So-net無料ブログ作成

10月15日(日) 総選挙についての『日刊ゲンダイ』でのコメント [論攷]

〔以下のコメントは、この間の夕刊紙『日刊ゲンダイ』の記事でつかわれたものです。参考のために、アップさせていただきます。〕

 「希望の党は、事実上『自民党小池派』ですよ。小池さんは今は安倍政権を批判し、対決するようなフリをしていますが、選挙が終われば状況によっては連携もあるとにおわせている。安保法や改憲賛成だけでなく、規制緩和による経済成長など、自民党と共通する政策は多い。有権者は『小池劇場』に惑わされることなく、政党の立ち位置や本質を見極める必要があります。疑似餌に引っかからないようにしなければなりません」(10月6日付)

 「安倍首相はこの国の政治や行政を私物化した上に、野党の準備不足を突いた前例のない大義ゼロの解散でトンデモ候補の乱立を招いた。有権者の半数が総選挙に関心を持っていないところに、グチャグチャの選挙戦を展開されたら、嫌気がさして棄権する動きが増えかねない。それが一番心配です。そうなれば、安倍首相は二重三重に日本をぶっ壊すことになります」
 「選挙は本来、政策の是非で投票先を判断するものですが、今回はさらに2つの要素をプラスする必要があります。信義を重んじ、信頼に足る政党であるかどうか。候補者については信念を貫く意志を持った人物かどうか。情けない話ですが、社会人としての常識をわきまえているかも見なければならないでしょう。そうした検証をすることで、どの政党、どの候補者に投票すればいいかはおのずと浮かび上がってくるはずです」(10月10日付)

 「予想通り自民大勝となれば、憲法違反といわれる大義なき解散を認めた上、これまでの約5年間の安倍政権の暴走政治を肯定したことになる。つまり、特定秘密保護法や安保法、共謀罪などの国会審議を無視した政治手法を認めたということです。自民党は消費税引き上げ後の使途を選挙争点にしているわけですが、それをOKというのは、どんなに不景気であろうと引き上げて構わないとゴーサインを出したのに等しい。さらに言えば、トランプ大統領は11月に来日すると報じられていますが、その時、仮に安倍さんが首相であれば何を言い出すか分かりません。北朝鮮に対して『あらゆる選択肢』と言っているわけですから、それこそ米国と一緒に戦争を仕掛ける、とも言い出しかねないのです。日本は内政でも外交でも、とんでもないことになるかもしれない。国民にとっては地獄の扉が開けかけている、と言っていいでしょう。」(10月14日付)

 本日(15日)午後2時から、浦和駅東口での市民連合の街頭演説会で急きょ話をすることになりました。まだ、骨折した左腕は使えませんが、口は使えます。
 10分ほど演説する予定です。お近くの方に顔を出していただければ幸いです

nice!(0) 

10月10日(火) 「劇場」選挙に惑わされず、市民と立憲野党の力で歴史を変えよう [論攷]

〔以下の論攷は、『全国革新懇ニュース』第393号、2017年10月号、に掲載されたものです。〕

 安倍首相は突然、衆院を解散しました。与党の議席を減らして安倍内閣を打倒する絶好のチャンスが訪れたことになります。このチャンスを有効に生かせるかどうか。政策合意を尊重し憲法9条を守る立憲野党と市民の力の真価が問われています。

 わが身と身内を守るため?

 今回ほど、評判の悪い解散はありません。なぜ今、何のために解散するのか。それが分からない「大義なき解散」だからです。安倍首相は、「国難突破」を掲げて消費増税分の使途を子育てや教育に当てることを打ち出しましたが、消費増税は2年以上も先で議員の任期は1年以上もあります。
 しかも、延長可能だった通常国会を無理やり閉じ、憲法53条に基づく国会開催要求を拒み続けました。ようやく開かれるかに見えた臨時国会でしたが、全く質疑を行わないまま冒頭に解散しました。よほど国会審議が嫌だったようです。
 安倍首相が国会から逃げ回っていたのは、「森友」「加計」学園疑惑で追及されることを恐れたからでしょう。森友学園疑惑では妻の昭恵さんへの忖度が疑われ、加計学園疑惑では「腹心の友」である加計孝太郎理事長と安倍首相の関係が問題になりました。
 国会審議が再開されれば、これらの疑惑が追及されます。これを避けて妻と親友の「身内」を守り窮地を逃れるために、解散を利用したのではないでしょうか。究極の「国政私物化」です。こんな自己都合と保身のための解散を認めるのか、強引で身勝手な政権運営を続ける安倍首相の続投を許すのかが、総選挙での最大の争点になります。

 激変した選挙情勢

 同時に、安倍首相には「今なら勝てる」という計算もあったにちがいありません。民進党が混迷し、前原誠司新代表は共産党との選挙協力を見直すと言っていたからです。今がチャンスだ、不意打ちをかければ成功するとの打算が働いたのではないでしょうか。
 しかし、小池百合子東京都知事が新党「(当選したい人の?)希望の党」を結成して代表に就任し、選挙情勢が激変しました。民進党の前原代表は事実上の解党と希望する候補者の希望の党への合流を認めています。都議選と同様に自民党が歴史的な惨敗を喫する可能性が出てきたわけで、これは安倍首相にとって大きな誤算でしょう。
 「希望の党」の小池代表には都知事との兼任や豊洲市場移転問題での公約破りへの批判も寄せられています。結党時のメンバーは安保法制に賛成する改憲・右派人脈の「吹き溜まり」で「第2自民党」になる危険性があります。
 「新党ブーム」の突風が吹き荒れ、与党のみならず野党も翻弄される形になりました。「劇場」型選挙の一時的な「風」に流されることなく、政策を見極めた正しい判断と対応が求められます。

