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9月13日(火) 北朝鮮による深刻な脅威を生み出した日本外交の失敗 [国際]

 北朝鮮による核弾頭の爆発実験が成功したと伝えられました。日本など周辺諸国にとっては深刻な脅威の増大です。
 国連の安保理決議にも違反するこのような核実験と核兵器の開発は許されず、断固として糾弾しなければなりません。同時に、北朝鮮による深刻な脅威の増大を防ぐことができなかった日本外交の失敗についても、厳しく批判する必要があります。

 でも、こうなることは分かっていました。これまでも、抗議決議や声明、制裁の強化はほとんど効果がありませんでしたから。
 また、9月3日のブログ「北朝鮮に対するミサイル防衛(MD)は無駄だとなぜ言わないのか」で指摘したように、「そもそも北朝鮮に対するミサイル防衛(MD)は不可能であり、発射されたら『お手上げ』なのですから、そのための予算も装備も全く無駄」です。日本は北朝鮮に近すぎて、「もし北朝鮮がミサイルを発射すれば7~8分で着弾」するという最大の問題点について、今回の核実験についての論評でも誰も指摘していません。
 核ミサイルが現実の脅威となったとしても、軍事的に対抗することは不可能なのだと、なぜ言わないのでしょうか。だからこそ、対話などの外交努力が重要なのであり、このチャンネルを完全に放棄してしまった日本政府の外交的失敗こそが問題なのだと、なぜ誰も指摘しないのでしょうか。

 今回の核実験に対しても厳しい対応が行われていますが、それはほとんど「手詰まり」状態に陥っています。アメリカ韓国に対してB1戦略爆撃機の派遣や高高度迎撃ミサイル(THHAD)の配備、米韓共同演習など軍事的対応を強化しようとしていますが、それは逆効果です。
 北朝鮮が核開発やミサイル実験を繰り返しているのは、アメリカを恐れているからです。いつ攻められるのかという恐怖感に打ち勝つために核戦力を強化し、それを国民に示して金正恩党委員長の権威を強めようとしているのです。
 そのような北朝鮮に対して、さらに強い圧力をかけて「締め上げ」ようとすれば、もっと強い反発が返ってくるだけでしょう。安全を高めようとして「抑止力」を強めれば強めるほど、それへの反発も大きくなって軍拡競争が激化し、結果的に安全が損なわれてしまうという「安全保障のジレンマ」から抜け出すことこそが必要なのです。

 今日の『朝日新聞』の「オピニオン&フォーラム」欄に、国連「北朝鮮制裁委員会」の元専門家パネル委員の古川勝彦さんと東京国際大学国際戦略研究所教授の伊豆見元さんのインタビュー記事が出ていました。お2人の専門家のご意見は注目すべきものです。
 古川さんは「北朝鮮への制裁に比べ、イランの核開発疑惑に対する制裁は成功したとされています。何が違うのでしょう」と問われ、「大切なのは、制裁は外交の手段の一つに過ぎないということです。イランの核開発疑惑に対しては、制裁と同時並行で外交対話が続けられました。しかし、北朝鮮については、制裁のみで、外交はほぼ皆無でした」と答えています。
 問題は「制裁のみで、外交はほぼ皆無」だったという点にあるのです。転換しなければならないのは、この点にあるということにほかなりません。

 また、伊豆見さんも、「北朝鮮はこれまで全てをなげうって核開発をしてきたわけではなく、核開発を巡って米国との取引を考えた時期もありました。阻止できる時間はあったのです」としたうえで、以下のように指摘しています。

 「米国がオバマ政権になった09年以降、関係国は核開発をめぐって北朝鮮と取引することをほぼ放棄してきました。北朝鮮に一方的に要求をのませようとしたのです」
 「近年は北朝鮮と交渉をせず、制裁だけに頼ってきました」
 「制裁は北朝鮮経済にダメージを与え、いわば嫌がらせのようなことはできました。しかし、制裁の本来の目的は北朝鮮の核開発阻止だったはずです。その効果がないのに、制裁だけを続け、関係国は問題を先送りしてきました」
 「若い金正恩(キムジョンウン)氏や既得権益層は統治のために、正恩氏の権威を確立する必要がありました。制裁を受けて孤立が進むなか、権威確立には核開発しかないという論理です」

 こう述べたうえで、伊豆見さんは「国際社会はさらなる核開発を阻止するため、効果はなくても制裁は続け、強化すべきではあります」としつつも、「そのうえで、関係各国の首脳は再び北朝鮮との取引を検討する必要があります。大変不愉快ではありますが、北朝鮮とギブ・アンド・テイクの取引をする覚悟を決める時が来ています」と指摘しています。
 
 ようやく、外交や交渉の必要性を指摘する声が聞こえるようになってきたということでしょうか。6カ国協議の再開に向けて関係国は努力しなければなりませんが、カギを握っているのはアメリカです。
 今回の核実験に際して事前説明を受けた中国筋は、「北朝鮮当局者から(中国側に)米韓が北に対して外科手術的な方法を取ろうとしており、対抗するために核実験を行う必要があるといった話があった」と語っているそうです(『朝日新聞』9月13日付)。「外科手術的な方法」など取ろうとしていないということを、分からせなければなりません。
 また、必要なら無条件で直接対話にも応ずる姿勢を示すべきでしょう。核放棄という前提条件を付けたままでは、交渉や対話は一歩も進みません。

