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10月25日(火) 負けるべくして負けた東京10区と福岡6区の衆院補選 [選挙]

 残念だった、という気も起きないほどの敗北です。力を尽くして負けたのならともかく、指導部の迷走によって敗色濃厚な消耗戦を強いられた挙句の敗北だったのですから。

 「戦犯」ははっきりしています。連合の神津会長とそれに引きずられて迷走を繰り返した野田民進党幹事長です。
 選挙戦の最終盤、東京10区で連合が派遣していた選対幹部を引き上げたと聞いて、「本当なのか?」とわが耳を疑いました。「これから最後の決戦」というときに、その先頭に立つべき幹部がこぞって引き上げたというのですから。
 こんなことをしていて、勝てるわけがありません。先陣をかけている候補者、全力で選挙活動に加わっている支持者、協力してもらっている他の野党などに対して、完全な裏切りです。

 この「敵前逃亡」に対しては、今後、民進党内できちんと責任が追及されるべきです。また、野党協力に対して一貫して消極的だった野田幹事長に対しても、選挙方針や指導の在り方についてきちんとした総括が必要でしょう。
 これは、新潟県知事選挙を含めて反省されなければなりません。勝てる選挙だったにもかかわらず民進党が「自主投票」にとどまったこと、蓮舫代表の応援を阻もうとしたことなど、野田さんの責任は大きいからです。
 衆院補選では、選挙共闘に向けてはっきりとした姿勢を示さず一本化が遅れたこと、その際にも政策協定を結ばず政策的一致点を明確にしなかったこと、他党の推薦を断って共闘候補であることを明確にせず民進党公認にこだわったこと、辞退してもらった候補者を紹介し応援演説してもらうなどの礼を尽くさなかったこと、野党党首クラスの揃い踏み演説にも候補者を出さなかったことなど、数え上げればきりがないほど問題山積でした。

 野田さんは選挙で勝つ気があったのでしょうか。「こんなことをやっていては負けますよ」と誰もが分かるようなことをすべてやって、それで負けてしまいました。
 まさに、負けるべくして負けた補選だったというべきでしょう。その責任は幹事長にあり、その背後で足を引っ張っていた神津連合会長の暗躍にあります。
 どうすれば勝てるのかという視点から選挙戦術を立て直し、本気で野党共闘に取り組む以外に活路はありません。民進党にとって有利か不利か、得か損かなどという利己的な発想ではなく、野党全体の前進によって市民の願いを実現するために誠実に力を尽くすという野党第一党としての責任と矜持を示していただきたいものです。

 昨日開かれた自民党の選挙対策の会議で、下村幹事長代行は次期衆院選の小選挙区では同党の議席が前回よりも86減る可能性があると警告したそうです。その前提は野党の候補者の一本化です。
 自民党ですら、どうすれば野党が勝てるかを知っているということになります。それなのに、野党第一党である民進党がいつまでも迷走を続けているということで良いのでしょうか。

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10月21日(金) 突発的な胃痙攣に襲われてダウンしてしまった [日常]

 ようやく、ブログを書くだけの体力が戻ってきました。というのは、17日(月)の昼すぎに突発的な胃痙攣に襲われ、本日まで七転八倒の日々を送っていたからです。
 まだ、胃の辺りに鈍痛が残っていますが、それでも一時よりは改善し、日常生活に復帰できそうです。明日は、埼玉での講演もありますし。

 先週は1週間ほどカミさんが海外旅行に出かけておりました。いい機会だと思い、私は清貧な生活を心がけ、自宅でお酒を飲むこともせずダイエットに努めたものです。
 ところが、返ってきた途端、この清貧生活はご和算になりました。ご馳走を用意して旅の話などを聞きながら一緒に盃を重ねたわけです。
 胃の方もびっくりしたことでしょう。入ってくるものが一変したのですから。

 その後、講演で近くを通りかかった伯母さんの家を久しぶりに訪問し、歓待していただきました。おいしいご馳走とお酒をたらふくいただいたというわけです。
 これがいけなかったのかもしれません。近くで泊まって、そのまま午後に予定されていた東京革新懇の代表世話人会に出るつもりだったのですが、お昼ご飯を食べたあたりからお腹に違和感を覚え、次第に痛みが増してきます。
 もういけません。会議どころではないと思って自宅に向かいましたが、電車の中でも痛みは増すばかりで、呼吸は荒くなり脂汗さえ出てきます。

 巨人の手で胃袋をつかまれているような痛さです。最寄り駅から自宅近くのなじみの医者に直行し、頼み込んですぐに治療してもらいました。
 点滴で多少痛みは薄らいだものの、それからは苦闘の日々です。あまりの酷使に、ガツンと一発、胃袋から異議申し立てされたように思いました。
 もう、若くはないのだと痛感させられたものです。暴飲暴食を控え、胃袋を大切にしなければならないと、今は反省の日々を送っております。

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10月18日(火) 新潟県知事選での米山隆一候補の当選を祝す [選挙]

 やりましたね。新潟県知事選での米山候補の当選、おめでとうございます。
 今回ほど、我が故郷・新潟県を誇らしく思ったことはありません。きっぱりとした選択によって県民の良識をはっきりと示したのですから。

