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2月25日(水) 安倍政権は「下り坂」にさしかかったのではないか [内閣]

 昨日で64歳になってしまいました。この年になれば、誕生日を迎えて年を取ることには複雑な思いがありますが、この世に生を受けたことに対してはいくつになっても感謝したいものです。
 フェイスブックなどで、「お誕生日おめでとう」のメッセージを下さった方に、この場を借りてお礼申し上げます。文章を書くのは基本的にこのブログに限っておりますので、いちいちご返事を差し上げませんが、ご了承いただければ幸いです。

 さて、通常国会が始まり、安倍首相は「改革断行国会」だと意気込んでいました。しかし、次々にボロが出て暗雲が垂れこめつつあるようです。
 昨年の解散・総選挙を峠として「下り坂」が始まったのかもしれません。その坂が長いか短いかは、これからの私たちの取り組み如何にかかっているということになるでしょう。

 「政治とカネ」の問題がまたも表面化しました。予想していた通り、西川公也農水相が政治資金問題についての疑惑をもたれて辞任したからです。
 第2次安倍政権になってから政治資金の疑惑が指摘された小渕優子経済産業相と、選挙区で「うちわ」を配布して公職選挙法違反で刑事告発された松島みどり法相に次ぐもので、わずか4か月で3人の辞任になります。関連する砂糖業界からの「甘い汁」を吸っていたことや国の補助金を受けていた企業からの資金提供に問題があったわけです。
 地元では「カネ持ってコウヤ」と言われていたほど西川さんはカネに汚い人だったそうで、第3次改造内閣で再任される前から身内企業による献金が明らかになっていました。西川さんは辞表提出後、記者団に「私がいくら説明しても、わからない人にはわからない」と言って居直り、「これ以上、国会審議に影響を及ぼすことはできるだけ避けたい」と言って辞任しました。

 この発言からも分かるように、献金を受け取ったこと自体についての反省は全くありません。「悪いことをやったとは思っていないけれど、これ以上親分に迷惑はかけられないから、潔く身を引こうじゃないか」というわけで、まさにヤクザの論理そのものです。
 今後、問題の全容を明らかにして説明責任を果たすことが必要でしょう。安倍首相は、小渕・松島両前大臣の辞任の際、「任命責任は私にある」と述べ、今回の西川辞任についてもそう発言しました。
 その「責任」をどうとるつもりなのでしょうか。それとも、「任命責任」を口にすることはその場しのぎのための「方便」にすぎないものなのでしょうか。

 首相自身のヤジと虚偽答弁の取り消しという問題も生じました。その内容もその後の居直りも一国の総理大臣としては見苦しい限りであり、一刻も早く首相の座を去ってもらいたいものです。
 安倍首相は西川農水相の献金問題に関して追及した民主党の玉木雄一郎議員の質問の際、「日教組はどうするんだよ」などとヤジを飛ばし、翌日の同委員会でこの問題をただした前原誠司議員に「なぜあの時、日教組といったかといえば、日教組は補助金をもらっていて、そして、教育会館というものがあるわけでありますが、教育会館から献金をもらっている議員が民主党にはおられて、それに対する質問をかつて我が党がした時に、『これは別の団体だから関係ない』というのが、当時の民主党の政府としての大臣が答弁した見解であったわけでありますから、それをどう考えるかという指摘をしたところでございます」と答弁しました。しかし、これは首相の思い違いであったため、「先般前原委員への私の答弁のなかで正確性を欠く発言があった」と長々と言いわけしたうえで、「遺憾であり、訂正申し上げる」と発言しました。
 その後も「遺憾」を繰り返す安倍首相に対して、民主党議員から「謝罪はしないということか」と迫られ、ようやく「教育会館に対して、私の申し上げたことで不快な念を持たれた方がいたとすればこれは申し訳ないという気持ち。教育会館、関係者に対して申し訳なかった」と謝罪しました。この間の安倍首相の対応は、根拠のないヤジや答弁を行い、それについて間違いを突きつけられてものらりくらりと言い逃れしようとする見苦しい姿であったと言わざるを得ません。

 「成功は失敗の元」だということなのでしょう。野党の不意を突いた解散・総選挙で、安倍政権は3分の2を上回る与党勢力を維持することに成功しました。
 しかし、それが失敗の元だったのではないでしょうか。「して、やったり」という思いが、知らず知らずのうちに安倍首相の「おごり」を強めてしまったようです。
 「イスラム国」(IS)による日本人人質殺害事件での大失敗にもかかわらず、そのことを隠ぺいして内閣支持率を上げることにも成功しました。それが安倍首相の「慢心」を招き、「政治とカネ」の問題の軽視、思わず口を突いて出たヤジ、きちんと事実関係を調べないまま憶測で口走ってしまった虚偽答弁などに現れたように見えます。

 おごりと慢心が下り坂へと安倍首相を導いていったということでしょう。「一強多弱」などと言われる勢力関係の国会内にこそ、首相のつまずきの石が転がっていたということになります。

 なお、拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』(学習の友社)が、3月1日(日)に刊行されることになりました。来週には書店などにも並ぶでしょう。
 購入ご希望の方は、学習の友社http://www.gakusyu.gr.jp/tomosya.htmlに直接、ご注文いただくのが確実だと思います。定価は1300円+税となっています。

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12月25日(木) 安倍「大惨事」(第3次)内閣を待ち受けるこれだけのジレンマと難問 [内閣]