 北朝鮮との国交回復交渉を打ち切ってしまった日本政府の過去の対応も完全な誤りでした。拉致問題の解決を優先するということで、交渉より制裁を選択したからです。
 小泉内閣のときに交渉を進めて日朝間の国交を回復していれば、その後の拉致問題についての進展も核やミサイル開発の経過も大きく違っていたのではないでしょうか。拉致問題の解決を優先したために、かえって拉致問題の解決の手がかりを失ってしまったという痛恨の失敗を繰り返してはなりません。
 北朝鮮を話し合いの場に引き出すことでしか問題解決の道はないということは、はっきりしています。しかし、そのような道を選ぶ意思も能力も今の安倍政権にはないというところに、本当の危機が存在しているのではないでしょうか。

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9月8日(木) ドイツの経験は何を教えているか [国際]

 ドイツでは基本法を60回も改正しています。だから、一回も改正していない日本は異常だという意見があります。
 しかし、このドイツの憲法改正は、私の言う「改憲」であって、「壊憲」ではありません。9月6日のブログ「民進党の代表選挙と憲法問題への対応をどう見るか」で紹介したように、「基本法79条は、人間の尊厳の不可侵、民主的な法治国家、国民主権、州による連邦主義などに触れることは許されていない、と規定」されていますから、これらを破壊する「壊憲」は許されないからです。

 日本国憲法には、このような形で明確に「壊憲」を禁ずる条項はありません。しかし、前文や各条項を通じて国民主権、平和主義、基本的人権の尊重などの原則が定められています。
 これが、一般に「憲法の三大原理」として知られているものです。憲法の条文を書き換えることは許されるが、ドイツ基本法79条の規定と同様、このような原理に「触れることは許されていない」と言うべきでしょう。
 これが改憲に当たっての基本的な立場であり、国政に携わる者すべてが共有しなければならない原則にほかなりません。したがって、憲法審査会をはじめとした今後の憲法論議の前提として「憲法の三大原理に触れることは許されない」という原則を確認し、与野党間で申し合わせるべきでしょう。

 このように、ドイツでは60回も改正されている基本法ですが、その原理に反する改正は行われていません。すなわち、「壊憲」は一度もないということになります。
 しかし、そのドイツであっても、それに近いことが行われたことがあり、その過ちは今も大きな傷跡としてドイツの人々を苦しめています。このドイツが犯した過ちとそれがもたらした負の教訓を、日本の私たちもしっかりと学ぶ必要があるように思います。
 というのは、ドイツでは基本法で軍の出動は北大西洋条約機構(NATO)同盟国の「防衛」などに限られると規定され、NATO域外では活動できないと解釈されてきたにもかかわらず、その解釈を変えて中東地域に出動させてしまったからです。これはドイツの人々にとって、痛恨の過ちでした。

 このような解釈変更の契機となったのは、1991年の湾岸戦争でした。ドイツが派兵しないことに、米国から強い批判が噴出したのです。
 自衛隊を派遣しなかったために、「一国平和主義ではないのか」という批判を浴びた日本と同様の事態が生まれたわけです。しかも、ナチスによるユダヤ人の虐殺という負の歴史を持つドイツは、「イスラエルに対する特別な責任がある」としてイスラエル周辺地域への出兵を決め、反戦平和から出発した野党の90年連合・緑の党でさえ「派遣の成功が中東和平プロセスを前進させる」として賛成に回りました。
 このようななかで1994年、基本法の番人であったはずのドイツ憲法裁判所は連邦議会の事前承認を条件に域外派兵を認めてしまいました。その2年後の99年にドイツ軍はユーゴスラビア空爆に参加し、NATOや欧州連合(EU)、国連の活動範囲内で十数カ国に派兵を積み重ね、特にアフガニスタンでは2002年から国際治安支援部隊(ISAF)に毎年4000~5000人を派兵しました。
 
 長年、集団的自衛権の行使を認めていなかったにもかかわらず過去の最高判決を持ち出して解釈を変え、内閣法制局のお墨付けをもらって閣議決定を行い、安保法を制定して海外派兵を可能にしてしまった安倍内閣と、うり二つでありませんか。「平和の党」の看板を掲げていた公明党が「部分的なら」ということで容認に回ってしまったところもそっくりです。
 ドイツでも戦闘行為への参加には世論の反発が強かったと言います。そのため、当時のシュレーダー政権は米軍などの後方支援のほか、治安維持と復興支援を目的とするISAFに参加を限定しました。
 しかし、現地では戦闘の前線と後方の区別があいまいで、独国際政治安全保障研究所のマルクス・カイム国際安全保障部長は「ドイツ兵の多くは後方支援部隊にいながら死亡した。戦闘現場と後方支援の現場を分けられるとい考え方は、幻想だ」と指摘しています。ISAFに加わった元独軍上級曹長のペーター・ヘメレさんは「平和貢献のつもりだったが、私が立っていたのは戦場でした」と話しており、この時点で兵士55人が死亡、わかっているだけでPTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者が431人となるなどの深刻な結果をもたらしていました。

 これがドイツの経験であり、これから日本が向かおうとしている未来の姿です。ドイツではすでに実行され、多くの犠牲者が出てしまいました。
 日本ではこれからですから、今ならまだ間に合います。このようなおぞましい未来を招き寄せてもよいのか、そのような間違いを繰り返すための「壊憲」を許してもよいのかが、いま私たちに問われています。