 歴史はつくるもの

 新党効果で選挙への注目度が高まり、投票率は上がるでしょう。投票率の低さに助けられてきた自公両党を蹴散らし、安倍首相の退陣を実現するチャンスが生まれました。そのためには9条改憲に反対する共産党などの立憲野党と市民とが力を合わせなければなりません。
 安倍内閣打倒を実現できる歴史的な選挙になるでしょう。そして歴史は「見ている」ものではなく「つくるもの」です。いま問われるべきは、どうなるかではなく、どうするかです。改憲勢力3分の2体制を打破して戦争への道を阻むために、革新懇の総力を挙げて政治を変え、新たな歴史をつくっていこうではありませんか。(9月28日脱稿)

nice!(0) 

10月8日(日) 裏切らない党の真価 [論攷]

〔以下の談話は、『しんぶん赤旗』10月6日付、に掲載されたものです。〕

 今度の選挙では「大義なき解散」と「信義なき再編」が大きく問われています。安倍首相の解散、総選挙には大義がなく、小池(百合子)さんの野党再編には信義が欠けている。
 個人でも、約束を守り、人を裏切らないという人倫が基本にあって、思想や主張がある。それがなければ、何を言っても信用されません。理念や政策以前に、政党のあり方が深く問われています。
 どの党が安保法制と真正面から対決し国民の願いにこたえる政党か、市民と立憲野党との約束を守っているのはどの政党か――。逆流の中でも共闘を追求し続け、市民を裏切らずに行動してきたのが共産党でした。偽りと裏切りの野党再編騒動の中で、日本共産党の真価が浮かびあがる結果となったのではないでしょうか。

nice!(0) 

10月6日(金) 政治転換の機は熟した「勝利の方程式」で追撃開始  [論攷]

〔以下の講演記録は、『神奈川革新懇ニュース』10月号、に掲載されたものです。〕

 9月2日~3日神奈川革新懇夏の泊り込み研修会で、五十嵐仁さんに「激動の情勢と革新懇運役割」として話をしていただきました。その後解散、総選挙へと状況は変わりましたが、お話の中身は、情勢を的確に指摘しています。ここに要旨を掲載します

 9条改憲をめぐる 激突の時代が始まった

 5月3日に、安倍首相は、憲法9条に自衛隊の存在書き込んで、新憲法を2020年までに施行したいと、明 らかにしました。
 なぜ9条なのか。それは日本を戦争のできる国にしたいから。なぜ2020年なのか。 安倍首相の任期中に改憲して、憲法を変えた首相になりたいからでしかない。
 ここには、安倍首相の願望があるだけで、国民の平和への思いは考えられてもいないのです。
 そのためには、3つの整備が必要になります。1つ目はシステム、2つ目はハード、3つ目がソフトです。
 1つ目のシステムとは、 法律や制度です。法律では、特定機密保護法、安保法制、共謀罪、最後が改憲です。それから、国家安全保障会議などの政府機関の設置です。
 2つ目のハードは、軍備の増強です。来年度の軍事予算を、5兆2千万 円にしようとしています。 安倍内閣になってから、4兆円から1兆2千万円も増加したのです。オスプレイを買う、ミサイル迎撃のためのミサイルを買うなど際限がありませ ん。
 3つ目のソフトとは、教育です。自ら進んで国のために命を捧げ、死ぬことに誇りを持つ人材をつくらなければならない。更に英語教育もあります。戦場で米兵と一緒に行動する際に、言葉が通じないといけないからです。
 これらの中では、改憲が残っていてしかもハードルが高い。安倍首相は 憲法審査会にどこを変えればいいか検討してほしいと言い出した。医者が手術をするのは、悪いところがあるからであって、今の安倍首相は、ともかく手術をしたいので、どこか手術できるところはないか聞いているようなものです。
 北朝鮮の問題でも、諸外国の首脳が異口同音に対話と交渉をと言っている中、安倍首相は、今はその時期ではないと、軍事的な対立を煽っている。
 戦争になれば、自衛隊はもちろん日本国民も巻き込まれることになるのです。
 激突の時代が始まった のです。

 潮目が変わった

 東京都議選での自民党大敗で、安倍1強と言われていた潮目が変わりま した。「都政の闇」を作った自民党都政への批判、9条改憲はじめ国政での自民党への批判、国粋主義教育に共感し行政を私物化している安倍首相自身への不信感などにより、一挙に自民党大敗につな がったのです。
 これらのことが、これまでまかり通っていたのは、自民党政治と安倍政権の改革により、政治・行政がゆがめられてきたことが要因です。小選挙区制により、大政党が圧倒的に有利になったため政治家の質が低下した。内閣人事局による政治家による官僚支配強化・忖度行政。経済における新自由主義による構造改革で大企業に富が集中して格差が拡大した。国家戦略特区による国会バイパス行政など。
 構造改革路線は、世界的にも破綻していて、アメリカのサンダース旋風、 イギリスでの労働党の台頭、フランス大統領選挙の動きなど、改革への動きも世界的に強まっています。