 第2次安倍政権の第3次内閣が発足しました。国民にとっては、さらなる暴走によって大事故を引き起こす可能性の高い「大惨事」内閣が出発したことになります。

 この内閣は、総選挙で確保した衆院での3分の2以上の与党勢力を持っています。選挙での洗礼を経て、首相の発言力はさらに高まることでしょう。
 「国民の信任」を得たと言い張って、さらなる暴走に出る危険性が高いと思われます。選挙でほとんど触れず隠し通した争点についても、「白紙委任」を得たかのような居直りに出ることでしょう。
 そもそも、不意打ちの奇襲攻撃によって票をかすめ取り、そうするための力と口実を手に入れることを狙っての「今のうち解散」でした。しかし、安倍首相の前途はそれほど容易なものではなく、多くのジレンマと難問が待ち受けています。

 これについては、すでに、12月20日付のブログ「総選挙後に安倍首相の表情が『終始険しかった』のはどうしてなのか」で、ある程度触れています。
 第1に、与党内で「隠れ野党」の公明党が増え、野党内で「隠れ与党」の次世代の党が壊滅したために改憲発議が困難になったこと、第2に、アベノミクスの前途に不安があるにもかかわらず景気回復を前提にして消費再増税を確約してしまったこと、第3に、沖縄の新基地建設をめぐる県民の反対世論がさらに明確に示されたこと、第4に、いまさらTPPから撤退もできず、かといって参加すれば農業をはじめとした国内産業に大打撃をあたえ、自民党の命取りになるかもしれないこと、第5に、原発を再稼働すれば世論や周辺自治体の反発を高めることは必至で、再生可能エネルギーによる持続可能な社会への芽を摘んでしまうこと、第6に、労働者派遣法の改定などの規制緩和によって非正規労働者を増やせば、労働力の質は低下し、消費不況と少子化はさらに深刻となって日本企業の国際競争力と経済の成長力は失われ、「成長戦略」などはとうてい実現できないことなどです。これらについて詳しくは、12月20日付のブログをご覧になってください。

 
 ここでは、これに加えて、以下のようなジレンマと難問を指摘しておきたいと思います。

 
 第1に、「政治とカネ」の問題です。今回の第3次安倍内閣でただ一人、江渡防衛相だけが再任されませんでした。
 江渡さんは閣僚の椅子の「防衛」に失敗したわけですが、それは「政治とカネ」の問題で野党から追及されていたからです。これから、集団的自衛権の行使容認など安保法制についての審議が行われますから、その妨げになってはいけないということで再任を辞退したそうです。
 しかし、他の閣僚には「政治とカネ」の問題がないのでしょうか。11月末に公表された政治資金収支報告書では問題のある使われ方や不実記載などが続々と判明していますから、今後、通常国会でもこれらの問題が追及されることは避けられません。

 第2に、安倍改造内閣が「目玉」としていた地方創生の問題です。すでに、TPP参加や労働者派遣法改定とも関連して指摘しましたが、これについて安倍政権がやろうとしていることはアクセルを踏みながら同時にブレーキを踏んでいるようなものです。
 地方を元気にするためには、地域社会を担っている農家や中小業者、労働者が希望をもって働け、安定した収入が得られるようにしなければなりません。しかし、TPPで農産物の関税が下がり、非関税障壁の撤廃ということで中小業者への保護がなくなり、非正規労働が拡大して収入が減れば、地方社会の活力は低下するばかりです。
 安倍首相が行おうとしている財政支出による補助金や公共事業では、地方再生にほとんど効果のないことはこの間の経験で証明済みです。農業の生き残りのためということで「農業改革」を打ち出し、「岩盤規制」に穴を開けようとしていますが、結局それは農地の集約による規模拡大と企業の進出によるビジネスチャンスの創出にすぎず、そのために邪魔になるJA全中と農業委員会を弱体化させ地方社会を実際に担っている農家経営の衰退をもたらし、農村の消滅を促進するだけでしょう。

 第3に、同じく、女性の活躍推進という問題です。これについても、安倍内閣が打ち出しているのは「エリート女性」の社会進出とキャリア・アップの支援にすぎません。
 社会の底辺で差別され、多くの困難を抱えている「ノン・エリート女性」は切り捨てられたままで、雇用改革による非正規労働の拡大はこのような女性の困難を解決するどころか、さらに増大させるだけです。ひとり親の女性や子育て支援などについても効果的な施策はなく、女性の家事労働時間を減らすためには男性の残業をなくすしかないのに、「残業代ゼロ」法案を準備してさらに労働時間を延ばせるようにしようなんて、まったく逆行していると言うしかありません。
 そもそも、安倍首相は「価値観外交」などと言っていますが、自由・民主主義・人権を守ろうとする意欲はなく、報道の自由や国民の知る権利、在日コリアンなどマイノリティの人権を守ろうとはせず、従軍慰安婦問題についての発言にもみられるように女性の人権についても無頓着です。女性活躍推進担当相についても、戦前の教育を再評価して伝統的な子育てに回帰することを推奨する「親学」の信奉者を据えるというチグハグさです。

 第4に、集団的自衛権の行使容認をめぐる問題があります。これから本格的な法案準備のプロセスに入るわけですが、公明党の「壁」、内閣法制局の「壁」、世論の「壁」という「3つの壁」を突破しなければなりません。
 集団的自衛権の行使容認をできるだけ限定しようとしている公明党との間では、適用範囲を日本周辺に限るのか、シーレーンの機雷封鎖解除にまで適用するのか、停戦以前でも可能とするのかなどの点についての合意ができていません。また、安保法制の改定という点では、内閣法制局が了承しなければ国会に法案を出せず、これまでの解釈をどこまで変えて、それをどのように条文に反映させるのかという点で法制局の対応が注目されます。
 もし、この2つの「壁」を突破することができても、最後の世論の「壁」を突破するのは容易ではないでしょう。共産党が勢力を増やした国会で本格的に審議されますから、その問題点や危険性はいっそう明らかになり、大きな大衆運動が盛り上がるにちがいありません。