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7月4日(月) 戦争法を成立させ「日本人を標的」にしてしまった安倍首相の罪 [国際]

 「イタリア人を含む『十字軍の国』の人々を殺害した。イスラム教徒の殺害を続けるかぎり、十字軍の国の人々に安全は確保されないと知らしめるためだ」
 歴史的な常識からすれば、日本は「十字軍の国」ではありません。それなのに、このイスラム国(IS)を名乗る声明は「『十字軍の国』の人々を殺害した」と述べています。
 いつから、日本は「十字軍の国」になったのでしょうか。国際テロが「日本人を標的」とするようになったのは、いつからなのでしょうか。

 バングラデシュの首都ダッカで1日夜に武装集団がレストランを襲撃した人質テロ事件で、治安部隊は人質のうち13人を救出しましたが日本人7人を含む外国人20人が死亡しました。実行犯6人は殺害され、1人は拘束されたそうです。
 またもや理不尽なテロによって多くの方が犠牲になりました。亡くなられた方を悼むとともに、満腔の怒りをもって蛮行を糾弾するものです。
 亡くなった男性の父親は「煮えくりかえる思い。息子は帰ってこない」と無念さをにじませたそうです。突然、肉親を奪われた人々の怒りと悲しみはいかばかりでしょうか。

 救出された人質たちの証言によれば、武装集団は外国人を標的としてコーランを暗唱させ、できない場合に殺害していたそうです。銃声の中で「私は日本人だ、撃たないで」 という声が聞こえたといいますが、それはかえって逆効果だったかもしれません。
 ISの声明にあるように、標的とされたのは「十字軍(対IS有志国連合)参加国の市民」であり、日本人もそれに含まれていたことは明白です。それは日本が「十字軍(対IS有志国連合)参加国」とみなされているからです。
 つまり、今回の事件の背景には、ISと戦う周辺諸国への資金援助を表明したエジプトでの安倍首相の演説や有志国連合への参加など、この間の安倍首相による外交政策が存在していました。安保法制(戦争法)の整備によって日米同盟の絆が強化されたと安倍首相は自慢していますが、その絆の強まりによって日本はアメリカの仲間とみなされ、ISなどの国際テロの標的とされるようになりました。

 かつてアメリカのブッシュ大統領は9.11同時多発テロに対して「反テロ戦争」を宣言し、大量破壊兵器の開発・保有という濡れ衣を着せてアフガニスタンンやイラクを侵略することでISの前身と言われる「イラクの聖戦アルカイダ」を誕生させました。日米同盟によってこの侵略を支持し、自衛隊をイラクに派遣したのが小泉首相です。
 この時から、国際社会の日本を見る目が変わり始めたのではないでしょうか。「やはり日本もアメリカの仲間だったんだ」とイスラム社会からの敵視が強まり、日本人も狙わるようになって香田証生さんが犠牲になりました。
 その後、アルジェリアでも10人の日本人が殺害され、昨年の初めには2人の日本人がISによって命を奪われました。その時、ISは「アベよ、お前の悪夢を始めよう」と警告していたのです。

 このようななかで昨年9月に成立したのが戦争法であり、これによって日米同盟の絆が強まったのは、安倍首相の言う通りです。しかし、その結果、日本もアメリカ主導の有志連合国の有力な構成員であるとみなされるようになり、日本への国際テロによる敵意と脅威も強まりました。
 そのような敵意の強まりは直ちに表面化します。戦争法が成立した翌10月、バングラデシュで60代の日本人がISの現地支部を名乗るグループに殺害されたのです。
 そして今回の事件では7人の日本人が犠牲になりました。このような事件を防ぐのは極めて困難ですが、これまでに書いてきたような一連の経過と背景がなければ、今回のように日本人が標的にされることもなかったのではないでしょうか。

 このような明確な経過と背景があるにもかかわらず、マスコミではほとんど触れられず解説されてもいません。はっきりと指摘するべきでしょう。
 戦争法の成立による日米同盟の絆の強まりは海外での日本人の安全を守るうえで全く無力であるばかりか、かえって有害であるということを。それは国際テロに対する抑止力にならないどころか、かえって呼び水となっているということを。
 安倍首相が歩もうとしている「この道」は、国内ではすでに失敗し破たんしているアベノミクスからの離脱を阻害し、国外では国際テロによって標的とされるような危険な状況に在外邦人を追いやることになります。そのような誤った「道」を今後も歩み続けて良いのかどうかが、現在の参院選で問われている重大な争点の一つなのです。

 日本は、イラク戦争への加担や対IS有志連合国への参加によって新たな危険な領域へと足を踏み入れてしまいました。戦争法の成立によって日米同盟は文字通り「血の同盟」になろうとしています。
 今回のバングラデシュでの許されざる惨劇は、日本が踏み込もうとしている領域がどれほど危険なものであるかを垣間見せました。同時に、戦争法の成立によって、そのような領域へと日本をさらに深く引きずり込んでしまった安倍首相の罪の大きさをもはっきりと示しているのではないでしょうか。

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6月29日(水) 軽い気持ちで投票し「こんなはずではなかった」と後悔しても遅い [国際]

 これは参院選での投票のことではありません。それはこれからですから、まだ間に合います。
 イギリスの欧州連合(EU)からの離脱を決めた国民投票のことです。軽い気持ちで「離脱」に賛成票を投じたものの、その衝撃の大きさから「こんなはずではなかった」と今頃になってから後悔している人が多いのだそうです。

