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12月3日(木) 政権交代による大きな成果も生まれている [政権交代]

 気がついたら、師走に入っていました。私ども教員にとっては、走り回らなければならない季節ということでしょうか。
 今日は、もう3日になってしまいました。街路樹の木々も葉を落とし、紅葉の季節も終わりを告げています。

 今年の流行語の発表がありました。大賞を受賞したのは「政権交代」という言葉です。 日本近代史始まって以来の明確な政権交代の実現ですから、それも当然でしょう。選者のセンスを評価したいと思います。
 その「政権交代」から約80日が過ぎ、鳩山新政権の成果や弱点が明らかになってきています。すでに弱点については指摘しましたので、今回は成果について書かせていただきましょう。

 成果の第1は、新しい法律の制定です。臨時国会の最終盤で、鳩山新政権による新しい法律が次々と成立しています。
 これらは基本的に、これまでの自公政権では実現できなかったものであり、国民生活を守り支援するために大きな力を発揮することが期待されます。

 その第1は、中小企業を支援するための中小企業等金融円滑化法(返済猶予法)です。中小企業に対して返済猶予など債務の条件変更に応じるよう金融機関に促すもので、全会一致で可決・成立しました。
 これは政権交代後の臨時国会で初めて成立した法律であり、記念すべき第1号でした。景気悪化によって借金の返済に四苦八苦している中小企業にとっては、まさに干天の慈雨とも言うべき法律でしょう。
 これで一息ついて、体力を回復してもらいたいものです。地域経済を支えている中小企業の蘇生こそ、日本社会再建の第一歩なのですから……。

 第2は、肝炎対策基本法の成立です。ウイルス性肝炎の患者支援と医療体制の整備を盛り込んだもので、これも全会一致で可決・成立しました。
 ウイルス性肝炎患者・感染者は全国に約350万人いるとされています。これらの人々にとっては、長年の悲願が成就した瞬間でした。
 このような当然の対策が、どうしてこれまで実現できなかったのかということの方が不思議です。いかに自公政権が命と健康を軽視する政権であったかが、この一事に象徴されていると言って良いでしょう。

 第3は、原爆症救済法(基金創設法)の成立です。これは12月1日午後の衆院本会議で、自民党を除く全会一致で成立しました。
 原爆症認定をめぐる集団訴訟の原告約300人全員を救済するため、3億円の補助金を元にした基金の設立などが盛り込まれています。原爆症認定集団訴訟全国原告団の山本英典団長は、都立大学時代の塩田ゼミの大先輩です。良かったですね、山本先輩!! これで長年の苦労が報われましたね。
 これについても、肝炎対策基本法と同じ問題が指摘できるでしょう。どうしてこれまで、このような当然の法律が制定されなかったのか、という問題が……。

 第4は、郵政民営化の見直しに向けての郵政株売却凍結法案です。これは衆院を通過した段階ですが、明日には成立するとみられています。
 この法案は、政府が保有している、持ち株会社「日本郵政」、「ゆうちょ銀行」、「かんぽ生命保険」の株式や、「かんぽの宿」などの施設の売却を、あらためて法律で決めるまで凍結するというものです。12月1日、自民党が欠席するなか午後の衆議院本会議で採決が行われ、民主党などの与党と共産党などの賛成多数で可決され、参院に送られました。
 小泉構造改革の「本丸」は落城寸前というところでしょうか。郵政民営化の「反転」も、政権交代がなければ実現不可能だったことは明らかです。

 このような新しい法律の制定以外にも、具体的な施策として評価できるものがあります。これも以前の自公政権では実現できなかったことであり、政権交代による成果であると評価して良いでしょう。

 その第1は、事業仕分けです。これについては、賛否両論が寄せられています。
 厳しい指摘と官僚への追及の激しさに、「これでは仕分け人というより、仕置き人ではないか」とか、仕分け人には労働の規制緩和の急先鋒だった福井秀夫政策研究大学院大学教授なども含まれており、「まず、仕分け人の仕分けが必要だったのではないか」などと言いたくなります。
 しかし、このような事業仕分けが国民の目の前で行われたということはかつてなかったことであり、それによってムダな事業が削られ、予算編成の透明化に役立ったことは否定できません。予算の使われ方に対する国民の関心が急速に高まったのも、大きな成果でしょう。
 元々利益が上がるはずのない事業に対して収益や効率性を問題にしたり、大学関連の文教予算や科学技術予算、文化・スポーツ関連の予算が削られたりという問題はありますが、それでも事業仕分けを行ったこと自体は評価できるのではないでしょうか。

