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2月19日(日) 市民と野党の共闘でアベ政治の流れをかえよう!(その3) [論攷]

〔以下の講演要旨は、川崎区革新懇の「11.2講演と交流のつどい」記録集に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 政策的合意の拡大、臨時国会での共同―選挙区で統一候補擁立の準備

 野党共闘の核になるのは民進と共産の連携だ。市民からの要請と働きかけが鍵になる。今日の毎日新聞の夕刊に蓮舫さんのインタビューが掲載されている。「野党間の協議は続けます。選挙協力をするかしないか、100か0かの問題ではありません。地域事情を勘案して勝つことにこだわっていきます」と述べて、共闘はやると言っている。蓮舫さんの発言の中で、ポイントは「地域事情を勘案し」の部分だ。「地域事情」を、みなさんで作ってもらいたい。
 市民と野党とが一緒になって実質的な実りある共闘を生み出す。勝てる共闘を、それぞれの地域で実現するような動きを作っていけば良い。そうすれば、「沖縄方式」で勝てる。沖縄では4つある選挙区のそれぞれに野党が1人ずつ候補者を立てて全員当選したじゃありませんか。同じようなことを神奈川県でもやればいい。そのための「神奈川の地域事情」をつくり出してもらいたい。
 もし、じゃまされそうになったら、「これが神奈川の地域事情」だと民進党のトップに言えばいい。地域事情を勘案してやるって言っているわけですから。「民進党に欠けているのは信頼。そこが決定的に欠けている。政権の座に就いた旧民主党から裏切られたという人々の感情はいまだに収まりません」。彼女はこう答えている。ならば信頼を積み上げるしかない。そのためには約束を守ることが大切だ。共闘はするという約束についても守ってもらいたい。
 共産党が一方的に候補者を取り下げるという形ではなく、きちんとしたバーターで候補者調整を行う。そして一本化する。こういう風にすればさらに大きな力を発揮することができるだろう。北海道新聞の試算では、衆院選で参院選と同じ共闘が実現すれば野党の10勝2敗になるという。時事通信の試算では、前回の総選挙でも野党4党の得票を合算すれば47選挙区で逆転する。自公は3分の2を割るとされている。自民党の下村幹事長が若手の議員を集めて開いた会議で、野党が一本化すれば前回より86議席減る可能性があるとはっぱをかけた。
 通常国会冒頭解散とかいろいろなことが言われているが、「やれるもんなら、やってみろ」と言えるような準備を進めていけばいい。解散・総選挙をしたら必ず自民党が減ると思われるような状況を作れば、そう簡単に解散・総選挙はできなくなる。今からでも、総選挙がいつになっても闘えるような準備をすることが重要だ。

 むすびに

 そのために私たち一人ひとりに何ができるのか。皆さんが戦後営々と築いてきた、平和で民主的で自由な日本が安倍さんにぶっ壊されないように守らなければならない。そしてそれを、子どもたちや孫に、次の世代に手渡すことが、今を生きている私たちの責務ではないのか。
 そのためには事実を知り、周りの人々にも知らせなければならない。知って学び、情報を発信して正しい事実を伝えていく。そのような努力をしなければならない。
 私と同世代以上の人たちに対しては、「シニアレフト」になろうと呼びかけたい。「シニア」とは高齢者、レフトは「左翼」。左翼じゃなくてもいいけれど、安倍さんにまともな世の中をぶっ壊されないように守ろうとする人々。そして次の世代に手渡すことが大切だ。
 そのためには様々な運動に参加する。「運動は体にいい」と言うから。社会運動の中で体を鍛える。国会前に行って大きな声で叫んでストレス解消。川崎の町を行進することで足腰を鍛える。こういう形で元気になったお年寄りがたくさんいる。
 これなら次の世代に手渡すことができるというまともな世の中にしてから、安んじて「お迎え」を待つというのが望ましい「シニアレフト」の生き方ではないだろうか。それまでは元気でたたかう。少なくとも、安倍さんより先には倒れない。
 このことを強調して、話を終わらせていただきます。少なくとも、私はそうありたいと考えております。共に頑張りましょう。


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2月18日(土) 市民と野党の共闘でアベ政治の流れをかえよう!(その2) [論攷]

〔以下の講演要旨は、川崎区革新懇の「11.2講演と交流のつどい」記録集に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 どれほどの威力を生み出すのか―新潟県知事選の破壊力