 第5に、周辺諸国との関係をめぐる問題です。中国や韓国との関係改善は安倍首相には無理で、21世紀における友好関係確立のためには別の首相に代えるしかないということが明らかになってきました。
 問題は安倍首相が行っている個々の政策だけでなく、安倍晋三という個人が中国や韓国の首脳の信頼を全く得られていないという点にあります。これら両国との間がギクシャクしているのは日本の首相が安倍さんだからですから、正常な関係を確立するためには安倍さんに首相を辞めてもらうしかありません。
 それは日本の外交と国際的な評価にとっても、大いにプラスになります。安倍首相の最大の問題は、戦前の帝国主義と植民地主義を否定する立場になく、植民地支配と侵略戦争を反省していず、戦前の日本を肯定し美化することは戦後の日本を否定し貶め、戦後国際秩序への挑戦となるということを全く理解していない点にあるのですから……。

 
 この点とも関連しますが、第6に、戦後70年と安倍首相の歴史認識をめぐる問題です。来年は第二次世界大戦終結70周年に当たりますが、安倍首相は周辺諸国との新たな対立や摩擦を引き起こすことなく、この年を乗り切ることができるのでしょうか。
 「70周年」ですから新しい首相談話などを出して日本の立場を国際的に示すことが求められますが、かつての枢軸国の中で未だに周辺諸国との完全な和解が得られず、不和を引きずっているのは日本だけです。もし、その内容が侵略戦争や植民地支配の弁護、従軍慰安婦問題の否定など、少しでも戦前の「日本を取り戻す」ようなトーンを帯びていれば、たちどころに批判を浴びて外交問題に発展し日本の国際的な孤立を深めることでしょう。
 それは中国や韓国だけにとどまらず、他のアジア諸国やロシア、欧米諸国との関係にまで波及する可能性があります。再び靖国神社を参拝するのかという問題とも合わせて、安倍首相の言動が注目されるところです。

 
 これほどのジレンマと難問を抱えていながら「この道しかない」というのは、すでに安倍首相が解決能力を失っているからです。実際には「別の道」もあるのに、その道を見つけるだけの能力がないから「この道」しか見えないのです。
 見る力がなければ見つけることはできません。他の選択肢や別の解決策を見つけられないほどに統治の力や政策能力が衰えてしまったのが、今の自民党であり安倍首相なのです。
 この先、安倍首相の思い通りの政治運営がなされるとすれば、それは国民にとっての「大惨事」をもたらすことは必至です。もし、安倍首相が世論と衝突して政権の座を引きずり下ろされれば、それは安倍さんにとっての「大惨事」となることでしょう。

 しかし、これから難問に直面してどれほど追い込まれようと、安倍首相はもう逃げ出すことはできません。すでに、「伝家の宝刀」を抜いて解散してしまったのですから……。
 ぜひ、安倍暴走を阻止して政権の座から追い落とし、安倍さんにこう言わせたいものです。「やはり、第3次内閣は私にとっての『大惨事』内閣だったのか」と……。

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10月21日(火) 「大目玉」を食らって辞任に追い込まれた「目玉」閣僚 [内閣]

 第2次安倍内閣の「目玉」閣僚として起用された小渕優子経済産業相と松島みどり法相の2人が引責辞任に追い込まれました。世論と野党に「大目玉」を食らった末の退場です。

 しかし、これで問題を決着させるというわけにはいきません。小渕さんの政治資金の使われ方については本人も良く分からないほどですから、きちんと調査して政治倫理審査会などで真相を明らかにしてもらう必要があります。
 松島さんについては、辞任はしたものの「私自身、法に触れることをしたとは考えていない」と居直っています。責任の自覚がないとわけで、さらなる追及が必要でしょう。
 この2人については国会での追及と真相究明だけではなく、告発状が出されていますので司直の手による捜査も行われることになります。どちらも国会議員としての資質や資格がないというべきであり、議員辞職すべきです。

 これで、第2次安倍改造内閣の「目玉」閣僚として起用された女性議員5人のうち2人が内閣を去ったことになります。しかし、残った3人の女性閣僚の方が、実は問題はより大きいと言わなければなりません。
 この3人は、靖国神社の秋の例大祭にそろって参拝したからです。関係者が中国との関係改善や首脳会談の実現に向けて汗をかいている最中に、平然と我を通して国益を害する暴挙を行ったわけであり、閣僚としての資質に欠けていることは明らかです。
 しかも、山谷国家公安委員長は在特会の関係者との付き合いがあり、高石総務相はネオナチ団体の関係者と一緒に写真に写っているなどの過去があります。「類は友を呼ぶ」ということであり、このような極右団体との親和性を持っていること自体が閣僚としての適格性を欠いている証ですから、これらの閣僚も辞任すべきでしょう。

 安倍首相は今回のダブル辞任で早期の幕引きを図りました。第1次政権の時も閣僚の辞任や途中交代が相次ぎ、いくつかの場合では交代が遅れて傷口を広げたという苦い経験があったからです。
 ダブル辞任によって、政権の危機を一気に収束させたいという狙いがあったのでしょう。しかし、「女性の活躍」を打ち出すための「目玉」や政権のイメージアップのために女性を「活用」しようとしたのは安倍首相自身です。
 そのために資質や適格性には目をつぶり、「身体検査」も十分には行わず、これらの女性を閣僚に起用してしまいました。女性を「道具」のように利用しようとした安倍首相の姿勢や任命権者としての責任は厳しく追及されなければなりません。