 市民と野党の共闘と「勝利の方程式」

 これらの自民党政治に対抗しているのは、市民と野党の共闘です。始まったのはオール沖縄から。原発ゼロ、安保法制反対、憲法9条を守るなどのために、多数の市民が立ち上がったのです。そして野党と市民の共闘が始まりました。
 野党は候補者を一本化する。市民は候補者を支援し当選のために活動する。小選挙区制の下での勝利の方程式です。参議院選、東京都議選挙、新潟知事選、仙台市長選では大きな成果を出しました。
 この共闘は、新しい政治文化を生み大きな力を発揮しています。違いを認めて立場を尊重する、 押し付けない、エール交歓する。そしてリスペクトという言葉が使われる ようになりました。
 様々な人たちと違いを認めて一緒にやるには、守らなければならないことがあります。 話を聞く、説得しない、論争しない、特に論争して勝ってはならないのです。
 安倍政権・自民党政治への怒りには歯ぎしりしながらも、仲間の中では笑いを忘れず、 くちびるには歌を、瞳には微笑みを、ユーモアを忘れずに大らかな気持ちで運動を進めないと、人は集まりません。

 私たちに 何ができるのか

 今の世代がやるべきことは、 70年間続いた自由で民主的な平和国家を守り、次の世代に 手渡すことです。
 若者や次の世代の人たちが、戦争に引き出されていくようなことがあってはならないこ とです。
 そのために、ポスト真実の時代と言われる今、真実を伝える情報の発信が重要です。駅頭でのスタンディングをはじめ工夫をしましょう。
 革新懇運動で大事なことは、行動提起です。 いろいろな団体や個人を結び付け、橋渡し をして大きな活動にしていく。
 そしてそれぞれの地域の実情に合った変数を当てはめて、「勝利の方程式」を解いて勝利に導いてほしいのです。

nice!(0) 

9月18日(月) 「水に落ちた安倍は打て」―安倍内閣打倒に向けての追撃戦が始まった [論攷]

〔以下の論攷は、『日本科学者会議東京支部つうしん』No.599、2017年9月10日号、に掲載されたものです。〕

 20世紀の中国を代表する作家・魯迅は「水に落ちた犬は打て」(打落水狗)と書きました。「凶暴な犬が溝に落ちたら、弱っているうちにさらに追い討ちをかけるべきだ」という意味です。今の安倍政権についても、こう言いたいと思います。「水に落ちた安倍は打て」と。
 「官邸支配」を打ち立て、自民党内と国会内での2重の「一強体制」の下で5年に及ぶ長期政権を実現した安倍首相でした。それが驕りや緩みを生み、9条改憲の表明、政治や行政の歪み、強権的な国会運営、暴言やスキャンダルの頻発などをもたらし、国民の批判や失望を招いています。
 通常国会で追及された「森友」「加計」学園疑惑では首相夫妻の関与と忖度による政治の私物化が疑われました。南スーダンPKOでの日報問題では稲田防衛相の隠ぺいへの関与と文民統制の空洞化、共謀罪法案では委員会採決を省略した強行成立など、数々の問題も明らかになりました。それらに対する国民の怒りが爆発したのが、東京都議選でした。
 自民党は歴史的惨敗を喫しましたが、その敗因は一つではありません。築地市場問題の混迷など「都政の闇」を生み出した自民党都連への批判、9条改憲や国政の現状への異議申し立て、そして安倍首相本人に対する不信や嫌悪などが積み重なっての大敗でした。だからこそ、過去最低の38議席を15も下回る23議席にまで転落したのです。
 これらの結果、安倍内閣支持率が大暴落し、政治の潮目が変わりました。安倍内閣打倒に向けての追撃戦が始まったのです。そのための陣立てこそ市民と立憲野党との共闘であり、この「勝利の方程式」によって「受け皿」を提供することが今後の課題になります。
 すでに、11の参院選1人区、新潟県知事選や仙台市長選などで勝利するという実績を上げてきました。このような共闘によって保守票が逃げることもなく、無党派層を引き付けることができるということは実証済みです。その効果を高めるために共闘のレベルを上げ、本気になって力を合わせなければなりません。
 共闘の実現は民進党になってからの大きな成果であり、旧民主党とは異なる重要な到達点でした。重要なことは民進党が共闘に本腰を入れることです。新しい代表の選出が野党共闘を確固とした基盤の上に据え、「党再生の好機」を生み出していただきたいものです。
 安倍政権を打倒するという大目標を実現するためには、これまで以上に政策的な一致点の水準を高め、幅を広げなければなりません。必要なのは、こうすれば勝てるという確信がもてるようにすることです。そうすれば、諦めていた人々に勇気を与え、政治や選挙への参加を促すことができるでしょう。
 政治の現状に対する不満や批判をどのように受け止め、解決に向けての展望を示すことができるかが問われています。9条改憲をめぐって「激突の時代」が始まりました。追撃戦によって「水に落ちた」安倍首相を打ち、その緒戦で勝利すれば9条改憲の野望も打ち砕くことができるにちがいありません。


nice!(1) 

8月27日(日) 共闘のレベル上げてこそ [論攷]

〔以下のコメントは、『しんぶん赤旗』8月24日付、に掲載されたものです。〕

 これまで4野党は、野党だからということではなく、アベ政治を許さず暴走をストップするという大きな目標があり、この点で一致しているから共闘してきました。それが市民などの願いに沿ったものであったからこそ、参院選1人区、新潟県知事選や仙台市長選などで勝利することができたのです。
 このような共闘によって保守票が逃げることもなく、無党派層を引き付けることができるということは実証済みです。その効果を高めるためには、共闘のレベルを上げ、本気になって力を合わせなければなりません。
 共闘の実現は民進党になってからの大きな成果であり、旧民主党とは異なる重要な到達点でした。
 安倍政権を打倒するという大目標を実現するためには、これまで以上に政策的な一致点の水準を高め、幅を広げることが重要です。
 必要なのは、こうすれば勝てるという確信を持てる陣立てを実現することです。そうすれば、諦めていた人々に展望を示し、政治や投票への参加を促せるにちがいありません。


nice!(0) 