 新潟県知事選では、当初、野党の候補がなかなか決まらなかった。ほとんど無風状態で森さん(自民党公明党候補・長岡市長)が当選しちゃうんじゃないかと心配していた。ところが、自民党や維新の党から立候補して落選経験のある米山さんが立候補した。米山さんの支持者だった自民の人、維新の人に加えて、今度は新たに共産党や社民党が加わり幅が広がった。  
 しかも、米山さんは人の話をよく聞いて柔軟にものを考える人で、変わるけれども誠実だ。弁護士であると同時に放射線関係の医者。原発事故で福島から隣の新潟県に避難してきている人もたくさんいる。柏崎刈羽原発をどうするのかということが選挙で大きな争点になったが、人ごとじゃない。新潟の人にとっては身近な問題だった。
 他方で、柏崎刈羽原発という世界最大出力の原発がある。そこで働いている人もたくさんいる。この人たちが原発推進の立場だ。しかも、その労働組合である電力総連が連合傘下の組合だということで民進党新潟県連の会長が野党共闘に強硬に反対したという。最後まで「うん」と言わなかった。結局、米山さんは、やむにやまれず民進党を離党して立候補することになったというわけだ。
 ところが原発問題が争点に浮上し、TPPの問題でも反対を表明する中で雰囲気が変わってくる。米山さんの選挙母体は、その前の参院選で当選した森裕子さんの選挙母体をそっくり引き継いだそうだ。本部長になったのが当選した森さんで生活の党。野党第1党の民進党が動かないから第2党の共産党が中心になった。宣伝カーも共産党の宣伝カーだったという。
 選挙戦の途中から雰囲気がどんどん変わっていく。それが民進党にも分ったのだろう。当選しそうだということで、「それは大変だ」と蓮舫さんがおっとり刀で応援に駆けつける。こういう形で急速に追い上げた。参院選の時は2200票の差だったのに今回は6万票の差になった。こんなに差がつくとは思わなかったと、現地の人は言っていたけれど、それほど運動の勢いがすごかった。
 米山さんは、最初は泉田路線継承で原発再稼働は慎重にという立場。それが、当選したら原発再稼働反対に変わった。どんどん態度が明確になっていく。言うことが進化していくわけだ。立場がはっきりしていって反自民。自民党と公明党は野党になり共産党と社民党は与党になった。少数与党で県政運営はなかなか難しいかもしれないけれど、立場は明確で県民の側に立つ県政が実現した。雨降って地固まる。良かったじゃないですか。

 新たな共同の展望―本格的に政権交代への準備を

 これからの新しい共闘の展望だが、本格的に政権交代への準備を始めなければならない。市民プラス野党による共闘を拡大して、これなら新しい市民の立場に立った政府を樹立することができるという希望を国民に与える。これが大切だ。今までのどの政権よりも良い政権ができるんだという夢を国民が持てなければ、支持してもらえない。
 参院選が終わった後に朝日新聞が世論調査を行った。安倍内閣を支持すると答えた回答で一番多い理由が「他よりもよさそうだ」で、46%と最高だ。それ以前の内閣があまりにも悪すぎたということだ。次に出てくる政権がもっとよいと思ってもらえれば、「他よりよさそう」という人たちに支持してもらえるのではないか。また、参院選で与党に入れたと答えた人たちに理由を聞いたら「野党に魅力がなかったから」が71%もある。この魅力を高めれば、これらの人々も野党支持に変わっていくんじゃないだろうか。
 そのためにどうするのか。主体的な力をつけなければならない。多様なつながりや信頼を大切にして発展させる。共闘をすすめる中で、政党や会派が違う人たちの間で新しい結びつきができてきた。今までは挨拶ぐらいしかしたことがない、そういう人たちがメールアドレスを交換したり、いろいろ相談したり、連絡をとったりという形で結びつきが深まってきた。
 私の住んでいる八王子には「ノーウオー八王子アクション」があった。安保法案反対運動のなかで、民主党や共産党、社民党などの共同が進み、その枠組みを大切にしたいと思って、私も市長選に立候補した。その過程でいろいろな結びつきができる。話してみると悪い奴じゃないと、理解が深まるし信頼関係も生まれる。これはものすごく大切だ。この財産をぜひ生かしてもらいたい。
 政策的な一致の幅を広げ、合意の水準を高めることも重要だ。安倍政治後の未来を示すものであってほしい。すでに参院選1人区で政策協定が結ばれ、通常国会の最終盤には15本の野党共同提案の法案などもある。大衆運動での一点共闘も拡大している。草の根から連合政権の土台づくりをしなければならない。メーデーなどでも、できればそれぞれの地域で異なる潮流が一緒にやる統一メーデーの実現に力を尽くしてほしい。

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2月17日(金) 市民と野党の共闘でアベ政治の流れをかえよう!(その1) [論攷]

〔以下の講演要旨は、川崎区革新懇の「11.2講演と交流のつどい」記録集に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 みなさんは6月に再スタートを切られたという。いよいよ革新懇の出番が来たわけだから、絶好のタイミングで再開されたことになる。