 第2は、生活保護受給者に対する母子加算制度の復活です。民主党がマニフェストに盛り込んでいたものですが、これで助かった人も多かったでしょう。
 厚労省によると、支給対象は18歳以下の子どもを養育する母子家庭と父子家庭の計約10万世帯に上ります。子どもは約18万人になります。
 母子加算は、自公政権によって05年度から段階的に減らされ、今年3月で廃止されていました。とりわけ困難な状態にある1人親世帯に対する手厚い支援は当然のことであり、その復活も政権交代あったればこそ、だったと思います。

 第3は、ハローワークの窓口でのワンストップサービスの実施です。これは、職業紹介と住宅相談、低所得世帯に生活費を貸し付ける生活福祉資金や生活保護の相談、保健所による「心の健康相談」などを一つの窓口で実施するというものです。
 11月30日、17都道府県77カ所のハローワークの窓口で開催されました。今回はこの日だけですが、年末年始の実施や定期開催も目指し、自治体の協力を得て今回できなかった県でも実施する方向だといいます。
 菅直人副総理兼国家戦略担当相は「できれば年末にかけてもっと継続的にできないか、相談していきたい」と述べています。昨年末のような「年越し派遣村」の再現が必要とならないように、今から万全の態勢で臨んでもらいたいものです。

 さらに、この他にも政権交代によって生じた副次的効果もあったように思われます。自公政権の時代から継続され懸案だった問題でも、政権交代という時代の変化を受けて新しい局面が開かれているように思われます。

 たとえば第1に、鞆の浦の埋め立て反対訴訟についての広島地裁での判決を挙げることができるでしょう。広島県福山市の景勝地「鞆の浦」で県と市が進める埋め立て・架橋計画について、県知事は県と市に対して埋め立て免許を交付しないよう命ずる判決が下され、埋め立てに反対する原告側の勝訴となりました。
 そればかりではありません。このような計画が行政の裁量権を逸脱したと認め、「鞆の浦の景観の価値は私法上保護されるべき利益であるだけでなく、瀬戸内海における美的景観を構成するものとして、また文化的、歴史的価値を有する景観として、国民の財産とも言うべき公益である」として、景観の価値を最大限尊重すること、景観を守ることが環境権の侵害を防ぐ大切な道筋であることを認める点で、画期的な内容を持っています。
 11月30日、広島県知事選で初当選した湯崎英彦知事は、「鞆の浦」について賛成、反対両派を含む協議の場を来年2月までに設けたいとの考えを明らかにしています。このような方向も、時代の変化を反映したものと言えるのではないでしょうか。

 あるいは第2に、沖縄密約に関する裁判での吉野証言もあります。この問題も以前からの継続ですが、公の場における密約の暴露は大きな変化だと言えるでしょう。
 沖縄返還に伴う財政負担について密約を結んだとされる文書をめぐって、作家らが国に開示を求めた訴訟の口頭弁論が12月1日、東京地裁でありました。当時アメリカとの交渉に当たった吉野文六元外務省アメリカ局長の証人尋問が行われ、吉野さんは「(秘密文書に)イニシャルでサインした」と述べ、改めて密約の存在を証言しました。
 この問題については、拙著『戦後政治の実像-舞台裏で何が決められたのか』(小学館、2003年)も取り上げています。今回の吉野証言によって拙著の記述も裏付けられたことになりますが、詳しくは、そちらをご覧いただきたいと思います。

 これに関連して第3に、普天間基地の移設問題も挙げることができます。自公政権の下では万に一つも可能性がなかった県外への移設が、選択肢の一つとして浮上しただけでも大きな前進であると言うべきです。
 これも、政権交代の成果であり、大きな変化です。この問題がどのような形で決着するかは分かりませんが、来年まで先送りし、自民党が国外移設方針に転換して名護市長選挙で県外移設派が勝利するなどの状況変化を待ち、世論を背景にグアムへの移設という方向で一挙に決着を図るしかないでしょう。
 これに成功しなければ三党連立に大きな亀裂が入り、鳩山政権の基盤は危うくなって連立解消などという緊急事態が生まれるかもしれません。逆に、もし成功すれば、鳩山政権と民主党の基盤は盤石となり、長期政権になることは確実でしょう。