 16日に投開票された知事選の結果は、無所属新人で医師の米山隆一さん(共産、自由、社民推薦)が、前同県長岡市長の森民夫さん(自民、公明推薦)ら3新人を破り、初当選しました。米山さんは現状での東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に反対しています。
 7月の鹿児島県知事選でも九州電力川内原発の一時停止を求める三反園訓さんが当選しています。同じような構図で闘われた知事選挙で、同じような結果になりました。
 このような県民の選択を尊重するのであれば、政府の原発政策を見直すことは避けられません。しかも、投票率は53.05%で前回の43.95%より10ポイント近くも高くなっており、米山さんが52万8000票、森さんが46万5000票と、6万票以上の大差がつきました。

 米山さんの出馬表明は告示6日前とギリギリのタイミングでした。完全に出遅れた形になりましたが、それからの追い上げはすさまじく、一気に追いつき、追い抜いたことになります。
 その原動力となったのは野党共闘の威力であり、これが第1の勝因です。民進党は「自主投票」となり、連合新潟は森候補を応援しましたが、最終盤になって蓮舫代表や前原さんなどの幹部が「自主応援」に駆けつけ、「滑り込みセーフ」のような形になりました。
 民意に沿った対応を行うことができなかった民進党は、今回の選挙を全面的に総括するべきです。その足を引っ張った連合は、きちんと反省して蟄居・謹慎するべきではないでしょうか。

 第2の勝因は、柏崎刈羽原発に対する県民の不安に真正面から向き合ったことです。初当選を決めた米山氏は新潟市内の事務所で、「原発再稼働に関しては、皆さんの命と暮らしを守れない現状で認めることはできないとはっきりと約束します」と述べました。
 この姿勢が大きな支持を得たということでしょう。与党支持者の中にも原発の再稼動に不安を感ずる人が沢山います。
 しかも、新潟は原発事故を起こした福島のとなりで、避難してきている人もいます。県民にとっては、決して「他人事」ではないと受け取られたのではないでしょうか。

 第3の勝因は、TPPなどへの懸念が高まっていたということです。農業県である新潟にとってこの問題は無視できません。
 しかも、臨時国会では改めてTPPについての審議が始まりました。この問題についての賛否が選挙の結果にも微妙な影響を与えていたように思います。
 すでに、先の参院選でもTPPによって大きな影響を受ける東北地方や甲信越では野党の統一候補が当選していました。同じようなトレンドを今回の選挙でも引き継ぐことによって、TPP審議の出鼻をくじこうとしたのかもしれません。

 この勝利を23日(日)投開票の衆院補選に結び付けていくことが必要です。東京10区と福岡6区でも野党共闘の威力を発揮して統一候補を当選させ、「新潟ショック」を受け継いでいかなければなりません。
 原発、TPP、基地など地方での争点を明確化し、市民と野党が力を合わせれば地方の首長選挙でも勝つことができます。このような「勝利の方程式」が確立したところに、今回の新潟県知事選の最大の成果があったのではないでしょうか。

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10月14日(金) 最後の追い上げによる米山隆一新潟県知事候補の勝利を呼びかける [選挙]

 注目の新潟県知事選も最終盤を迎えています。当初、自民党に推薦されている与党系候補が「楽勝」だと見られていたようですが、その後の猛烈な追い上げで「横一線」になってきたと報じられています。
 米山隆一候補が追い付いてきたというわけですが、一気に抜き去っていただきたいと思います。最後の追い上げで、ぜひ米山候補の当選を勝ち取ってください。

 新潟県には7 基の原子炉合計で821.2万kWの発電出力となる世界最大規模の柏崎刈羽原発があります。その再稼働を許すかどうかが、今回の選挙での争点にほかなりません。
 ひとたび放射能漏れの事故が起きれば、人的な被害だけでなく周辺農業も壊滅するでしょう。新潟県の隣の福島県での原発事故のために避難してきている人々も沢山おられます。
 このような県での知事が原発再稼働を認めるかどうかは、全国の原発の将来にとっても大きな影響を及ぼします。背後に自民党が控えているような知事では、原発の再稼動阻止に向けてきっぱりとした態度をとれるはずがありません。

 今度の選挙では、もう一つ大きな争点があります。それは環太平洋連携協定(TPP)の承認にOKを出すかどうかという問題です。
 TPPが農業の未来と食の安全にとって大きなマイナスをもたらすことは確実です。農業県である新潟にとっては死活を制する重大な選択が問われていることになります。
 たとえ原発事故が起きなくても、TPP協定が承認されて外国から安くていかがわしい農産物や食糧が大量に輸入されるようになれば、新潟の農業は壊滅し農家は疲弊することになるでしょう。国会では今日からTPPについての審議が始まりますが、米山さんの当選でノーを突きつけることができれば、今国会での承認を狙っている安倍政権の出鼻をくじくことができます。