 参院選の二つの側面―与党の勝利と共闘の勝利

 野党共闘の必要性についてはずっと以前から主張していたが、ようやくこの参院で共闘が実現した。32ある1人区で統一候補が擁立され、11人を当選させるという成果を上げた。これまで目標としてきた革新統一に向けた動きがようやくスタートを切った。新たな段階が始まったのだ。
 去年の今頃は、安保法が通ってみんながっかりしていた。その後、2000万署名が提起され、共産党が安保法廃止の国民連合政府を提起したけれど、それがどういう形になるのかだれも予想できなかった。それから1年経った。今では、これがどういう形をとるのかがはっきりと我々の目に映るようになっている。これが参院選の成果だ。
 確かに参院選で与党は勝った。改憲勢力も3分の2を越えるという結果になったけれど、他方で野党共闘の威力が示された。市民と野党が力を合わせれば新しい政治をひらくことができることが具体的な姿を持って証明された。これが参院選のもう一つの側面であり、ここに活路がある。
 さらにその後、大きな成果に結びついた。新潟知事選で原発の再稼働に反対だという米山さんが当選した。民進党が「自主投票」で迷走したにもかかわらず、市民と野党の統一候補として米山さんが告示日の6日前に、民進党を離党して立候補した。そして大差をつけて当選した。
 現地の人も言っていた。まさか当選するとは思わなかったと。しかし、途中から状況がどんどん変わっていった。これならいけるかもしれないということで当選。これが市民と野党共闘の力だ。
 共闘成立の背景には安保法案反対運動があった。闘いが始まった時、これを勝利させるためには野党が手を結ばなくてはいけないと言った。現代の「薩長連合」が必要だ。幕末に互いに殺しあった薩摩と長州が手を握って幕府を倒した。民進党と共産党は殺しあっているわけじゃない。手を結ぶことは十分に可能じゃないか。それを仲立ちする現代の坂本竜馬は皆さん、市民なんですと訴えた。
 去年は、こういう話をしていたけれど、それが野党共闘という形で現実のものになると、必ずしも確信していたわけじゃない。ところが、9月19日の安保法が通った日の午後に、共産党が国民連合政府を提唱した。とはいえ、この時は雲をつかむような話だった。
 その後、野党共闘に向けての協議が進み、今年に入って2月19日に「5党合意」が成立する。実は、沖縄がこの野党共闘の走りだった。それが本土でも実現した。その結果、自民党は参院選でたしかに勝ったかもしれないけど、それに対抗する形で野党共闘が大きな成果を上げた。1人区で議席増となって、我が故郷である新潟県の知事選での勝利に結びつく端緒をひらくことになった

 共闘のどこが画期的だったのか―「共産党を除く」が除かれた

 1970年代には社共共闘が成立していた。これは国政選挙ではなく自治体選挙だった。革新自治体を作るという目的で社会党と共産党が共闘した。しかし、国政選挙では沖縄を除いては実現しなかった。それが参院選で共産党をふくむ形で共闘が成立した。「共産党を除く」という壁が除かれた。これが今回の共闘での画期的な面だと言える。
 背景に何があったのか。安保法制定などのアベ暴走政治だ。原発を再稼働するとか、沖縄の米軍新基地建設を強行するとか、暴走に次ぐ暴走。TPPが臨時国会で問題になっているけれども、安くていかがわしい食料を輸入しようとしている。日本の農業が潰れてしまうかもしれない。この暴走に対して多くの国民・市民が危機感を高めた。これが野党共闘成立の背景だ。
 このようななかで出てきた「野党は共闘」という声が民進党を動かして5党合意に結びつく。その結果、1人区での統一候補擁立が進んだ。最後は5月31日だった。参院選の告示は6月22日だったから3週間ほど前にようやく1人区全部で統一候補が出揃ったことになる。
 いわば、今回の参院選での野党共闘はプレハブ造りのようなもの。突貫工事で緊急に作ったような共闘だった。それでもこれだけの効果を上げることができた。それがどれほどの威力を発揮できるのかが示されたのが新潟県知事選挙だった。

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2月7日(火) 野党共闘の前進を目指す春闘 [論攷]

〔以下の論攷は、金属労働研究所が刊行する『金属労働研究』通巻第141号、2017年1月号、に掲載されたものです。〕

 はじめに

 2017年春闘は、これまでにない新たな情勢の下で闘われます。春闘ですから賃金の引き上げと労働条件の改善に向けて集中的な取り組みを行うことは当然ですが、それに加えて、二つの新たな課題に取り組む必要があるからです。
 その一つはアベ「働き方改革」への対応であり、もう一つは野党共闘の前進です。いずれの課題も働く人々の環境改善のみならず、国民生活と日本の進路を左右する重要な意味を持っています。
 労働組合運動が春闘で取り組むべき課題と国民的な政治革新の課題とがコラボレーションする新しい状況が生まれているということです。このことを自覚しながら、春闘に対する取り組みを従来以上に強めることが期待されています。

 アベ「働き方改革」への対応

 安倍首相が政治の重用課題として掲げている「働き方改革」には二面性があります。それは労働の規制緩和だけでなく、部分的には再規制を含んでいるからです。「残業代ゼロ法案」や裁量労働制の拡大、解雇の金銭解決の導入の目論みなどとともに、春闘での賃上げや最低賃金の引き上げ、労働基準法36条の見直しによる残業規制の強化なども提起されていることに注意しなければなりません。
 労働条件の悪化を無視できなくなるとともに、労働側の支持拡大という狙いによるものですが、批判や反対だけでは済まされない対応が必要となっていることも事実です。電通の過労自殺問題などを通じて働き方への関心が高まっているのはチャンスでもあります。
 労働側としては、アベ「働き方改革」の狙いを暴露するとともに限界や不十分性を突破するための運動を展開することが必要です。賃上げと最低賃金1500円以上の実現、残業の上限規制や勤務間インターバル制度の導入、非正規労働者の正規化や均等待遇の実現などが春闘での課題となります。

