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1月23日(月) 世界中で実証された「反響の法則」 [国際]

 太鼓を小さく打てば小さな音しかしません。強く打てば大きな音がします。これが「反響の法則」です。
 トランプ米新大統領は過激で差別的な発言や自国最優先の保護主義的な政策によって、世界中の太鼓を力いっぱい叩いたようです。そのために、大きな「反響」が地球全体に広がっています。

 トランプ大統領就任翌日の21日、女性蔑視の言動などに反発する抗議活動が全米で行われました。このようなデモは世界各地に広がり、「反トランプ」の声が国際社会に渦巻いています。
 首都ワシントンでは、女性蔑視の発言を批判する団体「ワシントン女性大行進」の主催で抗議デモが行われ、白人女性だけでなく男性や人種的少数者、幅広い年齢層の人たちも集まり、想定の2倍を超える50万人以上に膨らみました。特設ステージには、女優のスカーレット・ヨハンソンさんら著名人も登壇し、歌手のマドンナさんは「革命はここから始まる」と訴え、女優のウーピー・ゴールドバーグさんら著名人も駆けつけています。
 抗議デモはニューヨークやロサンゼルスなどの全米各地をはじめ、ロンドンやパリなど世界約80ヵ国670ヵ所以上に上り、全世界で約470万人が参加したとみられます。このような抗議の波は、これからも世界各地で大きく盛り上がることでしょう。

 他方で、欧州の右派勢力はトランプ大統領の保護主義的な政策への共感を示し、トランプ新政権の誕生を歓迎しています。米国で浮き彫りとなった自国最優先の反移民政策と「分断」は、世界に拡散し始めました。
 反欧州連合(EU)や移民排斥などを主張して支持を伸ばしてきた欧州各国の右派・極右政党の党首たちは21日、ドイツ西部のコブレンツで「オルタナティブ(もう一つの)欧州サミット」と位置付けた会合を開きました。出席したのは、今年選挙を迎えるフランス極右「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首、ドイツ新興右派「ドイツのための選択肢」(AfD)のフラウケ・ペトリ党首、オランダ極右「自由党」のヘルト・ウィルダース党首など3人を含む9カ国の政党関係者です。
 移民への強硬姿勢に共鳴しているハンガリーやセルビアなど東欧諸国の首脳らもトランプ大統領を歓迎しています。一方、フランスのオランド大統領はアメリカの孤立主義に警鐘を鳴らし、ドイツのメルケル独首相は経済問題や防衛政策について、これまでの友好国との国際的枠組みを尊重するよう求めました。

 このようななかで、「信頼できる指導者」だとトランプさんを持ち上げてきた安倍首相は祝辞を送り、去年11月にニューヨークで行われた会談に触れ「ご自宅で胸襟を開いて意見交換を行えたことを大変うれしく思う」と述べ、「今後、ともに手を携え、アジア太平洋の平和と繁栄を確保し、世界が直面するさまざまな課題にともに取り組んでいくことを楽しみにしている」と、トランプ新政権の誕生を歓迎しています。
 また、「日米同盟は、わが国の外交・安全保障政策の基軸であり、大統領との信頼関係の上に、揺るぎない同盟の絆を一層強化していきたい」とし、「できるだけ早く再びお目にかかり、地域や世界のさまざまな課題について幅広く意見交換を行い、日米同盟の重要性を世界に向けて発信したい」と呼びかけました。差別と分断に警鐘を鳴らすことも注文を付けることもなく、ひたすら歓迎の意を表している安倍首相の姿は極めて異例だというべきでしょう。
 
 安倍首相はどちらの側にいるのでしょうか。反トランプの抗議行動に立ち上がった民衆の側なのか、それとも「自国第一」に共感して愛国主義への共鳴を狙う右派勢力の側なのかが、厳しく問われなければなりません。
 相も変わらぬ従米姿勢から抜け出すこともできず、新政権への批判や抗議の片りんも見せない安倍首相の姿勢は、アメリカの新しい指導者にしっぽを振ってすり寄っている「ポチ」のように見えます。それはトランプ当選の直後から一貫したものでした。
 とはいえ、早期の首脳会談を開きたいと希望していた1月27日には、日本の安倍首相ではなくイギリスのメイ首相との会談が設定されています。まるで、すり寄っても邪険にされ追い立てられている犬のような姿ではありませんか。

 いよいよ、絶望と希望とがせめぎあうような新しい時代が始まったのです。希望の光を消さないためにも、諦めてはなりません。
 アメリカを始め全世界で鳴り響いている「反響」に和して、私たちも声をあげようではありませんか。絶望に打ち勝つためには、少しでもまともな明日への望みを抱いて歩み続けることしかできないのですから……。

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1月22日(日) トランプをめくっても「ハートのエース」は出てこなかった [国際]