 民進党が「自主投票」となったのは残念でしたが、所属議員の「自主応援」が続いているのは大きな前進です。代表選に立候補した前原さんも応援に駆け付け、私の故郷である上越市で共産党の小池さんと一緒に壇上に立ち、民進党新潟県連会長の黒岩さんや前県連会長の菊田さんも応援弁士になるなど、実質的には全野党と市民の共同で勝利する道が開けています。
 これまでであれば「与野党相乗り」になったり、「自主投票」を決めた段階で選挙運動にかかわらず「静観」したりということだったかもしれませんが、今回はそうなっていません。これも、先の参院選で野党と市民の共同の力が発揮され、野党統一候補だった森さんの当選を勝ち取ったという経験が大きくものを言っているからでしょう。
 参院選と同じ日に投開票を迎え、原発の一時停止を掲げていた三反園候補が当選した鹿児島県知事選の例もあります。保守勢力の強い鹿児島でも当選させられたわけですから、同じような構図で闘っている新潟で米山さんの当選を勝ち取ることは十分に可能でしょう。

 この新潟県知事選の投開票日の1週間後には、衆院の東京10区と福岡6区での補選の投票があります。県知事選の結果はこの補選、ひいては解散・総選挙の動向にも大きな影響を与えるにちがいありません。
 この新潟県知事選は一県知事選にとどまらない大きな政治的な意義を持っているということになります。その意義にふさわしい結果をもたらし、アベ暴走政治をストップさせ、新しい立憲政治に向けての扉を開いていただきたいものです。
 もし原発事故が起きれば、原発に反対していた人々だけでなく賛成していた人々の上にも、等しく放射能はふりかかってくることになります。ひとたび戦争になれば、反対していた人だけでなく賛成していた人に対しても、同じように爆弾は落ちてくるのですから。

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10月11日(火) 草の根で根腐れを起こしていただけでなく幹も腐っている自民党 [自民党]

 一昨日の『しんぶん赤旗』10月9日付をご覧になった方は驚かれたことと思います。一面の真ん中に私の顔写真が出ていたからです。
 悪いことをして手配写真が載ったわけではありません。「白紙領収書」問題についてコメントしたからです。

 そのコメントは、以下のようなものでした。「政権腐敗 原理までねじ曲げ」という見出しがついています。

 高市早苗総務相は「法律上の問題は生じない」などと答弁しましたが、一般の人が同じ方法で脱税などをして、「国会議員もやっている」といったらどうするのか。高市氏は自ら「 白紙領収書」を使っったことを指摘されて開き直っていますが、警察が人のものを盗んで“泥棒にならない”というようなもの。政治資金の所管閣僚としての資格はありません。
 一つの政治勢力が巨大な力を持つと、こういう形で腐っていきます。その政治家たちが長期に政権を取り、憲法の平和主義や基本的人権などの大原理までねじ曲げ、国民の命や暮らしを脅かしています。
 今回の問題の追及も含め、共産党の活躍は際立っています。同時に「一強多弱」をもたらす現行の小選挙区制のもとでは、野党共闘こそ、腐敗する与党に対抗するための、まさに王道なのです。

 この私のコメントが掲載されている記事の見出しは「自民の常識は国民の非常識」となっていました。それでは「国民の常識」とはどのようなものなのでしょうか。
 ネットで公開されているMFクラウド会計のHPでは、「領収書を白紙で出した場合のリスク」について次のように解説されています。

 もしも何らかの理由で白紙の領収書をもらったとしても、自分で記入するのは絶対にやめましょう。その行為は犯罪になります。領収書は法律上の証拠書類です。発行者以外の誰かが勝手に記入したり、書き換えたりすると「文書偽造」という刑法違反の罪になります。税務調査で発覚するかどうかはともかく、仮に本当に支払った金額を記入したとしても、罪になります。まず、重加算税が課されます。重加算税とは、仮装や隠蔽の事実があるときに課される追加課税です。場合によっては逮捕されたり、刑罰や罰金に処せられたりすることもあります。白紙といっても通常は、領収書作成者の住所、名称、電話番号などが書かれてあることが多いようです。このような領収書にたいしても、金額はもちろんのこと、日付も記入するべきではありません。

 ここにはっきりと書かれているではありませんか。「白紙の領収書をもらったとしても、自分で記入するのは絶対にやめましょう。その行為は犯罪になります」と。
 これが「国民の常識」なのです。ところが、この「犯罪」を取り締まる立場にあるはずの高市総務相は、共産党の小池書記局長に追及されて「法律上、領収書の発行側の作成方法は規定されておらず、法律上の問題は生じない」と居直ってしまいました。
 「盗人猛々しい」とはこのことでしょう。法律にわざわざ書いてないのは、誰にでもわかるようなこんな不正をまさか国会議員が犯すとは考えていなかったからです。

 それなのに、堂々と「白紙領収書」に勝手に書き込むという「犯罪」を犯していました。それも、参院予算委員会で追及されて事実を認めた菅官房長官、稲田防衛相、高市総務相の3人だけでなく、安倍内閣の大臣と副大臣30人が白紙領収書を発行していたという報道もあります。
 しかし、不正を追及されて「悪うございました」と謝るのかと思ったら、「問題ない」と居直ってしまいました。「犯罪」を犯しただけでなく、それを反省し謝罪して責任を取るどころか居直るという二重の罪を犯したことになります。
 富山市議会の例もあるように、政務活動費の架空請求や不正使用などでも白紙領収書への記入や領収書の書き加えなどが問題となり、議員の辞職が相次ぎました。不正を犯したことは許されませんが、その責任を認めて辞職しただけ国会議員よりはましだったというべきでしょうか。

