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1月30日(月) 2017年を飛躍の年に―アベ暴走政治の破綻と政治革新の展望(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.762、2017年2月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 発見された活路

 アメリカでのトランプ当選、ヨーロッパでの極右勢力の増大には、共通の背景があります。新自由主義やグローバリズムによる貧困と格差の拡大、既成政治への失望や政治そのものへの不信、現状へのいらだちと打破への願望などです。他方で、米国の「サンダース現象」など、対抗勢力の台頭と新たな政治変化の兆しも生まれています。
 日本も例外ではありません。むしろ右傾化では一歩先を進んできたように見えます。それだけに、対抗する勢力の動きも早く、アベ暴走政治によるナショナリズムや排外主義、生活破壊と軍事化に対抗して野党共闘を求める声が強まりました。その結果、自共対決から自公と補完勢力対市民と野党の共闘との対決へと質的な転換が生じたのです。
 世界は二つの潮流が対峙し競い合う変動期・過渡期に入りました。暴力と理性のせめぎあいによる混乱と紆余曲折は避けられないでしょう。そこから脱する活路を発見したのが、昨年の日本政治における最大の特徴です。それを発展させて過渡期から抜けだす道を切り開くことこそ、日本の革新勢力の世界史的な使命にほかなりません。

 天高く飛び立つ飛躍の年に

 今年は酉(鳥)年です。鳥のように大きく羽ばたき、新しい立憲・民主の政治に向けて天高く飛び立つ飛躍の年にしたいものです。
 2015年の戦争法案反対闘争は「ホップ」でした。昨年の市民と野党との共闘の始まりは「ステップ」だったと言えるでしょう。そして、今年は総選挙でも野党共闘の力を存分に生かして民主的な新政権を樹立し、安倍政権を打倒する飛躍(ジャンプ)の年にしなければなりません。
 考え方や政策の異なる政党や団体、個人が手を結ぶのが統一戦線です。それは決して生易しいものではありません。対立や葛藤があるのは当然ですが、それ以上に力を合わせる必要性が生じた場合に実現可能になります。
 安倍暴走政治への懸念と危機感が共同の必要性を生んだのです。市民と野党が力を合わせる以外に安倍政権を倒すことは不可能です。何を最優先にするのか、そのために何が必要なのかを真剣に考え、未来のために過去にはこだわらないという態度が求められています。
 年明け早々の解散・総選挙も予想されています。いつ解散されても良いように準備しなければなりません。野党が共闘体制を確立して与党が議席を減らす恐れが強まれば、そう簡単に解散できなくなります。野党共闘の実現による選挙準備の促進は、恣意的で党略的な解散を許さない武器ともなります。
 「備えあれば憂いなし」です。その武器を鍛えて、不測の事態に備えようではありませんか。長期政権を実現して「壊憲」に突き進もうとしている安倍首相の野望を阻むためにも……。

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1月29日(日) 2017年を飛躍の年に―アベ暴走政治の破綻と政治革新の展望(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.762、2017年2月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 はじめに

 「暴走政治も極まったり」と言いたくなるような臨時国会でした。TPP条約の承認、年金のカット、カジノ解禁法案の成立など、「強行採決など考えたこともない」とうそぶきながら強行に次ぐ強行の連続です。安倍首相の焦りの表れだったのではないでしょうか。
 このような焦りを生んだ背景の一つが、参院選1人区と新潟県知事選での市民と野党の共闘による勝利でした。昨年は暴走政治をストップさせるための活路と「勝利の方程式」が見つかった年として記憶されるにちがいありません。
 2017年は、明確な争点を掲げた本気の共闘によって統一戦線結成にむけての扉を開き、本格的な連合政権を実現する年にしたいものです。国政選挙で「共産党を除く」という壁が除かれた新たな局面で、政治革新に向けての運動がどう発展するかが試される年になることでしょう。

