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4月25日(火) 共謀罪で恐るべき監視社会が当たり前になってしまうという悪夢 [国会]

 国会の衆院法務委員会で、共謀罪の審議が進んでいます。特に目立つのは、自民党による慣例を無視した強引な国会運営です。
 野党の反対を押し切って、職権で刑事局長を参考人登録したり、職権で委員会を開いたり、強引に参考人質疑の開催を決定したり、異様なやり方が続いています。これは、何としても今国会中に成立させたいという安倍首相の執念を示すものですが、同時に、このような強引なやり方が野党の反発を強めて世論の警戒心を高め、逆に審議を遅らせるという側面も生まれています。

 異常で強引な運営が行われているのは、正常で普通の運営方法では会期中での成立が危ぶまれるからです。それだけ、この共謀罪法案には問題が多くあります。
 先週の21日に共謀罪法案を審議した衆院法務委員会で、盛山正仁法務副大臣は「一般の人が(共謀罪の捜査の)対象にならないということはない」と明言しました。「一般の方が対象になることはない」と繰り返し強調してきた安倍首相や菅官房長官、金田法相の発言を否定したのです。
 井野俊郎法務政務官も「捜査の結果、シロかクロかが分かる」と、一般の人に対する捜査の可能性を示唆しました。捜査してみなければ怪しいかどうかわからないと言っているわけで、「一般の人」が捜査対象になるのは避けられません。

 それだけではありません。法務委員会で民進党の階猛議員が枝野幸男議員と少々相談をしたとき、それを見ていた自民党の土屋正忠理事が大声でこう叫んだのです。「あれは、テロ等準備行為じゃねえか!」
 共謀罪については「話し合うだけで罪になる」危険性が指摘されてきました。土屋議員の野次は、議員2人の話し合いを「テロ等準備行為」だと恫喝したわけで、まさにこのような危険性を裏付けるものでした。
 たとえ話し合わなくても、準備行為に当たるとみなされるような連絡がメールやラインで送られていれば、それを読んでいなくても「共謀」の罪に問われる可能性があります。そして、このようなメールなどを幅広く監視できるシステムが、すでに存在していることが、今日の『朝日新聞』で次のように報じられました。

 調査報道を手がける米ネットメディア「インターセプト」は24日、日本当局が米国家安全保障局(NSA)と協力して通信傍受などの情報収集活動を行ってきたと報じた。NSAが日本の協力の見返りに、インターネット上の電子メールなどを幅広く収集・検索できる監視システムを提供していたという。

 報道によると、NSAは60年以上にわたり、日本国内の少なくとも3カ所の基地で活動。日本側は施設や運用を財政的に支援するため、5億ドル以上を負担してきた。見返りに、監視機器の提供や情報の共有を行ってきたと指摘している。
 たとえば、2013年の文書では、「XKEYSCORE」と呼ばれるネット上の電子情報を幅広く収集・検索できるシステムを日本側に提供したとしている。NSAは「通常の利用者がネット上でやりとりするほぼすべて」を監視できると表現している。ただ、日本側がこのシステムをどう利用したかは明らかになっていない。

 このような「通常の利用者がネット上でやりとりするほぼすべて」を監視できるシステムが、今のところ、どのように使われているかは不明です。もし、共謀罪が成立すれば、このようなシステムが全面的に活用され、「ネット上でのやり取り」が監視されることになるでしょう。
 すでに、街中には数多くの監視カメラが作動しています。通信傍受法の「改正」によって盗聴の対象が拡大され、知らないうちに通信の内容が傍受される危険性が高まっています。
 超小型発信機によって位置を測定できるGPS(全地球無線測位システム)も犯罪捜査で使われています。3月15日に最高裁は令状なしでの使用は違法だとの統一判断を示して歯止めをかけましたが、共謀罪が成立すれば捜査手段として活用することが合法化されるにちがいありません。

 さらに、コンピューターに蓄積されたビッグデータの犯罪捜査への活用も図られるでしょう。このデータには、ネット通信での情報、監視カメラによる映像、盗聴による音声、そしてGPSによる所在情報など、多様な個人情報が含まれることになります。
 これらの情報を用いて犯罪の計画、準備、相談をでっち上げ、「共謀」した罪によって社会から抹殺することは、今までよりもずっと容易になるでしょう。「犯罪」は犯される前に取り締まられ、当局の判断に応じて恣意的に「犯罪者」が作られることになります。
 監視されていることに気づかず、権力者にとって不都合な言動を行ったとたん「テロ等準備」のための「共謀」を行ったかどで逮捕される、などという恐るべき監視社会が当たり前になるという悪夢が現実となるでしょう。

 たとえそうならなくても、そうなるかもしれないと国民に思わせることが本来の目的なのかもしれません。監視を恐れて不都合な言動を行わず、従順な国民が増えていけば、このような法律の発動さえ必要なくなるのですから……。
 でも、そのような社会になれば、権力の暴走を抑えることができなくなり、民主主義は死滅することになるでしょう。自由な言動が圧殺された息苦しい社会の出現こそ戦争前夜を予示するものであったことを、今こそ思い出す必要があるのではないでしょうか。

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4月14日(金) 共謀罪法案の審議が抱える3つの弱点と1つの壁 [国会]

 いよいよテロ等防止罪という形で「化粧直し」された共謀罪法案が国会に提出されます。自民党の「オウンゴール」続きで予定されていたスケジュールより大幅に遅れました。
 今日、衆院法務委員会で共謀罪の趣旨説明が行われることになっています。すでに3回も廃案になっていますから、与党からすれば「4度目の正直」を目指したいところでしょうが、その前途には「3つの弱点と1つの壁」が立ちはだかっており、そうは「問屋が卸さない」でしょう。

 3つの弱点のうちの一つは法案自体にあります。政府の説明は嘘ばかりで、全く説得力を持ちません。
 実際に罪を犯さなくても計画して準備したと認められれば、捕まえることが可能です。それを認めるのは取り締まる側で、その取り締まりは思想や内心にまで及び、このような法律を制定すれば近代刑法の基本が崩れ、市民や市民運動までが監視の対象となり、モノ言えぬ世の中、政府にとって邪魔なものを排除することのできる社会が出現することになります。
 組織犯罪防止条約の批准やテロ対策を名目にしていますが、組織犯罪とはマフィアなどの経済犯罪であってテロを対象としているわけではありません。この条約を批准しているからといってテロが防げるわけではなく、批准していない日本はすでに多くのテロ対策のための法律を持っていますから今世紀に入ってテロ事件などは起きていず、オリンピック招致の際に安倍首相が胸を張って言ったように、「東京は世界で最も安全な都市」になっています。