 いずれにしても、地方議員のみならず国会議員や大臣に至るまで「『文書偽造』という刑法違反の罪」を犯していたことは明らかです。自民党は草の根で根腐れを起こしていただけでなく、幹まで腐りきっているということになります。
 「刑法違反の罪にな」るのに、それが「犯罪」であるということさえ理解できず、反省して責任を取ることもせずに開き直っているのが、自民党という政党の現在の姿なのです。これを許してしまって良いのでしょうか。
 小選挙区制という選挙制度に助けられ、「一強多弱」に胡坐をかくことができるという構造こそが問題なのです。「白紙領収書」の発行が「慣例」になっていたという驚くべき実体こそ、緊張感の欠落した巨大与党がどこまで腐敗・堕落してしまうのかを典型的に示していると言わざるを得ません。

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10月7日(金) 珍しくまっとうなことを言っている「財界総理」の諫言に安倍首相はどう答えるのか [憲法]

 「オヤオヤ」と思いましたね。今日の『朝日新聞』に掲載されている榊原定征経団連会長の改憲についての発言です。
 珍しくまっとうなことを言っているじゃありませんか。改憲に無駄なエネルギーを注いでいる安倍首相への諫言にほかなりませんが、この発言を安倍首相はどう読んだでしょうか。

 本日付の『朝日新聞』のインタビュー「危機下の『財界総理』 経団連会長・榊原定征さん」での発言です。榊原さんは「安倍晋三首相の宿願は、私は憲法改正だと思います。実現には相当の政治的精力が必要な難題です。危機下にあって、政策実行の優先順位をどう考えますか」と問われて、次のように答えています。
 「戦後すぐにできた憲法を時代に即したものに変えていく必要性は、一般論としてはその通りです。とかく憲法9条が注目されがちですが、教育や防災などの分野は改正は必要と考えます。ただ、経済界からすると、優先順位は憲法ではなく、経済再生であり、社会保障改革であり、構造改革。首相にはいつも『経済最優先』と申し上げ、首相も繰り返し言及されてきた。脇目もふらずにやって欲しい、それが正直なところです」

 この発言に関する限り、きわめてまっとうなものだと思います。「憲法を時代に即したものに変えていく必要性は、一般論としてはその通り」という点や「とかく憲法9条が注目されがちですが、教育や防災などの分野は改正は必要と考えます」という指摘は、憲法の基本原理に反せず、この国の形を壊さないことを指しているとすれば、否定されるようなものではありません。
 しかし、だからと言って、そのような「改憲」に政治のエネルギーを費やしている場合なのか、そのような必要性が一体どこにあるのか、ということが次に問題になります。これについても榊原さんは、「首相と直接、この優先順位の話はしたのですか」という問いに対して、こう答えています。

 「さすがに『憲法改正の議論はやめてください』とは言っていません。でも、どこまで直接的な表現を使うかは別にして、必要なときは言います。憲法審査会で議論するのはいいと思いますが、大事な国会の審議がそちらに割かれ、経済や構造改革、社会保障制度改革の議論が遅れることはあってはならない。経済は国の礎。まず経済をよくしなければなりません」

 さらに、「経済が脇に置かれると、榊原さんの持論の『政治と経済の車の両輪』も狂ってしまう、と」という問いにも次のように答えています。
 「おっしゃる通り。『憲法は後にしたってよろしい』と言うくらいのつもりです。経済界としては、このような経済、社会保障、財政の状況にある時期ですから、まさに『経済最優先』の主張を強く発信するところだと思います」
 ――それが経団連の使命だと。
 「改革には政治の力が絶対に必要です。いくら新聞が書いても、世の中を変えられるのは政府、特に首相しかいない。だから私は政治と連携し、首相に直接、提言できる関係を構築したのです。業界に利益を誘導するとか、そんなけちなことは考えていません」

 このような発言の背後には、経済界としての強烈な危機感があります。それについても榊原さんは次のように指摘し、アベノミクスについても「アベノミクスで、国民所得、税収、雇用の指標も大きく改善しました。最初の3年間は大きな成果を上げたと評価しますが、その後は十分な形になっていないのは確かです」と、失速していることを認めています。

 「日本のGDP(国内総生産)は1993年からの20年間で、増えるどころか減りました。米国は2・4倍、中国は16倍にも増えたのに。世界シェアでは日本は90年の13・8%から2013年は6・6%に落ち、国際社会における経済的プレゼンスは半減しました」
 「人口も減り始めて、2060年には9千万人を割り、国を支える生産年齢人口はいまの6割から5割に減るでしょう。一方、年間の社会保障給付はすでに100兆円の大台を超え、国の予算を上回ります。放っておくと25年度には150兆円ほどにもなる。しかも高齢者向けは大幅に増え、子どもや働き世帯へはほとんど増えていない。医療費は40兆円を超え、国と地方合わせた長期債務残高は、GDPの2倍超です。これほど債務を抱えている先進国はありません。この流れを変えないと、日本はまさに消滅してしまいます」

