を求めたのに対し、小野寺防衛相は稲田さんにも間違いがないかを確認したとして「しっかり報告された内容だ」と強調し、再調査を行う考えがないことを明らかにしました。
 これで幕引きを図るために開かれた閉会中審査でしたから、こう答えるのは当然かもしれません。しかし、それで世論は納得するのでしょうか。
 国民の信頼を回復するためには、「隠蔽内閣」としてのあり方を一掃しなければなりません。真相を明らかにするために必要なこと、国民が知りたいことを包み隠さず明らかにすることが必要です。

 自衛隊が日報を公表しない判断をした背景には、安保法に基づく「駆け付け警護」などの新しい任務を付与するために撤収するわけにはいかないという政権への忖度があったのではないでしょうか。この判断については稲田さんだけでなく安倍首相も関与していたのではないかという疑惑は残ったままです。
 第三者による再調査や国会による真相解明、稲田さんだけでなく黒江前防衛事務次官や岡部前陸上幕僚長ら関係者らの証人喚問などが不可欠です。幕引きを図ってウヤムヤにしようという「隠蔽内閣」の目論みを許してはなりません。

nice!(0) 

8月10日(木) 次々と明らかになってきたアベ暴走政治の破綻 [首相]

 鳴り物入りの内閣改造によって選挙での敗北と支持率の低下という「負のスパイラル」からの脱出を図った安倍首相でした。しかし、それは成功せず、アベ暴走政治の破綻が次々と明らかになってきています。

 その第1は、非核政策の行き詰まりです。6日に広島で、9日に長崎で開かれた原爆犠牲者を追悼する平和式典に参加した安倍首相は7月に国連で採択された核兵器禁止条約について全く言及せず、「どこの国の総理か」と被爆者から鋭く批判されました。
 長崎での式典で平和宣言を読み上げた田上市長は「核兵器のない世界を目指してリーダーシップをとり、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役を務めると明言しているにも関わらず、核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください。日本の参加を国際社会は待っています。また、二度と戦争をしてはならないと固く決意した日本国憲法の平和の理念と非核三原則の厳守を世界に発信し、核兵器のない世界に向けて前進する具体的方策の一つとして、今こそ「北東アジア非核兵器地帯」構想の検討を求めます」と日本政府に訴えました。この式典に参加していた国連等国際機関、58の国や地域と欧州連合(EU)等の代表もこの訴えを聞いたはずです。
 唯一の戦争被爆国の政府であるにもかかわらず核兵器の禁止を求める国際社会の大きな波に背を向けて「ゼロ回答」を続ける安倍首相の姿こそ、日本のトップリーダーとしての資格の欠如を明確に示しています。非核の政府を実現するためには、安倍首相を交代させるしかありません。

 第2に、日本周辺の安全保障環境の悪化です。北朝鮮のミサイル発射実験をめぐって国連はかつてない厳しい制裁決議を挙げ、アメリカと北朝鮮は激しく挑発しあっています。
 トランプ大統領は「世界がこれまで見たことのないような砲火と激烈な怒りに直面することになるだろう」と強く警告し、北朝鮮は「米国に厳重な警告を送るため、中長距離弾道ミサイル『火星12』によるグアム島周辺の包囲射撃作戦を慎重に検討している」という声明を出すなど朝鮮半島情勢は緊迫の度を増し、航空自衛隊のスクランブルの回数は過去最多になっています。戦争が始まるのではないか、それに巻き込まれるのではないかという国民の不安が高まっているのも当然です。
 しかし、安保法が審議されているときに安倍首相は、この法律が制定されて日米同盟の絆が強まり「抑止力」が高まれば日本周辺の安全保障環境は改善されると請合っていました。安保法の成立によって実際に強化されたのは「抑止力」ではなく軍事的挑発であり、北朝鮮とアメリカなどの軍拡競争に日本が巻き込まれてしまったというのが現実です。

 第3には、「森友」「加計」学園疑惑の深まりと「佐川隠し」です。閉会中審査の後も、疑惑を裏付ける新たな事実が次々と明らかになっています。
 「森友」学園疑惑では、値引きの根拠とされたゴミは100分の1しか存在しなかったこと、最初から金額を提示しての交渉だったこと、異例の10年分割が提案されていたことなどを裏付ける音声や文書資料が出てきています。「加計」学園疑惑では、愛媛県と今治市の担当者が2015年4月2日に首相官邸を訪れた際に加計学園事務局長が同行していたこと、官邸で対応したのが当時の柳瀬唯夫・首相秘書官(現・経済産業審議官)だったこと、このとき下村文科相がやってきて「やあ加計さん。しっかりやってくれよ」と激励されたという証言があること、2016年6月に開かれた国家戦略特区諮問会議にも加計学園側の幹部3人が出席していたにもかかわらず伏せられており、議事要旨も改ざんされていたことなどが分かりました。
 「森友」疑惑を隠蔽する先頭に立っていた佐川理財局長は国税局長官になりましたが、慣例となっている就任会見を取りやめました。「森友」疑惑について質問が集中することを恐れての措置だとみらており、説明や言い訳ができないから逃げ隠れしているということでしょう。

 第4に、南スーダン日報問題と「稲田隠し」です。この問題では本日閉会中審査が開かれていますが、稲田朋美前防衛相などの当事者は参加していません。
 行政文書の扱いや公文書管理のずさんさ、自衛隊に対するシビリアンコントロールという点でも大きな問題がありますが、それ以上に「戦闘」と書かれた日報が意識的に隠されたのではないかという疑惑があります。陸自などの現場が勝手にやったのではなく、稲田防衛相やさらにその上の安倍首相からの指示によるものではなかったのかという疑惑が生じていますが、当人が出てこないのでは、どれだけ解明されるか大いに疑問です。
 日報に対する情報開示請求が出されたのは安保法によるPKOへの新任務付与が問題になっており南スーダンでの安全性に疑問が出されているときでした。そんなときに「戦闘」と書かれた日報を開示するわけにはいかないということで廃棄したことにして廃棄し、事実を隠蔽したということではないでしょうか。

 第5に、内閣改造の不発と新たな「火種」の発生です。安倍首相の目論み通り、改造後の内閣支持率は軒並みアップしましたが、それは期待されたほどではなく、それどころか前途を懸念させるに十分な不安材料がてんこ盛りとなっています。
 改造による支持率アップは野田聖子総務相と河野太郎外相という「異分子」の入閣が評価されたためですが、これも新たな「火種」となる可能性があります。「異分子」が安倍首相に従えば国民は失望し、もし従わなければ閣内不一致となるかもしれないからです。
 早くも、江崎鉄磨沖縄北方相の失言が飛び出してマスコミの注目を浴び、週刊誌などでも閣僚のスキャンダルなどが報道され始めています。今後、これらの「火種」が大きな「火災」を引き起こす可能性も小さくありません。

 日本ファーストの会の発足と民進党の代表選など、自民党に対抗する新たな動きも生じています。それについて判断し評価を下すのは早計ですが、いずれも「受け皿」づくりの試みであるという点では共通しています。
 どの程度自民党に対抗することになるかは今のところ不明ですが、少なくともアベ暴走政治を支えてきた「一強」体制を崩すものでなければなりません。そうでなければ、結局は国民の期待を裏切ることになってしまうでしょうから。

nice!(1)