 2つめの弱点は、この法案を担当する法務省の金田法務大臣です。金田法相はこの法案の内容を全く理解していず、すでにこれまでの国会審議で明らかになったように、きちんとした説明をする能力を持っていません。
 金田法相は、まだ法案が出ていないからきちんとした説明ができないのだ、本格的な審議は法案が提出されるまで差し控えて欲しいという趣旨の文書を配ったという「前科」があります。大臣が立法府の審議に注文を付けるのかと批判され、撤回して謝罪しました。
 いよいよ法案が提出されるわけですから、本格的な審議が始まり「まだ法案が出ていないから」と逃げ回ることはできなくなります。この法案をめぐっては与党の「オウンゴール」が目立っていますが、本格的な審議が始まって金田法相にまともな答弁ができるのか、自民党執行部としてはヒヤヒヤものでしょう。

 第3の弱点は、与党の一角を占めている公明党です。公明党は国会に提出する以上は成立に全力を尽くすと言っていますが、内心ではそれほど積極的ではなく、腰が引けています。
 もともと、公明党は前の国会から継続審議中の民法改正案と性犯罪を厳罰化する刑法改正案の審議を優先すべきだという立場でしたから、この法案の優先順位は高くありません。そのために与党間の協議に手間どって閣議決定や国会提出が遅れてきたという経過があります。
 この共謀罪法案は「平成の治安維持法」とも言われていますが、その治安維持法によって公明党の支持団体は大きな被害を受けた過去があります。創価学会の創設者である牧口常三郎初代会長は治安維持法違反と不敬罪で逮捕され、獄中で死亡しました。この苦い過去からすれば、やがては創価学会も監視や取り締まりの対象にされてしまうのではないかとの懸念や危惧はぬぐい切れず、公明党支持者の間にも不安があります。

 以上の3つの弱点を強めているのが、通常国会直後に予定されている都議選という「壁」です。都議選の結果はその後の国政選挙に大きな影響を与えてきており、今回の選挙は「都民ファーストの会」を率いる小池都知事による旋風が巻き起こって大きな注目を集める政治イベントになろうとしています。
 共謀罪の成立を目指している与党にとっても、この選挙への影響は意識せざるを得ません。都議会への進出から政治の舞台に登場してきた公明党にとしては最も重視する選挙であり、「離党ドミノ」が止まらず苦戦が予想されている自民党にとっても死活をかけた選挙戦になることでしょう。
 その選挙の前に共謀罪成立に向けて遮二無二強行突破することは、自滅覚悟の「自爆路線」を選択するのでなければ難しいでしょう。この法案がそれほどの緊急性や必要性があるのかという声は、与党の中からも聞こえてきます。

 外交面でも、北朝鮮をめぐって危機的な状況が高まっています。安倍首相の約束と全く逆に、安保法成立以降も日本周辺の安全保障環境は改善せず、悪化を続けるばかりです。
 トランプ政権の樹立を歓迎していた安倍首相ですが、4月16日には東京で日米経済対話が始まります。2国間交渉の開始によってどのような要求が突き付けられるのか、予断を許しません。
 26日からは安倍首相のロシア訪問も予定されていましたが、シリア空爆への支持表明によって実現が危ぶまれています。行ったとしても、大きな成果は期待できないでしょう。

 内政外交ともに、八方ふさがりの状況が強まっています。アベ政治の「黄昏」が訪れてきているということでしょうか。
 このような閉塞状況の下で始まった共謀罪の国会審議です。その前途は決して容易ではなく、野党が結束して対応し、市民とともに手を携えて反対運動を強めていけば、廃案に追い込むことは十分に可能です。
 「2度あることは3度ある」と言うではありませんか。共謀罪を廃案にして、「3度あることは4度ある」ということを証明したいものです。

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3月22日(水) 安倍政権の「狂暴化」を示す「何もしなくても捕まる」共謀罪の国会提出 [国会]

 悪いことをすれば捕まるというのが、これまでの犯罪でした。これからは、悪いことを共謀、つまり、考えたり計画したり相談したり合意したりすれば捕まるという時代になりそうです。
 テロ等準備罪という名前ですが、テロの取り締まりとは無関係です。「狂暴」な人を取り締まる法律なのでは、という誤解もありますが、安倍政権の凶暴化を示す新しい法律だというのが正解でしょう。

 政府は昨日、安倍首相が外遊中で不在であるにもかかわらず、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法案を閣議決定し、国会に提出しました。「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案という名前になっていますが、共謀罪としての本質に変わりありません。
 この法案では2人以上の計画と準備行為の段階で摘発できます。実際に犯罪が実行される以前の段階での処罰です。準備行為とは何かについて明確な定義はなく、捜査当局にどのように解釈されるか分からない心配があります。
 改正法案の目的は国連の組織犯罪防止条約の締結にあるとされています。この条約はマフィアなどの経済的利益を目的にした犯罪を対象としており、イデオロギーや民族、宗教などを背景としたテロを対象にしたものではありません。

 しかし、安倍首相は国会答弁で「東京五輪のために必要な法案だ」という趣旨の発言をしました。五輪招致の演説で、「世界で最も安全だ」と売り込んでいたのは誰だったのでしょうか。
 すでに、日本はテロ対策のために13もの国際条約を締結しており、国内法も整備されています。事実、今世紀に入って日本でのテロ事件は起きていません。
 逆に、テロ防止のためとされている国際組織犯罪防止条約を締結しているアメリカイギリスフランスなどでは、いずれも大きなテロ事件が発生しています。この逆転現象を、安倍首相はどう説明するのでしょうか。

 この法案はテロ防止とは関係なく、この法案が成立しなくても組織犯罪防止条約を締結することは可能だというのが多くの法律関係者の意見です。テロ防止を看板にしたのは国民を騙して共謀罪を新設するための誤魔化しだというべきでしょう。
 実際、「テロ等準備罪」の名前でありながら、条文の中にテロの定義も文字もありませんでした。批判されてからあわてて法案の中に「テロリズム集団」という文字を入れましたが、条文の目的にはテロという言葉は入っていません。
 しかも、この条約を結んでもテロを防止することはできません。テロの根本原因である差別や貧困、格差や憎悪などを解決することができないからです。