 国民投票の結果が明らかになってから、世界中で混乱が広がりました。離脱の手続きはこれから2年間かかるのだそうです。
 しかし、それをどのようにやるのか、具体的な方法や手続きなどは明確ではありません。何しろ、初めてのことなので「前例」など存在していないのですから。
 その間、どのような問題が生じ、それをどのように解決するのか、その影響がどの範囲にどのように広がっていくのか。これからの世界は不確実性と未知の領域に入っていくことになります。

 このような多くの問題に直面して、離脱という結果を決めたイギリス国民が戸惑いを強めているといいます。ソーシャルメディアなどには「離脱への投票を後悔している」という書き込みがあふれ、国民投票のやり直しを求める署名も350万人を突破しました。
 「残留派が勝利すると思って何も考えずに軽い気持ちで離脱派に票を投じた。(国債株価が急落するなど)大騒動になったことを憂慮している」などの投稿がウェッブサイトなどに寄せられ、ある世論調査では離脱投票者の7%が「離脱に入れなければよかった」と悔いているそうです。「軽い気持ち」での投票がどれほど重い結果をもたらすか、参院選での投票を控えている私たちにとっても教訓的です。
 株価の下落など経済への影響が一気に表面化したため、イギリス国民が危機感を強めているからでしょう。選管に「自分の投票先を変えられないか」との問い合わせが多数寄せられているそうです。

 さらに、指導者が虚偽のPRをしていたことが判明したことも離脱支持者の不信感を募らせています。英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首は英国がEU加盟国として支払っている拠出金の額についてテレビ番組であっさりと間違いを認めました。
 また、離脱派はEU加盟国からの移民制限を主張していましたが、離脱派のダニエル・ハナン欧州議会議員もテレビ番組で、「移民がゼロになるわけではなく、少しだけ管理できるようになる」と「下方修正」したそうです。さすがに、「以前の約束とは異なる新しい判断だ」とは言わなかったようですが、嘘をついて国民を騙したという点では、安倍首相と変わりません。
 騙されているとも知らず、「軽い気持ち」で投票した結果が、現在の混乱です。後になってから「しまった」と言ってみても取り返しがつきません。

 このようなイギリス国民が味わっている後悔を、日本国民も味わうことになるのでしょうか。安倍首相は経済政策を前面に出して、「改憲隠し選挙」に徹していますから。
 アベノミクスという甘い言葉に騙され、「軽い気持ち」で投票した結果、憲法を変えられてから「しまった」と言ってみても取り返しがつきません。安倍さんにならって、私もこう言いたいと思います。
 「気を付けよう、甘い言葉と安倍首相」


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6月25日(土) イギリスのEU離脱を決めた国民投票によって示された一票の力 [国際]

 「たかが一票、されど一票」というところでしょうか。「投票しても何も変わらない」という声がありますが、ところがどっこい、イギリスの人々はその一票によって、とてつもない大きな変化を生み出すことになりました。

 23日に実施された欧州連合(EU)からの離脱の是非を問うイギリスの国民投票は即日開票され、離脱派が多数を占めました。これによってイギリスの政治や経済などへの影響が生ずるだけでなく、戦後続いてきた欧州統合の行方や世界経済にも大きな影響を与えると見られています。
 この結果を受けて世界の金融市場は大混乱に陥り、英ポンドも1985年以来の安値へと急落し、「暗黒の金曜日」となりました。イギリスのキャメロン首相は責任を取って辞任を表明しています。
 今回の結果は、シリアなどからの移民の急増がEUへの不信感を高めて離脱派を増やしたからだと見られていますが、その背景となっている中東の不安定な情勢はかつてイギリスなどの西洋諸国による植民地支配の結果として生み出されたものです。イギリスは、自らの帝国主義としての歴史によって仕返しをされたということになるかもしれません。

 昨日の東京市場の株式相場も急落し、株価の下げ幅は約16年ぶりという急激なものでした。日経平均株価は1286円33銭(7.9%)安の1万4952円2銭で、下げ幅はITバブル期の2000年4月17日(1426円)以来の大きさで、下落率は東日本大震災直後の11年3月15日(11%)以来となっています。
 これまで、アベノミクスは円安と株高に支えられてきました。今回の急激な円高と株価の下落によって、アベノミクスは最終的に破たんしたと言えるでしょう。
 伊勢・志摩サミットで安倍首相が主張した世界経済のリスクは、皮肉にも今回の金融市場の大暴落よって裏付けられた形になりました。同時に、それは日本経済と安倍首相自身にとっても、大きなリスクをもたらすことになりましたが。

 このイギリスの国民投票の結果が、今後のヨーロッパや世界にどのような影響をもたらすことになるかははっきりしていません。それがどのようなものになるにせよ、それを選び取ったのがイギリス国民の自主的な選択であったという点が重要です。
 一人一人の投票の積み重ねによって、EUからの離脱という結果がもたらされたのです。「投票しても何も変わらない」ということはなく、投票したからこそ大きく変わりました。
 変化を求めて投票すれば、事態は変わります。良かれ悪しかれ、イギリスの人々は自らの一票によって巨大な変化を生み出すことになったのです。