8月12日(土) 「こんな人たち」の怒りが噴出した都議選 [論攷]

〔以下の論攷は、『東京革新懇ニュース』第424号、2017年8月5日付、に掲載されたものです。〕

 「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかないんです」
 都議選の最終盤、安倍首相は秋葉原駅前でこう叫びました。「こんな人たち」として敵視された都民の怒りが噴出し、驚天動地の結果になりました。自民党は改選57議席を23議席に激減させ、都民ファーストの会は49議席を獲得。その間で「埋没」すると見られていた共産党は改選17議席から19議席へと善戦健闘しました。

 積み重なった敗因

 自民党の敗北はかつて経験したことのないものです。これまでの最低は38議席でしたが、それを15議席も下回りました。文京区と日野市で惜敗した共産党候補が自民党候補を蹴落として当選していれば、21議席で並んでいたのに惜しいことをしました。
 どうしてこれほどの歴史的惨敗を喫したのか。それはいくつもの敗因が重層的に積み重なったからです。築地市場移転問題の混迷など「都政の闇」を生み出してきたことへの責任追及、通常国会での共謀罪法案の強行採決や不祥事、暴言など政治と政治家の劣化への批判、改憲発言や「森友」「加計」学園疑惑での安倍首相と夫人の昭恵氏への忖度や国政の私物化に対する不信感、安倍首相の政治姿勢や体質への嫌悪感などが蓄積され、怒りのマグマとなって爆発したのです。
 これにとどめを刺したのが、秋葉原駅前での安倍首相による「こんな人たち」演説でした。全ての国民を視野に入れ、その生命と生活を守って国全体を統合する役割を担うべき首相が、自分を批判する人々を「こんな人たち」とひとくくりにして非難したのです。国民を線引きして分断し、「味方」や「お仲間」には優しいアベ政治の本質が顕われた瞬間であり、それに対しても厳しい審判が下されました。

 ポピュリズム選挙という「突風」

 今回の選挙では。ポピュリズム選挙という「突風」が吹きました。この風に吹かれて舞い上がったのが小池百合子都知事に率いられた都民ファーストの会です。現有6から49議席に躍進し、追加公認を含めて55議席になりました。「今回だけは支持できない」「安倍首相にお灸を据えたい」と考えた自民党支持者や無党派層にとって「非自民」の「手ごろな受け皿」となったからです。
 このようなポピュリズム選挙の「突風」はアメリカの大統領選挙、フランスの大統領選挙や議会選挙でも吹きました。日本では日本新党、大阪維新の会や名古屋での減税日本などの議員も、ポピュリズムの風に押し上げられ、あれよあれよという間に当選し、議会に送り込まれたことがあります。
 しかし、日本新党の都議はすぐに消え、大阪維新や減税日本のブームもしぼんでしまいました。今回当選した「小池チルドレン」の半分近くは議員経験がなく、きちんとチェック機能が果たせるのか、これから問われることになるでしょう。「突風」による躍進にはポピュリズム選挙の危うさが孕まれていることを忘れてはなりません。

 共産党の善戦

 共産党は2議席増と善戦健闘し、得票数と得票率も増やしました。前回の都議選で8議席から17議席に倍増していますから2回連続での増加で、32年ぶりのことになります。都民ファーストの会への「追い風」が吹いたにもかかわらず、吹き飛ばされることなく前進したのは重要な成果でした。
 これは強固な組織的基盤の成果ですが、市民や他の野党との共闘の前進も大きな力になりました。無党派層の支持も増え、出口調査(8社共同)では、支持政党なし層の投票先として共産党は19.6%で、都民ファーストの会の20.8%に次ぐ2位となっています。
 「森友」「加計」問題などでの調査と追及、アベ政治に対峙し続けてきたぶれない政治姿勢、9条改憲阻止など国政上の争点も訴えた選挙戦術、豊洲移転に反対して築地再整備を掲げた唯一の政党という政策的立場などが支持された結果です。安倍首相に最も強烈な「ノー」を突きつける「反自民」のための「信頼できる受け皿」として選ばれたということでしょう。
 このような「受け皿」を提供することができれば、総選挙でも地殻変動を起こして自民党を大敗させることができます。市民と野党との共闘によってそのような「受け皿」を生み出すことができるかどうかが問われています。
 内閣支持率が低下し続け、「潮目」が変わりました。いつ国会が解散されても勝利できるような準備を進め、安倍政権を解散・総選挙に追い込むことがこれからの課題です。

nice!(0) 

8月8日(火) 「政治の劣化」「行政の劣化」とは何か―どこに問題があるのか、どうすべきか(その3) [論攷]