 それなのに何故、今になってこのような「心を取り締まる」法案を提出してきたのでしょうか。何もしなくても、目くばせしたりメールが送られてきたりしただけで犯罪に合意したことになり、実際には何も悪いことをしなくても共謀の片棒を担いだことになって捕まってしまう懸念のある法律を。
 取り締まる側の拡大解釈によって内心が取り締まりの対象となり、思想弾圧の手段として用いられるのではないかとの心配もあります。これによって正当な市民活動が委縮し、政治的社会的な運動の自主規制が始まるのではないかという懸念もあります。
 実は、ここにこそ、この法案の真の狙いがあるのではないでしょうか。これまでは不可能であった捜査対象の拡大をちらつかせながら、普通の市民を威嚇して市民活動の足を鈍らせ、運動が発展する前に芽を摘むことができるような取り締まりのための手段を整備することに。

 共謀罪は別名「平成の治安維持法」と呼ばれています。反政府的な思想や運動を取り締まった戦前の悪法の再来という本質を持っているからです。
 再びこのような法律が登場しようとしているのは、反政府的な思想や運動へと発展する可能性のある市民活動が高まってきたからではないでしょうか。派遣村の運動から始まって、脱原発運動、特定秘密保護法案反対運動、安保法制(戦争法)反対運動を経て、昨年の参院選での市民と野党の共闘など、段階を踏んで市民活動は発展を遂げてきました。
 これに待ったをかけ委縮させるための手段として共謀罪のお出ましを願おうとしているのではないでしょうか。国会では与党多数の「一強」体制で、東京五輪やテロ対策を名目にすれば成立させることは可能だと考えたのかもしれません。

 しかし、森友学園にかかわる「アッキード事件」や南スーダンの自衛隊PKOでの日報隠蔽問題などで潮目が変わりました。与党が多数に任せて強行できるような状況ではなくなってきています。
 加えて、法案自体が説得力を持たず、公明党は腰が引けており、金田法相はまともな答弁ができず、都議選を控えていて会期延長や強行採決をやりにくいという4つの弱点を抱えています。強行採決を繰り返してカジノ法案など問題法案の成立を図った昨年の臨時国会とは勝手が違います。
 審議未了・廃案に追い込むことは十分に可能です。反対運動によってどれだけ世論を変え、与党を追い込むことができるかにかかっていると言って良いでしょう。

 この法案は一般市民を対象にしていないと説明されています。ここで言う「一般市民」とは物言わぬ「従順な」市民たちであり、物言う「反抗的な」(と目される)市民たちは除外されています。
 一般市民であっても、「従順」でなくなり「反抗的」に「一変」したとみなされれば、ただちに取り締まりの対象とされるでしょう。「一変」したかどうかは、当局の判断に任されているのです。
 この法律によって、権力者にとって都合の良い「不穏な」ことは考えない市民が増え、政府に楯突けず異論も言いにくい戦前のような「治安維持」社会が実現するかもしれません。そしてそのとき民主主義は死滅し、戦争へのブレーキも失われてしまうのではないでしょうか。まさに戦前がそうであったように……。


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2月21日(火) 通常国会での第4の「アキレス腱」になりつつある森友学園への疑惑 [国会]

 南スーダンPKO、共謀罪、文科省の再就職あっせんという3つの問題に続いて、通常国会での新たな火種が登場したようです。大阪豊中市での森友学園に関する疑惑です。
 疑惑は沢山ありますが、大きく分ければ3つあります。一つは小学校の設立認可に関するもの、2つは小学校の用地である国有地の購入にかんするもの、そして3つは安倍首相並びに昭恵夫人との関係です。

 この4月に「瑞穂の國記念小学院」の開校を目指している森友学園は「塚本幼稚園幼児教育学園」を経営しています。それは普通の幼稚園ではありません。
 教育勅語や五箇条の御誓文を暗唱し、伊勢神宮への合宿参拝を行ったり軍歌を歌ったりという特異な教育を行い、最近ではヘイト文書まで配布しています。戦前型軍国主義教育を堂々と復活させ、それを実践しているわけです。
 このような教育を受けた園児が普通の小学校に入ることによって戦前型教育の効果が薄れないように、同じような教育方針と教育内容での小学校教育を行うために新しい学校を作ろうとしたのがことの発端でした。

 そこで生じている第1の疑惑が、設立に当たっての認可承認の問題です。認可されなければ小学校は設立できません。
 しかし、ここにも二つの問題があります。小学校用地が決まっていない段階での認可という問題と極めて短期間で承認が下りたという問題です。
 設立認可が用地取得のめどが立たないうちに下りたとすれば極めて異例で、普通に考えれば文科省の判断が「異常」であることは明らかです。認可承認には通常1年ほどかかるそうですが、3カ月ほどの短期間で承認されたのも特別扱いされたように見えます。

 第2の疑惑は、不明朗な小学校用地の取得です。これについてはすでに多くの報道がありますが、ほとんど無料で用地を手に入れたことが明らかになりました。
 国有地払い下げに当たっては費用が公開されますが、何故かここだけが公開されませんでした。その後、裁判が提起されて公開されましたが、隣接国有地の約10分の1にあたる1億3400万円で払い下げられています。しかも、一括でなく10年払いで。
 この大幅な値引きについて財務省の佐川宣寿理財局長は「更地の不動産鑑定価格、9億5600万円」から「新たな埋設物があって、その埋設物を撤去する費用を見積もって差し引いた額」と答弁しましたが、売買が決まる前に除染費用として1億3176万円が森友学園に支払われていました。この用地の売買代金が9億5600万円だとされていますから、ほぼタダ同然でこの土地を手に入れたことになります。

 そして第3の疑惑は、前に挙げた二つの疑惑に安倍首相夫妻が深くかかわっているではないかとの疑惑です。森友学園理事長の籠池泰典さんは「日本会議」の幹部で、安倍首相とは10年も前から懇意にしていたと言われています。
 小学校の設立に当たっての寄付金の振込用紙には、当初「安倍晋三記念小学院」の設立のための資金だとの記載があったそうです。現在も名誉校長は「安倍昭恵」とされ、その肩書は「安倍晋三内閣総理大臣夫人」と記載されています。
 つまり、個人ではなく首相夫人としての資格で、名誉校長を務めていることを明記しているわけです。明記する側からすれば首相夫人としての信用と威光を利用しようとする意図があり、明記される側からすれば、それを良しとするほどの強いつながりと教育方針に対するシンパシーがあるということは明らかです。