 世界が悲鳴を上げていると言っても良いでしょう。確実なことは、不確実性が高まり、この先どうなるのかが見通せないということです。

 注目されていたトランプ米新大統領の就任演説でした。選挙中に過激発言を繰り返した「悪いトランプ」ではなく、当選直後に融和を呼びかけたような「良いトランプ」が顔を出すのではないかと期待されていました。
 しかし、トランプをめくってみても「ハートのエース」は出てきませんでした。やはり顔を出したのは「ジョーカー」だったようです。
 ジョーカーと言えば、映画「バットマン」の悪役でした。大統領就任式に登場したのは、「バットマン」ならぬ「バッドマン」だったのです。

 アメリカのドナルド・トランプ新大統領は20日正午ごろ、連邦議会議事堂前で就任宣誓し、第45代大統領に就任しました。この場所は私も訪れたことがありますが、それは2001年のブッシュ大統領就任式の前、2001年1月1日のことでした。
 実業家出身のトランプさんは政治や行政経験、軍歴のない米国史上初の大統領で、1期目としては最高齢での就任になります。共和党は8年ぶりの政権奪還で、任期は2021年までの4年間ですが、果たしてこの任期を全うできるのでしょうか。
 「アメリカ第1主義」を掲げてこれまでの政治からの大転換を目指し、超大国アメリカのかじとりを担うことになりますが、その前途には暗雲が漂っています。トランプ大統領の就任に反対する全米での抗議デモには数百万人が参加するなど、分断と不安がアメリカ社会を覆い、切り裂くような形になっているのですから。

 トランプ新政権の政策は、選挙中での公約をほぼ踏襲するものになっています。この点でも、「良いトランプ」に変わるのではないかという期待は真っ向から裏切られてしまいました。
 就任演説では、通商政策を大きく転換して自由貿易から貿易や税制などあらゆる分野でアメリカの利益を最優先し、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を宣言しました。大統領令では、医療保険制度改革(オバマケア)の見直しを指示しています。
 また、「イスラム過激派によるテロを地球上から根絶させる」と約束し、積極的に軍事行動をとることも表明しました。「私たちは国境を守らなければならない」と呼びかけ、メキシコ国境への壁建設を伴う不法移民対策に乗り出す構えです。

 まるで、これまでの世界秩序を脅かす「怪物」の登場のようなものです。この「怪物」を「信頼できる指導者」だと請合ったのが安倍首相でした。
 通常国会冒頭の施政方針演説で、TPPを「今後の経済連携の礎」と位置付けた安倍首相ですが、その直後にトランプ新大統領によって真っ向から否定される結果になりました。いかに人を見る目がなかったか、ということでしょう。
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11月24日(木) 無残というしかない安倍外交における破産の数々 [国際]

 外交というのも恥ずかしいほどの破産ぶりです。安倍首相が行ってきた対外政策のことごとくが失敗してしまいました。
 安倍暴走政治の破産の始まりです。その責任を、安倍首相はどのように取るのでしょうか。

 昨日の朝日新聞の一面には、「TPP発効不可能に トランプ氏『就任日に離脱』」という大きな見出しが出ていました。今日の新聞には、オバマ大統領もTPPの任期中の議会承認を断念する考えを正式表明という記事が出ています。
 もう、終わりです。現行のTPPは発効が不可能となり、「TPPを成長戦略の柱としてきた安倍政権は根本的な戦略の見直しを迫られそうだ」と、新聞は伝えていました。
 それなのに、参院ではまだTPP承認案権についての審議を続け、そのために国会の会期延長まで画策されているそうです。何という往生際の悪さでしょうか。安倍首相の意地と見栄のために、国会審議の時間と費用を無駄遣いするようなことは直ちにやめるべきです。

 昨日の新聞には、ベトナム国会が日本からの原発輸入を撤回する案を可決したという記事も掲載されています。これも原発の輸出を成長戦略の一環に置付けて推進してきた安倍外交の失敗にほかなりません。
 成長戦略の一環としては、軍事技術の輸出も進められてきました。その輸出先として有望視されていたオーストラリアへの潜水艦技術の売り込みにも失敗しています。
 原発技術や軍事技術の輸出を成長戦略の柱と位置付けるようなことはやめるべきだとの批判があるにもかかわらず、安倍政権はそれを無視し強行してきました。それらがいずれも挫折したということになります。

 外交的な失敗ということで言えば、国連総会第1委員会での「核兵器禁止条約」の交渉を来年開くとした決議に米露など核保有国とともに反対したことも大問題でした。唯一の戦争被爆国である日本こそ、その先頭に立たなければならないはずなのにまったく逆の態度を取ったことになるからです。
 また、TPP条約の批准を優先したために地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の批准が遅れたという失敗もあります。結局、第1回締約国会合には間に合わず、日本は決定に異議の申し立てができないオブザーバーとして参加することになりました。
 どちらも、アメリカの顔色を窺った結果の失敗です。日本独自の外交政策を展開する自主定な判断能力を持たない安倍政権だからこそ、このような迷走を繰り返すことになってしまいました。

 さらに、日露関係をめぐる問題もあります。12月の首脳会談に向けて領土問題で大きな進展があるのではないかとの観測は幻に終わりそうです。
 安倍首相は日露間の経済協力の拡大をテコに領土問題を打開し、それを成果として解散・総選挙に打って出るのではないかと見られていました。しかし、この戦略にも狂いが生じているようです。
 プーチン大統領は領土問題で日本に譲歩する意志はないようで、経済協力だけを「食い逃げ」するかもしれないからです。これも、安倍外交の失敗となる可能性が強まっています。