 行き詰まった内政

 内政の行き詰まりは明白です。アベノミクスが失敗して景気回復が遅れたために消費税の再増税を先送りせざるを得なくなり、日銀の黒田東彦総裁は「2%インフレ目標」の達成を諦めました。その旗振り役だったイエール大学名誉教授の浜田宏一内閣官房参与はインフレターゲットの「リフレ政策」が誤りだったと認めて「白旗」を掲げました。
 生活は一向に楽にならず、実質賃金はマイナスで家計消費の赤字が続いています。大企業や「勝ち組」が大もうけを続けている一方で、貧困化が進んでいるだけでなく格差が拡大し、中間層も疲弊しているなど事態は深刻です。これに社会保障サービスの切り下げが追い打ちをかけています。
 安保法(戦争法)は成立しましたが、日本周辺の安全保障環境は改善されなかったばかりか悪化してしまいました。抑止力を増大させるどころか挑発を強める結果となり、北朝鮮のミサイル発射は21回を数えています。アメリカの仲間として敵視され、バングラデシュでの邦人殺害事件で15年10月に1人、16年7月に7人が亡くなりました。日本と日本人の安全は高まらず、かえって危険になったのが現実です。そのうえ、南スーダンPKOに派遣されている自衛隊はいつ戦闘に巻き込まれるか分からない危険な状態に置かれています。

 八方ふさがりの外交

 外交も八方ふさがりとなっています。安倍首相にとっては戸惑いの連続だったでしょうが、このような外交破綻はアメリカべったりで軍事偏重、独りよがりの情勢判断しかできない安倍首相自身が招いた当然の結果にほかなりません。
 成長戦略の目玉だったTPP(環太平洋連携協定)はトランプ米次期大統領による離脱表明によって漂流を始め、軍事技術や原発の輸出もオーストラリアへの潜水艦商戦の挫折やベトナムへの原発輸出の失敗によって頓挫しています。地球温暖化防止のためのパリ条約の批准が間に合わず、唯一の戦争被爆国でありながら国連の核兵器禁止条約交渉開始決議に反対し、沖縄では高江のヘリパッドや辺野古での米軍基地建設を強行しつつ米軍のオスプレイ墜落を不時着だとごまかして県民との溝を深めました。就任前のトランプ訪問でオバマ米大統領の怒りを買い、それをなだめるための真珠湾訪問もすでに吉田・鳩山・岸元首相が行っていて「現職総理として初」ではありませんでした。
 とりわけ、大きな失敗だったのは日露首脳会談です。プーチン大統領によって領土問題は無視され、経済協力だけが「食い逃げ」されました。「領土返還詐欺」に騙され3000億円という大金をむしり取られたようなものです。


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1月5日(木) アメリカ大統領選挙でのトランプ当選をどう見るか(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、2016年12月25日付の『はちおうじ革新懇話会』第72号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

         * * *
 こうして、日本と同様にアメリカでも、アクセルばかりでブレーキなしの「暴走車」が登場することになりました。日本では夏の参院選の結果、衆参両院で自民党が過半数を占めています。アメリカでも大統領選挙と同時に実施された上下両院議員選挙によって共和党が多数になっています。
 しかも、「運転手」はどちらも「右にしかハンドルが切れない」極右の指導者です。太平洋を挟んだ日米両国で容易ならざる事態が生まれたことになります。それへの警戒や反発もあって、アメリカ国内では反トランプ・デモが起きました。
 他方、ヨーロッパでは極右の動きが強まり、影響力が拡大しています。最近のイタリアの国民投票では極右の「五つ星運動」の躍進もあって憲法改正案が否決され、レンツィー首相が辞任しています。また、オーストリアの大統領選挙では、リベラルな緑の党出身のファン・デア・ベレン候補が当選したものの、自由党のホーファー候補も48.3%を獲得して、極右勢力が政権の座を狙えるほどの支持を拡大していることが明らかになりました。
         * * *
 しかし、これらは世界で生じている政治現象の表層にすぎません。その底流ではグローバリズムと新自由主義、緊縮政策、独裁や差別主義などに反対する新たな運動が流れ出していることを見逃してはなりません。
 その予兆は、北アフリカでのアラブの春、アメリカでのオキュパイ運動、香港の雨傘革命、台湾でのひまわり学生運動などの新たな大衆運動によって示され、ヨーロッパでの反緊縮運動や韓国のパク・クネ大統領辞任要求の大規模集会などに受け継がれています。そこから、スペインのポデモス、イギリス労働党左派のコービン党首、アメリカでのサンダース現象、ドイツンの首都ベルリンでの社会民主党・左翼党・緑の党による左派3党連立市政実現などの新たな動きも生じました。
 今はまだ、過渡期にすぎないのです。しばらくの間、紆余曲折があり混乱は避けられません。そのようななかで、極右の台頭によって右への転落が選択されるのか、それとも左派による対抗と再生が生ずるのかかが争われることになるでしょう。
         * * *
 その意味では、「せめぎあいの時代」の始まりだというべきかもしれません。この時代における私たちの課題は、一刻も早くこの過渡期・混乱期を抜け出すことです。そのために、平和への希望と未来への夢を語り合えるような脱出路を見出す必要があります。
 日本で発展しつつある市民と野党の共闘は、このような脱出路の探求にほかなりません。それは貧困や格差の是正と平和、民主主義を求める政治変革の動きとして、国際的な動向とも響きあうものになっています。
 その成否を決めるのは市民の力です。革新懇運動の発展によって市民の力を結集し、新しい局面を切り開こうではありませんか。そうすれば、来る2017年を平和で民主的な世界を生み出す希望の年とすることができるにちがいありません。

