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7月30日(木) 来年の参院選が楽しみだ [選挙]

 1年先の話ですから、鬼に笑われるかもしれません。来年の7月にある参院選です。
 この選挙でどのような結果が出るか、今から楽しみです。少し前までは、この参院選で与党が3分の2以上の議席を獲得することを阻まなければならないと訴えていましたが、今では大きく様変わりしました。
 もはや、与党が躍進するなどと危機感を抱く人はいないでしょう。このような変化をもたらした最大の「功労者」は安倍首相その人です。

 第1に、選挙区の定数が変わりました。参院選の「1票の格差」を是正する公職選挙法改正案が成立しましたが、最後まで難航したのは自民党が抵抗したからです。
 郡部に強く都市部に弱い自民党は、なるべく合区を少なくして都市部の選挙区の定数を増やしたくありませんでした。そのために、今回の定数是正は当面の微調整にすぎず、抜本的な改革にはなりませんでした。
 それでも、結果的には自民党にとって不利に、他の政党にとっては有利な形で選挙区の再編がなされました。この過程で連立与党の公明党との間にヒビが入ったことも注目されます。

 第2に、選挙権が拡大され、18歳以上となりました。すでに1993年刊行の拙著『一目で分かる小選挙区比例代表並立制』(労働旬報社)で、18歳選挙権を主張していた私としては、大いに歓迎すべき改革です。
 しかし、自民党はずっとこのような選挙権年齢の引き下げに反対してきました。最近になってこれを受け入れたのには理由があります。
 その一つは、選挙権年齢を18歳以上とした改正国民投票法を成立させるための譲歩であり、もう一つは、新たに選挙権を得た若者が投票先として自民党を選ぶかもしれないという期待を持ったためです。ネット空間で目立ち始めていた右翼的言説をまき散らす「ネトウヨ」に幻惑されたからです。

 第3に、国民の政治的覚醒が格段に高まりました。この間の原発再稼働反対、特定秘密保護法反対、「戦争法案」反対などの運動によって「デモの復権」が生じ、政治の現実に対する認識が深まり、安倍政権の暴走への危機感が広く国民に共有されるようになっています。
 とりわけ、若者や女性における政治的な覚醒は目覚ましく、自民党が期待を寄せた「ネトウヨ」に代わって「ネトサヨ」(ネット空間での左翼的言説の拡散)が目立ってきています。新たに選挙権を得た18~19歳の若者が必ずしも右翼的ではなく、自民党に入れるとは限らないような状況が生まれました。
 来年の参院選では、「SEALDS」などに加わって集会やデモに参加した若者が大挙して投票所に向かう光景が見られるかもしれません。このような若者をはじめとして、雪のように積み重なった安倍政権に対する怒りや憤懣が大雪崩を起こし、巨大な政治変動を生ずる可能性が生まれています。

 第4に、政党支持構造の地殻変動が始まり、政党支持率にも変化が生じました。世論調査では、内閣支持率の急落と不支持率との逆転が生じて注目されたことはご存知の通りです。
 同時に、政党支持率にも、大きな変化が生まれました。これが顕著に示されているのは共同通信の調査ですが、この間、「戦争法案」推進の姿勢を取って来た自民党(31.9%)、公明党(2.9%)、維新の党(3.6%)の支持率が低下し、反対してきた民主党(11.2%)、共産党(7.3%)、社民党(2.1%)の支持率が増えています。
 内閣支持率が30%を割り、自民党支持率よりも低くなって、両者の合計が5割を切れば、危険信号が点滅すると言われています。このような状況になって安倍政権が倒れるのか、現在の政党支持率の傾向が維持されたまま参院選に雪崩れこんでいくのか。今後の推移が注目されます。

 第5に、この間の「戦争法案」反対運動の中で野党間の連携が強まりました。民主党が政府批判の立場を明確にし、共産党や社民党、生活の党などと同席する機会も多くなっています。
 地域や地方議会のレベルでは、さらに新社会党や生活クラブなど、多くの政党・政派による共同が実現しています。このような経験を生かして、参院選の1人区などでの選挙協力の可能性が出てきました。
 この点では、沖縄での衆院選小選挙区の経験に学ぶことが必要でしょう。この間の運動によって培われた経験や信頼関係を、ぜひ来年の参院選での取り組みに活かしていただきたいものです。

 以上に見たような変化や可能性は、安倍政権の暴走をストップさせようとする運動の中から生まれてきたものです。この点で、安倍首相が果たした役割は巨大なものでした。
 「歴史に名を残したい」というのであれば、この辺で手を引くのが一番でしょう。集団的自衛権の行使容認のための「戦争法案」を成立させても、歴史に残るのは平和憲法を破壊したという汚名だけですから……。
 それよりも、ここで断念した方がずっと「歴史に名を残す」ことになるでしょう。国民に対する巨大な政治教育を行い、若者の政治的覚醒をもたらし、憲法と立憲主義への認識を高め、護憲勢力を増やすために大いに「貢献」したという点で……。