〔以下の論攷は『法と民主主義』No.520、2017年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

3 通常国会後に明らかになった疑惑や不祥事

 「加計」疑惑での新たな展開

 通常国会が幕を閉じた途端、「萩生田副長官ご発言概要」という新たな内部文書が見つかりました。「加計」疑惑に萩生田光一内閣官房副長官が関与していたことを示すもので、学部新設について「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30年(2018年)4月開学』とおしりを切っていた」などと書かれています。
 萩生田さんはこの内容を強く否定し、加計さんとの関係についても「親しくお付き合いさせていただいているという事実もありません」と答えていました。しかし、安倍首相の別荘で、安倍、加計、萩生田さんの3人がバーベキューをしながら缶ビール片手に談笑している4年前の写真が萩生田さんのブログに投稿されています。
 加計孝太郎理事長が自民党岡山県自治振興支部の代表で、会計責任者も加計学園の理事を務めた人物、支部の事務所が加計学園系列校と同じだったことも判明しています。また、岡山が地元の加計学園が選挙区の逢沢一郎元外務副大臣に100万円を献金しており、獣医学部の新キャンパスの工事を請け負っている「アイサワ工業」は岡山市が本社で逢沢さんのいとこが社長をしているファミリー企業です。しかも、建設費の坪単価は一般的な坪単価の2倍以上もすることが明らかになっています。
 さらに、この加計学園が当時文科相であった下村博文さんに200万円の献金をしていた疑惑も報道されました。この後、加計学園が望んでいた教育学部の新設が認められていたことも分かっています。また、下村夫人の今日子さんは広島加計学園の教育審議委員をやっており、安倍夫人の昭恵さんと一緒に加計学園のパンフに登場したり、年に数回は同施設のイヴェントに参加したりしていました。

 稲田防衛相による自衛隊の政治利用

 選挙戦の応援では、稲田朋美防衛相が演説で「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と投票を呼びかけて大きな問題になりました。自衛隊を「自民党のもの」であるかのように扱って政治利用しただけでなく、指揮権を持つ防衛相が言えば自衛隊員は特定政党を応援しなければならないと誤解してしまいます。
 政治的に中立公平であるべき公務員や自衛隊のあり方からの逸脱という点でも、「党務」と「公務」の混同という点でも、この発言は自衛隊法や公職選挙法に反する暴言にほかなりません。
 稲田防衛相は何回も、閣僚の資質を疑われる言動を繰り返してきました。こういう人を選んだだけでなく、どうして今まで続投させてきたのでしょうか。このような暴言を言い出しかねない人を安倍首相はかばい続け居座らせてきました。きちんとけじめをつけず、放置してきた責任は大きいと思います。
 「森友」「加計」学園疑惑では、権力者の意向を忖度し、一部の人を優遇したりえこひいきしたりして行政を歪めているとの批判が高まりました。安倍首相に近いというだけで稲田さんばかりが甘やかされ特別扱いされている姿こそ、政治責任の取り方まで歪み公平性や信頼を大きく損ねていることを示す実例であるように思われます。

 相次いだ暴言と不祥事

 まだ、あります。選挙中に明らかになった豊田真由子衆院議員の秘書に対する暴言・暴行というスキャンダルです。豊田議員は責任を取って自民党に離党届を出しましたが、辞めるべきは自民党ではなく国会議員の方でしょう。
 夫の宮崎謙介衆院議員の女性スキャンダルが『週刊文春』に報じられたことのある金子恵美衆院議員についても、公私混同疑惑が浮上しました。公用車で子どもを保育園に送ったり、母親を駅に送り届けたりするなど、私的使用が常態化していたというのです。
 これらの若手議員を厳しく監督するべき二階俊博幹事長自身が、都議選の応援演説で「よく変なものを打ち上げてくるキチガイみたいな国がある」と述べ、後で「表現として必ずしも適切でないものが一部あった」と、精神障害者への差別的表現について釈明し、「私らを落とすなら落としてみろ。マスコミの人だけが選挙を左右するなんて思ったら大間違いだ」と居直ったりする始末です。
 末期症状ともいうべき状況が積み重なりました。まさに、政治・政治家の劣化を示す典型的な例だと言うべきでしょう。それに対する国民の批判と怒りが徐々に蓄積されていきました。それが投票という行為を通じて、一挙に噴き出したのが都議選の結果だったのです。

 むすび

 長い間、「安倍1強」と言われるような状況が続き、内閣支持率が安定していました。民主党中心の前政権への失望が大きく、国民は諦めて達観してしまったようです。もともと安倍政権への期待値は低いものでした。ですから、何らかの問題が生じても「まあ、こんなものだろう」ということで、内閣支持率はあまり下がりませんでした。
 しかし、政治・行政の劣化と異常な国会運営を見て、さしもの国民の「堪忍袋の緒」も切れてしまったようです。安倍内閣に対する支持率は軒並み急落し、都議選でも自民党は歴史的な惨敗を喫しました。政権運営にとって重要なのは世論と選挙ですが、そこでの質的な変化が生じたのです。
 「安倍1強」の潮目が変わりました。世論を変えて選挙で決着をつけ、特定秘密保護法、安保法(戦争法)、共謀罪というアベ暴走政治が生み出した悪法を廃止できるような政府を実現する展望が生まれています。
 その出発点が都議選でした。国政にも大きな影響を及ぼすことになります。善戦健闘した共産党をはじめ、立憲野党の前進を背景に解散・総選挙を勝ち取り、さらなる追撃戦によってアベ政治の「終わりの終わり」を実現しなければなりません。
 もし、安倍政権が都議選で示された声を無視し続ければ、次の国政選挙でさらに大きな「ノー」が突き付けられることでしょう。解散・総選挙に追い込んで、その機会を早く実現したいものです。そのためにも、市民と野党との共闘を推進し、いつ国会が解散されても対応でき勝利できるような準備を進めることがこれからの課題です。


nice!(1) 