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1月4日(水) アメリカ大統領選挙でのトランプ当選をどう見るか(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、2016年12月25日付の『はちおうじ革新懇話会』第72号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 予想外の結果だったと言って良いでしょう。アメリカ大統領選挙でのトランプ候補の当選です。来年の1月20日にはトランプ政権が発足しますが、それがどのような政権になるのか、いま世界は固唾を飲んで見守っている状況です。
         * * *
 トランプ候補が当選したのは、グローバリズムと金融資本主義を背景とした新自由主義や緊縮政策などによって貧困と格差が拡大したためだと見られています。トランプ現象は一種のポピュリズム(大衆迎合主義)にほかなりませんが、既成政治の外から人々の不満や要求をすくい上げて政治に届ける回路の一つでもあります。過激な発言や嘘とデマも散りばめながら、それまでのアメリカ政治に失望した人々の期待をかき集めた結果だったとも言えるでしょう。
 逆に、クリントン候補の敗因は、元大統領夫人で上院議員や国務長官も務めた既成政治家のエリートだったという点にあります。しかも、女性初の大統領としての期待は高いものでしたが、女性であるが故の「ガラスの天井」にはじき返されたという面もあったでしょう。そのうえ、「チェンジ」を掲げて大統領になったにもかかわらず現状を打破できず、「チェンジチェンジ詐欺」などと非難されているオバマ大統領の後継者だったのも不利に働いたように見えます。
 それにもかかわらず、得票総数ではクリントン候補の方が200万票も多かったという事実は重要です。実は多数派であったのに選挙で負けてしまったのは、選挙制度の不備というしかありません。当選するのは得票数の多い候補者ではなく、それによって州ごとに選ばれた選挙人の多い候補者であるという間接選挙の問題点が、ここにはっきりと示されています。このようなカラクリが小選挙区制でもっと大きな規模で生ずることは、皆さんご存知の通りです。
         * * *
 当選後は「国民すべての大統領なる」と言って過激な言動を控えたため、「良いトランプに変わったのではないか」との見方が広まりました。訪米して私的な会見を行った安倍首相も「信頼できる指導者」だと請合いました。しかし、その「化けの皮」は直ぐにはがれ、安倍首相はトランプの「手品」の「サクラ」として利用された形となって世界中に恥をさらしています。
 トランプ新政権の陣容は共和党主流派と極右との連立であり、差別主義者やタカ派、財界人や富豪、元軍人のオンパレードとなっています。このような陣容の政府がどのような政策を打ち出すことになるのでしょうか。世界は大きな危惧と不安を抱きながら注目しています。
 日本に対しては、TPP条約からの離脱の言明や在日米軍の撤退可能性への言及などが注目されました。国会ではTPP条約が成立しましたが、アメリカの離脱で全く無意味になっています。
 在日米軍の経費を全額負担しなければ出ていくというのなら、出て行ってもらえばいいじゃありませんか。そうすれば、平和と安全の実現を軍事力によってではなく、周辺諸国との関係改善と友好親善の強化、つまり非軍事的な外交手段による安全保障という新しい「自主防衛」に向けてのチャンスが生まれることでしょう。

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12月22日(木) 実証された野党共闘の弁証法的発展(その3) [論攷]

〔以下の論攷は、勤労者通信大学・通信の『知は力 基礎コース6』に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 新潟県知事選と衆院補選で明らかになった共闘の威力と民進党の弱点

