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10月1日(土) 参院選の結果と今後の政治課題―参院選の歴史的意義、どう発展させていくか、都知事選惨敗結果もふまえて考える(その3) [論攷]

〔以下の論攷は、8月13日に行われた講演の記録です。社会主義協会『研究資料』No.26,9月号、に掲載されました。4回に分けてアップさせていただきます。〕 

 都知事選挙で小池百合子が当選

 舛添前知事の辞任によって7月31日に都知事選が行なわれた。保守は自民党推薦の増田寛也候補と自民党籍の小池百合子候補に分裂し、野党は鳥越俊太郎候補に統一した。革新都政奪回の絶好のチャンスが生まれた。誰しも、これで勝てると思った。私もそう思ったが、結果は小池候補の圧勝となった。なぜか。
 小池候補は、バックに日本会議や在特会などが存在する超タカ派の核武装論者であり改憲論者で、カネの問題も取りざたされている。「グリーン」ではあっても、決して「クリーン」ではない候補者だった。それなのに、なぜ小池候補が勝てたのか。
 まず、小池候補の選挙戦術がうまくいったということがある。「小泉劇場」と同様の手法で、自民党との対決、苛められている女性というイメージをつくりだすことに成功した。最初は判官びいきによる支持を生み出し、後半は勝ち馬に乗ろうという流れをつくった。
 「グリーン・ポピュリズム」が席巻し、勝ったのは「女小泉」だった。ポピュリズムは、不安・欲望・情緒などに迎合して大衆を扇動・操作する手法で、アメリカやイギリス、フランスなど各国で広がっているが、有権者の不安感を焚き付けて大衆操作を行なう点に特徴がある。マスコミを利用してイメージ戦略を展開し、有利な情勢をつくりだしていくことに成功した。こういうポピュリズムの政治を警戒しなければならない。
 他方、鳥越候補側の敗因は、楽観論にあったのではないか。保守は分裂し、野党は統一した。しかも、候補者は著名なジャーナリストで知名度抜群。これ以上いい候補者はいないと受け取られた。鳥越さんが立候補を表明した時にはみんな喜んだ。鳥越さんにも自信があったのだろう。参院選の結果を見て危機感を募らせ立候補を決意したということだが、その参院選では長野で元TBSキャスターの杉尾秀哉候補が当選し、同じ日に投票された鹿児島県知事選では元テレビ朝日コメンテーターの三反園訓候補が当選した。二人とも鳥越さんの後輩のジャーナリストだった。二人が当選できるなら自分もできる、と思ったにちがいない。
 それが油断につながった。宇都宮さんに会って仁義を切ったのは良かったが、もっと礼を尽くして政策を引き継ぎ、全面的な協力をお願いして共に選挙を闘ってほしいと最初から申し入れるべきだった。そうしなかったのは、それでも勝てるという自信があったからではないか。告示日の宣伝カーの上に鳥越さんと宇都宮さんの二人が揃っていたら、その後の情勢は大きく違っていただろう。
 しかも、年齢と健康の問題があり、政策でもつまずいた。がん検診100%が都政の第一の政策であるとか、都ではやれない消費税の引き下げを離島で約束するなど。女性問題でも対応がよくなかった。まったく説明しないで事実無根と言うだけだ。セクハラ問題を軽視したのではないか。これらを利用する形でマスコミがネガティブキャンペーンを流し、それに打ち勝てなかった。陣営内での結束の弱さもあり、宇都宮さんとの確執もマイナスに作用した。
 しかし、鳥越さんが立候補したことは評価したい。参院選で改憲勢力が3分の2に達したことに危機感を抱き、「人生の最期に後悔したくない」と76歳で立候補を決意した。市民+野党7党・会派がまとまって共闘が実現したのは鳥越さんだったからで、そちらの方が良いと思ったから宇都宮さんも辞退を決断した。
 この点では、共闘に向けて民進党をまとめた岡田執行部の指導性も評価したい。岡田代表でなかったら、統一できなかっただろう。83年の松岡英夫候補以来の統一候補となった。あの時は社共共闘だったが、社共だけでなく民進党や生活の党、生活者ネットも含めた野党全部がまとまることができたのは重要だ。
 しかし、この鳥越統一候補を民進党は推したが、連合東京は推さなかった。連合東京は自主投票で、労働組合が力を発揮できなかった。これがかなりのマイナス要因だった。ただし、前回、連合東京は舛添を推薦したから、今回、増田を推薦しないだけましだったかもしれない。
 朝日新聞社の出口調査では、民進支持層で鳥越候補に投票したのは56%にとどまり、28%が小池に投票した。共産支持層の19%も小池候補に投票している。増田候補は自民党だからダメだ、小池候補にしようという人もいたという。社民支持層、生活支持層の2割弱も小池に、4野党共闘の最大の援軍になるはずの無党派層も鳥越には19%だけで、ほぼ半分の51%が小池に投票した。経済問題を重視したのではないか。投票の際の選択肢は、政策や公約(32%)、クリーンさ(18%)で、経歴や実績は15%、支援する政党や団体は5%だけだった。 

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