 なお、明日の金曜日、韓国の毎日経済テレビ(MBN)の取材を受けます。韓国のテレビ局からの取材を受けるのは、これで2度目になりますが、多分、日本では放送されないでしょう。
 この日の夕方から、社会的労働運動研究会での報告を皮切りに、ほぼ3回連続で講演が予定されています。5日(土)は全農協労連・生協労連・全倉運・金融労連・全損保の5つの単産が加わる第三次産業労働組合連絡会(三次労組連絡会)のシンポジウム、6日に北海道に飛んで、7日(月)は札幌学院大学での講演です。
 お近くの方に、ご参加いただければ幸いです。関係者の皆さんにはお世話になりますが、よろしくお願いいたします。

9月26日(土) 現場に足を運び国民の声に耳を傾ける閣僚たち [政権交代]

 鳩山首相の国連総会への出席と外交デビューは大成功だったと思います。このような形で日本外交の発信力が示され、それに対する注目が高まったのは、初めてのことではないでしょうか。

 鳩山首相は、国連気候変動首脳会合、安保理の核不拡散・核軍縮首脳会合、国連総会演説の三つをこなし、ピッツバーグでのG20金融サミットにも出席しました。英語で演説し、温室効果ガスの1990年比25%削減、途上国支援の「鳩山イニシアチブ」の提唱、「非核三原則の堅持」などを言明して大きな拍手を浴びました。
 ピッツバーグには私も行ったことがありますが、川に囲まれた丘の上にあるきれいな町です。かつての鉄鋼の町から、今ではIT関係の研究所などの町に変貌しています。
 今朝のNHKテレビで報じられた記者会見では、鳩山さんは原稿も見ずに発言していました。原稿を読み上げても漢字を読み間違えていた麻生前首相とは大違いです。

 もう、「アメリカスカートの陰から世界を見る」日本ではなくなったのです。独自の目標を掲げて世界をリードする日本への転換が始まりました。
 「外交」が復活した、ということでもあります。アメリカの意を受けた外務官僚のシナリオに従って行動していたこれまでの日本には、「外交」など存在してなかったのですから……。
 もちろん、沖縄の普天間基地の移転問題やインド洋での給油問題などではアメリカとの違いがあります。それは、これからじっくりと交渉すればよいことです。違いがあるからこその交渉なのですから……。

 鳩山首相の不在中、各大臣は精力的に歩き回っていました。現場に出かけて、自分の目で見て関係者の意見を聞くという姿勢も、新しい政権の特徴であると言えるでしょう。
 政治家や行政官であれば当然とも言える現場主義も、これまでは実行されてきませんでした。問題があったとき、現場に来てその目で見て、関係者の意見を聞いて欲しいと言っても、なかなか大臣が足を運ぶことはありませんでした。
 しかし、前原国交相は八ッ場ダムや川辺川ダムの建設予定地に、赤松農水相は築地市場に、川端文科相は東京海洋大などに、北沢防衛相は沖縄に、直接出かけて関係者から話を聞いています。政治の風景は、大きく変わりました。

 なかでも、注目されているのは八ッ場ダムの中止問題です。色々な意見はあるでしょうが、「無駄なものは作らない」ということが基本でしょう。
 「7割もできている」と言われていますが、予算の7割が支出されているというにすぎません。予算を7割も使って、それでもなお本体工事が始まっていないのが現実です。
 その予算も、04年の変更によって当初の2100億円が4600億円に倍増されています。ダム本体の入札は延期され、軟弱な地盤による地滑り対策やダム完成後のランニング・コストなども含めると、いくらかかるか分かりません。「中止した方が高くつく」と言う声もありますが、このような方に「それでは、継続した場合いくらかかるのか」と尋ねても、答えることはできないでしょう。