 このような参院選1人区での野党共闘の経験はさらに大きな成果を生むことになりました。それが新潟県知事選での米山隆一候補の当選です。選挙告示の6日前に、民進党を離党して立候補を決断した米山さんを推薦したのは、共産党・生活の党(現自由党)・社民党の3党に新社会党や緑の党も加わった「新潟に新しいリーダーを誕生させる会」であり、柏崎刈羽原子力発電所の再稼動に反対する広範な市民も応援に駆け付けました。
 結果は、6万票の大差で米山さんが当選しています。参院選でも1人区だった新潟選挙区では野党統一候補の森ゆうこさんが当選しましたが、そのときの2200票差を上回る成果でした。原発再稼働反対やTPP反対などの大義の旗を掲げ、明確な争点を掲げて市民を結集すれば勝てるという「勝利の方程式」が実証されたわけです。
 ところが、この選挙では民進党が“自主投票”に回り、蓮舫代表など幹部が応援に入ったのは選挙戦の最終盤でした。この1週間後に投票された東京福岡での衆院補選でも、野党統一候補を立てた民進党の対応は極めて不十分なものでした。いずれの場合も民進党の弱点が露呈したといわざるを得ません。
 その背後には、支持団体である労働組合の連合からの強い働きかけがありました。10月24日付『中国新聞』は「民進党と連合幹部の間では『密約』が交わされていた」として、「2補選告示を控えた10月4日、蓮舫代表と野田佳彦幹事長、連合の神津里季生会長、逢見直人事務局長との4者会談で野党共闘の原則を確認した。①共産の候補取り下げ、②政策協定は結ばない、③推薦は受けない、④表立った場所で共産と選挙活動はしない―といずれも『共産隠し』に徹する内容」だったと報じています。実際の選挙戦はこのような形で闘われ、「利敵行為」ともいうべき対応によって与党の候補が当選しました。
 しかし、このような野党共闘についての「揺れ戻し」は、民進党内でも支持されていません。『サンデー毎日』12月4日号は、「蓮舫は『裸の王様』」「定まらない野党共闘、ついにベテラン勢が離反」と報じています。これによれば、民進党は10月に比例復活の衆院議員と落選中の支部長を数日間にわけて党本部に招集して聞取りを行ったところ、「驚くことになんと全員が、『共産党と協力すべき』と答えたのだ。2日目も同じ意見だった」といいます。「共産党と組むと連合の支持がもらえなくなるが、それでもいいのか」と聞くと、全員が「それでもいい」と答えたそうです。
 また、この記事では前原誠司衆院議員についても、「(共産党と)もっとオープンに政策協議をすれば共通点はいくつも出てくるはずだ」「自分が代表なら、共産党と真摯に話し合って接点を必ず見つける」と、共産党との話し合いに意欲を見せていると報じています。当然でしょう。連合に引きずられて共闘に背をむければ、こう言われるだけでしょうから。
 「嫌ならどうぞ、勝手にしてくださって結構です。でも、国民からは見放されますよ」と。

 むすび

 以上に見たように、野党共闘は弁証法的な発展を遂げてきました。それは60年安保闘争における安保共闘を嚆矢とし、その後のベトナム反戦運動や沖縄返還闘争、革新自治体の誕生などでの社共共闘に受け継がれ、日本における野党共闘の原型を生み出しました。
 しかし、80年の「社公合意」によってこのような流れは暗転し、社共間の共闘は瓦解していきます。政党間での共闘が困難になるなかで、団体や個人による共同の追求を課題に革新懇が発足しました。以降、苦節35年ともいうべき苦闘の歴史を積み重ねるなかで、新たな展開が生まれたのが昨年の「15年安保闘争」です。
 こうして、野党共闘の「テーゼ」、逆風の時代の「アンチ・テーゼ」を経て、新たな野党共闘の成立という「ジン・テーゼ」の時代を迎えます。それは、かつての社共共闘の再現ではありません。市民が積極的に関わり、野党4党が選挙での当選だけでなく連合政権の樹立をも展望する「本気の共闘」になろうとしています。
 もちろん、それが一直線に進んできたわけではなく、これからも紆余曲折は避けられないでしょう。新潟県知事選や衆院補選での民進党の対応など、今後の野党共闘についての不確定要因も生じています。
 しかし、ここでも弁証法的な発展があるのではないでしょうか。民進党も加わった参院選1人区での共闘が「テーゼ」であり、その後の「揺れ戻し」と民進党の弱点の露呈が「アンチ・テーゼ」でした。そして、これから衆院選での「本気」の共闘の実現という「ジン・テーゼ」の段階が訪れようとしています。それは、参院選での共闘の再現ではなく、それをさらに発展させ、野党連合政権樹立と統一戦線結成への新たな扉をひらくものとなるでしょう。また、そうでなくてはなりません。
 こうして、日本の歴史における新たな政治的実験と実践の新しい時代が始まろうとしています。その時代の流れを見極め、目的意識的かつ主体的に生き抜くためにも、哲学を学び正しい世界観を身に付けることが大切であるということを、最後に強調しておきたいと思います。