 野党共闘の前進を

 労働組合運動が春闘で取り組むべきもう一つの課題は政治的要求の実現であり、野党共闘の前進です。真の「働き方改革」のためにも、4野党が共同で提出した長時間労働規制法案の成立など政治への働きかけが必要です。同時に、「残業代ゼロ法案」への反対や社会保障サービスの切り下げの阻止などの政治課題もあります。
 「逆走」し始めているアベ暴走政治をストップさせ、労働者の要求を実現する民主的な政府をめざさなければなりません。そのためにも解散・総選挙で勝利できるような野党共闘を実現する必要があります。
 すでに昨年の参院選と新潟県知事選での市民と野党の共闘によって「勝利の方程式」が示されました。今後、この「方程式」を解いて正しい「解」を導き出す必要があります。そのためには、政策協定を結んで「明確な争点」を掲げ、相互に推薦したり支援したりすることによって「本気の共闘」を生みださなければなりません。

 むすび
 
 アベノミクスは破綻し、得意の外交でも袋小路に陥るなど、安倍政権は末期症状を呈しています。日露交渉は失敗に終わり、何を言い出すかわからないトランプ米新政権も発足しました。
 臨時国会でのTPP承認や年金削減法の採択で国民との溝を深め、カジノ解禁法では公明党との確執も生まれました。慰安婦像の設置をめぐって日韓関係は悪化し、内外情勢は混迷を深めています。まさに、政治転換の機は熟しているというべきでしょう。
 このようなときにこそ、労働組合運動はその真価を発揮しなければなりません。2017年春闘への取り組みを強めて、政治転換の先陣を切ってもらいたいものです。これまでにない新たな情勢の下では、これまでにない新たな運動が求められているのですから……。

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2月1日(水) 政治転換の機は熟している [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、日本平和委員会が発行している『平和新聞』第2128号、2017年1月15・25日合併号、に掲載されたものです。〕

 世界は「第三の段階」に

 今年は一言でいえば、「チャンスと飛躍の年」です。現在の国際政治は、戦後の「第三の段階」のとば口に差しかかっているからです。
 1970年代のオイル・ショック以降、それまでのケインズ主義を背景にした公共事業で有効需要を創出して経済成長を図る修正資本主義的な路線(第一の段階)が壁にぶつかり、政府はなるべく経済に介入しないで民間に任せるという新自由主義的な規制緩和、民営化路線が徐々に台頭してきました。この流れはソ連崩壊で一気に加速し、90年代以降、新自由主義とグローバリズムは世界の隅々に広がりました(第二の段階)。この弱肉強食の新自由主義路線の結果、強欲資本主義となって資本の力が強くなり、富が一極に集中し、貧困や格差が拡大しました。
 これに対する大衆の不満や反感がネガティブな形で出てきたのが、英国のEU離脱や米大統領選挙でのトランプ氏当選です。また、シリア内戦による難民の流入やイスラム国(IS)の勢力拡大による各国でのテロなどを背景に、欧州でナショナリズムや排外主義が強まり、極右勢力が台頭する事態も生まれています。
 他方、1%の富裕層のための政治から99%の人々のための政治に変えなければならないという動きも強まっています。ギリシャやスペインでは新しいリベラル・左派勢力が台頭し、米大統領選挙の民主党予備選挙では自らを「民主的社会主義者」と呼ぶサンダース氏が若い世代の熱い支持を受けて大健闘しました。
 行き詰まった新自由主義とグローバル化路線を打開する「第三の段階」に向けて、この二つの流れが激しくぶつかり合っているのが現状です。いわば絶望と希望がせめぎ合うような過渡期において、リベラル・左派勢力が新しい政治の活路を切り拓くチャンスが生まれているのです。

 「勝利の方程式」見えた

 日本でも、安倍政権による暴走政治の破たんが明らかになってきました。
 一番の破たんは、政策の目玉としてきたアベノミクスです。安倍首相はまだ「道半ば」で「エンジンをふかす」などと言っていますが、実際にはこれだけ長くやっても成果が上がっていません。最大の問題は、大企業の内部留保と富裕層の資産だけが増え、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費がいっこうに上向いてこないことです。大企業や富裕層がもうかれば、富が国民全体にしたたり落ちて経済が成長するという「トリクルダウン理論」は、完全に破たんしてしまいました。
 安倍政権が「働き方改革」を最重要課題に位置付けると表明せざるを得なくなったのも、破たんの現れです。規制緩和で非正規雇用を増やし、貧困と格差を広げ、働く人々の困難な状況を作り出してしまったからです。非正規の若者は結婚や出産をあきらめざるを得ない状況に追い込まれ、深刻な少子化により持続不可能な社会になりつつあります。このままいけば「来世紀には日本人はいなくなる」という試算もあるくらいです。そういう中で「働き方改革」を掲げざるを得なくなった。ここにアベノミクスが生み出した矛盾があります。
 他方、安倍暴走政治から抜け出す活路が示されたのが、去年の参議院選挙と新潟県知事選挙でした。市民と野党が明確な争点を掲げて本気の共闘をすれば勝てるというのが、両選挙の教訓です。参院選挙は、まだ突貫工事でプレハブを建てるような初歩的な共闘でしたが、それでも野党の1人区での勝利は、前回(2013年)の2選挙区から11選挙区に増えました。
 この「勝利の方程式」が大きな成果を生む可能性があるのが、次の総選挙です。今度は十分な準備時間がありましたし、年明けから野党4党の政策協議も始まりました。安倍暴走政治の破たんが明らかになり、安倍首相の解散戦略も齟齬をきたしています。不意打ち解散の可能性は消えていませんが、いつ解散するかをうかがうのではなく、逆に市民と野党の共闘で解散に追い込んでいくというのが、通常国会での獲得目標になると思います。
 政治転換の機は熟しており、あとはこの「勝利の方程式」をきちんと解いて、正しい「解」を導き出すだけです。小選挙区制は多数党に有利ですが、得票がある一定の割合を超えると一気に変わるという特徴もあります。2009年に民主党が政権交代を実現させたように、野党が安倍政権を終わらせて政権を奪取することは可能です。日本でも、平和と民主主義、立憲主義、そして個人の尊厳を尊重する政治への転換のチャンスが生まれているのです。
 安倍政権はマスメディアを使って嘘とごまかしの情報を流し続ける「偽ニュース」や「ポスト真実」によってしか支持を維持できなくなっています。NHKのニュースだけを見ていると、アベノミクスや安倍外交などがうまくいっているかのような印象を持ってしまいます。このような錯覚を打ち破って暴走政治の実態を暴露し、事実を多くの市民に伝えていくことが重要になっています。