 これらの変化は、来年の参院選で与党に不利に、野党に有利に働くにちがいありません。安倍政権の暴走を阻止し、政権打倒にまで追い込んでいく運動が、とりもなおさず参院選に向けての準備になっている、それも野党勝利に向けての準備に、という関係が強まっているのではないでしょうか。
 というわけで、来年の参院選が楽しみです。

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7月29日(水) 磯崎陽輔総理補佐官の発言で明らかになった安倍政権中枢の「本音」 [戦争立法]

 この人は正直な人なのでしょうね。日ごろから安倍首相の周辺で話していた会話を、そのまま口にしてしまっただけなんだと思います。
 それは安倍首相の「本音」でもあるのでしょう。自分の「本音」を正直に代弁してくれたからこそ注意しただけで更迭要求をはねつけ、その後、仲良く一緒に一杯やっていたわけです。

 磯崎陽輔総理補佐官が大分市内の講演で、「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、(従来の憲法解釈との)法的安定性は関係ない。国を守るために必要な措置かどうかは気にしないといけない。政府の憲法解釈だから、時代が変われば必要に応じて変わる」と語って問題になっています。日本は法治国家ですから、「法的安定性は関係ない」というのは法治国家を否定するに等しく、公職にある人物としては相応しくありません。
 総理補佐官として相応しくないだけでなく、立法府の構成員である国会議員としての資格もありません。直ちに、議員を辞職するべきです。
 この発言はそれだけ大きな意味を持っています。きちんと処分がなされなければ、法治国家を否定する磯崎さんと同じ立場に立っていることを告白することになります。

 しかも、磯崎さんは安全保障を担当する補佐官です。その方が、「我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない」と言い切ったことも大きな問題です。
 今回の「戦争法案」が「法的安定性」を欠いていることを、事実上、認めたことになるからです。それ以上に「我が国を守るために必要な措置かどうか」ということの方が重要だと言っているのですから……。
 最大の基準は「我が国を守るために必要な措置かどうか」であって、「法的安定性」は二の次だというわけです。つまり、「憲法は関係ない」ということにならざるを得ません。

 安倍首相の周辺には「安全教」とでも言うべき新興宗教が広がっているようです。「日本の安全にとって必要だ」と一言唱えれば、何でも許されると信じ込んでしまっているのではないでしょうか。
 大切なことは「我が国を守るために必要な措置かどうか」であって、法的安定性も、憲法も、立憲主義も、民意も、民主主義も、みんな関係ないということなのでしょう。ひたすら「日本の安全」を唱えていれば、全ては許されると思い込んでいるようです。

 しかし、「戦争法案」の成立によって辿ろうとしているのは「アメリカの道」です。端的に言えば、これまでアメリカが行ってきた戦争の手伝いや肩代わりにほかなりません。
 「アメリカの道」がどのような結果をもたらすかは、アメリカ自身の過去が示しています。世界の平和や安定でもなければ自国の安全でもありません。
 安倍首相と仲間たちが信奉する「安全教」は、アメリカの過ちを日本に強いることになるだけです。そのような道を歩むことは、世界の平和と安定を損ない、日本と日本国民の安全を脅かすことになるでしょう。

 磯崎陽輔総理補佐官の発言は、今の政権中枢がどのような認識で「戦争法案」を成立させようとしているかを明らかにしました。この発言によって、「戦争法案」に反対する運動は立憲主義とともに法治国家を救う運動でもあるという新たな意義を獲得したことになります。

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7月26日(日) 参院で採決できなくなるような世論状況を生み出すほどの運動の高揚を [戦争立法]

 昨日の『しんぶん赤旗』に私の談話が掲載されました。下記のようなものです。

 政権に数々の山

 戦争法案の廃案に向けては、3つのことが重要です。
 一つは、戦後最長の会期延長によって、かえって法案の危険性が知れ渡り、反対がさらに強まるチャンスが拡大したことです。
 二つ目は、自民党の改選議員は来夏の参院選への影響を懸念し、公明党の支持母体である「創価学会」では法案成立反対が多数で、両党ともジレンマ(板ばさみ)を抱えています。
 そして第3に、これから2カ月、安倍政権には数々の山が立ちはだかります。70年談話、原発再稼働、沖縄新基地に加え、TPP(環太平洋連携協定)、選挙制度改革、労働の規制緩和、岩手県知事選などです。
 支持率急落の中、これらの山を乗り越えて法案を成立させられるのか。「廃案」の声が圧倒的多数になり、「やれるものならやってみろ」という状況に追い込まれる可能性は十分にあります。