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12月21日(水) 実証された野党共闘の弁証法的発展(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、勤労者通信大学・通信の『知は力 基礎コース6』に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 共産党を含む野党共闘の成立

 統一戦線運動における新たな芽生えを生み出した力は、安保法案反対運動の国民的な高揚でした。このような運動を生み出す共同の前進は、それ以前にもなかったわけではありません。この点については、テキストでも次のように述べられています。
 「日本の現状を見ると、労働者・国民にすべて犠牲を転嫁した、大企業中心・アメリカいいなりの政治への国民の怒り、国民本位の政治への転換を求める世論が大きく高まっています。そのなかでTPP (環太平洋連携協定)問題、原発問題など一致する要求や課題で共同する『一点共闘』がさまざまな分野でひろがり、良心的保守層をふくむこれまでにない広範な人たちが立ち上がる共同の前進が見られます。」(316頁)
 このような「共同の前進」は、2011年の3.11原発事故以降、顕著になりました。それは原発ゼロ、特定秘密保護法や沖縄での新基地建設に反対する運動などとして発展し、昨年の安保法案反対運動へと合流することになります。
 そこには、学生や若い母親、学者や弁護士など「良心的保守層をふくむこれまでにない広範な人たちが立ち上がる」姿が見られ、その運動の波は東京や国会周辺だけでなく全国津々浦々に広がっていきました。そして、そのようななかで自然発生的に沸き上がって来たのが「野党は共闘」という声でした。
 この声に真っ先に応え、安保法が成立した2015年9月19日の午後に「国民連合政権」の呼びかけを発したのが日本共産党です。今後の運動の展望を示したこの呼びかけは、安保法の成立によって力を失いかけていた人々に勇気を与え、歓迎されました。しかし、この時点では、それがどのようなかたちで具体化され、どう展開していくのか、誰にも分りませんでした。
 それが新たな進展を示したのが、翌2016年2月19日に実現した安保法の廃止と参院選での選挙共闘についての合意です。民主党・日本共産党・維新の党・生活の党・社会民主党の野党5党によるもので、いわゆる「5党合意」です。こうして、共産党を含む新たな政治的共同が実現し、野党共闘が成立することになりました。
 実はこの1ヵ月前、私の住む八王子でもささやかな野党共闘が実現しました。私が立候補した八王子市長選挙です。共産党や社民党だけでなく維新の党や生活者ネット、無所属の市議さんなどに支援していただき、民主党の有田芳生参院議員も個人として応援してくれ、生活の党の山本太郎参院議員からも応援メッセージをいただきました。結果は落選でしたが、野党共闘の先陣を切った点で意義のある挑戦であり、共同の前進のために一定の役割を果たせたのではないかと自負しています。

 参院選での共闘が実現した背景と要因

 参院選の結果と野党共闘の成果や教訓については、すでに『学習の友』2016年9月号に書きました。詳しくは、そちらをご覧いただきたいと思います。ここでも書いたように、参院選では32の一人区で共闘が成立し、11人の統一候補が当選しました。市民と野党との共闘が実現しなければ、このような成果は生まれなかったでしょう。
 このような共闘が実現したのは、野党第1党の民進党が共産党との共闘に踏み切ったためです。これは極めて大きな変化でしたが、そうなったのは何故でしょうか。
 その第1は、「労働者・国民にすべて犠牲を転嫁した、大企業中心・アメリカいいなりの政治への国民の怒り、国民本位の政治への転換を求める世論」が高まったからです。具体的には、安倍暴走政治に対する怒りと危機感であり、それが集約されたのが安保法案反対運動でした。そのなかで上がった「野党は共闘」という声は、まさに「国民本位の政治への転換を求める世論」の具体的な現れにほかなりません。
 第2に、このような国民の声は、市民運動のあり方を変えました。それまでは政治や政党と一定の距離を置いていた市民運動は安保法案廃案にむけて政党に働きかけ、集会などへの参加を求め、国会内外での共闘にも躊躇しなくなりました。「5党合意」の成立後は参院選に向けて「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を結成し、選挙活動にも積極的に取り組みました。
 第3に、このような働きかけを受けて政党の側も変化しました。一番変わったのは民進党です。2015年5月3日の憲法集会で民進党の代表は共産党の代表と手を結ぶことを拒みましたが、その後の安保法案反対集会に代表が参加してあいさつし、他の野党とも手を組むようになっていきました。運動の中で政党も変わっていったのです。
 そして、第4に、このような変化を生み出すうえで、共産党の果たした役割には大きなものがありました。近年の国政選挙で躍進を続け、民進党結成後は野党第2党となり、安保法案反対運動をけん引して市民の信頼を得ただけでなく、国民連合政権を提唱して参院1人区での共闘成立のために候補者を取り下げたのです。これが野党共闘成立の決定的な要因となったことは疑いありません。