 第2次安倍政権は、発足してから昨年の参院選までデフレ脱却と景気回復を掲げて「アベノミクス」を前面に出しました。「猫かぶり」の第1段階です。
 7月の参院選で自民党が勝利して「ねじれ状態」が解消されてからは、本来の新「富国強兵」政策に基づいて「積極的平和主義」という極右軍国主義路線を突っ走ってきました。「危険な暴走」の第2段階です。
 そして、手練手管の内閣改造で峠を越え、今回の2閣僚のダブル辞任によって坂を転げ落ちる「転落」の第3段階が始まったようです。この超タカ派極右改憲内閣の転落を早めるために総反撃による追撃戦に移るのが、これからの私たちの課題だということになります。

 かつて中国の作家・魯迅は、犬が水に落ちて「もう出てきて人に咬みつくことはあるまいと思うのはとんでもないまちがいである」として、こう主張しました。「水に落ちた犬は打て」と……。
 私も、次のように言いたいと思います。「小渕・松島」という石にけつまずいて水に落ちてしまった安倍首相に手を差し伸べてはなりません。「水に落ちた安倍は打て」と……。

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9月17日(水) 「女性の活用」は安倍改造内閣の「お飾り」のためだけなのか [内閣]

 本日の『しんぶん赤旗』私のコメントが出ていました。「安倍流『女性活躍』の狙いとは」という見出しの記事で、コメントは次のようなものです。

 政治学者の五十嵐仁氏は、有村氏はミスキャストだと指摘します。「女性の社会進出をバックアップすべき大臣は本来、女性の人権と男女平等・ジェンダーの視点をもつことが大事です。たとえ女性でも古い家族観を持ち、男女共同参画を否定する人がトップでは困るわけです」

 安倍改造内閣では、女性閣僚が過去最多に並ぶ5人も入閣しました。しかし、それは「お飾り」にすぎません。
 新閣僚が顔をそろえた記念写真をご覧ください。真ん中に安倍首相。その左右を占めた小渕さんと高市さんは黒と青系統の洋服。その後ろに立つ有村さんと山谷さんは白系統の和服姿。安倍首相の真後ろにいた松島さんは真っ赤なドレスという形で、コーディネートされていました。
 これらの女性陣が安倍首相の周りを固めています。まるで、首飾りのようではありませんか。

 この安倍改造内閣で新設されたのが石破地方創生担当相と有村女性活躍推進担当相です。いずれも統一地方選や内閣のイメージアップを意識した人気取りで、所詮は付け焼刃に過ぎません。
 しかし同時に、一時しのぎの人気取りとはいえ、そのような形で特別の担当大臣を新設せざるを得ないほどに、これらの問題が深刻になってきているということの現れにほかなりません。そして、このような形であれ、地方や女性の問題に内閣が力を入れて取り組もうとすること自体は、決して悪いことではないでしょう。
 そのことによって、少しでも地方の活力が「創生」されれば結構なことです。女性の抱えている困難が解決され、社会的地位の向上と社会進出が進み、男女共同参画社会への実現に少しでも近づくことができれば、それに越したことはありません。

 しかし、果たしてそうなるのでしょうか。軍事おたくの石破さんが場違いな地方創生の分野でどれほどの力を発揮出るかは未知数です。
 ただし、女性の活躍推進を任された有村さんについては決して未知数ではなく、これまでの言動を通してある程度の予想ができます。それは女性の社会的地位の向上や社会進出、男女共同参画社会の実現に向けての推進力ではなく、ブレーキになる可能性が大きいということです。
 その点では、全くのミスキャストであると言わなければなりません。それが、冒頭に紹介した私のコメントの内容です。

 これに付け加えれば、有村さんは「3年抱っこの保育」などを推奨する「親学」の信奉者でもあります。このような育児思想と社会進出とは、どのようにして両立できるのでしょうか。
 古い家族観は今も持ち続けているのでしょうか。それとも、そのようなものは大臣になった途端に吹っ飛んでしまったとでも言うのでしょうか。
 迷った時には靖国神社に行って英霊の声を聞くのだそうですが、これからもそうするつもりなのでしょうか。大臣になったのですから、死んだ英霊ではなく生きている国民の声を聴いていただきたいものです。

 このような形で、安倍改造内閣が女性重視の姿勢を打ち出したにもかかわらず、都議会自民党では新たな問題発言が行われました。都議会の超党派でつくる「男女共同参画社会推進議員連盟」の野島善司会長が、プライベートでは「結婚したらどうだ、というのは僕だって言う」と述べたのです。
 セクハラヤジに続いて、セクハラオヤジが登場したというわけです。さすがに「これはまずい」と思ったのでしょう。都議会自民党の総会で、「不適切な発言をして大変申し訳ない」と話して、謝罪したそうです。
 しかし問題は、自民党議員などの多くがこのようなセクハラ的意識を持っており、批判されなければその問題点に気が付かないというところにあります。女性の活躍や社会進出を阻んでいる社会の仕組みや働き方の問題とともに、このような女性蔑視につながる社会意識についても、根本的に改められる必要があるでしょう。

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9月5日(金) 安倍内閣の支持率も「代わったけれど、変わらない」 [内閣]

 今日の『毎日新聞』を見て驚きました。「改造内閣支持率横ばい47%」という見出しが目に入ったからです。
 前回8月の調査での支持率47%と変わっていません。せっかくの内閣改造だったのに、「ご祝儀」が出なかったというのでしょうか。
 ただし、共同通信の調査では内閣支持率は54.9%で、5.1ポイントの上昇になっています。こちらの方は、それなりの「ご祝儀」が出たようです。