 安保問い直すチャンス

 平和や安保の分野でも、安倍暴走政治は行き詰まり、新しい転換の可能性が生まれています。
 安倍政権は「これは戦争法ではなく、戦争を抑止するものだ」と言って多くの反対を無視して戦争法を強行採決しました。しかし、その後、北朝鮮のミサイル発射は急増し、中国の尖閣諸島周辺での活動も活発化しており、「抑止力」が働いていないことは明らかです。むしろ、「挑発力」となって緊張を高め、軍拡競争の悪循環を招く要因となっています。
 昨年末の国連総会で核兵器禁止条約の交渉を開始する画期的な決議が採択されましたが、日本は唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、米国の顔色をうかがってこれに反対しました。これも、安倍外交の破たんの一例です。
 こうしたなかで、米国に追随する日米安保の本質、植民地的従属状態と言っても過言ではない日米地位協定や日米合同委員会の問題性が明かになってきました。加えて、米トランプ政権の誕生で駐留経費(思いやり予算)のさらなる負担を要求される可能性もあり、日本の安全保障のあり方が根本から問い直される状況が生まれています。
 確かに、野党間で日米安保に対する考え方に違いがありますが、「東アジア共同体」のような地域の平和協力の枠組みを目指していくことや、日本の主体性を高める方向で日米地位協定を改定したり、日米合同委員会の透明性を高めて米軍の要求を密室で押し付けられるような現状を見直したりすることは十分に可能だと思います。
 こうした政策を一つひとつ実現していくことで、安保体制という軍事同盟に頼らない対話と交渉による非軍事的な安全保障を実現し、東アジアにおける平和で安定した国際環境を広げていかなければなりません。


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1月30日(月) 2017年を飛躍の年に―アベ暴走政治の破綻と政治革新の展望(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.762、2017年2月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 発見された活路

 アメリカでのトランプ当選、ヨーロッパでの極右勢力の増大には、共通の背景があります。新自由主義やグローバリズムによる貧困と格差の拡大、既成政治への失望や政治そのものへの不信、現状へのいらだちと打破への願望などです。他方で、米国の「サンダース現象」など、対抗勢力の台頭と新たな政治変化の兆しも生まれています。
 日本も例外ではありません。むしろ右傾化では一歩先を進んできたように見えます。それだけに、対抗する勢力の動きも早く、アベ暴走政治によるナショナリズムや排外主義、生活破壊と軍事化に対抗して野党共闘を求める声が強まりました。その結果、自共対決から自公と補完勢力対市民と野党の共闘との対決へと質的な転換が生じたのです。
 世界は二つの潮流が対峙し競い合う変動期・過渡期に入りました。暴力と理性のせめぎあいによる混乱と紆余曲折は避けられないでしょう。そこから脱する活路を発見したのが、昨年の日本政治における最大の特徴です。それを発展させて過渡期から抜けだす道を切り開くことこそ、日本の革新勢力の世界史的な使命にほかなりません。

 天高く飛び立つ飛躍の年に

 今年は酉(鳥)年です。鳥のように大きく羽ばたき、新しい立憲・民主の政治に向けて天高く飛び立つ飛躍の年にしたいものです。
 2015年の戦争法案反対闘争は「ホップ」でした。昨年の市民と野党との共闘の始まりは「ステップ」だったと言えるでしょう。そして、今年は総選挙でも野党共闘の力を存分に生かして民主的な新政権を樹立し、安倍政権を打倒する飛躍(ジャンプ)の年にしなければなりません。
 考え方や政策の異なる政党や団体、個人が手を結ぶのが統一戦線です。それは決して生易しいものではありません。対立や葛藤があるのは当然ですが、それ以上に力を合わせる必要性が生じた場合に実現可能になります。
 安倍暴走政治への懸念と危機感が共同の必要性を生んだのです。市民と野党が力を合わせる以外に安倍政権を倒すことは不可能です。何を最優先にするのか、そのために何が必要なのかを真剣に考え、未来のために過去にはこだわらないという態度が求められています。
 年明け早々の解散・総選挙も予想されています。いつ解散されても良いように準備しなければなりません。野党が共闘体制を確立して与党が議席を減らす恐れが強まれば、そう簡単に解散できなくなります。野党共闘の実現による選挙準備の促進は、恣意的で党略的な解散を許さない武器ともなります。
 「備えあれば憂いなし」です。その武器を鍛えて、不測の事態に備えようではありませんか。長期政権を実現して「壊憲」に突き進もうとしている安倍首相の野望を阻むためにも……。