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12月20日(火) 実証された野党共闘の弁証法的発展(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、勤労者通信大学・通信の『知は力 基礎コース6』に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 はじめに

 「真理と見なされている考えAに全員が同意するなら、討論は成立しません。Aに反対するBやC、つまり反Aという対立物が出てきて、はじめて討論(運動)が始まります。Aと反Aの討論は、たがいに否定し、前提にしあいながら、また回り道や飛躍をともないながら進みます。そして、ついにはAでも反Aでもない、しかしAと反Aをより高いレベルでふくむような考え(真理)に到達します――これがまさに『弁証法』的討論にみられる真理追求の特徴です。」(50頁)
 これは、勤労者通信大学のテキスト『基礎コース』の第1章「ものの見方・考え方の基本」の中で、弁証法について説明している文章の一部分です。その見出しが「対話(討論)の特徴」とされているように、これは「真理追求」にむけての「対話(討論)」にかんする弁証法について述べられています。
 しかし、このような弁証法は日常の出来事や運動などを説明するうえでも有効です。それは、一般に「正→反→合」という形での発展を示します。ドイツ語では「テーゼ→アンチ・テーゼ→ジン・テーゼ」ということです。
 このような発展は、実は日本政治における野党共闘の歴史においても見出すことができます。それは統一戦線の弁証法にほかなりません。なぜ、そう言えるのでしょうか。それは、どのような形で「テーゼ→アンチ・テーゼ→ジン・テーゼ」という発展を示してきたのでしょうか。

 統一戦線の萌芽としての野党共闘

 勤労者通信大学のテキスト『基礎コース』には、統一戦線についての記述もあります。第5章「現代社会と社会変革」の中の「統一戦線による変革」という部分です。そこでは次のように説明されています。
 「階級的な立場の異なる多くの勢力が、共同の目標、共通の利害にもとづいて協力してつくる持続的な共同闘争の体制・組織が統一戦線です。現実の統一戦線は、異なる政治的理念や綱領を持つ諸政党、目的や性格を異にする諸団体、さまざまな考えをもつ諸個人の連合というかたちをとります。こうした統一戦線が結成されることによってはじめて、多数者による社会変革は可能になります。統一戦線こそが社会変革の推進力なのです。」(314~316頁)
 このような統一戦線は、共産党がオブザーバーとして参加した安保共闘を別にして結成されたことはありません。「階級的な立場の異なる多くの勢力が、共同の目標、共通の利害にもとづいて協力」することはありましたが、個々の運動課題や選挙での勝利を目的とした一時的なもので、「持続的な共同闘争の体制・組織」というわけではなかったからです。
 ある程度、持続的な政党間の共同もありましたが、それは革新自治体の母体となった「明るい革新都政を作る会」など自治体レベルのものでした。ただし、国政選挙でも参院沖縄選挙区での革新共闘会議などの例外はあり、それは「オール沖縄の会」などの形で独自の発展を遂げています。
 テキストの「日本における統一戦線の展望」でも、「政党の共闘は、かつては、社会党、共産党の共闘を軸におこなわれ、革新自治体の経験からもわかるように、重要な意味を持つことはいうまでもありません」(316頁)と指摘されています。この時点での共闘は統一戦線の萌芽的な形態として始まっていました。これが、弁証法で言えば「テーゼ」の段階です。
 しかし、その後、大きな転機が訪れます。1980年1月に社会党は公明党と「日本共産党排除」を明記した政治合意を結びます。これが「社公合意」と言われる統一戦線の分断であり、「アンチ・テーゼ」の始まりです。こうして、「共同の意志のある政党、団体、個人などすべてを結集する努力」が追求されることになり、その結集母体として「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)」が結成されます。
 それから35年の歳月が流れ、この間にも様々な課題やレベルで共同の取り組みがなされました。野党間の選挙共闘もありましたが、それは主として社公民共闘など「共産党を除く」ことを目的としたものでした。そして、昨年の安保法案反対運動の沸騰の中から、ついに野党共闘における「ジン・テーゼ」とも言える動きが芽生えることになります。