 「ダム湖を観光資源に」という意見もあるそうですが、風光明媚な峡谷の方がずっと「観光資源」としての価値は高いでしょう。今日の『東京新聞』の「特報」欄に、「渓谷や温泉、遺跡などの資源を生かし、国の生活再建を得ていけば、地域の再生は可能」という意見が紹介されていますが、私もそう思います。
 57年間かかってもまだダム本体の工事が始まっていないという事実自体が、この事業の必要性の低さを立証しています。まだ本体工事が始まっていない今が、中止する最後のチャンスではないでしょうか。
 前原国交相は、地元住民を犠牲にし自然を破壊して必要性の低いダムを建設するという自民党政権の愚行の尻ぬぐいをさせられています。地元住民も話し合いを拒むことなく、最も犠牲の少ない形で解決するために、一緒に知恵を出し合うべきではないでしょうか。

 これまでは、政府の方針に意義を申立てる場合、担当の省庁に出かけていって現場に来て直接意見を聞けと求めるのが通例でした。その場合、往々にして門前払いされてきたものです。
 しかし、今回は、担当の大臣が現場に出かけて行って意見を聞こうとしました。これに対して、住民の側が姿を現さずに門前払いを食わせました。
 これまでとは、逆になっています。対話を求めるのではなく拒否する「住民運動」もあるということなのでしょうか。

 そう思って報道を見ていたら、驚くような情報がウェッブに出ていました。最近よくテレビで目にする女性は、どうも一般の「住民」というわけではないというのです。
 この女性は、建設推進派の長野原町議会議員でダム特別委員会副委員長の星河由起子さんという方だというではありませんか。なるほど、威勢がよいはずです。
 もし、それが本当だとすれば、批判は免れません。一般の住民を装って建設推進派の町議を登場させ、その意見だけを一方的に放映するのは報道の公平性を疑わせることになり、テレビ報道としては自殺行為に等しいものではないでしょうか。

 なお、現在発売中の『日本労働研究雑誌』2009年10月号(No.591)は、「企業別労働組合の現在と未来」を特集しています。この特集号の巻頭提言として、私の論攷「戦後労働運動の第3の高揚期を生み出す新たな条件が生まれている」が掲載されました。
 もし、お目にとまることがありましたら、ご一読下さい。

9月25日(金) 日本政治のベクトルが「反転」した [政権交代]

 日本政治のベクトル(方向性)全体が、「反転」しつつあるようです。それが向かおうとしている方向は、これまでの日本の針路を大きく転換することになるでしょう。

 拙著『労働再規制-反転の構図を読みとく』を書くきっかけは、労働の規制緩和における「反転」に気がついたことでした。その前に日本経済評論社から出した『労働政策』を執筆していたときのことです。
 原稿を書きながら、どうも労働政策をめぐる最近の状況に変化が起きているのではないか、という気がしてきました。調べてみて、構造改革をめぐる潮目が変化し、徐々に「反転」しつつあることが確認できました。そのとき、「これで日本は救われる」と思ったものです。
 その「反転」が、総選挙での自公政権の惨敗と政権交代という形で結実しました。鳩山政権が発足してまだ一週間足らずですが、その後の動きを見るにつけても、こう言いたいと思います。「これは革命だ。これで日本は救われる」と……。

 もちろん、変化はまだ始まったばかりです。新政権はよちよち歩きを始めたところであり、多くの問題をはらんでいることは明らかです。
 前途は楽観できないと思います。不十分な点や矛盾も見えてきています。
 しかし、それでも、政治のあり方が自公政権の時と大きく異なってきていることは、誰にも否定できないでしょう。このような変化を歓迎し、それをさらに強めるためにどうするべきかが今後の課題です。

 政権が交代しても、政治の中身が変わらなければ意味がありません。今回は、そうなっていないという点が重要です。
 政治の哲学や政策の方向性が大きく「反転」しつつあります。政(族)・官・財(業)の癒着による利益誘導型開発政治という古い自民党政治と、その後の新自由主義的な小泉構造改革という新しい自民党政治の両方からの「反転」です。
 この意味で、鳩山政権は「二つの過去」との決別を志向する政権であると言えるでしょう。それは緒についたばかりですが、方向性は明確です。

 今後は、この方向がぶれないように見守り、働きかけていくことが重要でしょう。さし当たりは、構造改革によって破壊された雇用と労働、教育保育介護医療の分野での転換と立て直しが急務です。

 なお、連合通信社が発行している『連合通信』の特信版(No.1041、2009.9.20)に私の論攷「新連立政権への期待と注文」が掲載されました。「労働と生活の改善を」という表題です。
 もし、お目にとまることがありましたら、ご一読下さい。