 上手くまとめるものです。取材ではもっとたくさんのことを話しましたが、それが要領よくまとめられています。
 この取材に対して、私が話したのは以下のようなことでした。

 第1に、会期延長は「60日ルール」を見越してのものですが、それがかえって反対運動を高めるチャンスを提供することになったということです。これは安保闘争との大きな相違です。
 安保闘争の時には5月19日の夜から翌20日の未明にかけて条約の強行採決があり、以降、「議会制民主主義の破壊を許すな」という運動へと拡大していきました。しかし、条約は30日後に自然承認となり、「樺美智子さんの死」や「7社共同宣言」などもあって反対運動は終息に向かいます。
 今回は一般の法案ですから自然承認はなく、いずれ参院での採決というヤマ場が訪れます。明日から参院での審議が始まりますから、国会内外での反対運動はさらに盛り上がることは確実で、またそうすることで採決できなくすることが必要です。

 第2に、与党による採決を阻止するうえで必要なことは、「弱い環」を狙うことです。それは自民党の改選議員と公明党です。
 来年の7月には参院選があり、ここで改選される自民党議員に狙いを定めて「戦争法案」への態度を問い、動揺を誘うことです。反旗を翻すところまで追い込むような運動を展開することが必要でしょう。
 また、公明党支持者や創価学会内でも、この「戦争法案」への反対や「説明不足」だという声が高まっています。「平和の党」という看板を掲げて支持を得てきたのですから、それに反する行動を取れば批判されるのは当然です。

 第3に、安倍政権の「体力」を低下させるような「山」が、これから幾重にも連なっているということです。
 戦後70年談話、原発の再稼動、沖縄辺野古での新基地建設をめぐる沖縄県との対立、自民党本部で反対集会が開かれたTPP(環太平洋連携協定)の最終合意、派遣法の改定など労働法制の大改悪、安倍首相の訪中に向けての動き、乱高下している株価、公明党との亀裂が生じた選挙制度改革、岩手県知事選挙、そして、その後にやってくる自民党の総裁選。
 このように、「山」また「山」の連続です。安倍首相は、これらの「山」を大過なく乗り越えられるのでしょうか。

 そして第4に、決定的なのは、内閣支持率の動向です。共同通信の調査では、政党支持率も大きく変化し始めたことが示されています。
 とりわけ、自民党支持率が前回から5.1ポイント減の31.9%と急落していること、共産党の支持率が急上昇して7.3%となったことが注目されます。この間の運動の状況を反映した当然の結果だと思いますが、今後もこのような傾向が続けば安倍政権にとっては大きな打撃となることでしょう。
 自民党の議員にとっては支持率の高さこそが沈黙の第一条件であり、安倍首相の我儘によって自民党支配が危機に陥るようなことになれば、黙ったいるわけにはいかなくなります。内閣だけでなく政党支持率も下がれば、ソロリと動き出す人も出てくるにちがいありません。

 あと2カ月間もの時間があります。国会周辺のデモだけでなく、議員にFAXやメール、手紙などで直接声を届け、とりわけ地元での草の根の反対運動を盛り上げ、参院で採決できなくなるような世論状況を生み出すことが必要です。このようにして「戦争法案」への反対世論を高め、「やれるものならやってみろ」と言えるような状況を生み出そうではありませんか。
 今日の午後1時半から地元の八王子で、「八王子市民パレード実行委員会」主催の集会とパレードがあります。私も参加しますが、多くの市民の皆さんが子安公園に集まられるよう呼びかけるものです。

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7月22日(水) 残された左目を殴られたのは1972年2月28日のことだった [戦争立法]

 「裁判所の前で、左目を殴られたことがあったでしょう。あの時、救急車で運ばれた病院はどこだったかしら。私が付き添っていったんだけど、覚えてる? あさま山荘事件の日で、心配しながらテレビを見ていたの」

 先日、戦争法案についての講演会があり、その後の交流会が終わった後、見送りに出てくれた大学後輩のMさんがこう言いました。覚えていませんでした。
 右目を失明させられた事件の裁判を傍聴に来ていた友人たちに挨拶したとき、突然、暴力学生の一団が現れて左目を殴られ、救急車で運ばれたことは覚えています。その時、担ぎ込まれたのが慈恵医大病院だったことも……。
 しかし、その時、病院まで付き添ってくれたのがMさんだったことや、その日があさま山荘事件の日だったことも全く覚えていませんでした。ということは、左目を殴られて病院に担ぎ込まれた日は1972年2月28日だったということになります。