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12月17日(土) 見えた 勝利の方程式(その2) [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、『女性のひろば』No.455、2017年1月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 現代の源氏は「市民と野党」

 特定秘密保護法、安保法制と強行採決を連発しながら「結党以来強行採決など考えたこともない」などという安倍首相の白々しさ。驕り高ぶりも極まった感があります。平安末期は源頼朝が兵を挙げる準備を着々と進めていましたが、現代の源氏は市民と野党ということになるでしょう。いかにして安倍政権を打ち破るか。私は新潟県知事選で「勝利の方程式」がはっきり見えたと思います。
 安保法制に反対する空前のたたかいからわきおこった「野党は共闘」の声。その市民の声にこたえて日本共産党が「戦争法廃止の国民連合政府」を呼びかけ、2016年2月には安倍政権の打倒をめざし国政選挙で協力するという画期的な5野党合意が確認されました。参院選ですべての1人区で野党統一候補が実現し、そのうちの11で勝利を勝ち取った。その流れが新潟県知事選での画期的な勝利につながりました。

 共産党排除の枠が取れた!

 市民と野党の共同の流れにはこれまでにない新しさがあります。その1。日本共産党の立ち位置がまったく違うこと。これまでは日本共産党を除く共闘が普通でした。ただ一つ、沖縄以外では。しかし参院選ではこの「共産党を除く」という枠が除かれた。国政選挙でこれほどの規模で野党の統一候補が立候補した選挙は過去に例がありません。安保法制に反対する広範な市民運動から澎湃としてわき起こった市民の声に日本共産党がこたえたことで、共産党を排除できなくなった。これは日本の政治史上、きわめて画期的なことです。
 新しい流れ、その2。市民が選挙に積極的にかかわるようになったこと。これまで市民は政治や選挙と距離を置き、主体的にかかわることはほとんどありませんでした。この点で新しい政治文化が生まれたといってよいでしょう。
 自覚的な市民と野党の共闘がもたらすはかりしれない可能性。それが新しい流れの3つめです。新潟県知事選では、米山候補を推薦したのは共産・自由・社民の3党。民進は自主投票でした。与党は圧勝できると思っていた。しかし「原発再稼働は認めない」という大義の旗を掲げ、市民と野党が本気の共闘をした結果、投票率が10ポイント上がり、多くの無党派層が投票所に足を運び6万票もの差がついた。政党の枠組みだけでは考えられない変化、いわば一種の「化学反応」がおきたのです。これこそが「勝利の方程式」です。明確な争点と大義の旗を掲げ、本気で共闘すれば自公を打ち破れる。はっきりしたじゃありませんか。
 与党は恐れおののいています。さっそく自民党の下村幹事長代行は「次の衆院選で野党統一が進めば86議席減る」と若手代議士にハッパをかけましたが、内心ではそれ以上の危機感をもっているでしょう。安倍政権を支持している人が多いように見えるのは、ほかに適当な人がいないだけ。選択肢がないからとりあえず支持しているのが実態です。争点を明確にして魅力ある選択肢を示せば、政党間の組み合わせを越えた支持の広がりを実現することができる。新潟はそれを示しました。そして、同様のことは日本のどこでおきてもおかしくありません。
 政治に望みを失って投票所に足を運ばなくなっている人々に「今度は政治が変わるかもしれない」と思ってもらえるか。アベ政治ではない新しい政治への期待を託してみようと選んでもらえるか。新潟のたたかいで示された「勝利の方程式」を貫くことこそが、政治を変える大きな希望なのです。

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12月16日(金) 見えた 勝利の方程式(その1) [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、『女性のひろば』No.455、2017年1月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 安倍首相は絶頂期にあるように見えます。彼の心境は藤原道長が詠んだ「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」というところでしょう。与党で衆院の3分の2、参院では自民1党で過半数の議席を有して党内に刃向かう者はおらず一強体制を確立。総裁の任期を延長し、史上最長政権をめざして向かうところ敵なしです。