 安倍首相にとっては、不本意な結果でしょう。だから、「改造なんかしたくなかったのだ」と思ったかもしれません。
 内閣改造への自民党内の期待は高かったはずですから、それなりに党三役や閣僚の入れ替えをしなければなりませんでした。しかし、骨格は維持したかったので、中枢部分は留任させています。
 代えなければならないのであれば、ライバルを取り込み、「お友達」を補充して安倍カラーを強め、内閣のイメージアップを図り、党内を安定させて統一地方選に備えるという布陣を考えたのでしょう。それが、石破前幹事長の入閣や谷垣元総裁の幹事長就任、塩崎恭久、高市早苗、山谷えり子など「お友達」の起用、小渕優子経産相などの閣僚5人と稲田政調会長という女性の活用となったわけです。

 改造内閣の発足にあたって安倍首相は「実行、実現内閣」を標榜しましたが、問題は何を実行し、実現しようとしているのか、という点にあります。
 安倍首相にとって当面する最大の課題は集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を具体化することであり、そのために安保法制担当相を新設し、江渡防衛相に兼務させました。
 また、地方創生と国家戦略特区担当相も新設して石破さんを押し込みましたが、これは統一地方選挙向けの付け焼刃にすぎず、地方へのバラマキが強まるだけです。女性活躍推進担当相も新設して有村さんを抜擢しましたが、成長戦略に役立つ限りでの「女性の活躍」が期待されているにすぎず、女性閣僚5人の起用についても共同通信調査では「期待できない」が50.2%と多数になっています。

 経産相には最年少で女性の小渕さんが抜擢され話題となっています。少しでも反対や抵抗を少なくしたいという安倍さんの目論見を反映したものです。
 これは原発再稼働に向けての「めくらまし」にすぎません。早速、記者会見で小渕さんは「安全性が最優先だ」としつつも、「原子力規制委員会が新規制基準に適合すると判断すればそれを尊重して再稼働を進めていく」と発言しています。
 しかし、毎日新聞調査では、再稼働に賛成が33%で反対が57%になっています。今後、このような再稼働反対の世論との衝突は避けられないでしょう。

 世論との衝突ということで言えば、消費税の10%への再引き上げ問題の方がもっと深刻です。毎日新聞調査では反対68%、共同通信調査でも反対68.2%と、世論の圧倒的多数が反対なのですから。
 8月は異常気象で経済指標は軒並みマイナスになっています。他方で物価が上がって生活はますます苦しくなります。
 このようななかで、もし消費税を引き上げれば日本経済の自滅を招き、先延ばししようとすれば引き上げ論者の谷垣幹事長との軋轢が強まります。どちらにしても、安倍内閣の死活を左右する重大問題になりそうです。

 ということで、危険ドラッグを吸いながら運転しているような安倍首相の暴走は今後も続き、世論との激突は避けられそうにありません。もし、暴走によって大事故が起きれば、それに巻き込まれて被害を受けるのは私たち国民であるということを忘れないようにしたいものです。

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9月3日(水) 「代わったけれど、変わらない」滞貨積み残しの内閣改造 [内閣]

 これでは、「代わったけれど、変わらない」と言うべきでしょう。自民党の党役員と内閣の顔ぶれは確かに代わりましたが、その骨格に変化はなかったのですから……。
 過去の改造では「滞貨一掃内閣」などと言われることもありましたが、今回の改造で「滞貨」は一掃されませんでした。いわば、「滞貨積み残し内閣」です。

 こうなった理由は、はっきりしています。安倍首相が、本当は改造などしたくなかったからです。
 しかし、第2次安倍内閣が発足してから1年8か月にもなり、衆院5回以上、参院3回以上の「大臣適齢期」に達した議員が59人もいるそうです。これらの「入閣待望組」の不満が募っている現状を放置できなくなりました。
 というわけで、党役員人事と内閣改造を決断したわけですが、これまでの骨格を変えたくないために主要閣僚は軒並み留任しました。だから、内閣の基本も政策の方向も「変わらない」ということです。

 自民党の3役は全員交代しましたが、「官邸主導」が確立していますから顔ぶれを変えても大きな影響はないと考えたのでしょう。それでも、安倍さんなりの工夫をうかがうことはできます。
 最も注目されるのは石破幹事長の後任に自民党総裁の経験者である谷垣禎一前法相を据えたことで、その他の3役として総務会長には二階俊博さん、政調会長には稲田朋美さんを起用しました。加藤紘一さんに近く穏健なリベラル派で中国とも関係の深い谷垣さんや、旧田中派の流れを汲む二階さんなどのベテランの起用は、選挙の看板として利用するためであるとともに、党内の結束を図りつつ総裁再選への布石を打ち、公明党との関係を強め、中国との関係改善を期待してのものであると思われます。
 保守派の論客として知られる稲田さんの起用は、安倍さんに近い女性議員の知名度を上げ後継者として育てる意図があってのことでしょう。このような役員体制の強化は、一面では政権基盤を安定させるかもしれませんが、他面では役員の力を強め消費税の10%への引き上げや対中国政策などで政府との不協和音を生み出すリスクもあります。

 希望していた幹事長の続投を断念させられた石破茂さんは、地方創生担当相として閣内に取り込まれることになりました。これは石破さんの敗北ではありますが、必ずしも安倍首相の勝利とは言えません。
 先の総裁選挙で自民党の地方組織の支持では安倍さんを上回っていた石破さんは、もともと地方に強い基盤を持っています。「地方創生」の看板を掲げてこの基盤強化に取り組んで総裁選に向けての力を蓄えることができるわけですから、石破さんにとってもマイナスとは言えないでしょう。
 それに、安倍内閣としては「集団的自衛権の行使容認について意見が違う」ことを公言した異分子を抱え込んだことになり、「閣内不一致」で追及される可能性があります。今後の国会審議などで答弁を求められたとき、石破さんは安倍首相の方針を受け入れるのでしょうか、それとも自己の信念に従うのでしょうか。