 これらは疑惑の一部にすぎず、なかには刑事事件に発展する可能性のある事案も含まれています。政治力を背景にした国有地の不正な払い下げ事件はこれまでにもしばしば発生してきましたから。
 今回も臭い匂いがプンプンしています。司直による追及の手が安倍首相の周辺に及べば、安倍内閣は瓦解するでしょう。
 テレビのワイドショーなどのマスメディアが報道に及び腰なのは、それだけ影響が大きいからです。ビビってしまうだけの十分な理由があるということではないでしょうか。

 国会での追及と真相の解明が待たれます。安倍「一強」政権が露呈させた稀有な「弱み」なのですから。
 「ポスト真実」によってウヤムヤにされ、疑惑が握りつぶされてしまうのか。「真実」を明らかにする場としての国会や国会議員の真価とマスメデイアの姿勢が問われています。


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2月9日(木) 通常国会のアキレス腱となった金田と稲田、それに文科省 [国会]

 通常国会で予算員会での審議が続いています。沢山の問題点が明らかになっていますが、なかでも共謀罪、南スーダンへのPKO派遣、文科省の天下り問題が焦点になりつつあります。
 いずれも、安倍政権にとってのアキレス腱になってきています。とりわけ問題の文書を配った金田勝年法相、国会答弁で居直っている稲田朋美防衛相は責任を取って辞任するべきでしょう。

 民進・共産・自由・社民の野党4党は国対委員長会談で「共謀罪」の成立要件を絞って「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐる法相の対応が「資質に欠ける」との認識で一致し、金田法相の辞任要求を自民党の竹下亘国対委員長に電話で伝えました。法案について「国会提出後に議論すべきだ」とした法務省文書を記者団に配布して批判され、撤回した不始末の責任を問われたわけです。
 この法案は「病気の予防を名目にして毒を飲ませる」ようなもので、「現代の治安維持法」にほかなりません。「一般人は対象にならない」などと言って「飲ませ」ようとしている点も、治安維持法のときとそっくりです。
 罪を犯せば捕まるというのが近代刑法の原則ですが、「犯罪」の相談をしただけで捕まえられるようにしたいというのが、この法案の目的です。「考え」や「思い」が取り締まりの対象になり、その相談内容が「犯罪」であるかどうかは捕まえる側の判断に任されます。

 論点は多岐にわたりますが、金田法相はちゃんと答えられません。「法律は得意じゃないんだ。どんな内容になるか分からないし。答えるの面倒だから、質問するのは法案が出てからにしてくれないかなー」と思ったのでしょう。法務省の役人に文書を書かせて記者団に配ってしまいました。
 行政府の責任者が立法府での法案審議について注文を付けたことになります。 政府の長でありながら「立法府の長」だと言ってのけた安倍首相と同様の大間違いです。
 法案提出前からの辞任要求は異例ですが、それだけ問題が大きいということになります。金田さんは「国会の審議テーマに注文をつけるような意図は全くない。文書を撤回し、おわびする」と改めて謝罪していますが、とっとと辞任すべきでしょう。

 辞任すべきなのは、稲田さんも同様です。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の昨年7月の日報に、南スーダン政府軍と反政府勢力との間で「戦闘が生起」と記述されていた問題で、「法的な意味での戦闘行為ではない。武力衝突だ」と説明しました。
 「一般的な辞書的な意味で戦闘という言葉を使ったと推測している。武器を使って人を殺傷したり、物を壊したりする行為はあった」とも述べています。また、防衛省が当初、日報を「廃棄した」としていたことについては「私もさらに探索するよう指示していた。隠蔽(いんぺい)との指摘はあたらない」と釈明しました。
 この日報の公開要求を行っていたのは『平和新聞』編集長の布施祐仁さんです。2月1日付でこのブログにアップした記事「政治転換の機は熟している」は、この布施さんからインタビューされたものでした。

 日報の公開要求が出されたのはPKOへの追加任務が問題にされていた頃で、安倍首相も「戦闘」ではなく「衝突」で現地は安全だと強弁していました。そのような時に「武力衝突」が明記されている文書が明るみに出れば、大騒ぎになったことでしょう。
 「こんな時に公開することはできない。廃棄したことにしよう」と考えたのではないでしょうか。その後、再調査が指示されたこともあり、いつまで隠せるかわからないから「別のところから発見されことにして公開しよう」と思ったのかもしれません。
 「見つかった」とされるのは昨年12月の末です。その後、実際に公開されるまで1カ月もかかったのは、「どのように言い逃れしようか」と頭を悩ませていたからではないでしょうか。

  稲田さんは、「戦闘行為」の有無について「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と述べています。つまり、「戦闘行為」が9条違反であるということを知っているのです。
 だから、この言葉を使うのを避けたというわけです。しかし、現地の自衛隊員は、そこで「戦闘行為」があったことを認めていました。
 言い変えによって事実をねじ曲げ、憲法違反を誤魔化し、隠ぺいした責任を回避しようとしているのが、稲田さんの答弁にほかなりません。このような「ポスト真実」による居直りを許してはなりません。

 許してならないのは、文科省の再就職あっせん問題も同様です。松野文科相は人事課OBである嶋貫和男氏の仲介について同省が「再就職支援業務」と認識し、必要な執務室や活動資金などを差配してあっせんを組織的に依頼していた可能性が高いとし、歴代の事務次官らもそれを認識していたと語りました。
 歴代の事務次官にすれば、「やっていたのは知っていたよ。悪いことだと思うわけないだろ。先輩が後輩の就職を世話してんだから。それに、いつかは私もお世話になるつもりだったし」というところでしょうか。文科省の組織ぐるみだったということです。
 それがどれほどの規模になるのか、他の省庁はどうなのか。全容解明はこれからの課題になります。

 国会と野党の真価が問われています。事実の解明と責任の追及という点でも、野党共闘の力が発揮されることを期待したいものです。

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9月18日(金) このような「だまし討ち」が許されるのか [国会]

 注目の戦争法案が参院の特別委員会で「採択」され、本会議に緊急上程されました。しかし、このような「だまし討ち」が許されるのでしょうか。

 昨日の「だまし討ち」は2度ありました。1度目は、突然、理事会を委員会室で開くことにしたことです。
 一昨日は理事らが理事会室から委員会室に移動することができませんでした。この裏をかいて、最初から委員会室で理事会を開こうとしたわけです。
 鴻池委員長は1時間近くも前から委員会室に入って、他の与党理事を待っていたそうです。しかし、この最初の「だまし討ち」は「約束違反だ」という野党理事の強烈な抗議によって失敗し、かえって委員会の開会を遅らせることになりました。