 満ちれば欠けるのは世の習い

 しかし、月のように満ちれば欠けるのが世の習い。遅からずその陰りは明瞭になっていくでしょう。陰りその1は、経済政策の失敗です。11月1日、日本銀行の黒田東彦総裁は「2%インフレ目標」を任期中に達成できないことを初めて認めました。事実上の異次元金融緩和敗北宣言です。アベノミクスの第1の矢として、2年間で2%の物価上昇目標を達成し、デフレから脱却すると宣言してから3年半。現実には「アベノミクス不況」がいよいよ深刻になっています。
 陰りその2は、全面的な運用段階に入った安保法制です。日本の安全保障環境を改善するとして無理やり強行採決した2015年9月以降、果たして日本の安全は高まったでしょうか。否。北朝鮮の核開発やミサイル発射実験の増加など、以前より悪化しています。
 日本はアメリカの仲間だと宣言したともいえる安保法制。成立直後の昨年10月、バングラデシュで日本人男性が殺害されました(ISの現地支部が犯行声明)。そして今年7月、再びバングラデシュでJICA(国際協力機構)の日本人7人がISに殺害されました。そのうえ、南スーダンPKOで派遣されている自衛隊の任務拡大にともなって、発足以来初めて自衛隊員が「殺し殺される」危険性が高まっています。
 陰りその3は、原発再稼働を強行しようとしている政権に、国民の不安と懸念が強まっていることです。新潟県知事選では「柏崎刈羽原発の再稼働は認めない」という大義の旗を立てた野党統一候補・米山隆一さんが自公推薦候補に圧勝しました。
 新潟県は福島県と隣り合い、原発事故で避難されている方も多い地域です。私も新潟県出身ですからよく分かります。農業県の新潟で事故が起こったらいったいどれほどの被害を蒙ることになるのか。しかも、新潟は中越地震など地震多発地帯です。県民の意志は明確でした。
 陰りその4は、国会承認を強行しようとしているTPP(環太平洋連携協定)です。農業をはじめ食の安全、医療、金融、雇用などあらゆる分野で国民の暮らしを破壊するTPPへの不安と批判が広がっています。今年7月の参院選でTPPは争点の一つでした。秋田を除き東北甲信越で与党は全敗しています。そして改憲、沖縄米軍基地問題―-。安倍政権が掲げてきた課題が立ちゆかなくなっていく可能性は高い。まさに月が欠け始めているのです。

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12月13日(火) ともにたたかう道へ 気骨の歩み―書評:畑田重夫『わが憲法人生70年』 [論攷]

〔以下の書評は、『しんぶん赤旗』12月11日付、に掲載されたものです。〕

 平和憲法一筋に愚直に生き抜いてきた93年の人生。その熱き想いと行動力、気骨ある生き方が、本書から立ち上ってくる。「地位とか、肩書とか、社会的名誉とかには全く魅力を感じず、人間として自分に満足のゆく『一筋の道』を生きぬき、貫き通した」著者の「憲法人生」から学ぶべきものは多い。
 著者は教員の両親の3男として京都府綾部町に生まれ、波乱の人生を歩んできた。学徒出陣で軍曹として生き残ったのは病弱で陸軍病院に入院していたからだ。「今は亡き学友(戦友)たちの分もふくめて、平和と民主主義と社会進歩に貢献しなくては、との思い」から「友情の使命」を果たすべく、せっかく得た「高級官僚や大学教授への道をあえて敬遠して、労働者・国民とともに学び、ともにたたかう道を選択」する。そのために定収の道が経たれたが、ここにこそ著者の気骨が示されているのではないだろうか。
 以後、著者は労働者教育や平和運動の先頭に立つことになる。なかでも、その後の「生き方に絶大な影響を及ぼすことになった」のが、東京都知事選への2度の立候補であった。3度目は「ドクターストップ」となったため、首都東京を「非核・平和の都市に」という「夢の一つ」は実現せずに終わった。
 畑田みちるさんと結婚したのは河上肇のすすめで、ジャンケンで負けて藤枝から畑田に姓が変わった。名古屋での送別会には市公会堂開設以来最大規模の3500人も集まったことなど、興味深いエピソードにも満ちている。学者仲間や政治家、運動関係者だけでなく俳優、歌手や作曲家などとの交流も多彩で、著者の幅広い人間性がうかがわれる。
 


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