 私たちも、自らの未来を切り開くために一票を行使するべきでしょう。アベノミクスが何の恩恵ももたらしていないと考え、今回の事態によってそれが最終的に破たんしたというのであれば、その転換を求める一票を投ずるべきです。
 無力感に押し流され、諦めてしまってはなりません。イギリスの人々が教えてくれたように、「たかが一票、されど一票」なのですから。

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4月15日(金) 与党惨敗という韓国で起こった「選挙革命」は日本でも起こすことができる [国際]

 昨夜、熊本県益城町で震度7、マグニチュード6.5という大きな地震が起きました。 震度7の激震は、阪神・淡路、中越沖地震、東日本大震災に続く4回目で、九州では初めてになります。
 今のところ、死者9人、負傷者は900人以上と伝えられていますが、被害はさらに増える見込みです。亡くなられたり負傷されたりした方、被災された方々にお見舞い申し上げます。

 他方、お隣の韓国は政治的な激震に見舞われたようです。13日に実施された総選挙で、与党である「セヌリ党」が衝撃的な惨敗を喫し、第一党の座を「共に民主党」に明け渡すことになりました。
 韓国の有権者は「1票の力」を限りなく発揮して、「選挙革命」を実現したと言って良いでしょう。国会は一院制でその定数は300議席ですが、「共に民主党」が123、「セヌリ党」122、「国民の党」38、正義党6、無所属11、無所属を除いた野党3党の獲得議席は167となり、16年ぶりに与野党が逆転して「与小野大国会」となったからです。
 その内訳は、小選挙区253のうち「共に民主党」が110、「セヌリ党」が105、「国民の党」が25、正義党が2、無所属が11議席となっています。また、比例代表では、「セヌリ党」が17議席、「共に民主党」と「国民の党」がそれぞれ13議席、正義党が4議席を獲得しました。

 この結果を伝える新聞には、「強権に反発」「若者らの怒り」「傲慢への国民的審判」などという見出しが並んでいました。毎日新聞は「比較的安定した支持を保っているように見えたが、独善的とも言われる政権運営に国民の拒否感が募っていたようだ」と書き、「政治はただ、国民だけを見て、国民だけを恐れなければならないという事実を忘れていたために起きたことだ」という与党代表の総括を伝えています。
 まるで、安倍政権のことを指しているような記事ばかりではありませんか。韓国での総選挙の結果は、これからの日本で起きることの予兆であり、日本でも同じような結果を引き出さなければなりません。
 韓国の例は、たとえ比較的安定した支持を得ているように見えても、政治的な大変動を引き起こすことができるということ、地域的な支持基盤や構造を大きく変えて与野党逆転を実現することは十分可能だということを示しています。しかも、小選挙区制の下で野党が分裂したにもかかわらず、そうなったということの意味は極めて大きいと言わなければなりません。

 このような結果が生じた要因の第1は、パククネ政権による経済政策の失敗と強権的な政治運営にあります。これは安倍政権によるアベノミクスの破綻と独裁的な政治スタイルという点で共通しています。
 第2に、若者の不満が高まり、若い世代が投票所に出向いて野党に投票したためです。昨年の安保法制に対する反対運動や将来に対する展望の無さを背景にした若者の不満の増大という点で、これも日本と共通していますが、その若者が投票所に足を運んで野党に投票するかどうかは、これからの問題です。
 第3に、このような政治的な変化が小選挙区制という制度によって増幅され、与党の「セヌリ党」は野党の「共に民主党」に第一党の座を明け渡すことになりました。これも参院選での1人区や衆院選での小選挙区という制度では共通していますが、野党が分裂しているのではなく共闘が進みつつあるという点で異なっています。

 参院選では1人区が32ありますが、その全てで野党共闘が実現すれば、韓国で現に生じたような政治的激震を生み出すことは十分に可能です。与野党の議席差は28しかありませんから、これをひっくりかえすには野党が与党から15議席を奪いさえすればよいのですから。
 衆院選でも小選挙区での勝敗がカギになります。今日の朝日新聞には、衆院選の前回票を合算すれば、59議席が逆転するとの試算が報じられています。
 その結果、野党は107議席、与党は172議席となって、「比例区の議席を加味しても、衆院での再可決が可能で、憲法改正の国会発議に必要な3分の2議席を確保するのは難しくなりそうだ」と朝日新聞は書いています。そうなれば、安倍首相は政治責任を問われて退陣せざるを得なくなるでしょう。
 しかし、参院選はともかく衆院選では、民進党と共産党を軸に選挙共闘が実現できる具体的なメドはたっていません。ここでもカギを握っているのは民進党であり、アベ政治をストップできるチャンスを生かすかどうか、その本気度が試されているということになるでしょう。

 若者などこれまで投票に行かなかった人が投票所に足を運び、これまで与党に入れていた人が野党に投票すれば、その1票は大きな力を発揮して政治を劇的に変え「選挙革命」を実現できるという実例を韓国の総選挙は示しました。それを次の参院選(衆参同日選挙?)で、この日本でも示そうではありませんか。
 そして、「比較的安定した支持を保っているように見えたが、独善的とも言われる政権運営に国民の拒否感が募っていたようだ」と、新聞に書かせましょう。与党の責任者が「政治はただ、国民だけを見て、国民だけを恐れなければならないという事実を忘れていたために起きたことだ」と総括せざるを得ないような選挙結果を、ぜひこの日本でももたらしたいものです。



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3月23日(水) オバマ米大統領のキューバ訪問が示した平和実現と安全確保への道 [国際]