 今回の改造では女性の起用も注目され、高市早苗総務相、山谷えり子拉致問題担当相、有村治子女性活躍推進相、小渕優子経済産業相、松島みどり法相の5人が入閣し、過去最多に並びました。安倍首相としては、女性の活用を訴えていた自らの言葉に縛られた結果だといえます。
 特に注目されるのは、これまでも数々の問題発言を繰り返してきた高市総務相であり、男女共同参画や夫婦別姓に反対する山谷拉致担当相です。閣僚としては歴史認識問題などでの持論を封印した稲田さんを含め、これら安倍首相に近い右翼的な女性大臣や党幹部が今後どのような言動をするのか、注視する必要があるでしょう。
 5人の大臣はいずれも女性であるが故の入閣とみられ、それぞれの担当分野をこなせるだけの能力を持っているかどうかは未知数です。大臣への女性抜擢はその活躍推進の象徴として必ずしも悪いわけではありませんが、それなりの実績を示すことができなければ単なるパフォーマンスと人気取りにすぎなくなり、国民の批判を受けることになるでしょう。

 このような骨格の維持や石破さんの取り込み、女性の重用などの結果、18人という大臣の枠は次々と埋まってしまいました。同時に、実務重視の布陣としたために塩崎恭久元  官房長官の再登場もあります。
 その結果、女性以外の新しい顔ぶれは、西川公也農林水産相、江渡聡徳防衛・安保法制担当相、竹下亘復興相、山口俊一科学技術相の5人にすぎなくなりました。59人もいると言われていた入閣待望組の1割に満たず、大半は「積み残された」わけですから党内の不満がうっ積するのは避けられないでしょう。
 今回の改造では、マスコミ報道で従来以上のバカ騒ぎが目につきましたが、これは国民の関心を高めて支持率を回復したいという官邸側の思惑にマスコミが乗せられた結果だと思われます。しかし、このような変わり映えのしない顔ぶれでは限界があり、その思惑通りにいくのでしょうか。

 安倍内閣の支持率の低下傾向も、改造への「ご祝儀」で一時的に増えるかもしれませんが、結局は「代えたけれど、変わらない」ということになるかもしれません。果たして、これまで以上に重要課題が山積する秋の政局を、このような陣容で乗り切ることができるのでしょうか。

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6月24日(火) 「峠」を越えた安倍内閣にさらなる追撃を [内閣]

 通常国会の最終盤、「決めてはならない」法律を次々と決めてしまったときが「峠」だったのかもしれません。国会が幕を閉じた途端、あちらでもこちらでもボロが出てきたようです。

 このブログでも厳しく批判した東京都議会でのセクハラ野次ですが、それを発した一人が名乗り出ました。大田区選出の鈴木章浩都議です。
 まだ、何のかんのと言い訳をしています。どれほど人権感覚を欠いた許されざる野次だったのか、まったく自覚がないようです。
 このような人は議員を続ける資格がありません。責任を認めて、きっぱりと都議を辞職するべきでしょう。

 辞職に値するのは、石原伸晃環境相も同様です。除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設計画をめぐって「最後は金目でしょ」と発言した石原環境相も、福島を訪れて関係者に謝罪しました。
 「あの親にしてこの子あり」と言うべきでしょうか。父親の慎太郎と同様に息子の伸晃も、これまで何回も問題発言や失言を繰り返してきました。
 政治家としての資質や人間性に大きな欠陥があるという点も父親譲りで、大臣にはふさわしくありません。責任を取って、環境相を辞任するべきでしょう。

 大臣にふさわしくないと言えば、この人もそうです。「ナチスの手口に学んだらどうか」と発言して欧米諸国などから厳しい批判を浴びた麻生太郎副総理兼財務相が、またもや問題発言を行いました。
 集団的自衛権をめぐるたとえ話の中で、いじめの対象となる子の条件について「勉強はできない、けんかは弱い、だけど金持ちの子、これが一番やられる」と発言したのです。深刻化するいじめ問題について政府が対策に乗り出しているときに、このような条件がそろえばいじめられても仕方がないかのような発言は許されません。
 総理もろくに勤まらなかったこの人が今も副総理兼財務相になっているというのが、そもそもの間違いなのです。前回の失言に続いて今回の問題発言と、イエローカードを2回もらったようなものですから、とっとと退場するべきでしょう。

 なんだか、失言や妄言で失速した第1次安倍内閣に似てきました。実質的には「政権末期」の様相を呈してきたということでしょうか。
 「水に落ちた犬を打て」と魯迅が言ったように、「峠」を越えて下り坂にさしかかった安倍内閣をさらに追い込んでくことが必要です。戦争狂いの安倍首相による「魔の閣議決定」を阻止するために……。

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4月2日(水) 「誤解されたくない」と言うのであれば武器輸出三原則を堅持すべきだ [内閣]

 これはまさか、エイプリルフールの「嘘」ではないでしょうね。武器輸出三原則の緩和についての閣議決定です。
 「死の商人」に成り下がる道を日本に押し付けようというのでしょうか。安倍首相は武器輸出三原則の名称を「防衛装備移転三原則」と変えることで、原則的に武器輸出を自由化しようとしています。