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1月29日(日) 2017年を飛躍の年に―アベ暴走政治の破綻と政治革新の展望(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、『学習の友』No.762、2017年2月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 はじめに

 「暴走政治も極まったり」と言いたくなるような臨時国会でした。TPP条約の承認、年金のカット、カジノ解禁法案の成立など、「強行採決など考えたこともない」とうそぶきながら強行に次ぐ強行の連続です。安倍首相の焦りの表れだったのではないでしょうか。
 このような焦りを生んだ背景の一つが、参院選1人区と新潟県知事選での市民と野党の共闘による勝利でした。昨年は暴走政治をストップさせるための活路と「勝利の方程式」が見つかった年として記憶されるにちがいありません。
 2017年は、明確な争点を掲げた本気の共闘によって統一戦線結成にむけての扉を開き、本格的な連合政権を実現する年にしたいものです。国政選挙で「共産党を除く」という壁が除かれた新たな局面で、政治革新に向けての運動がどう発展するかが試される年になることでしょう。

 行き詰まった内政

 内政の行き詰まりは明白です。アベノミクスが失敗して景気回復が遅れたために消費税の再増税を先送りせざるを得なくなり、日銀の黒田東彦総裁は「2%インフレ目標」の達成を諦めました。その旗振り役だったイエール大学名誉教授の浜田宏一内閣官房参与はインフレターゲットの「リフレ政策」が誤りだったと認めて「白旗」を掲げました。
 生活は一向に楽にならず、実質賃金はマイナスで家計消費の赤字が続いています。大企業や「勝ち組」が大もうけを続けている一方で、貧困化が進んでいるだけでなく格差が拡大し、中間層も疲弊しているなど事態は深刻です。これに社会保障サービスの切り下げが追い打ちをかけています。
 安保法(戦争法)は成立しましたが、日本周辺の安全保障環境は改善されなかったばかりか悪化してしまいました。抑止力を増大させるどころか挑発を強める結果となり、北朝鮮のミサイル発射は21回を数えています。アメリカの仲間として敵視され、バングラデシュでの邦人殺害事件で15年10月に1人、16年7月に7人が亡くなりました。日本と日本人の安全は高まらず、かえって危険になったのが現実です。そのうえ、南スーダンPKOに派遣されている自衛隊はいつ戦闘に巻き込まれるか分からない危険な状態に置かれています。

 八方ふさがりの外交

 外交も八方ふさがりとなっています。安倍首相にとっては戸惑いの連続だったでしょうが、このような外交破綻はアメリカべったりで軍事偏重、独りよがりの情勢判断しかできない安倍首相自身が招いた当然の結果にほかなりません。
 成長戦略の目玉だったTPP(環太平洋連携協定)はトランプ米次期大統領による離脱表明によって漂流を始め、軍事技術や原発の輸出もオーストラリアへの潜水艦商戦の挫折やベトナムへの原発輸出の失敗によって頓挫しています。地球温暖化防止のためのパリ条約の批准が間に合わず、唯一の戦争被爆国でありながら国連の核兵器禁止条約交渉開始決議に反対し、沖縄では高江のヘリパッドや辺野古での米軍基地建設を強行しつつ米軍のオスプレイ墜落を不時着だとごまかして県民との溝を深めました。就任前のトランプ訪問でオバマ米大統領の怒りを買い、それをなだめるための真珠湾訪問もすでに吉田・鳩山・岸元首相が行っていて「現職総理として初」ではありませんでした。
 とりわけ、大きな失敗だったのは日露首脳会談です。プーチン大統領によって領土問題は無視され、経済協力だけが「食い逃げ」されました。「領土返還詐欺」に騙され3000億円という大金をむしり取られたようなものです。


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1月5日(木) アメリカ大統領選挙でのトランプ当選をどう見るか(その2) [論攷]

〔以下の論攷は、2016年12月25日付の『はちおうじ革新懇話会』第72号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