8月7日(月) 「政治の劣化」「行政の劣化」とは何か―どこに問題があるのか、どうすべきか(その2) [論攷]

〔以下の論攷は『法と民主主義』No.520、2017年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

2 通常国会での暴走・逆走

 9条改憲方針の明言

 第193回国会は1月20日に召集され、6月18日までの150日間でした。この通常国会はアベ政治の暴走・逆走が際立ち、政治・行政の退廃と混迷が露わになるという異常な国会でした。
 なかでも、5月の連休中に安倍首相が9条改憲の意図を明らかにして注目されました。改憲に向けてのギアを入れ替えたことになります。与野党の合意をめざして「低速」で慎重な運転を行ってきたこれまでのやり方を投げ捨て、3分の2を占めている改憲勢力だけで突っ走ろうというわけです。
 安倍首相は9条の1項と2項をそのままにして、新たに自衛隊の存在を明記することで公明党を引き込み、教育費無償化を書き込むことで日本維新の会を抱き込もうとしています。これに他の改憲勢力を合わせれば、民進党などの協力を得なくても衆参両院の3分の2議席を占めて発議が可能になります。
 秋の臨時国会で自民党案を提起し、来年の通常国会で発議したうえで衆院選と同時に国民投票で可決するというのが安倍首相の目論みです。それまでは改憲議席を維持しなければなりません。首相の側から解散・総選挙を実施することは避けようとするでしょう
 こうして、9条改憲をめぐる対決の構図は明確になってきました。安倍首相が改憲議席を維持したいと考えて総選挙を先延ばしするのであれば、改憲発議ができなくなるほどに議席を減らすことをめざして解散に追い込み、総選挙で勝利を勝ち取らなければなりません。9条をめぐる「激突の時代」が始まりました。私たちも腹を固めて対抗することが必要です。1人1人の決意と本気度が試される局面がやって来たということになります。

 「共謀罪」法の成立

 このような9条改憲に反対し、憲法を守ろうとする市民運動をあらかじめ取り締まるための武器も調達されました。それが共謀罪を制定した目的の一つだったように思われます。2013年の特定秘密保護法、15年の安保法(戦争法)、そして17年の共謀罪と、アベ政治の暴走は続いてきました。この戦争できる国づくりへの道は9条改憲へとつながっています。
 国民の多くが不安に思い、世論調査では反対が増え、成立を急ぐ必要はないという意見も多い法案でした。心の中が取り締まられるのではないか、一般の人が対象とされるのではないか、拡大解釈によって適用範囲が広がるのではないか、政府に都合の悪い運動などが監視され密告される恐れがあり、委縮してしまうのではないかなどの疑問が出されました。しかし、いくら審議しても、これらの懸念は解消されませんでした。
 これらの疑問や懸念に丁寧に答えるどころか、委員会採決の省略という問答無用の強権的な方法が取られました。異例の奇策による完全な「だまし討ち」です。内心の自由を取り締まる法案の内容も問題ですが、「中間報告」という「禁じ手」を用いた強行採決も大きな問題でした。まさに立法府の劣化というしかありません。
 テロ等準備罪という名前に変えて粉飾を凝らし、オリンピックを名目にして成立を強行しましたが、テロや五輪・パラリンピックという看板を掲げれば国民を騙せると高をくくっていたのでしょう。騙されてはなりません。共謀罪によって取り締まる対象と市民や市民活動との違いを曖昧にしているのは、政府に都合の悪い発言をしたり活動に加わったりする一般市民や正当な市民活動、社会運動を取り締まるためであり、拡大解釈によって共謀罪を適用する余地を残しておきたかったからではないでしょうか。

 「森友」「加計」学園疑惑

 もう一つの焦点となった「森友」「加計」学園疑惑も、安倍政権のいかがわしさをはっきりと示しています。官庁や役人が安倍夫妻の意向を「忖度」して知人や友人を優遇したり便宜を図ったりして、一部の人によって政治と行政が私物化されているのではないかという疑惑が表面化したからです。
 「森友」疑惑では、教育勅語を暗唱させるような籠池泰典前理事長の教育方針に共鳴した首相夫人の昭恵さんが「力になりたい」と考えて「神風」を吹かせ、国有地を8億円もディスカウントしたのではないかと疑われています。「加計」疑惑では加計孝太郎理事長の30年来の「腹心の友」である安倍「総理のご意向」に従い、「加計ありき」で岡山理科大への獣医学部新設と国有地の取得に便宜が図られたのではないかとの疑惑が浮かび上がりました。
 昭恵さんを守ったのは、その意向を「忖度」して便宜を図った財務官僚だと見られていますが、計算違いは籠池森友学園前理事長です。安倍首相からの「100万円」の寄付を暴露された腹いせに証人喚問するなど「敵」に回したため、財務省への働きかけを示すファクスを暴露されるなど首相も昭恵さんも窮地に陥りました。
 他方の「加計」疑惑で安倍首相を守ったのは内閣府だったようです。交渉の経過を示すメールや内部文書が文科省で発見されましたが、それに対する追及が「官邸の最高レベル」に届かないようにする作戦だったと思われます。文科省(第1の防衛線)は突破されましたが、内閣府(第2の防衛線)でストップさせようとしたのでしょう。
 「加計」疑惑での計算違いは前川喜平前文科事務次官です。文科省内で作成された内部文書は本物で「確実に存在していた」「あったものを無かったことにはできない」「行政のあり方がゆがめられた」と証言しました。官邸は人格攻撃までしてこれを否定しましたが、結局はむりやり国会を閉じて疑惑を隠すという醜態をさらすことになったのです。