 政府は1日、武器輸出三原則に代わる新たなルールを閣議決定しました。紛争当事国などへの禁輸方針は堅持するとしたうえで、「日本の安全保障に資する」など一定の条件を満たせば輸出を認めるというのです。
 ここで決められた新たなルールは「防衛装備移転三原則」として、①国際的な平和と安全の維持を妨げる場合は輸出しない、②輸出を認める場合を限定して厳格に審査する、③目的外使用と第三国移転は適正管理が確保される場合に限るというものです。
 そのうえで、審査の流れを透明化するとして、貿易を所管する経済産業省が審査し、その後に外務省と防衛省、国家安全保障会議(NSC)の事務局が加わり、外交的、技術的な視点も交えて審議するそうです。過去に扱ったことのない案件などについては、NSCの下で局長級会議を開いて協議し、さらに慎重さを要する案件はNSCの閣僚会合で判断するとされています。

 このように、これまで武器の輸出は例外とされてきましたが、今後は一定の審査を通れば輸出が可能となります。基本的に禁止されていた原則が解禁され、基本的に自由にしてそのための条件が明示されるわけで、ほぼ180度の転換だと言って良いでしょう。
 しかも、この条件とは、「平和貢献、国際協力の積極的な推進や、わが国の安全保障に資する場合に認める」などというものです、何が「安全保障に資する」のかは曖昧にされたままで、その内容についての判断は最終的に政権側の裁量に委ねられています。
 特定秘密保護法で、何が特定秘密に当たる情報なのかは曖昧にされたままで、その内容についての判断が最終的に政権側の裁量に委ねられているのと全く同じです。これに対するチェック機能は、どのような形で働くのでしょうか。

 そもそも、武器やそのための技術を提供することが平和を増進し、安全を高めることに繋がるという発想自体が間違いです。武力によって平和を守るという安全保障観は時代遅れであり、そのような形で相手国との関係を強めたり、信頼関係を築こうとするのは邪道だと言うべきでしょう。
 しかも、これまでの軍縮・軍備管理に向けての国際社会の努力に対する挑戦であり、真っ向から敵対するものです。提供された武器や技術が、いつ、どのような形で紛争当事国や武装集団などに回るかは分からず、武器の総量を増大させる愚行は間接的に世界の紛争を拡大させ、問題の解決を遅らせることになります。
 それを分かっていての転換ですから、日本国憲法の平和主義原則を歪め、「平和国家」としての日本のイメージも大きく転換させることになるでしょう。ひいては国際社会における信頼感の喪失に繋がることは避けられません。

 さらに、そのやり方も問題です。武器輸出三原則の転換に当たって、国会での審議を経ることなく閣議決定によって一方的に変更したからです。
 集団的自衛権の行使容認という大転換も同じようにやられようとしています。しかし、今回は「安保法制懇」のような諮問機関の答申を受けてという形ではありません。
 手続き上の形を取り繕うことさえ省略された暴挙だと言えるでしょう。武器輸出三原則が形骸化していたからと言うのであれば、それを厳格化するべきであって、緩めるというのでは話があべこべです。

 現在の日本は右傾化し、軍国主義化しているのではないかと、国際社会から疑いの目で見られています。安倍首相は、常々、それは誤解だと抗弁してきました。
 もし、このような見方が誤解だと言いたいのであれば、そのように見られる言動を慎むべきでしょう。しかし、従軍慰安婦など歴史認識への曖昧な態度、国家安全保障会議の設置や特定秘密保護法の制定、靖国神社への参拝、集団的自衛権の行使容認への執念などによって自ら「誤解」を広めてきたうえに、今回また武器輸出の原則自由化を図ろうというわけですから、逆に、日本の右傾化と軍国主義化を裏付けるようなものではありませんか。
 「そうではない」と言いたければ、武器輸出三原則を緩和せずもっと厳格に運用し、国際的な軍縮・軍備管理の先頭に立つことによって「誤解」の一端を解消するべきでしょう。もちろん、集団的自衛権の行使容認などもきっぱりと断念しなければ、このような「誤解」を完全に晴らすことは無理でしょうけれど……。
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9月7日(土) このような人物が官房長官であることの方にこそ「非常に違和感がある」 [内閣]

 注目の夏季オリンピックの開催都市決定が、明日に迫ってきました。日本時間では明日8日(日)の早朝に結果が明らかになります。

 オリンピックが開かれれば経済効果が大きいというわけで、安倍政権は招致成功のためになりふり構わない働きかけを行っています。その一つが皇室の利用です。
 宮内庁は9月2日、高円宮妃久子さんがアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれる2020年の開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会に出席すると発表しました。東日本大震災支援への感謝を表すスピーチをするということですが、「皇室は招致活動に参加しない」との姿勢を守ってきた宮内庁は、風岡典之長官が記者会見して「苦渋の決断をした。天皇、皇后両陛下もご案じになっていらっしゃるのではないか」と異例の発言を行いました。
 皇族がIOC総会に出席するのは初めてで、下村博文文部科学相が宮内庁を訪れて総会出席を要請し、官邸からも要請があったそうです。これに対して、菅官房長官は「宮内庁長官の立場で両陛下の思いを推測して言及したことは非常に違和感を感じている」と苦言を呈しました。

 しかし、久子さんの出席とメッセージが、オリンピック招致活動の一環でないとすれば、何なのでしょうか。なぜ、この時期に、わざわざ地球の裏側まで出かけて、このようなメッセージを述べる必要があるのでしょうか。
 それはやはり、オリンピック招致を有利にするためである言うしかないでしょう。その意味では、高円宮妃という皇室の一員の政治利用であるだけでなく、東日本大震災という国民的災厄をそのための口実として利用しているというしかありません。
 これに対して宮内庁長官が懸念を示したのは当然であり、それに「違和感」を感じる菅官房長官の方にこそ問題があると言うべきでしょう。本来であれば、菅官房長官は憲法の規定に抵触する、このような皇室の政治利用に目を光らせ、そのような意見や動きを未然に防ぐべき立場にあるはずです。