 こう仰る榊原さんには、「このような危機を作り出してきたのは歴代の自民党政権ではありませんか。それを支持し背後から支えてきたのは、ほかならないあなたたち財界人ではありませんか」と言いたいところです。とはいえ、現在の日本がこのような危機に直面しており、「この流れを変えないと、日本はまさに消滅してしまいます」という状況に陥っていることは間違いありません。
 それは現行憲法のせいではなく、憲法を変えたからと言って「この流れ」が変わるわけでもありません。改憲は政治的なエネルギーの無駄遣いであり、優先順位が間違っているという認識は財界と共有できるということになります。
 榊原さんは現在の政治の優先順位が改憲にはないと明言しています。この論理を民進党はじめ野党は大いに主張するべきでしょう。

 「『憲法は後にしたってよろしい』と言うくらいのつもりです。経済界としては、このような経済、社会保障、財政の状況にある時期ですから、まさに『経済最優先』の主張を強く発信するところだと思います」という経団連会長の発言は、改憲最優先で暴走を加速しようとしている安倍首相に対する強力なブレーキになる可能性を秘めています。この点に限って言えば、立憲野党との共同も可能かもしれません。
 日本の経済と社会が深刻な危機状況に陥っているのに、相も変わらず「壊憲」に精力を費やそうとしている安倍首相の暴走振りが、経済界までも「『憲法は後にしたってよろしい』とも言うくらいのつもり」にしてしまったということでしょう。「財界総理」と目される経団連会長からこのように言われたとき、「政界総理」である安倍首相はどう答えるのでしょうか。


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10月6日(木) 衆院補選での野党共闘を歓迎し統一候補の当選を願う [選挙]

 やっと、実現しました。衆院補選での野党共闘です。
 民進・共産・社民・生活の野党4党は昨日幹事長・書記局長会談を開き、衆院東京10区と福岡6区の補選で共産党が候補を取り下げて民進党の公認候補に一本化することで合意しました。この合意を歓迎し、野党統一候補となった民進党公認候補の当選を呼びかけたいと思います。

 ただし、いくつかの問題があります。一つは、政策合意について口頭で確認しただけで文書での協定が結ばれなかったことです。
 もう一つの問題は、他党からの推薦を受けないことになったことです。これについて、『毎日新聞』は「共産の事実上の支援を受けても、独自候補をアピールしたい民進が『共産推薦』の看板は拒否した形だ」と解説しています。
 しかし、本来であれば、きちんと政策協定を結ぶべきだったでしょう。また、他の野3党からの推薦を受けて、統一候補として全力で闘えるようにするべきだったでしょう。

 そうならなかったのは、他の野党支持者の票は欲しいけれど、さりとて民進党としての独自性もなくしたくないという思惑があったからです。何という手前勝手で虫の良い対応なのかと言いたくなります。
 民進党の野田幹事長は5月の4党党首会談で合意された安保関連法の廃止などを引き続き目指す考えを示したものの「民進党の理念、政策をしっかり打ち出していく」と述べたそうです。文書で政策協定を結べば、それがやりにくくなるとでも思ったのでしょうか。
 また、共産党の小池書記局長は民進党の候補について「野党の統一候補だ」と強調したそうですが、当の野田幹事長は「どういう解釈で応援していただくかは各党の立場による」と述べるにとどめました。ここでも民進党の腰の引けた対応が際立っています。

 しかし、不十分な形であるとはいえ参院選の1人区に続いて「野党の統一候補」が実現し、市民と野党4党の共闘が可能になったわけですから、全力で統一候補の当選を目指していただきたいと思います。その条件は十分にあります。
 東京10区での自民党公認で出馬する若狭勝衆院議員は党都連が豊島練馬両区議計7人に離党勧告を行い除名も検討していることに対して「著しくバランスを欠く」と批判し、もしこれらの区議が除名された場合、補選に当選しても自民党を離党する考えを示しています。若狭さん自身も都知事選で自民党推薦ではなかった小池さんを支援し、二階俊博幹事長から口頭で厳重注意されるなど、自民党内部はギクシャクしています。
 他方、福岡6区でも、自民党福岡県連会長の長男で参院議員秘書の蔵内謙さんと鳩山邦夫さんの次男で前福岡県大川市長の鳩山二郎さんのいずれも公認せず、候補者一本化の調整を断念しました。自民党は当選した方を追加公認する方針ですが、保守分裂選挙となることは避けられません。

 野党の側は統一して候補を立てるのに、与党の側は内部がギクシャクしていたり、分裂していたりという弱みを持っています。チャンスではありませんか。
 ぜひ、このチャンスを生かしていただきたいものです。参院選で示された市民と野党との共闘の威力を補選でも再現することができれば、腰の引けている民進党に活を入れ、来る衆院選での野党共闘実現に大きな弾みをつけることは間違いないのですから。

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10月3日(月) 新潟県知事選で民進党議員は「自主応援」に駆けつけ民進党支持者は米山候補に「自主投票」して欲しい [選挙]

 新潟県知事選が告示されました。結局、民進党は米山隆一候補を支援せず、「自主投票」のままとなっています。
 期待を担って出発した蓮舫執行部ですが、幹事長に野田元首相が就任して、ビックリした人、ガッカリした人、両方合わさってガックリした人もおられたと思います。この新潟県知事選への対応にしても、同じように感じた方は多かったにちがいありません。