 中国や韓国、北朝鮮など周辺諸国との間でも、関係改善に向けての展望は開けていません。まさに、八方ふさがりと言っても良い状況です。
 「朝貢外交」よろしく慌ててトランプ詣でを行い、54万円のゴルフクラブを送って媚びを売り、「信頼できる指導者だ」と請合ってトランプのマジックを手伝うことで世界中に恥をさらした安倍首相です。このような外交破産のオンパレードもむべなるかなというところでしょうか。

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11月20日(日) トランプ当選による容易ならざる事態を打開するために何が必要か [国際]

 アメリカのトランプ大統領候補の当選について様々な論評がなされています。今後の行く末についても、楽観論と悲観論の両方があります。
 日本に対する政策やその影響についても、様々な憶測が流れていました。これらの観測や憶測に対して、新政権の陣容が整うにつれて次第に回答が明らかになりつつあります。

 トランプ当選を生み出した力は、第1に、グローバル化や新自由主義によって生み出された貧困化と格差の拡大に対する白人労働者を中心とする不満の増大であり、第2に、対立候補であったクリントンさんの不人気とオバマ前大統領の「チェンジ詐欺」に騙された人々によるオバマ後継候補に対する反発であり、第3に、選挙人を選ぶという間接選挙の制度的不備でした。これらが重なりあって、トランプの「ババ抜き」でジョーカーを引くような結果を生み出してしまったのではないでしょうか。
 トランプさんは当選後、「すべての国民のための大統領になる」と宣言して過激な言動を抑制し、融和を口して柔軟姿勢を示しました。そのために、「それほど極端なことはやらないのではないか」という希望的な観測や楽観論が広まりましたが、これは新政権の陣容によって裏切られる結果となっています。
 今日の『朝日新聞』で「現実的路線や議会との調和を演出しつつ、自身がこだわる政策では譲らないという思いが透けて見える」「今回の人事は、移民問題やテロ対策などの看板政策では、たとえ批判を受けようとも、自身の考えに近い布陣で実現に向けて突き進むという姿勢を示しているかのようだ」と評されているように、閣僚人事は人種差別主義者や右派・タカ派の強硬論者のオン・パレードとなりつつあります。この陣容を見れば、トランプ新大統領は選挙戦で語っていた過激な政策を変更するつもりがないこと、その主要な政策を実行するつもりであることが分かります。

 このような危険な本質を見誤り世界中に恥をさらしてしまったのが、日本の安倍首相です。トランプ当選に慌てて、御機嫌うかがいのためにニューヨークに飛んでいったからです。
 そして、安倍首相はトランプさんにコロッと騙されてしまいました。会見後、安倍首相はトランプさんが「信頼できる指導者だということが分かった」と述べましたが、信頼できない指導者である安倍さんにそう言われたからといって、信頼できるわけがありません。
 トランプさんを世界中に売り込んで不安を払しょくするために、安倍首相は使われてしまったようです。トランプの「手品」の「サクラ」として、うまく利用されたというところでしょうか。

 トランプ当選による悪影響は、すでに具体的な現実として姿を現しています。アメリカ国内では抗議デモやマイノリティに対する差別的言動が繰り返されているからです。
 当選後、融和を口にしたトランプさんですが、このような分断の動きに対してまったく対応しようとしていません。それどころか、新政権の中枢に差別主義者を起用して、このような分断を拡大する危険性を生み出しています。
 このような新政府の陣容からすれば、日本に対しても厳しい注文が寄せられる可能性があります。トランプの「手品」に魅せられ取り込まれてしまった安倍首相は、これにきちんと対応できるのでしょうか。

 日本では先の参院選で、衆参両院で改憲勢力が3分の2を越え、安倍首相の任期延長も決まりました。海の向こうでは、トランプ新大統領が日本に対してこれまでとは全く異なったアプローチを行う可能性が強まっています。
 日米両国で、容易ならざる情勢が生じたということになります。今後の推移を注視する必要があるだけでなく、このような危機をどう打開し、どのように抜け出すかが問われなければなりません。
 そのために何ができるでしょうか。どうする必要があるのでしょうか。

 私たちにできることは、トランプ新大統領の忠実なしもべとして取り込まれてしまった安倍首相の退陣に向けて、衆院選への取り組みを本格化させることです。衆院選で政権交代を実現することが最善ですが、少なくとも与党を大敗させれば安倍首相は政治責任を問われ、退陣に追い込まれる可能性が生まれます。
 そのためには、自民党が恐れている野党共闘を推進し、小選挙区での候補一本化を実現することです。ことここに及んでも共産党との共闘に消極的な姿勢を示している民進党の蓮舫代表は、そのような「贅沢」を言っていられるような場合ではないこと、それは許されざる利敵行為にほかならないということを自覚しなければなりません。

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11月12日(土) 米大統領選挙で負けているのに勝ってしまったトランプ候補 [国際]