         * * *
 こうして、日本と同様にアメリカでも、アクセルばかりでブレーキなしの「暴走車」が登場することになりました。日本では夏の参院選の結果、衆参両院で自民党が過半数を占めています。アメリカでも大統領選挙と同時に実施された上下両院議員選挙によって共和党が多数になっています。
 しかも、「運転手」はどちらも「右にしかハンドルが切れない」極右の指導者です。太平洋を挟んだ日米両国で容易ならざる事態が生まれたことになります。それへの警戒や反発もあって、アメリカ国内では反トランプ・デモが起きました。
 他方、ヨーロッパでは極右の動きが強まり、影響力が拡大しています。最近のイタリアの国民投票では極右の「五つ星運動」の躍進もあって憲法改正案が否決され、レンツィー首相が辞任しています。また、オーストリアの大統領選挙では、リベラルな緑の党出身のファン・デア・ベレン候補が当選したものの、自由党のホーファー候補も48.3%を獲得して、極右勢力が政権の座を狙えるほどの支持を拡大していることが明らかになりました。
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 しかし、これらは世界で生じている政治現象の表層にすぎません。その底流ではグローバリズムと新自由主義、緊縮政策、独裁や差別主義などに反対する新たな運動が流れ出していることを見逃してはなりません。
 その予兆は、北アフリカでのアラブの春、アメリカでのオキュパイ運動、香港の雨傘革命、台湾でのひまわり学生運動などの新たな大衆運動によって示され、ヨーロッパでの反緊縮運動や韓国のパク・クネ大統領辞任要求の大規模集会などに受け継がれています。そこから、スペインのポデモス、イギリス労働党左派のコービン党首、アメリカでのサンダース現象、ドイツンの首都ベルリンでの社会民主党・左翼党・緑の党による左派3党連立市政実現などの新たな動きも生じました。
 今はまだ、過渡期にすぎないのです。しばらくの間、紆余曲折があり混乱は避けられません。そのようななかで、極右の台頭によって右への転落が選択されるのか、それとも左派による対抗と再生が生ずるのかかが争われることになるでしょう。
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 その意味では、「せめぎあいの時代」の始まりだというべきかもしれません。この時代における私たちの課題は、一刻も早くこの過渡期・混乱期を抜け出すことです。そのために、平和への希望と未来への夢を語り合えるような脱出路を見出す必要があります。
 日本で発展しつつある市民と野党の共闘は、このような脱出路の探求にほかなりません。それは貧困や格差の是正と平和、民主主義を求める政治変革の動きとして、国際的な動向とも響きあうものになっています。
 その成否を決めるのは市民の力です。革新懇運動の発展によって市民の力を結集し、新しい局面を切り開こうではありませんか。そうすれば、来る2017年を平和で民主的な世界を生み出す希望の年とすることができるにちがいありません。

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1月4日(水) アメリカ大統領選挙でのトランプ当選をどう見るか(その1) [論攷]

〔以下の論攷は、2016年12月25日付の『はちおうじ革新懇話会』第72号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 予想外の結果だったと言って良いでしょう。アメリカ大統領選挙でのトランプ候補の当選です。来年の1月20日にはトランプ政権が発足しますが、それがどのような政権になるのか、いま世界は固唾を飲んで見守っている状況です。
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 トランプ候補が当選したのは、グローバリズムと金融資本主義を背景とした新自由主義や緊縮政策などによって貧困と格差が拡大したためだと見られています。トランプ現象は一種のポピュリズム(大衆迎合主義)にほかなりませんが、既成政治の外から人々の不満や要求をすくい上げて政治に届ける回路の一つでもあります。過激な発言や嘘とデマも散りばめながら、それまでのアメリカ政治に失望した人々の期待をかき集めた結果だったとも言えるでしょう。
 逆に、クリントン候補の敗因は、元大統領夫人で上院議員や国務長官も務めた既成政治家のエリートだったという点にあります。しかも、女性初の大統領としての期待は高いものでしたが、女性であるが故の「ガラスの天井」にはじき返されたという面もあったでしょう。そのうえ、「チェンジ」を掲げて大統領になったにもかかわらず現状を打破できず、「チェンジチェンジ詐欺」などと非難されているオバマ大統領の後継者だったのも不利に働いたように見えます。
 それにもかかわらず、得票総数ではクリントン候補の方が200万票も多かったという事実は重要です。実は多数派であったのに選挙で負けてしまったのは、選挙制度の不備というしかありません。当選するのは得票数の多い候補者ではなく、それによって州ごとに選ばれた選挙人の多い候補者であるという間接選挙の問題点が、ここにはっきりと示されています。このようなカラクリが小選挙区制でもっと大きな規模で生ずることは、皆さんご存知の通りです。
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 当選後は「国民すべての大統領なる」と言って過激な言動を控えたため、「良いトランプに変わったのではないか」との見方が広まりました。訪米して私的な会見を行った安倍首相も「信頼できる指導者」だと請合いました。しかし、その「化けの皮」は直ぐにはがれ、安倍首相はトランプの「手品」の「サクラ」として利用された形となって世界中に恥をさらしています。
 トランプ新政権の陣容は共和党主流派と極右との連立であり、差別主義者やタカ派、財界人や富豪、元軍人のオンパレードとなっています。このような陣容の政府がどのような政策を打ち出すことになるのでしょうか。世界は大きな危惧と不安を抱きながら注目しています。
 日本に対しては、TPP条約からの離脱の言明や在日米軍の撤退可能性への言及などが注目されました。国会ではTPP条約が成立しましたが、アメリカの離脱で全く無意味になっています。
 在日米軍の経費を全額負担しなければ出ていくというのなら、出て行ってもらえばいいじゃありませんか。そうすれば、平和と安全の実現を軍事力によってではなく、周辺諸国との関係改善と友好親善の強化、つまり非軍事的な外交手段による安全保障という新しい「自主防衛」に向けてのチャンスが生まれることでしょう。

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12月22日(木) 実証された野党共闘の弁証法的発展(その3) [論攷]