 とはいえ、蓮舫新執行部はこれまでの野党共闘路線を維持するとの方針を確認しました。野田幹事長も与党への対決姿勢を示すなど、今のところすり寄るそぶりを示していません。
 これは結構なことだと思います。ぜひ、このままの姿勢を貫いて、「また、裏切るのではないか」との見方を裏切っていただきたいものです。
 蓮舫代表は盛んに「提案型」の党運営を強調していますが、そのことによって安倍首相の術中にはまらないように気を付けていただきたいと思います。なんと言っても、アベ暴走政治にストップをかけるというのが、野党第一党が担うべき最低限の役割なのですから。

 その意味からいっても、新潟県知事選で「自主投票」となったのは残念で仕方がありません。先の参院選では野党共闘の力を発揮して森裕子候補の当選を勝ち取ることができたのですから。
 今回の県知事選でも市民と野党が力を合わせれば、米山さんの当選を勝ち取ることは十分に可能です。それだけに、連合新潟に足を引っ張られて民進党が共闘の枠から脱落してしまったのは返す返すも残念です。
 とはいえ、「自主投票」ですから、「自主」的に応援したり投票したりすることが禁止されているわけではありません。現に、阿部知子民進党衆院議員が米山候補の応援に入って、「民進党は自主投票。でも自主なんです。一致点があれば、他の議員もこれから応援に入ります。私も何度でも来ます」と訴えています。

 このような形で、他の民進党議員もこぞって応援に入ってもらいたいと思います。その数が多ければ多いほど、民進党という政党に対する信頼感も増すことでしょう。
 民進党を支持している皆さんも、米山さんに「自主投票」していただきたいと思います。この新潟県知事選の投票日の1週間後には東京10区と福岡6区での衆院補欠選挙の投票もあり、その結果は補選にも大きく影響するにちがいありません。
 その衆院補選での共産党との候補者調整について、蓮舫代表は「補選は全国で二カ所しかない。野党対与党のシンプルな構図が望ましいと思うが、どういう形が良いか、なお検討している」と語っています。いつまでもこんなことを言っていないで、さっさと結論を出して共闘体制を組んだらよいではありませんか。

 補選での候補者調整について、共産党は民進党に「下ろせ」と言っているのではありません。「下ろしても良い」と言っているのです。
 「どういう形」などというほどの選択肢はありません。参院選での1人区と同じように、一致できる政策を確認して協定を結び、民進党候補を野党の統一候補とするだけの話でしょう。
 そうすれば、「与党対野党のシンプルな構図」ができます。「なお検討」しなければならない問題が、一体どこにあるというのでしょうか。

 野党共闘に向けて指導性を発揮できるかどうか。この点で蓮舫執行部は試されているのだということをしっかりと自覚しなければなりません。
 最初の試験であった新潟県知事選では合格点を取れませんでした。続く衆院補選でこの失点を挽回できなければ、出発したばかりの蓮舫執行部は緒戦でつまずいてしまうことになるでしょう。

 なお、10月の講演の予定は以下のようになっています。関係者の方やお近くの方に足を運んでいただければ幸いです。

10月15日(土)午後2時 青梅霞台9条の会:青梅市民センター
10月16日(日)午後1時半 茨城9条の会:茨城県立青少年会館
10月22日(土)午後1時半 埼玉革新懇:ほまれ会館
10月29日(土)午後2時 見附市9条の会:見附市中央公民館
10月30日(日)午後1時半 寺泊・良寛の里9条の会


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10月2日(日) 参院選の結果と今後の政治課題―参院選の歴史的意義、どう発展させていくか、都知事選惨敗結果もふまえて考える(その4) [論攷]