 アベ政治の退廃と混迷

 通常国会では、政治と行政の劣化、アベ政治の退廃と混迷も余すところなく示されました。
 その第1は、情報の秘匿と隠ぺいです。行政文書など保管されるべき記録が廃棄されたり、隠されたりしました。南スーダンへの自衛隊PKOの「日報」が隠蔽され、「森友」「加計」疑惑での財務省や文科省、内閣府の情報隠しも大きな批判を招きました。行政の透明化、検証可能性、知る権利の保障という意識も仕組みも極めて劣弱であることが改めて明らかになっています。
 第2に、国連関係者からの懸念や批判です。共謀罪については国連人権理事会の特別報告者であるケナタッチさんがプライバシーを制約する恐れを指摘し、報道の自由に関して懸念を表明しました。人権理事会のケイ特別報告者も特定秘密保護法について改正を促しました。日本は国際標準から逸脱しつつあり、国際社会から後ろ指をさされるような国になってしまったようです。
 第3に、「安倍一強」体制の下での独裁と強権化です。小選挙区制の導入や内閣人事局の新設などによって官邸支配の体制ができ、国家戦略特区によってトップ・ダウンの政治主導が強まりました。多数党が強権を振るうことができる仕組みができ、三権分立の歪み、総理・総裁や公人・私人の使い分けなどによる政治・行政の私物化が生じています。
 第4に、マスメデイアが変質し、一部のメディアの劣化が進みました。政治権力の批判・監視を行う「第4の権力」から権力への迎合・走狗へという機能転換が生じています。とりわけ最大の部数を持つ『読売新聞』が安倍首相の9条改憲インタビューや「加計」疑惑での前川さんの「出会い系バー通い」を報ずるなど、安倍首相によって利用され、報道機関として大きな汚点を残すことになりました。

nice!(0) 

8月6日(日) 「政治の劣化」「行政の劣化」とは何か―どこに問題があるのか、どうすべきか(その1) [論攷]

〔以下の論攷は『法と民主主義』No.520、2017年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

 はじめに

 「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかないんです」
 都議選の最終盤、秋葉原駅前での唯一の街頭演説で放った安倍首相の言葉が、これでした。「帰れ」「安倍ヤメロ」とコールして自分を批判する人々を指さし、「こんな人たち」と言って非難したのです。
 総理大臣は全ての国民を代表し、批判的な人々も含めてあらゆる国民に責任を負って国をリードする立場にあります。支持者や一部の仲間だけでなく、全ての国民を視野に入れ、その生命と生活を守り、国全体をまとめ統合するという役割を担っているはずです。
 それなのに、自分を批判する人々を「こんな人たち」とひとくくりにし、「私たちは負けるわけにはいかない」と対抗心むき出しにして非難したのです。国民を線引きして自ら分断を持ち込んだということになります。「敵」と「味方」を色分けし、「敵」に対しては厳しく「味方」や「お仲間」には優しいアベ政治の本質が顕われた瞬間でした。
 国会での審議でも、安倍首相は「こんな人たち」と思い込んだ批判者に対し、強い敵意をむき出しにヤジを飛ばしたりして攻撃的な対応に終始してきました。批判する人々や野党の背後にも、多くの国民がいるということを忘れているようです。批判者に対してきちんと答えることを通じて、その背後にいる国民にも理解してもらえるような丁寧な政権運営を行うというのが、本来あるべき姿ではありませんか。
 他方で、安倍首相は「味方」である「私たち」の仲間や身内を大事にしてきました。第一次安倍政権は「お友達内閣」と言われ、今年の通常国会でも親しくしてきた知人や友人を特別扱いしたり優遇したりしたのではないかとの疑惑が持ち上がりました。しかし、疑惑に答えることなく、共謀罪法案の強行採決を行ったうえで強引に幕引きを図ってしまいました。
 こうして、政局は都議選へとなだれ込むことになります。都議選では、アベ政治における政治や政治家の劣化、行政の劣化に対する批判と怒りのマグマが噴出しました。その結果が、自民党の歴史的惨敗という驚天動地の出来事だったのです。
 都議選での自民党惨敗は都民によるアベ政治への明確な審判でしたが、何に対して、どのような審判を下したのでしょうか。都議選に先立つ通常国会では、どのような問題が明らかになったのでしょうか。政治と政治家の劣化、行政の劣化という側面に焦点を当てながら、このような問いへの答えを探してみましょう。答えが見つかれば、それを是正するにはどうすべきなのかも明らかになるにちがいありません。

1 都議選の結果をどう見るか

 自民党の歴史的惨敗

 7月2日に投開票された都議選の結果は、別表の通りでした。ついに噴き出した「怒りのマグマ」によって自民党が歴史的惨敗を喫したというしかない結果です。

都民ファーストの会:6→49(+43)
自民党:57→23(-34)
公明党:22→23(+1)
共産党:17→19(+2)
民進党:7→5(-2)
東京・生活者ネットワーク:3→1(-2)
日本維新の会:1→1
社民党:0→0
無所属:4→0(-4)
無所属(都民推薦):9→6(-3)