9月2日(水) 自民党が仕掛けた罠にはまってはならない [政権交代]

 国民の高い期待の下で出発することになりそうです。鳩山新政権のことです。

 世論調査によれば、新政権への期待度は7割を超えているようです。朝日新聞社が実施した緊急の全国世論調査(電話)によると、民主党中心の新政権に「期待する」と答えた人は74%で、「期待しない」は17%にすぎませんでした。
 政権交代が起きて「よかった」とする意見も69%で、「よくなかった」は10%です。衆院選比例区で自民党に投票したと答えた人の中でも46%が「よかった」と答えたそうです。

 これは、国民の期待の高さを示しているとともに、ある種の危うさを伴っているように思われます。支持率が高ければ、落下した場合のカーブも急になるからです。
 これまでの歴代政権のように、急上昇・急落という世論のエレベーターに乗ってはなりません。安定した支持を維持できるよう、慎重に、着実に、政策を具体化してもらいたいものです。

 今回の政権交代は、憲政史上、初めてとも言える本格的なものでした。選挙で政策と首相候補を明らかにして与野党が対決し、野党第1党が与党第1党を追い越してそのまま政権を担うのは、少なくとも、戦後初めてですから、国民が高い期待を寄せるのも当然でしょう。
 しかし、一つだけ、気にくわない点があります。それは鳩山さんの出自についてです。
 新しい政権は、「華麗なる一族」に生まれて「帝王学」を施されて育った「世襲政治家」ではなく、普通の家庭に生まれて庶民として育った、オバマ米大統領のようなたたき上げの政治家が担って欲しかったと思います。この点では、日本の政治は変わったけれど、変わりきれなかったという不満が残ります。

 このような不満があるとはいえ、政権交代そのものは初めての本格的なものであり、その意味は大きいというべきでしょう。
 それだけに前途多難だと思います。スタートダッシュも重要ですが、同時に、拙速のあまり、つまずかないようにも気をつけてもらいたいものです。この点では、自民党が仕掛けた罠にはまらないように警戒しなければなりません。
 たとえば消費者庁の問題です。これは対立と紛争の火種を作るために、わざわざこの時期に発足させた可能性が高いからです。

 国民の側も、しばらくは「お手並み拝見」ということで、新政権の行方を見守る必要があるでしょう。特に、マスコミの揚げ足取りに巻き込まれないように気をつけなければなりません。
 性急に成果を求めて新政権を追い込み、結果的に自民党の復権に手を貸して新しい政治の芽をつみ取ってしまうような愚を犯すことのないよう、気をつけたいものです。もちろん、要求の提起や問題の指摘、批判などを手控える必要はないわけで、そのかねあいが難しいところではありますが……。

6月30日(火) 政権交代後にとり組むべき最初の仕事は隠蔽されてきた秘密の開示 [政権交代]

 今日で、6月も終わりです。というより、1年の半分が過ぎ去ろうとしているわけです。まさに、「光陰矢のごとし」というところでしょうか。

 私にとっては、約1カ月間続いた「講演月間」の終了です。5月30日(土)の大阪に続いて、6月7日(日)の伊豆・伊東温泉、13日(土)の札幌、そして28日(日)の京都と、講演旅行が続きました。旅行好きの私にとっては楽しい1カ月でしたが、講演の内容を考えてレジュメを作り、宿を予約して切符を取るなど、それなりの苦労があります。
 こういうときです。秘書が欲しいと思うのは……。
 でも、旅というのは、計画を立ててあれこれ思いめぐらすときから始まっています。ホテルや切符の予約も、それなりに楽しいものです。

 ところで、60年の安保条約改定時に、核兵器搭載艦船の寄港などを日本政府が認めた「核持ち込み密約」について、村田良平元外務事務次官が前任次官から文書で「引き継ぎ」を受けていたと証言しました。すでに、この秘密交渉プロセスは、アメリカの公文書や日米の交渉当事者による証言でも明らかにされてきていますが、事務次官経験者が初めて実名で「密約」の存在を認めた意味は極めて大きいというべきでしょう。
 村田さんは、証言した理由について「(外務省を)辞めてもう十数年たち、冷戦も終わって時代が全く違う。だから、もういいだろうと判断した」と語っています。これに対して、相変わらず、河村建夫官房長官は「核持ち込みの事前協議がない以上、核持ち込みはない」と否定しました。