 〔以下の論攷は、8月13日に行われた講演の記録です。社会主義協会『研究資料』No.26,9月号、に掲載されました。4回に分けてアップさせていただきます。〕 

 新たな共同の展望

 参院選で負け、絶好のチャンスと思われた都知事選でも負けて、戦争法廃止、憲法改悪阻止の闘いをどうしていくのか。次の闘いに向けた態勢をどうつくるかが問われている。これからの課題は、アベ政治のさらなる暴走に歯止めをかけながら、本格的に政権交代への準備を始めることであり、市民+野党による共同の拡大、政策的一致、国会内での協力、選挙への取り組みなどを進めていくことだ。
 野党共闘での不一致点は多い。しかし、先の通常国会では民進党・共産党・社民党・生活の党が共同し、戦争法廃止法案を始め、介護職員等処遇改善法案、保育士処遇改善法案、選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案、金融商品取引法改正案など多岐にわたる15本の法案を共同提案している。これをもっと広げていくことが必要だ。今後、野党によって樹立される新しい政府がどのような政策を実施していくのか、そういう基盤づくりにつながる。
 臨時国会でも、野党側の共同提案で新しい法案をどんどん出していけばいい。国会審議も一緒に連携して臨む。とりわけ政策的準備が重要で、通常国会での共同提出法案や参院選での確認事項を踏まえ、臨時国会での法案提出などを進めながら、外交・安全保障、米軍基地、自衛隊、税制、TPP,エネルギーなどの基本政策での合意形成に努めることが必要だ。 
 選挙では、10月の東京10区の衆院選補欠選挙と福岡6区の補欠選挙、さらに解散・総選挙や首長選挙でも野党の統一候補を立てるなど、共同を拡大していくことが課題となっている。候補者の選定や擁立に向けての話し合いを今からでも進めていかなければならない。
 朝日新聞調査では、安倍首相の方が「他よりよさそう」という回答が46%で、「野党に魅力がなかったから」がまだ71%もある、ここが大きな問題で、争点を提起するときにアベノミクスの失敗追及や反対だけでは支持は広がらない。戦争法反対、改憲阻止などの反対、阻止だけではなく、その後をどうするのか。反対して阻止したあと、豊かで明るい希望が持てる社会が生まれてくるのか。積極的なビジョンや構想を打ち立てていかなければならない。主体的な力を強めることは当然だが、そういう政策的な魅力を高める、アベ政治後のビジョンを提示して明るく夢のある未来像を積極的に打ち出していかなければならない。
 これまで政党関係者や支持者も、民進・共産・社民・生活の党と住み分けていて、市民運動はなるべく政党にかかわらないように一定の距離を置いてきた。これが戦争法反対、参院選、都知事選を通じて結びつくようになってきている。顔見知りになり、信頼関係も生まれた。この結びつきを、これからも大切にしなければならない。
 私は今年1月、八王子市長選に立候補したが、共産党・社民党・維新の党・生活の党・生活者ネットが支援してくれた。民主党は党としては支援しなかったが、有田芳生参院議員が個人的に応援してくれた。無党派の市議も一緒に闘った。そこで顔見知りになり、親しくなって人間関係が深まった。
 これをそのままにして、さよならするのではもったいない。これまで、戦争法反対の運動と参院選、都知事選でつくりあげた市民や野党間の多様なつながり、信頼関係を大切にし、さらにこれからの選挙の取り組みにも生かしていく。選挙共闘の取り組みへと発展させていかなければならない。
 また、大衆運動での一点共闘を拡大することも、「草の根」からの連合政権の土台づくりになる。今年の5月のメーデーでは、全労連のメーデー集会と全労協のメーデー集会で事務局長がお互いにエールを交換した。そういう動きも生まれてきている。これを発展させて、統一メーデーを実現してほしい。
 原水禁運動も原水禁と原水協がいまだに別々にやっている。まだ、いろいろとギクシャクするところもあるだろうが、一緒にやれるように努力してほしい。いろいろな大衆運動でも共同・統一を進めていくことができるのではないか。とくに今回の参院選で統一候補を擁立したところでは、連合傘下の労働者も全労連傘下の労働者も一緒に選挙を闘ったわけで、そういう共同の経験を生かしていかなければならない。
 今後、戦争法廃止・改憲阻止に向けて、まず問題になるのが戦争法の発動阻止の課題だ。当面、11月に南スーダンへのPKO部隊の派遣、駆けつけ警護や宿営地の共同防衛の問題がある。安保法に基づく新たな任務についての訓練も始まろうとしている。このままでは日本という国の形が変わってしまう。
 自由で民主的な平和国家としてのこの国のあり方は、安保法によって既に変質を始めている。憲法の原理と理念を破壊する「壊憲」策動を許さないだけでなく、安保法の全面的な発動を阻止することが必要だ。同時に、「壊憲」派への批判を強める。
 憲法学習は、ぜひ自民党の憲法草案を教材にしてほしい。「改憲案はどうあってはならないか」を示しているからだ。自民党がいかに馬鹿な政党で、とんでもないことを言っているかがはっきりと分かる。逆に言えば、現憲法がいかに優れているかがよく理解できる。ぜひ現憲法と自民党憲法草案を対比して学習し、憲法改憲阻止の闘いを広げていってほしい。

 むすびに

 参院選は「関ケ原の合戦」だと言っていたが、「天下分け目のたたかい」は始まったばかりだ。本格的な対決は次に持ち越しとなった。今後あり得る解散・総選挙がさらなる決戦の場となる。
 今年中に総選挙があるかもしれないし、年末選挙も云々されている。安倍首相は、参院選では「壊憲」を持ち出せなかったから、次の総選挙で正面から「壊憲」を打ち出し、これで勝ったら胸を張って「壊憲」を進められる、と思っているかもしれない。そうできるかどうかは、これからのわれわれの闘いしだいだ。
 そこで一番重要なことは、参院選での成果を確信に教訓を学ぶことだ。より効果的で緊密な共闘・候補者を選定し、勝てる共闘を模索していくことが必要だ。参院選の候補者擁立は急ごしらえだった。全部の1人区で統一候補がそろったのは5月31日で公示の約3週間前にすぎない。突貫工事でつくった「プレハブ住宅」のようなものだ。これから本格的な風雪に耐える「新しい建物」をつくる。本格的な野党共闘だ。総選挙がその試金石になる。始まったばかりの野党共闘は緒戦で一定の成果を上げた。今後、どう発展するかはこれからの取り組み如何にかかっている。
 今回の参院選での得票を基に、『北海道新聞』は総選挙で共闘した場合の議席を試算している。それによれば、北海道内では野党側が10勝2敗になるという(7月19日付)。総選挙での野党共闘が実現すれば、アベ暴走政治をストップさせ、新しい政権をつくれる見通しは十分にあり、大きな可能性がある。総選挙に勝利すれば、共同の政府樹立に向けて新しい展望も開けてくる。そのためにいま努力することが、私たちの責務だと思う。