〔以下の論攷は、勤労者通信大学・通信の『知は力 基礎コース6』に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕

 新潟県知事選と衆院補選で明らかになった共闘の威力と民進党の弱点

 このような参院選1人区での野党共闘の経験はさらに大きな成果を生むことになりました。それが新潟県知事選での米山隆一候補の当選です。選挙告示の6日前に、民進党を離党して立候補を決断した米山さんを推薦したのは、共産党・生活の党(現自由党)・社民党の3党に新社会党や緑の党も加わった「新潟に新しいリーダーを誕生させる会」であり、柏崎刈羽原子力発電所の再稼動に反対する広範な市民も応援に駆け付けました。
 結果は、6万票の大差で米山さんが当選しています。参院選でも1人区だった新潟選挙区では野党統一候補の森ゆうこさんが当選しましたが、そのときの2200票差を上回る成果でした。原発再稼働反対やTPP反対などの大義の旗を掲げ、明確な争点を掲げて市民を結集すれば勝てるという「勝利の方程式」が実証されたわけです。
 ところが、この選挙では民進党が“自主投票”に回り、蓮舫代表など幹部が応援に入ったのは選挙戦の最終盤でした。この1週間後に投票された東京福岡での衆院補選でも、野党統一候補を立てた民進党の対応は極めて不十分なものでした。いずれの場合も民進党の弱点が露呈したといわざるを得ません。
 その背後には、支持団体である労働組合の連合からの強い働きかけがありました。10月24日付『中国新聞』は「民進党と連合幹部の間では『密約』が交わされていた」として、「2補選告示を控えた10月4日、蓮舫代表と野田佳彦幹事長、連合の神津里季生会長、逢見直人事務局長との4者会談で野党共闘の原則を確認した。①共産の候補取り下げ、②政策協定は結ばない、③推薦は受けない、④表立った場所で共産と選挙活動はしない―といずれも『共産隠し』に徹する内容」だったと報じています。実際の選挙戦はこのような形で闘われ、「利敵行為」ともいうべき対応によって与党の候補が当選しました。
 しかし、このような野党共闘についての「揺れ戻し」は、民進党内でも支持されていません。『サンデー毎日』12月4日号は、「蓮舫は『裸の王様』」「定まらない野党共闘、ついにベテラン勢が離反」と報じています。これによれば、民進党は10月に比例復活の衆院議員と落選中の支部長を数日間にわけて党本部に招集して聞取りを行ったところ、「驚くことになんと全員が、『共産党と協力すべき』と答えたのだ。2日目も同じ意見だった」といいます。「共産党と組むと連合の支持がもらえなくなるが、それでもいいのか」と聞くと、全員が「それでもいい」と答えたそうです。
 また、この記事では前原誠司衆院議員についても、「(共産党と)もっとオープンに政策協議をすれば共通点はいくつも出てくるはずだ」「自分が代表なら、共産党と真摯に話し合って接点を必ず見つける」と、共産党との話し合いに意欲を見せていると報じています。当然でしょう。連合に引きずられて共闘に背をむければ、こう言われるだけでしょうから。
 「嫌ならどうぞ、勝手にしてくださって結構です。でも、国民からは見放されますよ」と。

 むすび

 以上に見たように、野党共闘は弁証法的な発展を遂げてきました。それは60年安保闘争における安保共闘を嚆矢とし、その後のベトナム反戦運動や沖縄返還闘争、革新自治体の誕生などでの社共共闘に受け継がれ、日本における野党共闘の原型を生み出しました。
 しかし、80年の「社公合意」によってこのような流れは暗転し、社共間の共闘は瓦解していきます。政党間での共闘が困難になるなかで、団体や個人による共同の追求を課題に革新懇が発足しました。以降、苦節35年ともいうべき苦闘の歴史を積み重ねるなかで、新たな展開が生まれたのが昨年の「15年安保闘争」です。
 こうして、野党共闘の「テーゼ」、逆風の時代の「アンチ・テーゼ」を経て、新たな野党共闘の成立という「ジン・テーゼ」の時代を迎えます。それは、かつての社共共闘の再現ではありません。市民が積極的に関わり、野党4党が選挙での当選だけでなく連合政権の樹立をも展望する「本気の共闘」になろうとしています。
 もちろん、それが一直線に進んできたわけではなく、これからも紆余曲折は避けられないでしょう。新潟県知事選や衆院補選での民進党の対応など、今後の野党共闘についての不確定要因も生じています。
 しかし、ここでも弁証法的な発展があるのではないでしょうか。民進党も加わった参院選1人区での共闘が「テーゼ」であり、その後の「揺れ戻し」と民進党の弱点の露呈が「アンチ・テーゼ」でした。そして、これから衆院選での「本気」の共闘の実現という「ジン・テーゼ」の段階が訪れようとしています。それは、参院選での共闘の再現ではなく、それをさらに発展させ、野党連合政権樹立と統一戦線結成への新たな扉をひらくものとなるでしょう。また、そうでなくてはなりません。
 こうして、日本の歴史における新たな政治的実験と実践の新しい時代が始まろうとしています。その時代の流れを見極め、目的意識的かつ主体的に生き抜くためにも、哲学を学び正しい世界観を身に付けることが大切であるということを、最後に強調しておきたいと思います。

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