 『毎日新聞』紙上で、これについて村田さんは、概略、次のように語っています。

-事務次官になる前から密約の存在は知っていましたか。
 密約があるらしいということはいろんな意味で耳に入っていましたけど。密約に関する日本側の紙を見たのは事務次官になった時が初めてです。

-その時に初めて確認をされたということですか。
 まあ、確認もへったくれもない、ああそうだろうと思っただけです。ライシャワー(元駐日米大使)だったかな。「ずいぶん前にそういう約束がある」と言ったことが、アメリカの外交文書として公開された。日本の新聞が少し騒ぎましたよ。「ライシャワーがこんなことを言ってる」と。そうしたら政府は必死になって「いや、そんな密約はない。ない」と言った。アメリカが外交文書を公開して「密約があった」と言ってるのにね、日本は「そういう密約はない」と言ってる。どっちかが言ってることがウソなんです。どちらがウソかといえば、日本がウソをついていることは明らかですよ。

-密約についての引き継ぎの紙はどういう紙か覚えていますか?
 外務省で普通に使う事務用の紙ですよ。

-紙一枚なんですか。
 外務省で使う紙に書いて、封筒に入っていて、前任者(柳谷謙介氏)から私は渡された。「この内容は大臣に説明してくれよ」と言われて、それは(第3次中曽根内閣の)倉成(正・外相)さんと(竹下内閣の)宇野(宗佑)外務大臣には話しました。

-米国の外交文書の公開があって、日本が否定しましたが、その反応についてはどうみていたんですか。
 なんでそんなウソを言い続けるのかなとぶぜんたる気持ちになりましたね。どうせ明るみに出る話ですから、いつかは。遅かれ早かれ。

 村田さんは、「どうせ明るみに出る話ですから、いつかは。遅かれ早かれ」と述べています。それなのに、政府は、いつまで嘘をつき続けるつもりなのでしょうか。
 今は、しらばっくれることができても、すぐにその嘘はばれてしまうにちがいありません。今度の総選挙で与党が敗れれば、この問題を含む外交上の密約の全ては明らかにされるにちがいないのですから……。
 いや、外交問題だけではありません。内政を含むあらゆる秘密が明らかにされる必要があります。

 それが、政権交代の大きな意味です。新政権が何よりも先ず着手すべきことは、国民が知るべき事実を全て明らかにすることです。
 各省庁の奥深くに隠されている秘密を全て明らかにする。そのための準備を今から始めておくべきでしょう。


6月24日(水) 民主党ライスカレーの腐敗防止のために必要なこと [政権交代]

 自民党カレーライスと民主党ライスカレーは、見た目は違うが味は同じかもしれない。でも、自民党カレーライスは腐っているから、すぐに食べるのを止めなければならない、というのが昨日書いた趣旨です。
 正確に言えば、両党は、ビーフカレーとチキンカレー、甘口と辛口以上の違いがあります。政治的な立ち位置は、基本的には、自民党は中道右派よりも右、民主党は中道左派よりも左だと言うべきでしょう。
 理念的にも政策的にも、両者は必ずしも同じではありません。これを同じだと言ってしまっては、政治研究者としての資格を問われます。

 しかし、似通っている部分があることも否定できません。また。自民党と同様の政治理念や政策的志向性を持つ議員が民主党内に存在することも否定できないでしょう。
 この両側面を見ることが重要です。民主党はきわめて雑然としており、多様な政治傾向の雑居政党なのですから。
 この民主党内には、旧自民党や民社党などから流れ込んだ議員がいます。だから、民主党も自民党と同じように“腐ってしまう”可能性があるのではないか、これをどうするのか、というのが、次の問いです。この問いにお答えしましょう。

 まず、腐敗の元になる可能性のある議員を、次の総選挙で落とさなければなりません。腐ったリンゴを取り除くことで、周りを腐らせるのを防ぐことができます。
 安全保障や歴史認識の問題で自民党以上にタカ派で復古的な主張をする議員、改憲を公言するような議員、消費税の引き上げや議員定数の削減を強く主張するような議員、労働者派遣法の改正による労働再規制に反対するような議員は、たとえ民主党であっても落とさなければなりません。代わりに、他の野党の議員を当選させることが必要です。