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10月1日(土) 参院選の結果と今後の政治課題―参院選の歴史的意義、どう発展させていくか、都知事選惨敗結果もふまえて考える(その3) [論攷]

〔以下の論攷は、8月13日に行われた講演の記録です。社会主義協会『研究資料』No.26,9月号、に掲載されました。4回に分けてアップさせていただきます。〕 

 都知事選挙で小池百合子が当選

 舛添前知事の辞任によって7月31日に都知事選が行なわれた。保守は自民党推薦の増田寛也候補と自民党籍の小池百合子候補に分裂し、野党は鳥越俊太郎候補に統一した。革新都政奪回の絶好のチャンスが生まれた。誰しも、これで勝てると思った。私もそう思ったが、結果は小池候補の圧勝となった。なぜか。
 小池候補は、バックに日本会議や在特会などが存在する超タカ派の核武装論者であり改憲論者で、カネの問題も取りざたされている。「グリーン」ではあっても、決して「クリーン」ではない候補者だった。それなのに、なぜ小池候補が勝てたのか。
 まず、小池候補の選挙戦術がうまくいったということがある。「小泉劇場」と同様の手法で、自民党との対決、苛められている女性というイメージをつくりだすことに成功した。最初は判官びいきによる支持を生み出し、後半は勝ち馬に乗ろうという流れをつくった。
 「グリーン・ポピュリズム」が席巻し、勝ったのは「女小泉」だった。ポピュリズムは、不安・欲望・情緒などに迎合して大衆を扇動・操作する手法で、アメリカやイギリス、フランスなど各国で広がっているが、有権者の不安感を焚き付けて大衆操作を行なう点に特徴がある。マスコミを利用してイメージ戦略を展開し、有利な情勢をつくりだしていくことに成功した。こういうポピュリズムの政治を警戒しなければならない。
 他方、鳥越候補側の敗因は、楽観論にあったのではないか。保守は分裂し、野党は統一した。しかも、候補者は著名なジャーナリストで知名度抜群。これ以上いい候補者はいないと受け取られた。鳥越さんが立候補を表明した時にはみんな喜んだ。鳥越さんにも自信があったのだろう。参院選の結果を見て危機感を募らせ立候補を決意したということだが、その参院選では長野で元TBSキャスターの杉尾秀哉候補が当選し、同じ日に投票された鹿児島県知事選では元テレビ朝日コメンテーターの三反園訓候補が当選した。二人とも鳥越さんの後輩のジャーナリストだった。二人が当選できるなら自分もできる、と思ったにちがいない。
 それが油断につながった。宇都宮さんに会って仁義を切ったのは良かったが、もっと礼を尽くして政策を引き継ぎ、全面的な協力をお願いして共に選挙を闘ってほしいと最初から申し入れるべきだった。そうしなかったのは、それでも勝てるという自信があったからではないか。告示日の宣伝カーの上に鳥越さんと宇都宮さんの二人が揃っていたら、その後の情勢は大きく違っていただろう。
 しかも、年齢と健康の問題があり、政策でもつまずいた。がん検診100%が都政の第一の政策であるとか、都ではやれない消費税の引き下げを離島で約束するなど。女性問題でも対応がよくなかった。まったく説明しないで事実無根と言うだけだ。セクハラ問題を軽視したのではないか。これらを利用する形でマスコミがネガティブキャンペーンを流し、それに打ち勝てなかった。陣営内での結束の弱さもあり、宇都宮さんとの確執もマイナスに作用した。
 しかし、鳥越さんが立候補したことは評価したい。参院選で改憲勢力が3分の2に達したことに危機感を抱き、「人生の最期に後悔したくない」と76歳で立候補を決意した。市民+野党7党・会派がまとまって共闘が実現したのは鳥越さんだったからで、そちらの方が良いと思ったから宇都宮さんも辞退を決断した。
 この点では、共闘に向けて民進党をまとめた岡田執行部の指導性も評価したい。岡田代表でなかったら、統一できなかっただろう。83年の松岡英夫候補以来の統一候補となった。あの時は社共共闘だったが、社共だけでなく民進党や生活の党、生活者ネットも含めた野党全部がまとまることができたのは重要だ。
 しかし、この鳥越統一候補を民進党は推したが、連合東京は推さなかった。連合東京は自主投票で、労働組合が力を発揮できなかった。これがかなりのマイナス要因だった。ただし、前回、連合東京は舛添を推薦したから、今回、増田を推薦しないだけましだったかもしれない。
 朝日新聞社の出口調査では、民進支持層で鳥越候補に投票したのは56%にとどまり、28%が小池に投票した。共産支持層の19%も小池候補に投票している。増田候補は自民党だからダメだ、小池候補にしようという人もいたという。社民支持層、生活支持層の2割弱も小池に、4野党共闘の最大の援軍になるはずの無党派層も鳥越には19%だけで、ほぼ半分の51%が小池に投票した。経済問題を重視したのではないか。投票の際の選択肢は、政策や公約(32%)、クリーンさ(18%)で、経歴や実績は15%、支援する政党や団体は5%だけだった。 

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