 アメリカ大統領選挙の衝撃は、その後も世界を震撼させているようです。株式市場での「トランプ・ショック」はそれほどでもなかったようですが、国際政治に対する衝撃は今も続いています。

 このような結果に直面して、「あのような差別的で過激な発言を繰り返していたトランプ候補が、何故大統領に当選できたのか」という疑問が沸いてきます。様々な形で、その背景や原因が論じられていますが、ここで重要な事実を忘れてはなりません。
 それは、今回の大統領選挙でトランプ候補の票がクリントン候補の票よりも少なったという事実です。米東部標準時で10日午前8時現在、有権者投票者数ではクリントン候補が59,814,018票、トランプ候補が59,611,678票となり、クリントン候補が過半数を取得したことが明らかとなりました。それでもトランプ勝利となったのは選挙人の数が上回ったからで、それは間接選挙という制度に助けられた勝利だったのです。
 このような得票総数と選挙人の数の逆転はこれまで4回もあり、私がハーバード大学の客員研究員としてアメリカに渡った2000年の大統領選挙でも目撃しました。このような逆転は小選挙区制などの間接選挙では避けられない問題点であり、だからこそ比例代表制や直接選挙にすべきだという議論が生ずるわけです。

 つまり、アメリカ国民はトランプではなくクリントンを選んでいたのです。今回の選挙で国民の分断が進み、最左派のサンダース支持層、中道左派のクリントン支持層、共和党の主流派、そしてグローバル化の進展のあおりを食って没落しつつある白人労働者などを中心にしたトランプ支持層の4つの階層に分かれたと言われています。
 このうち多数派は、サンダース支持層の一部を惹きつけたと言われるトランプ支持層ではなくクリントン支持層でした。アメリカ国民における多数派が実はリベラルな人々であったという事実は、これからのトランプ新大統領の方針や政策を大きく制約する要因となるにちがいありません。
 この事実をトランプ氏自身も自覚しているようです。選挙中の差別的で過激な発言は影を潜め、意外に常識的で穏健な態度に終始しているからです。

 このような「猫をかぶった姿」を見て、「意外とまともじゃないか」と胸をなでおろした人も多かったことでしょう。株式市場で「トランプ・ショック」がⅤ字回復したことに、このような安ど感が如実に示されています。
 しかし、このような豹変は、新たな矛盾を引き起こすにちがいありません。選挙中の差別的で過激な発言や公約を信じて「虎」だと思って投票した支持者にとって、「猫」になってしまったトランプ氏は「裏切り者」にほかならないからです。
 これまでの政治を厳しく批判してきた発言や公約こそ、貧困化にさいなまれて現状打破を願い、既成政治に毒されていないと信じてその突破力に期待した白人労働者層を惹きつける原動力でした。当選2日後にオバマ大統領と会見して教えを乞い、「猫」をかぶって「まとも」になったトランプ氏はさっそく既成政治に取り込まれてしまったと失望を買い、選挙中の約束を反故にした裏切り者でペテン師だとの批判を免れないでしょう。

 クリントン氏を支持した多数派の目を恐れ、選挙中に生じた深い分断の修復を目指せば「裏切り者」となり、選挙中の発言や公約に忠実であろうとすると分断はさらに深まり、自らを支持しなかった多数派の「壁」にぶつかるかもしれません。トランプ氏は大きなジレンマに直面する可能性があります。
 白人労働者層などに蔓延した不満と現状打破への願いを追い風に、間接選挙という制度にも助けられて大統領の椅子を手に入れたトランプ氏ですが、前途は多難のようです。これからワシントンでめくるトランプには、果たしてどのようなカードが隠されているのでしょうか。

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11月9日(水) アメリカ大統領選挙でのトランプ当選をどう見るか [国際]

 驚天動地の結果となりました。アメリカの大統領選挙です。
 事前の予想を覆して、共和党のトランプ候補が当選しました。首相官邸で開票状況を見守っていた安倍首相は、頭を抱えていることでしょう。

 トランプ当選で大混乱に陥っているのは、日本政府だけではありません。外国為替市場と株式市場も同様です。
 トランプ大統領では世界経済の先行きが不透明になると警戒感が高まり、円買いが進みました。それに連動して日経平均株価も急落し、一時は下落幅が1000円を超えています。
 結局、この日の為替市場で円は102円代前半となり、株価の下げ幅は前日比で919円84銭安となっています。これからも、円高・株安の基調は続くでしょうから、外国為替や株式市場の関係者だけでなく、輸出産業の経営者なども頭を抱えていることでしょう。

 事前の予測を覆して、なぜトランプ候補が勝利できたのでしょうか。今回の大統領選挙は不人気者同士の争いで、より小さな悪の選択だと言われました。
 ということは、トランプ候補の方がクリントン候補よりもまだましだと見られたことになります。女性蔑視や過激な発言を繰り返していたトランプ候補への嫌悪感よりも、エリートとエスタブリッシュメントの代表で既成政治家の典型のようなクリントン候補への反感の方が大きかったということでしょうか。
 グローバル化が進む中で白人を中心とする中間層の没落による格差の拡大は激しいものでした。そのような状況を生み出したこれまでの政治に対する失望と、しがらみの無い突破力を持っているように見えたトランプ候補への期待が番狂わせを生み出した力になったのかもしれません。