 これに続いて、与党は2度目の「だまし討ち」に打って出ますが、そのためのシナリオは「前夜から練られていた」(朝日新聞)と言いますから悪質です。この事前の打ち合わせ通りの強硬手段によって「採決」が行われたことにされました。
 委員長の不信任動議が否決され、待機していた鴻池委員長が席に着いたとたん、自民党の若手議員が回りを取り囲んで防御し、山本議員が審議打ち切りの動議を読み上げました。この時、野党議員だけでなく与党議員の多くも、何が起きたか分からなかったと思います。
 混乱の中で、委員長の横にいた佐藤自民党筆頭理事が手を上げて合図すると与党議員が一斉に立ち上がりました。その後も、委員長が何事か読み上げるたびに横にいる佐藤さんが手で合図して議員が立ち上がるという動作が繰り返されます。

 こうして、何も聞き取れず、何が起きたかわからない混乱状態の中で、5回も採決がされたことになりました。戦争法案の採決が、いつ、どのようになされたのか、速記録にさえ記述不可能な大混乱の中で、可決されたことになったわけです。
 一連の行動は、事前に作成されたシナリオに基づくものだったと思われます。休憩中に、綿密な打ち合わせが行われた上での「茶番劇」でした。
 鴻池委員長は10党のうちの5党が賛成したから「強行採決」ではないと強弁していますが、野党に対する「だまし討ち」によって力づくでの「採決」が「強行」されたことは、日本全国だけでなく全世界に放映されました。あの映像を見れば、正常な議決でなかったということは誰にだって分かることでしょう。

 このような「だまし討ち」に次ぐ「だまし討ち」によって採決が強行されたのは、安倍首相の焦りの現れだと言えます。このようなことをすれば世論の批判を招くことがわかっているにもかかわらず、そうせざるを得なくなったのは大きな「誤算」だったでしょう。
 できれば避けたかった強硬手段に打って出たのは、野党の抵抗が思っていた以上に強いものだったからです。そして、このような野党の強い抵抗を呼び起こした力は民意のバックアップであったと言えます。
 それは、何よりも国会前に集まった多くの人々の姿によって示されていますが、それだけではなく、6割が法案に反対し、7割が今国会で採択する必要なしと言い、8割が説明不足だとしている世論の力でもあります。このような民意によって野党が動かされ、それが安倍首相の「誤算」を生みだしたということになります。

 国会周辺の抗議行動には、私も3日連続で参加しています。今日も行くつもりです。
 ここでは「民主主義とは何だ?」というコールもありました。これが、民主主義というものです。
 議会が民意を代表できないという機能不全に陥ったとき、それを是正するために主権者が直接、その意思を議会にぶつけることが必要です。そのことによって政治を動かすことこそ、民主主義にほかなりません。

 そのような民主主義が機能しているかどうかが試されています。多くの主権者が異議申し立てに立ち上がり、「だまし討ち」を許さないという断固とした意思を示して政治を動かしていただきたいものです。

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9月4日(金) 国会最終盤で落とされた3つの「爆弾」 [国会]

 今の通常国会の会期は27日までとなっています。しかし、26日が土曜日で27日は日曜日ですから、事実上25日までということになります。
 この国会最終盤になって、安倍政権にとっての「爆弾」が3つ、落とされました。1つは8月30日の「国会10万人・全国100万人大行動」、2つ目は共産党議員によって暴露された2つの自衛隊統合幕僚会議に関する秘密文書、3つ目は昨日の『朝日新聞』に掲載された元最高裁長官のインタビュー記事です。

 第1の「国会10万人・全国100万人大行動」は政府・与党に大きな衝撃を与えています。これほど多くの人々が国会周辺だけでなく、全国各地で戦争法案反対の行動に出るとは考えていなかったからでしょう。
 産経新聞や週刊新潮は主催者発表の12万人は多すぎるとケチをつけています。しかし、それでも警察情報の3万人以上が集まったことは認めています。
 12万人という数については、すでに前回のブログで、最寄りの地下鉄駅の降車客数の増加による推定を紹介し、国会正門前に3万人以上、周辺を含めて12万人だとする根拠を示しました。いずれにせよ、このような形で当日の参加者数が問題にされていること自体、この「大行動」の衝撃の大きさを物語っていると言って良いでしょう。

 なお、この日正門前で、民主・共産・生活・社民4党の党首がスピーチし、結束して戦争法案に反対する決意を表明したことには大きな意味があります。というのは、昨年末に実施された総選挙での絶対得票率(有権者内での得票率)は、小選挙区で自民25.5%、公明7.4%、与党計32.9%、比例代表で自民17.0%、公明7.0%、与党計24.0%となっているのに対し、野党4党の方は、小選挙区で民主21.1%、共産6.8%、生活0.5%、社民0.4%、4党計28.8%、比例代表で民主9.4%、共産5.8%、生活1.0%、社民1.3%、4党計17.5%となっていたからです。
 これらの数字では、確かに4党計よりも与党計の方が多くなっています。しかし、自民党だけとの比較では、小選挙区で25.5%対28.8%、比例代表で17.0%対17.5%と、4党計の絶対得票率の方が上回っていました。
 有権者内での得票率、つまり絶対得票率に示されている数字は自民党より野党4党の合計の方が多くなっていたのです。4野党党首の背後にある「安倍政権ノー」の民意は、昨年末にはすでに自民党を凌駕していたという客観的事実を忘れないようにしたいものです。

 第2の自衛隊内部文書の暴露も、戦争法案の内容を先取りして「軍部」が暴走していることを示すもので、重大な問題を孕んでいます。集中審議による関係者の証人喚問や責任の追及がなされなければなりません。
 8月11日の参院安保特別委員会で小池晃議員が暴露した統合幕僚監部の内部文書「『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について」は、「ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと、平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中では、これらが区別されることなく記載されています」と記し、ガイドラインが上位にあって、その実効性確保のために戦争法案が必要であると述べられていること、「平時から利用可能な常設の同盟調整メカニズム」「軍軍間の調整所」を明記し、日米共同の司令部を設置して共同作戦計画のもとに自衛隊を活動させることが述べられていること、南スーダンでの国連平和維持活動(UNMISS)についても、「駆けつけ警護」や「武器使用の権限」の拡大が「UNMISS派遣施設隊の業務に追加される」と記して法案を先取りしていること、戦争法制が8月に「成立」、来年2月に「施行」と「日程表」に表記され、国会を無視していることなどの問題があります。