 こうすれば、いいんじゃありませんか。もっと早く、そうすれば良かったんですよ。
 アメリカのオバマ大統領のキューバ訪問です。一触即発の危機にまで激化した対立でさえ、このような形で解決できるということ、これこそが平和実現と安全確保への道なのだということを示す好例になりました。

 オバマ米大統領は20日午後、現職の米大統領として88年ぶりにキューバの首都ハバナに到着し、ラウル・カストロ国家評議会議長との会談などを行いました。昨年7月に54年ぶりに国交回復した両国の新たな関係を切り開く「歴史的な訪問」です。
 現職米大統領のキューバ訪問は1928年にハバナでの国際会議に参加したクーリッジ元大統領以来のことになります。両国はキューバ革命後の1961年に国交を断絶し、翌62年には米国とソ連が核戦争の瀬戸際に立つ「キューバ危機」が勃発しました。
 しかし、オバマ大統領は歴史に名を残すことを欲して融和路線を採るようになり、国交を回復しました。人権問題など両国間にはまだ懸案事項が残されており、両国関係の改善も紆余曲折を辿るかもしれませんが、もはや両国が武力に訴えたり、戦争に突入したりすることはないでしょう。

 「キューバ危機」の時代を生きてきた私としては、大きな感慨を覚えます。あの時、子ども心にも地球滅亡の恐怖を実感として味わった記憶があるからです。
 そのようなアメリカとキューバが国交を回復してトップリーダーが笑顔で握手を交わす日が来るとは、あの時には想像もできませんでした。しかし、それから55年後の今、それは現実のものとなったのです。
 変わったのはアメリカの方です。力で抑えつけ封じ込めようとしてきた外交政策を転換したために、このような新たな展開を生み出すことができました。

 力の政策から対話の路線への転換こそが、平和を実現し安全を確保するための最善の道であるということが、今回もまた実証されたことになります。イランの核問題の解決やシリア内戦に関する和平協議なども、基本的にはこのような方向での解決の模索にほかなりません。
 ところが、北朝鮮問題では、全く逆の方向がめざされています。6カ国協議のような対話ではなく米韓軍事協力という力の政策によって、北朝鮮を屈服させようとしているからです。
 米韓合同軍事演習とそれを牽制する北朝鮮のミサイル発射の応酬によって、偶発的な衝突や先制攻撃の危険性が高まっています。集団的自衛権の行使容認による「抑止」効果どころか、かえってこのような対立の構図に日本も巻き込まれるリスクが高まりました。

 もちろん、北朝鮮のミサイル発射は断じて許されるものではなく、厳しく批判されなければなりません。しかし、それは米韓合同軍事演習に対する対抗措置としてなされていると考えられます。
 ミサイル発射を挑発というのであれば、それを挑発したのは「要人暗殺」の訓練や北への上陸演習を行っているアメリカと韓国です。相手の挑発を止めさせたいのであれば、こちらが挑発することも止めるべきでしょう。
 圧力をかければ反発し、牽制すれば威嚇するというのが、この間の経過でした。それによって平和は遠のき、安全は脅かされているのが実態です。

 イランやキューバとの関係を改善したと同様の政策転換が必要なのではないでしょうか。力による恫喝ではなく対話を可能とするような交渉へと北朝鮮をいざなうことによってしか解決の道は開けず、真の解決は新たな憎悪や紛争の種、混乱をまき散らすものであってはなりません。
 基本的には6カ国協議という枠組みの再開ですが、北朝鮮が同意しないのであれば5カ国協議でもやむを得ません。そのためには、北が望んでいる直接交渉をアメリカが受け入れることが必要です。
 その際には、いかなる条件も付けるべきではありません。無条件で、まず両国が対話のテーブルに付くことが最優先されなければならないでしょう。

 55年前には核戦争の瀬戸際まで悪化したアメリカとキューバとの危機でした。その両国は、今、私たちが目撃しているような形で関係を改善し、平和を実現しようとしています。
 同じようなことがいずれ朝鮮半島でも起きないと、いったい誰が断言できるでしょうか。いや、そのような形でしか、問題は解決できません。
 そのような未来を実現するために、今、何をするべきなのか。そのような未来からの発想に基づいて、現在の対応を選択することが求められているのではないでしょうか。

 今回のキューバとの国交回復は、任期が少なくなったオバマ大統領が歴史に名を遺す大きな業績を上げたいという個人的な願望に基づくものだと観測されています。もしそうであれば、米朝間の対立の激化ではなく対話の道を開くことこそ、歴史的業績の最たるものとなることでしょう。
 イラン、キューバに続いて北朝鮮との関係を改善し、国際社会への復帰を実現していただきたいものです。たとえそれがオバマ大統領の個人的な野心や願望の結果であったとしても、人類の歴史や極東の平和、日本の安全にとって、このうえない貢献となることは間違いないのですから……。

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2月8日(月) 北朝鮮による「事実上の長距離弾道ミサイル」発射をどう見るか [国際]

 「何と馬鹿なことを」と思った人は多かったでしょう。北朝鮮による長距離ロケットの発射です。
 機体は沖縄上空を通過して飛行し、その一部は宇宙空間で軌道に乗ったとみられています。1月6日の4回目の核実験を受けて高まった国際社会の非難を無視した形で、北朝鮮は今回の発射を強行しました。
 国連の安保理は「事実上の長距離弾道ミサイル」を用いたいかなる発射も北朝鮮に禁じる決議を上げています。今回の行動は、このような過去の国連決議に違反する蛮行であることは明白であり、断固として糾弾したいと思います。