 「違和感」と言えば、最高裁判事に就任した山本庸幸前内閣法制局長官が集団的自衛権の行使容認問題について「解釈の変更で対応するのは非常に難しい。実現するためには憲法改正をした方が適切だ」と述べた時にも、同じような発言を行っています。菅官房長官は8月21日の記者会見で、「最高裁判事が公の場で憲法改正の必要性まで言及したことについて、非常に違和感がある」と反論しました。
 安倍政権は、憲法解釈見直しの議論を加速させる構えで、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を本格的に再始動させました。同時に山本さんのクビを切り、後任に解釈見直しに前向きな小松一郎前駐仏大使を起用しています。
 これは法制局長官を代えることで憲法解釈を変更しようという強引なやり方で、許されるものではありません。ストライクを取るためにアンパイアを変えるようなもので、反発が出るのも当然です。
 菅さんは発言に文句を付けるのではなく、集団的自衛権の行使容認に道を開くために慣例を無視して法制局長官人事に介入するという禁じ手を用いた安倍首相の方をたしなめるべきでした。内閣の番頭としては、文句を言うべき相手を間違えていると言わなければなりません。

 さらに、松江市教育委員会が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を全小中学校に求めた問題でも、菅官房長官は当初、下村文科相と共に妥当な判断だとの見解を述べて援護射撃を行っていました。これも、本来であればきちんと問題点を指摘するべきだったでしょう。
 結局、このような官房長官や文科相の判断に反する形で、松江市教育委員会は閲覧制限を撤回しました。これについて菅官房長官は、「本来であれば(教委事務局が)教委にあらかじめ諮った上で対応するのが適切だ」と述べて「撤回は妥当だ」としましたが、それなら当初の見解は何だったのでしょうか。
 閲覧制限措置が取り消され、「はだしのゲン」に対する注目度が高まり、本は飛ぶように売れて増刷されているそうです。「はだしのゲン」を子ども達の目に触れさせないようにしようと画策した在特会の会員からすれば、「倍返し」されたわけです。

 こうして見てくると、菅官房長官の言動には大きな問題のあることがはっきりしてきます。このような人物が内閣の中枢で官房長官を務めていることの方にこそ、「非常に違和感がある」と言わなければなりません。

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12月27日(木) 「船頭」多くしてどこに行くのか安倍新内閣 [内閣]

 国会で首班指名選挙が行われ、安倍晋三首相が選出されました。その後、安倍首相は、副総理兼財務大臣、金融担当大臣に麻生元総理大臣、外務大臣に自民党岸田派会長の岸田元国会対策委員長を起用するなどの閣僚人事を決め、菅官房長官が閣僚名簿を発表しました。

 国会の開会前に開かれた自民党の両院議員総会で、安倍総裁は「いよいよ今日ら、国会本番が始まる。国民の皆様の自由民主党を見つめる目は、いまだに厳しい。この緊張感の中において、われわれは、1つひとつ実績を残していくことによって、信頼を勝ち得ていきたい」と述べたそうです。「厳しい」国民の目は、自民党に対してだけでなく、5年前に総理の座を投げ出した安倍首相自身に対しても向けられています。
 しかも、来年7月には以前の首相時代に大敗して辞任する一因にもなった参院選が控えています。それまでには、「安全運転」に徹するという方針だといわれています。
 その点では、安倍新政権は「安全運転内閣」をめざしたものだと言えるでしょう。運転技術に習熟したベテラン・ドライバーが各所に配置されています。

 しかし、このことは同時に、多くの「船頭」を閣内に取り込んだということでもあります。元首相で総裁経験者の麻生さん、同じく前総裁の谷垣さん、連立相手である公明党の前代表である太田さん、総裁選で争った前幹事長の石原さんに林さんと、いずれも「お山の大将」になっていた人やこれからなろうとする人たちです。
 これだけの「船頭」を抱え込んで、どこに向かって行こうというのでしょうか。安倍内閣という「船」が「山」に上ってしまう心配はないのでしょうか。

 しかも、参院選目当てということもあって、意識的に女性を登用したことが裏目に出るかもしれません。タカ派の論客として知られている稲田朋美元副幹事長が行政改革担当大臣、公務員制度改革担当大臣、規制改革担当大臣に、高市早苗衆院議員が政務調査会長に起用され、予算委員会でのヤジで批判されたこともある森雅子元副幹事長が少子化担当大臣、女性活力・子育て支援担当大臣、消費者担当大臣に就任したからです。
 安倍首相が「安全運転」を心がけようとしても、これらの元気の良い女性閣僚や党役員に突き上げられるかもしれません。勝手に「暴走」を始めてしまう恐れも充分にあります。
 しかし、何よりも最大の不安要因は、安倍首相自身でしょう。復古的でタカ派的な言動によって内外からの批判を招いたり、すでにネットでの本人や秘書の発言が物議を醸したりしているように、失言によって窮地に陥ったりする可能性もあり、何よりも健康問題に不安があります。

 右にしかハンドルを切れない欠陥車であるかもしれません。それでもなお「安全運転」が可能なのかどうか、政治実験が始まろうとしています。
 その意味では、新政権は「実験内閣」と言うべきかもしれません。左にもハンドルが切れるかどうか、時にはきちんとブレーキも踏めるかどうかが試されるという点での……。


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