 また、9月2日の安保特別委員会で仁比聡平議員は、河野克俊統合幕僚長が昨年12月に訪米して米軍幹部と会談した際の記録文書を暴露しました。この文書でも、「安保法制」について聞かれた際に「与党の勝利により2015年夏までには終了する」と説明していたこと、「(基地の日米)共同使用が実現すれば、……沖縄の住民感情も好転するのではないか」と発言していたこと、米軍輸送機オスプレイについても「不安全性をあおるのは一部の活動家だけだ」などと述べていたことが示されており、日米同盟強化に向けて暴走する日米制服組の生々しい本音を伝える異例の内部文書となっています。
 このほか、「政治的中立性」が厳しく問われるべき自衛隊のトップである河野克俊統合幕僚長が自らの政治的見解を米軍幹部らに繰り返し伝えています。たとえば、辺野古新基地については「政治レベルの議論だ」としながら、「安倍政権は(新基地を)強力に推進するであろう」との見通しを述べ、オスプレイの日米共通の整備拠点については「日本に置いて頂けると更なる運用性の向上になる」と誘致し、海賊対処の拠点として国会で説明してきたアフリカ北東部・ジブチの自衛隊基地について「今後の幅広い活動のため利用を拡大させたい」との方針を明言しています。
 この文書について、3日の記者会見で質問された河野克俊統合幕僚長は、「防衛省内で確認中だ」と述べて内容の真偽などに関し明言を避け、確認できる時期は「近日中」と説明したそうです。発言したのは、河野さん本人ではありませんか。
 笑っちゃいますね。本人が自分に「確認中」で、結果が分かるのは「近日中」だなんて……。

 第3の山口繁元最高裁長官の証言も重大な意味を持っています。「少なくとも集団的自衛権の行使を認める立法は違憲だと言わざるを得ない」と述べたからです。
 かつて、稲田朋美自民党政調会長は「憲法解釈の最高権威は最高裁。憲法学者でも内閣法制局でもない。最高裁のみが憲法解釈の最終的な判断ができると憲法に書いている」と語り、高村自民党副総裁も「憲法の番人は、最高裁判所であって憲法学者ではない」と学者の違憲論に反論していました。その最高裁の元トップも戦争法案は憲法違反だと明言し、「(解釈変更に)論理的整合性があるというのなら、(政府は)これまでの見解が間違いだったと言うべきだ」と、政府を批判したことになります。
 憲法研究者、弁護士、内閣法制局長官の経験者などに続いて、ついに元最高裁長官も戦争法案の違憲性を指摘する発言を行いました。これで、すべての法曹関係者が戦争法案は憲法違反だと認めたわけです。

 山口元最高裁長官は、「我が国は集団的自衛権を有しているが行使はせず、専守防衛に徹する。これが憲法9条の解釈です。その解釈に基づき、60余年間、様々な立法や予算編成がなされてきたし、その解釈をとる政権与党が選挙の洗礼を受け、国民の支持を得てきた。この事実は非常に重い」とし、「違憲」の根拠について「集団的自衛権の行使は憲法9条の下では許されないとする政府見解の下で、予算編成や立法がなされ、国民の大多数がそれを支持してきた」と指摘したうえで、「従来の解釈が憲法9条の規範として骨肉化しており、それを変えるのなら、憲法改正し国民にアピールするのが正攻法だ」と述べています。
 安倍首相らは砂川事件最高裁判決が、法案の合憲性の根拠になると主張していますが。これに対しても山口さんは「当時の最高裁が集団的自衛権を意識していたとは到底考えられないし、(憲法で)集団的自衛権や個別的自衛権の行使が認められるかを判断する必要もなかった」と反論しました。また、1972年の政府見解と論理的整合性が保たれているという政府見解についても、「何を言っているのか理解できない。『憲法上許されない』と『許される』。こんなプラスとマイナスが両方成り立てば、憲法解釈とは言えない。論理的整合性があるというのなら、72年の政府見解は間違いであったと言うべきです」と明確に否定しています。
 「安全保障関連法案についてどう考えますか」という問いには、「長年の慣習が人々の行動規範になり、それに反したら制裁を受けるという法的確信を持つようになると、これは慣習法になる。それと同じように、憲法9条についての従来の政府解釈は単なる解釈ではなく、規範へと昇格しているのではないか。9条の骨肉と化している解釈を変えて、集団的自衛権を行使したいのなら、9条を改正するのが筋であり、正攻法でしょう」と述べ、「内閣法制局の現状」については「非常に遺憾な事態です」と批判し、「内閣法制局は、時の政権の意見や目先の利害にとらわれた憲法解釈をしてはいけない。日本の将来のために、法律はいかにあるべきかを考えてもらわなければなりません」と述べています。横畠内閣法制局長官は、この指摘をどう受け止めるのでしょうか。

 世論調査でも戦争法案への反対は多く、今国会での成立を急ぐべきではないという声の方が多数になっています。反対の民意は国会周辺に集まった人々によって示されているだけではありません。
 すでに自衛隊が戦争法案を先取りした「軍部の暴走」を始めていることも明らかになりました。米軍の手先や下請けとしてさらに一体化や従属を進めていくためのものだという戦争法案の狙いを明らかにしていると言うべきでしょう。
 元最高裁長官も違憲だと明言し、「憲法解釈の最高権威は最高裁」だという逃げはもはや通用しません。事ここに至っても、まだ戦争法案の成立を強行するつもりなのでしょうか。

 公明党は「平和の党」という看板を投げ捨てて自民党と心中するつもりなのか、自民党の良心的リベラル派やハト派は、自らの政治信条に反して極右の安倍首相に追随するつもりなのか――いま、そのことが問われ、歴史によって検証されようとしています。

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6月26日(金) 一挙に土俵を広げてしまった安倍首相の策略 [国会]

 通常国会は6月24日に会期が終わるはずでした。しかし、安倍首相は戦後最長の会期延長を行い、これを一挙に広げてしまいました。
 世論の包囲によって次第に押し込まれていた安倍首相です。土俵を割ることがないように、その幅を広げて勝負しようと考えているのでしょう。