 秋葉原での選挙戦最後の街頭演説で、安倍首相は「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫びましたが、多くの都民は「こんな人たちに、私はなりたい」と考えたわけです。その結果、安倍首相はこれまで経験したことのない厳しい鉄槌を下されました。
 自民党の獲得議席は23でした。過去最低だった38議席を15も下回っています。今回の都議選ほど自民党が選挙の恐ろしさを実感したことはなかったにちがいありません。地殻変動によって地割れが生じ、奈落の底に落ち込んでいくような恐怖を味わったのではないでしょうか。
 こうなった原因は3つ考えられます。第1に自民党都連への批判であり、第2に国政への不満であり、第3に安倍首相への反感です。これらが積み重なって生じた敗北であるからこそ、これまでになかったような歴史的惨敗となりました。不明朗な築地市場移転問題の経緯など都政の闇を生み出してきた自民党都連への批判は、都議選が終わって都政改革が進められればある程度は解消するかもしれません。しかし、国政への不満や安倍首相への反感は、選挙が終わったからと言ってなくなるとはかぎりません。
 石原、猪瀬、舛添という過去三代の都知事を与党として支えてきた自民党都連への批判以上に、都民の怒りは国政とその中心にいる安倍首相に向けられました。9条改憲を打ち出し、「森友」「加計」学園疑惑に頬かむりしたまま共謀罪を強行採決して国会を閉じた強引なやり方や、その後も相次いだ不祥事、暴言、疑惑隠しなどに対しても都民の怒りは爆発したのです。
 選挙後、「THIS is 敗因」という言葉が飛び交いました。惨敗を生み出した「戦犯」はT(豊田真由子)、H(萩生田光一)、I(稲田朋美)、S(下村博文)の4人だというのです。しかし、正確には「THIS is A 敗因」と言うべきでしょう。何よりも、A(安倍晋三)という「大戦犯」がいるからです。
 これに加えて、公明党の裏切りがあります。今回、公明党は自民党とたもとを分かち「都民ファーストの会」を支援したため、公明党の支えを失った自民党は1人区や2人区だけでなく3~5人区でも苦戦することになりました。「都民ファーストの会」とともに上位当選した公明党に蹴落とされてしまったのです。

 「都民ファーストの会」の躍進

 歴史的惨敗に沈んだ自民党にとって代わったのが「都民ファーストの会」です。50人立候補して49人当選、追加公認を含めて55人になりました。自民党が減らした議席の大半は「都民ファーストの会」に流れ込みました。今回だけは支持できない、お灸を据えたいと考えた自民党支持者や無党派層にとって、「非自民」の「手ごろな受け皿」となったからです。
 このような「受け皿」を提供することができれば、今回と同様の地殻変動を国政レベルでも引き起こすことができるにちがいありません。それをどのように提起し、認めてもらうかが、安倍政権打倒に向けての課題になります。
 同時に、今回の選挙では欧米のようなポピュリズムの「追い風」が強烈に吹きました。「都民ファーストの会」は大阪維新の会や名古屋での減税日本と同様に、ポピュリズムの風に押し上げられて都議会に送り込まれたのです。「どうしてこんな人が」と思われるような人もあれよあれよという間に当選し、議員になって議会に送り込まれるというポピュリズム選挙の危うさが孕まれていることも忘れてはなりません。
 1993年にブームを起こした「日本新党」の都議はすぐに消えてしまいました。名古屋市の「減税日本」も4年後に再選されたのは6人だけでした。「都民ファーストの会」で当選した新人議員「小池チルドレン」の半分近くは議員経験がなく、スキャンダルを抱えている「ポンコツ議員」もいます。はたして小池与党としてきちんとしたチェック機能が果たせるのか、これから問われることになるでしょう。 

 共産党など立憲野党の善戦

 このようなポピュリズムの嵐の中で、共産党や民進党などの立憲野党は埋没することなく持ちこたえることができました。共産党は2議席増の19議席となり、民進党は「壊滅するのではないか」と見られていましたが、改選7議席から2議席減の5議席にかろうじて踏みとどまったからです。
 共産党は前回の都議選で8議席から17議席に倍増していますから2回連続での増加で、32年ぶりのことになります。小池対自民党都連という対立構図が喧伝され、「都民ファーストの会」が大量当選するというポピュリズム選挙の嵐が吹き荒れたにもかかわらず、埋没することも嵐に吹き飛ばされることもなく善戦健闘したのは重要な成果でした。
 これは強固な組織的基盤を持っている共産党の強みを背景としています。同時に、市民と野党の共闘の前進も大きな力になりました。無党派層の投票先で「都民ファーストの会」に次ぐ2位でしたから、組織の力だけではない幅広い支持層を得た結果でもあります。
 「森友」「加計」問題などでの調査と追及、アベ政治に対峙し続けてきたぶれない政治姿勢、9条改憲阻止などの国政上の争点も掲げた選挙戦術、豊洲移転に反対して築地再整備を掲げた唯一の政党という政策的立場などで得られた支持の広がりでした。このような、国政上の実績、選挙戦術、都政政策などの点で独自の優位性を発揮し、アベ暴走政治に最も強烈な「ノー」を突きつけたいという「反自民」のための「信頼できる受け皿」として支持されたということでしょう。
 このようなアベ暴走政治の問題点が明確に示され、国民の目に焼き付けられたのが、都議選の直前まで開かれていた通常国会でした。この国会における政府・与党の暴走・逆走とその後も続いた政治や行政の劣化に対する怒りこそが、都議選での自民党の歴史的惨敗という驚天動地の出来事をもたらした最大の要因だったのではないでしょうか。

nice!(0)