 次に、民主党に過大な勝利を与えてはなりません。有頂天になって慎みを忘れるほどの大勝利になれば、民主党は他の野党や国民世論を無視して暴走する危険性があります。
 今でも、社民党などとの連立は次の参院選までだと言い始めているほどです。今度の衆院選で単独過半数を獲得し、次の参院選でも過半数以上を占めれば、連立する必要がなくなるからです。
 そうなれば、自衛隊の活用、改憲や消費税の引き上げに向けての準備、議員定数の削減などに向けて動き始める可能性があります。そうさせないためには、単独過半数ではなく、他の野党の議席を合わせて初めて過半数を上回れる程度の「適度な勝利」でなければなりません。

 自民党と公明党が敗北し、現有議席を大きく減少させることは大前提です。しかし、民主党が勝ちすぎて他の野党との協力や国民世論の動向を無視できるようになっては困ります。
 民主党が与党になっても、共産党や社民党によって牽制することができ、暴走を抑制できるような状況の下での政権交代でなければなりません。
 民主党の暴走を押さえるためには強力なブレーキ役が必要なのであり、共産党や社民党に頑張ってもらわなければならないということになります。民主党以外の他の野党が躍進する意義は、まさにこの点にあると言うべきでしょう。

 そうなったときに初めて、現時点で最も望ましい国会構成が実現することになります。共産党や社民党など他の野党にとっては、かなり政治技術を要する難しい対応になるでしょうが、一方の麻生自民党、他方の鳩山民主党なら、その間隙をついて前進することは十分に可能ではないでしょうか。


6月23日(火) 自民党カレーライスは腐っている [政権交代]

 自民党の古賀選挙対策委員長は今日、宮崎県庁に東国原英夫知事を訪ね、次期衆院選に自民党公認での出馬を要請しました。知事は選挙後の党総裁就任を条件に掲げ、話し合いはつかなかったそうです。
 自民党総裁くらいなら、自分だってやれるにちがいないと思ったのかもしれません。あの麻生さんでさえ、やっているんですから……。
 さすが、東国原知事は元コメディアンです。「笑い」の取り方を、よくご存知のようで……。

 ところで、見た目は違っていても、中身は同じだと言われています。自民党と民主党についてです。
 自民党カレーライスは、上にカレー、下がご飯です。他方、民主党ライスカレーは、上にご飯で下がカレーだというわけです。
 一見すると違って見えます。でも、食べてみると味は一緒です。かき混ぜてしまえば、違いはなくなるからです。

 とはいっても、違いはある、というのが私の主張です。どちらも不味く味は同じでも、自民党カレーライスは腐っているからです。
 どれだけ腐っているか、私たちはこれまで、嫌というほど思い知らされてきました。自公政権は、日本の経済と社会をズタズタにしてしまったからです。
 これ以上自民党カレーを食べ続ければ、死んでしまいます。これまでも病人続出で、その害毒は日本社会の隅々に及んでしまいました。

 まず、毒入り自民党カレーライスを食べるのをやめなければなりません。これ以上食べ続ければ、日本社会は滅亡してしまうでしょうから。
 麻生政権も腐りきっています。元々、賞味期限1ヵ月だったのですから、首相がアホーでも、選挙目当ての「お友達内閣」でも良かったのです。
 昨年の9月に福田さんが辞任したのは、総選挙で自民党を勝たせるためでした。そのために、自分よりも人気があると勘違いした麻生さんに後を任せ、総裁選で盛り上げるためにスケジュールまで書いて手渡したそうじゃありませんか。

 それなのに、総理の椅子に目がくらんだ麻生さんは解散を回避し続け、今に至るも総選挙を行っていません。麻生さんのためにわざわざ身を引いた福田さんの好意を無にしたというわけです。
 そのために、思いもかけない「長期政権」となってしまいました。1ヵ月も持てばよいということで出発した麻生政権です。1年近くも持つはずがありません。
 閣僚の辞任が相次ぎ、内閣支持率も下がっています。「お友達内閣」ですから、おかしな閣僚が現れるのも当然でしょう。