 トランプ新大統領の登場は日本へも大きな影響を及ぼすものと見られます。現在審議中のTPPは空中分解するでしょうから、審議を続けることは無意味になります。
 アメリカ第1主義を掲げ、「世界の警察官であり続けることはできない」と明言していましたから、アジア重視の「リバランス政策」の転換は避けられず、中東やアジアから手を引くことになるでしょう。
 在日米軍基地については新たな費用負担を要求し、それが入れられなければ撤退すると言い出すかもしれません。さらなる分担要請が強まるかもしれませんが、他方で在日米軍の撤退など沖縄基地問題をめぐって新たな展開が生まれる可能性もあります。

 それにしても、選挙の力とは絶大なものです。イギリスのEU離脱といい、アメリカでのトランプ新大統領の誕生といい、いずれも一票の力が生み出した大変革でした。
 その結果への評価は様々でしょうが、このような結果が一票の積み重ねによって生み出されたことは間違いありません。一人一人の選択の積み重ねが予想を覆す巨大な変化を生み出したのです。
 それだけ、現状に対する不満と政治を変えたいという欲求が大きなものになっていたということでしょう。不満の高まりを政治変革の力とするための一票の役割を改めて再評価しなければなりません。

 いずれにしても、世界はこれまでの物差しが使えない未知の領域に入り込んだことだけは確実です。それが世界の平和と日本の安全、アベ暴走政治のストップに役立つように活用することが、これからの課題だということになります。

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9月13日(火) 北朝鮮による深刻な脅威を生み出した日本外交の失敗 [国際]

 北朝鮮による核弾頭の爆発実験が成功したと伝えられました。日本など周辺諸国にとっては深刻な脅威の増大です。
 国連の安保理決議にも違反するこのような核実験と核兵器の開発は許されず、断固として糾弾しなければなりません。同時に、北朝鮮による深刻な脅威の増大を防ぐことができなかった日本外交の失敗についても、厳しく批判する必要があります。

 でも、こうなることは分かっていました。これまでも、抗議決議や声明、制裁の強化はほとんど効果がありませんでしたから。
 また、9月3日のブログ「北朝鮮に対するミサイル防衛(MD)は無駄だとなぜ言わないのか」で指摘したように、「そもそも北朝鮮に対するミサイル防衛(MD)は不可能であり、発射されたら『お手上げ』なのですから、そのための予算も装備も全く無駄」です。日本は北朝鮮に近すぎて、「もし北朝鮮がミサイルを発射すれば7~8分で着弾」するという最大の問題点について、今回の核実験についての論評でも誰も指摘していません。
 核ミサイルが現実の脅威となったとしても、軍事的に対抗することは不可能なのだと、なぜ言わないのでしょうか。だからこそ、対話などの外交努力が重要なのであり、このチャンネルを完全に放棄してしまった日本政府の外交的失敗こそが問題なのだと、なぜ誰も指摘しないのでしょうか。

 今回の核実験に対しても厳しい対応が行われていますが、それはほとんど「手詰まり」状態に陥っています。アメリカは韓国に対してB1戦略爆撃機の派遣や高高度迎撃ミサイル(THHAD)の配備、米韓共同演習など軍事的対応を強化しようとしていますが、それは逆効果です。
 北朝鮮が核開発やミサイル実験を繰り返しているのは、アメリカを恐れているからです。いつ攻められるのかという恐怖感に打ち勝つために核戦力を強化し、それを国民に示して金正恩党委員長の権威を強めようとしているのです。
 そのような北朝鮮に対して、さらに強い圧力をかけて「締め上げ」ようとすれば、もっと強い反発が返ってくるだけでしょう。安全を高めようとして「抑止力」を強めれば強めるほど、それへの反発も大きくなって軍拡競争が激化し、結果的に安全が損なわれてしまうという「安全保障のジレンマ」から抜け出すことこそが必要なのです。

 今日の『朝日新聞』の「オピニオン&フォーラム」欄に、国連「北朝鮮制裁委員会」の元専門家パネル委員の古川勝彦さんと東京国際大学国際戦略研究所教授の伊豆見元さんのインタビュー記事が出ていました。お2人の専門家のご意見は注目すべきものです。
 古川さんは「北朝鮮への制裁に比べ、イランの核開発疑惑に対する制裁は成功したとされています。何が違うのでしょう」と問われ、「大切なのは、制裁は外交の手段の一つに過ぎないということです。イランの核開発疑惑に対しては、制裁と同時並行で外交対話が続けられました。しかし、北朝鮮については、制裁のみで、外交はほぼ皆無でした」と答えています。
 問題は「制裁のみで、外交はほぼ皆無」だったという点にあるのです。転換しなければならないのは、この点にあるということにほかなりません。

 また、伊豆見さんも、「北朝鮮はこれまで全てをなげうって核開発をしてきたわけではなく、核開発を巡って米国との取引を考えた時期もありました。阻止できる時間はあったのです」としたうえで、以下のように指摘しています。