 同時に、この発射を報ずるすべてのニュースが、「事実上の長距離弾道ミサイル」と連呼していることにも違和感を覚えます。今回の発射には「事実上の長距離弾道ミサイル」に転用可能な技術が用いられており、たとえ北朝鮮が発表しているように「地球観測衛星」の打ち上げであったとしても、それが長距離弾道ミサイルの開発につながることは明らかです。
 しかし、それはどの国のロケット技術でも同様であり、アメリカや日本で打ち上げられているロケットも「事実上の長距離弾道ミサイル」にほかなりません。核開発と同時並行で進められ、それを搭載するためのミサイル開発を目的とした発射であったとしても、アメリカやロシアの核・ミサイル開発とどこが違うのでしょうか。
 アメリカもロシアも(たぶん中国も)大陸間弾道弾(ICBM)に核を搭載して常に発射可能な形で待機させ、アメリカは朝鮮戦争やベトナム戦争で核を使用する意図を示した過去もあります。北朝鮮の「事実上の長距離弾道ミサイル」だけを問題視するのはダブル・スタンダードであり、他の国のロケット開発についても平和利用だけに限定せよと主張するべきではないでしょうか。

 この発射に対しては、国際的な批判が巻き起こっています。それも当然のことだと思います。
 しかし、北朝鮮に対する制裁の強化だけで問題は解決するのでしょうか。力で抑え込もうというやり方はこれまでも成功せず、かえって強い反発を生み、国際的に孤立することを覚悟した強硬路線を引き起こすという悪循環を招いてきました。
 おそらく今回も、そうなる可能性が高いと思います。安保法制の成立によって生まれると安倍首相が言ってきた「抑止」効果などは、全くの幻にすぎませんでした。

 制裁の強化によって「力ずくで」言うことを聞かせることには大きな限界があることは、これまでの経緯を見てもはっきりしています。問題の根本的な解決のためには、別のやり方も取らなければなりません。
 交渉と対話という手段を活用し、非核化と改革・開放を進めて経済や政治のあり方の現代化を進める方が、北朝鮮の政権にとっても国民にとってもベターだということを理解させることです。現体制の継続も中国の制裁強化による体制崩壊も、国際社会にとってのマイナスが大きく、その中間での「普通の国」へのソフトランディングを目指すべきでしょう。
 特に、拉致問題の解決という独特の問題を抱え、そのための独自のチャンネルを持っている日本の役割は大きいと思います。独自制裁の強化によってこのルートを閉ざすことなく、引き続き拉致問題の解決を求め、5カ国協議や6カ国協議の再開を目指しつつ米朝間の直接対話をアメリカに働きかけていかなければなりません。

 北朝鮮の国際社会への復帰には、アメリカとの直接対話が欠かせません。これについて、今日の『朝日新聞』で元日朝国交正常化交渉政府代表の美根慶樹さんが「米朝交渉 日本が後押しを」という表題で、次のように主張されています。

 「本質に立ち返り、北朝鮮の行動の根本にある問題にメスを入れる必要がある。具体的には1953年以来、休戦状態にある朝鮮戦争の終結について米国に北朝鮮との交渉を促すことだ。」
 「核を放棄すれば、北朝鮮という国を認めるかどうかの答えを出すという論理で迫る。」
 「こうした交渉をするには、米国が世界戦略を変える必要がある。」
 「核不拡散体制の維持を含め、交渉で得られる利益は莫大だと日本は米国に働きかけるべきだ。」

 この美根さんの提言に、私は賛成です。日本政府は、このような働きかけをアメリカに対してもっと強力に行うべきでしょう。
 しかし、それが安倍首相にできるのでしょうか。このような形での米政府への働きかけや、それを通じて北朝鮮問題を根本的に解決して日本周辺の安全保障環境を好転させるためにも、安倍内閣を打倒しなければ展望は開けてこないように思うのですが……。

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12月4日(金) 今こそ必要な「非暴力」と「非武」の思想 [国際]

 またもや、悲劇的な事件が勃発しました。アメリカカリフォルニアロサンゼルス郊外の障がい者支援施設の会議室で、男女2人が銃を乱射し、多くの死傷者が出ました。

 この施設に武装した男女2人が侵入して銃を乱射し、14人が死亡して21人がけがをしたそうです。犯人の2人は、その後警察との銃撃戦の末射殺されました。
 捜査当局が会見し、容疑者の自宅や車などから12個のパイプ爆弾やおよそ6000発の弾薬などが見つかり、施設内からも遠隔操作が可能なパイプ爆弾が見つかったことを明らかにしています。こうした状況などから、FBI(連邦捜査局)などは2人が何らかの目的をもって計画的に犯行に及んだ可能性があるとの見方を示していますが、詳しいことは分かっていません。
 この事件を受けて、オバマ大統領は銃規制の必要性を強調しましたが、共和党などはそれに強く反対しています。多くの議員が全米ライフル協会と深い関係にあり、政治資金を受け取っているからです。