 衆院は22日の本会議で、24日までの会期を9月27日まで95日間延長することを自民・公明・次世代などの賛成多数で議決しましたが、この延長幅はこれまでの最長記録より1日長くなっています。これは十分な審議時間を確保したというポーズを示すためでしょう。
 国民にきちんと説明して十分な審議を行うべきだという野党の要求に答えたような形になっています。「だから、審議拒否などはやめてちゃんと審議しなさいよ」という圧力を、民主党などにかけたというわけです。
 その結果でしょう。会期延長を批判して審議拒否していた民主党なども復帰して、今日から「戦争法案」についての集中審議が再開されることになりました。

 このような会期延長に、安倍首相の狙いがはっきりと示されています。それはソフトとハードの2段構えなのではないでしょうか。
 当面、維新の党に対する懐柔工作と揺さぶりを強め、その出方をうかがいつつ、あわよくば採決に引き込もうというソフト路線です。そのための橋下大阪市長への接触であり、橋下入閣などの密約説も取りざたされています。
 このようなゆさぶりを受けて維新の党は対案作成という方向で動き出しました。修正交渉には応じないとしていますが、安倍首相からすれば、少なくとも採決に引き出して与党だけでの強行という形にならなければ、それで十分だと考えているのでしょう。

 このようなソフト路線がうまくいかなかったときには、もう一つのハード路線が採用されることになります。自民党と公明党の与党だけの強行採決に打って出ることになるでしょう。
 かつて、日米安保条約の改定批准がなされたとき、最終日に衆院で会期延長と条約の承認が強行採決され、そのために国会は空転して全く審議がなされませんでしたが、条約については衆院優位の原則がありますので新安保条約は自然承認されました。今回も、同様の経過が想定されているように思われます。
 ただし、条約とは違って通常の法案は衆院優位ではなく、自然承認されるというわけにはいきません。そこで活用しようとしているのが、衆院を通過して参院に送られてから60日経ったら否決されたとみなして衆院で3分の2の多数で再議決すれば良いという憲法59条の「60日ルール」です。

 衆院で強行採決し、それに抗議する野党が審議を拒否して国会が空転しても、この「60日ルール」があれば、衆院で3分の2以上の勢力を持つ与党にとって怖くはありません。じっと、時間が経つのを待てばよいのです。
 参院では自民党は過半数を維持していませんから、公明党抜きでは「戦争法案」を採択できません。空転している参院でも審議抜きで与党だけで採決を強行するというのでは、公明党の腰が引ける可能性があります。
 ということで「60日ルール」による再議決路線が登場するわけですが、そうなれば「戦争法案」の衆院通過がいつになるかがポイントになります。恐らく、衆院での審議時間が80時間を超える7月中旬にヤマ場が訪れることになるでしょう。

 このような安倍首相の目論みを打ち砕くためには、会期の大幅延長を逆手にとって「戦争法案」の誤魔化しと危険性を国会審議においてさらに暴露していくことが必要です。当初の会期最終日の24日には3万人もの人が国会周辺に詰めかけましたが、これが10万人に増えるほどにならなければなりません。
 国会内外の運動の連携によって世論に働きかけ、内閣支持率を低下させることです。幸い、この間の世論調査では内閣支持率が5割を切るなど低下傾向を示し始めていますが、これを3割台にまで引き下げ、支持と不支持を逆転させることが必要です。
 地方や草の根での運動を強めることも大切でしょう。地方議会などでは、「戦争法案」の慎重審議や撤回を求める意見書だけでなく、審議促進や採択を求める意見書なども提出されており、民意の争奪戦が始まっていますから……。

 安倍首相の策略によって土俵は大きく広げられてしまいましたが、その中央で投げ飛ばせばいいんです。土俵の広さは関係ありません。
 「こんなに会期を長くしなければよかった」と、安倍さんに後悔させるような取り組みができるかどうかがカギです。平和国家としての岐路に当たって、日本の暑い夏はまだ始まったばかりなのですから……。

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5月28日(木) まるで法廷劇を見ているような志位共産党委員長による質疑 [国会]

 昨日に続いて、共産党の志位和夫委員長が安保法制特別委員会での質疑に登場しました。ABC対決の第2幕というわけですが、まさに良質の法廷劇を見ているような知的興奮を覚えたものです。

 途中で、あることに気が付きました。他の質疑では付きものだった野次が聞こえてこないのです。皆さんシーンとして、具体的な事例を元に繰り出される志位委員長の質問に耳を傾けているという風情でした。
 すさまじい調査能力です。ときには当事者でさえ忘れているような事実の数々を発掘し、それを根拠に質問するわけですから、いい加減な答えをすればかえって自らに不利になってしまうでしょう。
 他の質問者のときには、抽象的で空疎な説明を繰り返して煙に巻いたり野次ったりしていた安倍首相も、志位さんの前では妙におとなしいように見えました。質疑が終えた時、「フー」という安倍さんのため息が聞こえたように感じたのは、私だけだったでしょうか。

 今日の質疑で、志位さんは国連平和維持活動(PKO)と集団的自衛権の行使容認という二つの問題を取り上げました。前者はPKO協力法と自衛隊法の改定、後者は武力攻撃事態法と自衛隊法の改定にかかわる問題です。
 PKO協力法の改定によって、新たに国連が統括しない治安維持活動への参加、安全確保業務や駆けつけ警護、任務遂行のための武器使用の解禁などが可能になります。これについて志位さんは、アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)のような活動に参加可能なのかと質問しました。
 これに対して、安倍首相はPKO参加5原則に基づいて当事者同士の間で停戦合意が履行されていることが重要で、アフガンのような治安状況を前提としていないと答えました。しかし、参加できないとは最後まで明言しませんでした。

 人道復興支援や治安維持活動への参加が可能で任務遂行のための武器使用が解禁されればどのような問題が生ずるのか。志位さんはISAFに加わったドイツ軍の例を示して、その危険性を明らかにしました。
 戦後初めてNATO域外に軍を派遣したドイツは、アフガニスタンでの治安維持や輸送業務に従事しましたが、パトロール中にタリバンの狙撃を受けて戦闘行動に巻き込まれています。これは正当防衛による反撃でしたが、このような戦闘によって35人が命を失い、これを含めた死者は55人に上りました。
 このドイツの例は、いま日本がやろうとしていることがどのような問題を生むかということを示しているのではないかというのが、志位さんの指摘です。このPKO活動の拡大もまた、自衛隊が殺し殺される危険性を教えていると言って良いでしょう。