 「米国がオバマ政権になった09年以降、関係国は核開発をめぐって北朝鮮と取引することをほぼ放棄してきました。北朝鮮に一方的に要求をのませようとしたのです」
 「近年は北朝鮮と交渉をせず、制裁だけに頼ってきました」
 「制裁は北朝鮮経済にダメージを与え、いわば嫌がらせのようなことはできました。しかし、制裁の本来の目的は北朝鮮の核開発阻止だったはずです。その効果がないのに、制裁だけを続け、関係国は問題を先送りしてきました」
 「若い金正恩(キムジョンウン)氏や既得権益層は統治のために、正恩氏の権威を確立する必要がありました。制裁を受けて孤立が進むなか、権威確立には核開発しかないという論理です」

 こう述べたうえで、伊豆見さんは「国際社会はさらなる核開発を阻止するため、効果はなくても制裁は続け、強化すべきではあります」としつつも、「そのうえで、関係各国の首脳は再び北朝鮮との取引を検討する必要があります。大変不愉快ではありますが、北朝鮮とギブ・アンド・テイクの取引をする覚悟を決める時が来ています」と指摘しています。
 
 ようやく、外交や交渉の必要性を指摘する声が聞こえるようになってきたということでしょうか。6カ国協議の再開に向けて関係国は努力しなければなりませんが、カギを握っているのはアメリカです。
 今回の核実験に際して事前説明を受けた中国筋は、「北朝鮮当局者から(中国側に)米韓が北に対して外科手術的な方法を取ろうとしており、対抗するために核実験を行う必要があるといった話があった」と語っているそうです(『朝日新聞』9月13日付)。「外科手術的な方法」など取ろうとしていないということを、分からせなければなりません。
 また、必要なら無条件で直接対話にも応ずる姿勢を示すべきでしょう。核放棄という前提条件を付けたままでは、交渉や対話は一歩も進みません。

 北朝鮮との国交回復交渉を打ち切ってしまった日本政府の過去の対応も完全な誤りでした。拉致問題の解決を優先するということで、交渉より制裁を選択したからです。
 小泉内閣のときに交渉を進めて日朝間の国交を回復していれば、その後の拉致問題についての進展も核やミサイル開発の経過も大きく違っていたのではないでしょうか。拉致問題の解決を優先したために、かえって拉致問題の解決の手がかりを失ってしまったという痛恨の失敗を繰り返してはなりません。
 北朝鮮を話し合いの場に引き出すことでしか問題解決の道はないということは、はっきりしています。しかし、そのような道を選ぶ意思も能力も今の安倍政権にはないというところに、本当の危機が存在しているのではないでしょうか。

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9月8日(木) ドイツの経験は何を教えているか [国際]

 ドイツでは基本法を60回も改正しています。だから、一回も改正していない日本は異常だという意見があります。
 しかし、このドイツの憲法改正は、私の言う「改憲」であって、「壊憲」ではありません。9月6日のブログ「民進党の代表選挙と憲法問題への対応をどう見るか」で紹介したように、「基本法79条は、人間の尊厳の不可侵、民主的な法治国家、国民主権、州による連邦主義などに触れることは許されていない、と規定」されていますから、これらを破壊する「壊憲」は許されないからです。

 日本国憲法には、このような形で明確に「壊憲」を禁ずる条項はありません。しかし、前文や各条項を通じて国民主権、平和主義、基本的人権の尊重などの原則が定められています。
 これが、一般に「憲法の三大原理」として知られているものです。憲法の条文を書き換えることは許されるが、ドイツ基本法79条の規定と同様、このような原理に「触れることは許されていない」と言うべきでしょう。
 これが改憲に当たっての基本的な立場であり、国政に携わる者すべてが共有しなければならない原則にほかなりません。したがって、憲法審査会をはじめとした今後の憲法論議の前提として「憲法の三大原理に触れることは許されない」という原則を確認し、与野党間で申し合わせるべきでしょう。

 このように、ドイツでは60回も改正されている基本法ですが、その原理に反する改正は行われていません。すなわち、「壊憲」は一度もないということになります。
 しかし、そのドイツであっても、それに近いことが行われたことがあり、その過ちは今も大きな傷跡としてドイツの人々を苦しめています。このドイツが犯した過ちとそれがもたらした負の教訓を、日本の私たちもしっかりと学ぶ必要があるように思います。
 というのは、ドイツでは基本法で軍の出動は北大西洋条約機構(NATO)同盟国の「防衛」などに限られると規定され、NATO域外では活動できないと解釈されてきたにもかかわらず、その解釈を変えて中東地域に出動させてしまったからです。これはドイツの人々にとって、痛恨の過ちでした。