 麻生さん自身も、こんなに長く首相をやっていなければ、これほどのアホーだということは分からなかったでしょうに。漢字が読めないことも、一般的な知識がないということも、言い間違いが多く、ブレ続けるということも、決断力やリーダーシップが皆無だということも、それに、夜な夜な高級バーに通っていることも、国民に知られることはなかったでしょう。
 お気の毒に。

 話がそれました。腐ったものは口に入れてはなりません。直ちにはき出して、食べるのを止めるべきです。
 でも、民主党の中にも、旧自民党の一部が入り込んでいます。つまり、腐敗の原因になる菌が紛れ込んでいるということになります。
 これでは困ります。何か、良い方法はあるのでしょうか。

 ということで、続きはまた明日。

6月22日(月) 政権交代の意義と必要性 [政権交代]

 麻生首相のお陰で、政権交代に向けての期待が高まっています。都議選の応援に行って、「必勝を期して」と言うべきところ、「惜敗を期して」と言ってしまったそうです。
 なんて、正直な人なんでしょう。思っていることが、そのまま口をついて出てしまうなんて。

 今日の新聞を見たら、発行中の週刊誌の宣伝が出ていました。『週刊現代』7月4日号の見出しは「民意恐るべし!自民はなんと174人が落選」「鳩山民主283議席 自民130議席」となっています。
 都議選についての予測記事もあります。『サンデー毎日』7月5日号には、「『都議選』世論調査 自民はショック死」という記事が出ているそうです。
 総選挙でも、その前哨戦として注目されている都議選でも、自民党の大敗北は避けられないということです。それはそうでしょう、最高指揮官である自民党総裁の麻生首相が、今から「惜敗を期して」いるのですから。

 ところで、ときどき講演などでこう聞かれることがあります。自民党と民主党は政策的には同じだから、政権交代にはあまり意味ないのでは? ヒョッとしたら、もっと悪くなるのでは? という質問です。
 これについて、どう答えたら良いのでしょうか。これからも、このような質問があると思いますので、私の考えを書いておきましょう。
 まず、たとえ政策的に同じであっても、政権交代には意味があり、その可能性がある以上、何としてもそれを実現する必要があるということです。

 その理由は第1に、政権交代は、政権が交代できるという民主的な政治制度のメリットを具体的に示すことになります。これは一般的な意義ですが、現状は変わらないと諦めている人々に、「いや、変わるし、変えることができるのだ」ということを示す最善の例になるでしょう。
 この点では、変わること自体に意味があるということです。このような変化によって政治のダイナミズムを示すことは、政治への関心を高めることにもつながるに違いありません。

 第2に、常に政権交代が起き、変わり続けていれば、変わること自体の意味はそれほど大きくありません。しかし、自民党政権は、短期間を除いて、ずっと政権与党であり続けてきましたから、ますます変わること自体の意味は大きいと思います。
 戦後の政治では47年と93年に政権が交代しましたが、政党の再編などではなく与野党が真正面から対峙した政権交代は、1924年の総選挙以来、実現していません。総選挙前に自民党が分裂しなければ、85年ぶりの歴史的な転換だということになります。

 第3に、野党よりも与党の方がましな政治をやっているというのであれば、変わること自体の意味はありません。このような場合、与党が支持されますから、政権交代は起きないでしょう。
 しかし、現与党の自公政権はこれだけの失政を繰り返してきたのですから、それに対する大きなペナルティーを与えなければなりません。これまでの失政に対する責任追及の手段として民主党など野党を利用し、自公両党を政権から引きずり下ろすことが必要だということです。

 第4に、このような形で与党の責任を問うことは、政治に対する緊張感を取り戻すきっかけになるでしょう。過ちを犯せば、政権を追われるのですから。
 政権交代は、現与党に対する責任追及であると同時に、次の与党に対する警告でもあります。もし、同じような過ちを犯せば、同様に政権を追われることになるのだぞ、というわけですから。

 ということで、政権交代後にどのような政権が成立するにせよ、何よりも交代すること自体に大きな意味があるというのが、私の立場です。まず、自民党をたたきつぶすことが必要です。
 自民党が大敗北して与党の座を追われるのは、15歳の時、政治に関心を持って以来の私の夢でした。40年以上の間、抱き続けてきたその夢が、今、実現できそうなのです。

 嬉しいじゃありませんか。楽しみじゃありませんか。
 この楽しみを、誰にも邪魔されたくありません。
 

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