 第2の集団的自衛権の行使容認の問題では、アメリカが行う誤った先制攻撃にも日本が協力することになる可能性があぶりだされました。集団的自衛権行使容認の条件とされている新3要件は無限定で、政府の裁量によってどのようにでも解釈される危険性があるからです。
 安倍首相も岸田外相も、国際法上認められないような違法な戦争には協力しないと答えていました。これに対して志位さんは、「先制行動」を宣言し、「一方的に軍事力を行使する」と言っているアメリカの場合はどうなのか、その先制攻撃には協力しないのかと、具体的な例を挙げて質問しました。
 アメリカによるグレナダ侵略、リビア爆撃、パナマ侵略については国連が非難決議を挙げているのに日本は「理解する」という立場で、戦後のアメリカの軍事介入について反対したことは一度もなく、全部、賛成・支持・理解ではないかと。このよう対米追随の外交からすれば、アメリカから言われるままに集団的自衛権を行使して、たとえ先制攻撃であっても米国の戦争に協力させられるのは明らかではないかと……。

 さらに、志位さんが具体的な例として挙げたのがベトナム戦争とイラク戦争でした。ベトナム戦争では北爆など戦争拡大の口実とされたトンキン湾事件がねつ造であったことが明らかになり、イラク戦争では大量破壊兵器が見つかりませんでした。
 どちらも戦争の原因とされた事実は存在せずねつ造であったわけです。この誤った戦争を日本は支持し、ベトナム戦争では出撃基地として、イラク戦争では復興支援活動ということで自衛隊を派遣しています。
 この二つの戦争に対して、その理由が間違っていたことがはっきりした後もアメリカに対して説明を求めず、検証もせず、反省もしていないことが明らかになりました。アメリカのやることは何でも無批判に受け入れ、正しいと信じて追随し、間違ったと分かった後でさえ説明を求めたり検証したりせず、反省もしないというような外交姿勢で良いのかと、志位さんは安倍首相に詰め寄りましたが、安倍首相は答えられませんでした。

 集団的自衛権が行使容認となれば、ベトナム戦争やイラク戦争のような間違った戦争に、日本は深くかかわることになるでしょう。出撃基地や復興支援などのレベルにはとどまらない戦争協力によって、日本の若者が命を失う危険性は格段に高まることになります。
 2日間の志位委員長の質問によって、「戦争法制」の危険性が具体的な姿をもって明瞭に浮かび上がったように思います。このようなとんでもない法案は廃案にしなければならないという決意を、改めて固めさせられたABC対決の2日間でした。

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5月27日(水) 「戦争法案」の危険性を明らかにした安保法制特別委員会でのABC対決 [国会]

 まさにABCの対決でした。ABは安倍で、Cは志位。
 安倍さんはこのような論客を、自民党にも欲しいと思ったことでしょう。

 先日の党首討論では、わずか7分間の持ち時間で的確に安倍首相の弱点を突き、「ポツダム宣言はつまびらかに読んでいない」という発言を引き出した共産党の志位和夫委員長です。1対1で1時間近くも対決する特別委員会での質疑を楽しみにしていました。
 そのやり取りをテレビで見ましたが、見事なものです。論理的で具体的、これまでの質問や答弁、事実に基づいて冷静に繰り出される質問に、安倍首相や中谷防衛相はタジタジでした
 国会での質疑のお手本のようなものです。この内容は明日の『しんぶん赤旗』に掲載されるでしょうから、ぜひ全体をお読みいただきたいと思います。

 質疑で明らかになったことの第1は、自衛隊が戦闘に巻き込まれるリスクが極めて高いということです。志位さんは、これまでの特措法にあった「自衛隊が活動を行う期間、戦闘行為がないと見込まれる場所」(=非戦闘地域)という文言が今回の新法では消えていることを指摘し、自衛隊の派遣される場所が戦闘地域になる可能性があるのではないかと質問しました。
 これに対して安倍さんは、攻撃される可能性が100%ないとは言えないことを認めましたが、その場合には一時的に活動を中止し、退避すると答えました。このような不測の事態は自己保存型の正当防衛であるとしつつも、武器使用があり得ることを渋々認めたのです。
 ここで志位さんはイラク戦争で自衛隊が持って行った武器に対戦車砲や無反動砲などがあったことを示し、反撃するということはこれらの武器を使うということで、これらの武器の使用が戦闘行為に当たることは明らかだと指摘しました。同時に、国際法上、武器の使用と武力の行使についての区別はなく、武器使用は武力の行使ではないという言い逃れは国際社会では通用しないと厳しく批判しました。

 第2に、イラク戦争の現実を踏まえて、「非戦闘地域」であっても極めて危険であったこと、これをなくして戦闘現場に近づけばさらに甚大な負担と犠牲が生ずることも明らかになりました。イラクでの「非戦闘地域」でさえ、刃の上で仕事しているようなもので、何が起きてもおかしくない地域であったという証言を踏まえて、そのような認識が安倍首相にあるのかと質問しました。
 これに対して、安倍さんはまともに答えませんでしたが、その関連で明らかにされた数字は衝撃的なものでした。イラク特措法で派遣された自衛隊員の自殺者は、陸自で21人、空自で8人の計29人、テロ対策特措法で派遣された海自の自殺者は25 人で、全部で54人が帰国後自殺していたというのです。
 アメリカでも心的外傷後ストレス障害(PTSD)で心を病み、自殺する帰還兵が社会問題になっていますが、「戦争法制」によって自衛隊が海外に派遣されればさらに大きな規模でこのような問題が生ずることでしょう。戦争は、肉体的にだけでなく心理的にも多くの犠牲者を出すということが、安倍首相に分かっているのでしょうか。

 第3に、後方支援の問題です。これは英語でLogisticsのことで、戦闘行為を行う部隊への物資・兵員・武器・弾薬の輸送、施設の構築や維持などを含んでいます。
 志位さんは兵站が軍事活動の一部であり、戦争と一体不可分なものであることを明らかにしたうえで、その危険性に対する認識を問いました。これに対しても、安倍首相は安全性を確保したうえで活動すると答えるだけでした。
 戦争において兵站が格好の目標となること、実際にイラク戦争やアフガン戦争で輸送部隊などが襲われ多くの犠牲者を出していることは事実です。これまで以上に戦場に近い現場で自衛隊がこのような業務に従事することの危険性を、安倍首相だけでなく我々国民も十分に認識するべきではないでしょうか。

 志位さんは、明日も特別委員会で質問に立つそうです。「いやだなー」と、安倍首相は思っていることでしょう。
 その安倍さんを、志位さんがどう追い詰めていくのか。明日の安保法制特別委員会でのやり取りも楽しみです。

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