 このような解釈変更の契機となったのは、1991年の湾岸戦争でした。ドイツが派兵しないことに、米国から強い批判が噴出したのです。
 自衛隊を派遣しなかったために、「一国平和主義ではないのか」という批判を浴びた日本と同様の事態が生まれたわけです。しかも、ナチスによるユダヤ人の虐殺という負の歴史を持つドイツは、「イスラエルに対する特別な責任がある」としてイスラエル周辺地域への出兵を決め、反戦平和から出発した野党の90年連合・緑の党でさえ「派遣の成功が中東和平プロセスを前進させる」として賛成に回りました。
 このようななかで1994年、基本法の番人であったはずのドイツ憲法裁判所は連邦議会の事前承認を条件に域外派兵を認めてしまいました。その2年後の99年にドイツ軍はユーゴスラビア空爆に参加し、NATOや欧州連合(EU)、国連の活動範囲内で十数カ国に派兵を積み重ね、特にアフガニスタンでは2002年から国際治安支援部隊(ISAF)に毎年4000~5000人を派兵しました。
 
 長年、集団的自衛権の行使を認めていなかったにもかかわらず過去の最高判決を持ち出して解釈を変え、内閣法制局のお墨付けをもらって閣議決定を行い、安保法を制定して海外派兵を可能にしてしまった安倍内閣と、うり二つでありませんか。「平和の党」の看板を掲げていた公明党が「部分的なら」ということで容認に回ってしまったところもそっくりです。
 ドイツでも戦闘行為への参加には世論の反発が強かったと言います。そのため、当時のシュレーダー政権は米軍などの後方支援のほか、治安維持と復興支援を目的とするISAFに参加を限定しました。
 しかし、現地では戦闘の前線と後方の区別があいまいで、独国際政治安全保障研究所のマルクス・カイム国際安全保障部長は「ドイツ兵の多くは後方支援部隊にいながら死亡した。戦闘現場と後方支援の現場を分けられるとい考え方は、幻想だ」と指摘しています。ISAFに加わった元独軍上級曹長のペーター・ヘメレさんは「平和貢献のつもりだったが、私が立っていたのは戦場でした」と話しており、この時点で兵士55人が死亡、わかっているだけでPTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者が431人となるなどの深刻な結果をもたらしていました。

 これがドイツの経験であり、これから日本が向かおうとしている未来の姿です。ドイツではすでに実行され、多くの犠牲者が出てしまいました。
 日本ではこれからですから、今ならまだ間に合います。このようなおぞましい未来を招き寄せてもよいのか、そのような間違いを繰り返すための「壊憲」を許してもよいのかが、いま私たちに問われています。

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7月4日(月) 戦争法を成立させ「日本人を標的」にしてしまった安倍首相の罪 [国際]

 「イタリア人を含む『十字軍の国』の人々を殺害した。イスラム教徒の殺害を続けるかぎり、十字軍の国の人々に安全は確保されないと知らしめるためだ」
 歴史的な常識からすれば、日本は「十字軍の国」ではありません。それなのに、このイスラム国(IS)を名乗る声明は「『十字軍の国』の人々を殺害した」と述べています。
 いつから、日本は「十字軍の国」になったのでしょうか。国際テロが「日本人を標的」とするようになったのは、いつからなのでしょうか。

 バングラデシュの首都ダッカで1日夜に武装集団がレストランを襲撃した人質テロ事件で、治安部隊は人質のうち13人を救出しましたが日本人7人を含む外国人20人が死亡しました。実行犯6人は殺害され、1人は拘束されたそうです。
 またもや理不尽なテロによって多くの方が犠牲になりました。亡くなられた方を悼むとともに、満腔の怒りをもって蛮行を糾弾するものです。
 亡くなった男性の父親は「煮えくりかえる思い。息子は帰ってこない」と無念さをにじませたそうです。突然、肉親を奪われた人々の怒りと悲しみはいかばかりでしょうか。

 救出された人質たちの証言によれば、武装集団は外国人を標的としてコーランを暗唱させ、できない場合に殺害していたそうです。銃声の中で「私は日本人だ、撃たないで」 という声が聞こえたといいますが、それはかえって逆効果だったかもしれません。
 ISの声明にあるように、標的とされたのは「十字軍(対IS有志国連合)参加国の市民」であり、日本人もそれに含まれていたことは明白です。それは日本が「十字軍(対IS有志国連合)参加国」とみなされているからです。
 つまり、今回の事件の背景には、ISと戦う周辺諸国への資金援助を表明したエジプトでの安倍首相の演説や有志国連合への参加など、この間の安倍首相による外交政策が存在していました。安保法制(戦争法)の整備によって日米同盟の絆が強化されたと安倍首相は自慢していますが、その絆の強まりによって日本はアメリカの仲間とみなされ、ISなどの国際テロの標的とされるようになりました。

 かつてアメリカのブッシュ大統領は9.11同時多発テロに対して「反テロ戦争」を宣言し、大量破壊兵器の開発・保有という濡れ衣を着せてアフガニスタンンやイラクを侵略することでISの前身と言われる「イラクの聖戦アルカイダ」を誕生させました。日米同盟によってこの侵略を支持し、自衛隊をイラクに派遣したのが小泉首相です。
 この時から、国際社会の日本を見る目が変わり始めたのではないでしょうか。「やはり日本もアメリカの仲間だったんだ」とイスラム社会からの敵視が強まり、日本人も狙わるようになって香田証生さんが犠牲になりました。
 その後、アルジェリアでも10人の日本人が殺害され、昨年の初めには2人の日本人がISによって命を奪われました。その時、ISは「アベよ、お前の悪夢を始めよう」と警告していたのです。