 アメリカでは、4人以上が死傷する銃の乱射が300件以上も続いており、1日に1件以上の比率だといいます。極めて異常な事態であり、銃社会の病理が蔓延していると言わざるを得ません。
 しかも、パリでの同時多発テロ事件によって、銃の購入申請が18万を越えてを過去最多になったそうです。アメリカでは国内に銃が3億丁もあるといいますが、それでも銃撃事件は防げません。
 いつまで、このようなことが繰り返されるのでしょうか。銃には銃を、力には力を、武力には武力を、というやり方で問題は解決しないこと、かえって簡単に銃撃事件などが引き起こされてしまうことは、これまでの経験でいやというほど思い知らされてきたというのに。

 11月27日に開かれた東京革新懇の「一点共闘から政治変革をめざす共闘への発展に関するシンポジウム」では、パネラーの高田健さん、ミサオ・レッドウルフさん、仲山忠克さんは口をそろえて非暴力を強調されました。なかでも、沖縄革新懇の事務局長でもある仲山弁護士は、沖縄の伝統的な考え方である「非武の思想」を紹介され、それが沖縄での運動の広がりに重要な意味を持っていると指摘されました。
 「非暴力」と「非武」は、社会運動にとってだけでなく現代の社会が直面している病理を解決するための根本的な哲学としても大きな意味を持っています。それは憲法前文や9条の理念にも通底する考え方であり、いまこそ、その現代的な意義を再確認するべきでしょう。
 「非暴力」と「非武」の思想なくして安全と平和を実現することができないということは、銃社会であるアメリカが陥っている病理や「対テロ戦争」などが示してきました。暴力や武力によって銃撃やテロを防止することが不可能だということは、すでに何度も明らかになっている教訓ではありませんか。

 銃撃事件が繰り返されるアメリカでは護身用の銃が売れているそうです。テロ事件とそれへの報復が繰り返されている世界では、武器・弾薬が売れていることでしょう。
 銃や武器を売る「死の商人」の高笑いが聞こえます。いつまでこの世界は、人の命を犠牲にして巨利を得ている人々や企業に踊らされ続けるのでしょうか。

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11月18日(水) パリ同時多発テロでの憎悪の連鎖と復讐の応酬を避けなければならない [国際]

 悲しむべき事件が起きました。パリでの同時多発テロです。
 またもや、何の関係もない多くの人命が犠牲にされ、パリの町は悲しみに包まれています。

 テロの首謀者は「イスラム国(IS)」と見られています。シリアからの指示によってベルギーで計画され、7人の実行犯が少なくとも6か所を襲撃し、129人を殺害しました。
 許されざる蛮行であり、テロの実行犯を強く糾弾するものです。亡くなられた方に対して、心からのお悔やみを表明します。
 命を落とした一人ひとりにはかけがえのない人生があり、愛する人々がおり、豊かな将来があったはずです。それが、突然、理不尽な力によって奪い去られてしまったわけで、その無念さはいかばかりだったでしょうか。

 これにしてフランスのオランド大統領は「戦争」を宣言し、最大規模の空爆によって報復しました。その気持ちは分かります。
 しかし、空爆によって落とされる爆弾の下には、一般の市民はいないのでしょうか。「イスラム国」の兵士には、その死を悲しむ家族や友人、恋人などはいないのでしょうか。
 攻撃に対して反撃し、それによってまた新たな攻撃が触発され、そしてまたそれに反撃する。このような憎悪の連鎖と復讐の応酬によって問題は解決されるのでしょうか。

 武力対決と力による応酬は、問題を拡散させ、複雑化し、解決を困難にしてきました。軍事や警察的な対応だけでテロを防ぐことは不可能です。
 迂遠であるように見えても、テロの土壌をなくすための政治的外交的な解決に力を尽くさなければなりません。それが結局は、根本的な解決につながる道なのだということを、9.11同時多発テロ以来の経験が教えているのではないでしょうか。
 一時の怒りに駆られて、難民の受け入れを拒んだり、宗教的な対立を強めたりすれば、それこそISの思う壺です。何がテロの防止と問題の解決につながるのか、冷静に、慎重に考えて対応する必要があるでしょう。

 このようなテロの脅威に対しては、日本も例外ではありません。今回のパリでの襲撃では「SUSHI MAKI」という日本食レストランも銃撃されていたようです。
 すでに今年の初め、ISに拘束された2人の日本人が殺害されました。そのとき、ISは「アベよ、お前の悪夢を始めよう」という声明を出しています。
 戦争法成立後の10月にバングラデシュで日本人が殺害されるという事件も起きました。現地のIS支部を名乗る団体が犯行声明を出し、反政府勢力とされる3人の犯人が逮捕されています。

 悲しみに包まれているパリは、これからの東京になるかもしれません。戦争法によってアメリカとの同盟を強め、反ISの有志連合の一員として名前を挙げられている日本は、「敵」として狙われる危険性を高めています。
 そのようなリスクを悪用して恐怖心をあおりながら、テロ対策を口実に国民監視を強めようとする動きもあります。このような策謀を許してはなりません。
 自由な民主社会こそがテロの標的なのです。それを防ぐということで自由と民主主義を制限することは本末転倒です。

 かつてブッシュ米大統領は、9.11同時多発テロに対して「対テロ戦争」を宣言してイラクとアフガンへの武力介入を始めました。それは結果的にISという鬼子を生み出し、国際社会に対するテロの脅威を高めることになっています。
 今日、オランド仏大統領はパリ同時多発テロに対して同様の「戦争」を宣言しました。これによって、ブッシュ米大統領が犯したと同様の過ちを繰り返さないことを願うばかりです。

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