 このようななかで昨年9月に成立したのが戦争法であり、これによって日米同盟の絆が強まったのは、安倍首相の言う通りです。しかし、その結果、日本もアメリカ主導の有志連合国の有力な構成員であるとみなされるようになり、日本への国際テロによる敵意と脅威も強まりました。
 そのような敵意の強まりは直ちに表面化します。戦争法が成立した翌10月、バングラデシュで60代の日本人がISの現地支部を名乗るグループに殺害されたのです。
 そして今回の事件では7人の日本人が犠牲になりました。このような事件を防ぐのは極めて困難ですが、これまでに書いてきたような一連の経過と背景がなければ、今回のように日本人が標的にされることもなかったのではないでしょうか。

 このような明確な経過と背景があるにもかかわらず、マスコミではほとんど触れられず解説されてもいません。はっきりと指摘するべきでしょう。
 戦争法の成立による日米同盟の絆の強まりは海外での日本人の安全を守るうえで全く無力であるばかりか、かえって有害であるということを。それは国際テロに対する抑止力にならないどころか、かえって呼び水となっているということを。
 安倍首相が歩もうとしている「この道」は、国内ではすでに失敗し破たんしているアベノミクスからの離脱を阻害し、国外では国際テロによって標的とされるような危険な状況に在外邦人を追いやることになります。そのような誤った「道」を今後も歩み続けて良いのかどうかが、現在の参院選で問われている重大な争点の一つなのです。

 日本は、イラク戦争への加担や対IS有志連合国への参加によって新たな危険な領域へと足を踏み入れてしまいました。戦争法の成立によって日米同盟は文字通り「血の同盟」になろうとしています。
 今回のバングラデシュでの許されざる惨劇は、日本が踏み込もうとしている領域がどれほど危険なものであるかを垣間見せました。同時に、戦争法の成立によって、そのような領域へと日本をさらに深く引きずり込んでしまった安倍首相の罪の大きさをもはっきりと示しているのではないでしょうか。

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6月29日(水) 軽い気持ちで投票し「こんなはずではなかった」と後悔しても遅い [国際]

 これは参院選での投票のことではありません。それはこれからですから、まだ間に合います。
 イギリスの欧州連合(EU)からの離脱を決めた国民投票のことです。軽い気持ちで「離脱」に賛成票を投じたものの、その衝撃の大きさから「こんなはずではなかった」と今頃になってから後悔している人が多いのだそうです。

 国民投票の結果が明らかになってから、世界中で混乱が広がりました。離脱の手続きはこれから2年間かかるのだそうです。
 しかし、それをどのようにやるのか、具体的な方法や手続きなどは明確ではありません。何しろ、初めてのことなので「前例」など存在していないのですから。
 その間、どのような問題が生じ、それをどのように解決するのか、その影響がどの範囲にどのように広がっていくのか。これからの世界は不確実性と未知の領域に入っていくことになります。

 このような多くの問題に直面して、離脱という結果を決めたイギリス国民が戸惑いを強めているといいます。ソーシャルメディアなどには「離脱への投票を後悔している」という書き込みがあふれ、国民投票のやり直しを求める署名も350万人を突破しました。
 「残留派が勝利すると思って何も考えずに軽い気持ちで離脱派に票を投じた。(国債や株価が急落するなど)大騒動になったことを憂慮している」などの投稿がウェッブサイトなどに寄せられ、ある世論調査では離脱投票者の7%が「離脱に入れなければよかった」と悔いているそうです。「軽い気持ち」での投票がどれほど重い結果をもたらすか、参院選での投票を控えている私たちにとっても教訓的です。
 株価の下落など経済への影響が一気に表面化したため、イギリス国民が危機感を強めているからでしょう。選管に「自分の投票先を変えられないか」との問い合わせが多数寄せられているそうです。

 さらに、指導者が虚偽のPRをしていたことが判明したことも離脱支持者の不信感を募らせています。英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首は英国がEU加盟国として支払っている拠出金の額についてテレビ番組であっさりと間違いを認めました。
 また、離脱派はEU加盟国からの移民制限を主張していましたが、離脱派のダニエル・ハナン欧州議会議員もテレビ番組で、「移民がゼロになるわけではなく、少しだけ管理できるようになる」と「下方修正」したそうです。さすがに、「以前の約束とは異なる新しい判断だ」とは言わなかったようですが、嘘をついて国民を騙したという点では、安倍首相と変わりません。
 騙されているとも知らず、「軽い気持ち」で投票した結果が、現在の混乱です。後になってから「しまった」と言ってみても取り返しがつきません。

 このようなイギリス国民が味わっている後悔を、日本国民も味わうことになるのでしょうか。安倍首相は経済政策を前面に出して、「改憲隠し選挙」に徹していますから。
 アベノミクスという甘い言葉に騙され、「軽い気持ち」で投票した結果、憲法を変えられてから「しまった」と言ってみても取り返しがつきません。安倍さんにならって、私もこう言いたいと思います。
 「気を付けよう、甘い言葉と安倍首相」


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