 都立大学の学生だった私が、全共闘を名乗っていた暴力学生の1人に竹ざおで右目を刺されて失明したのは、その前年の1971年9月10日のことでした。犯人のWは傷害罪の容疑で逮捕され、東京地裁での裁判が始まります。
 私は検察側証人として出廷し証言することになっていました。その前に、支援に来ていた友人たちに会いに行ったとき、この事件が起きたのです。
 すでにこの時、私の右眼は義眼でしたから、左目を殴られれば全く見えなくなってしまいます。証人として出廷が予定されていた私が病院に運び込まれたため、公判は延期されました。

 応急処置をされて救急車で運ばれる間、その直前に見た映画「アラビアのロレンス」の一場面を鮮明に思い出しました。「あれが、この目で見ることができた最後の映画だったかもしれない」と思いながら……。
 半ば、失明を覚悟していたのです。右目を失い、そして左目も見えなくなるかもしれないという不安と恐怖を抱きながら……。
 治療が終わって、左目が見えることを知ったときの喜びは、今も忘れることができません。この時、何かと面倒見てくれたMさんのことを忘れてしまったのは、その喜びがあまりにも大きかったからだと思います。

 突然のことでしたので、私に殴り掛かった学生のことは良く覚えていません。しかし、私の左目を狙って殴り掛かってきたことは、はっきりと覚えています。
 自分たちの仲間が傷つけて右目を失明させたことを反省するどころか、その残された左目を狙って殴り掛かってきたわけです。それが人間のやることなのでしょうか。
 暴力に頼る者は、その人自身も暴力によって壊されてしまうということでしょう。人としての感性も自制も相手への思いやりも、そして自らの人間性や人格さえも……。

 国や社会も同じなのではないでしょうか。力や暴力に頼ろうとした時から、その国や社会は壊れ始めていくように思います。
 そのような国や社会になっても良いのか。70年間拒否してきたそのような歩みからそれてしまって良いのかが、今、私たちに問われているように思います。

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7月18日(土) 「戦争法案」審議で明らかになった共産党議席増の大きな意義 [論攷]

〔以下の論攷は、東京大学人・研究者日本共産党後援会ニュース『波濤』7月13日付、166号、に掲載されたものです。〕

 「戦争法制」審議で追い込まれた政府・与党

 国会で「戦争法制」についての審議が行われています。しかし、それは政府・与党の目論見通りには進んでいません。次々と問題が明らかになり、審議が進むほどにかえって反対世論が強まっているからです。
 法案が衆院を通過しないうちに通常国会の会期は終わってしまいました。法案成立に執念を燃やす政府・与党は、95日間という戦後最長の会期延長を行っています。衆院の強行突破によって参院での審議が空転しても、60日間経ったら否決されたとみなして衆院で3分の2の多数で再可決するという「60日間ルール」を見越しているからです。
 こんなやり方が通用するのであれば、参院が存在する意味がありません。2院制の否定そのものではありませんか。参院の自民党からも「我々を無視するのか」と文句を言われるような暴挙に出たのは、それだけ政府・与党が追い込まれているからです。苛立った自民党の若手議員は党本部での勉強会で「マスコミを懲らしめる」などと発言し、責任者が処分されるなど、大きな批判を受けました。

 「潮目」を変えたのは志位質問

 このような形で誤算が生まれ、法案審議で追い込まれてしまったのは、いつからでしょうか。それははっきりしています。5月20日の党首討論に共産党の志位和夫委員長が登場してからです。
この時、志位委員長はポツダム宣言にある「間違った戦争だった」という認識について質問し、「この認識をお認めにならないのですか」と詰め寄りました。とっさに言い逃れようとした安倍首相は、「まだ、その部分をつまびらかに読んでおりませんので……論評することは差し控えたい」と答えてしまいました。これが「潮目」の変わるきっかけです。
 この後、5月26日の衆院本会議での代表質問と、これに続く5月27、28両日の安保法制特別委員会での志位委員長の質問も大きな反響を呼びました。緻密な論理と周到な準備に裏付けられた質問によって安倍首相などを追い込んでいく様子は、法廷劇のような緊張感に満ち、多くの国民に鮮烈な印象を与えたからです。

 論戦で何が明らかになったのか

 政治とは言葉であり、論戦とは議論による戦いであることを示す好例でした。政治家はかくありたい。言葉で勝負し、事実によって嘘や誤魔化しをあばき問題点を浮き彫りにするのが論戦力であり、そのような力を持った政治家こそ本物の政治家なのだということをはっきりと示した瞬間でした。
 しかし、そのような力を持っていても、それを発揮する機会は長い間、志位委員長に与えられませんでした。衆院での共産党の議席が少なく、党首討論に参加する資格を得られなかったからです。今回、党首討論に出られたのは、昨年の総選挙で共産党が躍進して議席を増やしたからです。
 とはいえ、討論時間はたったの7分間にすぎません。もっと長い時間であれば、さらに安倍首相を追い込むことができたでしょう。特別委員会での質疑も、以前より長い時間が確保できたからあれだけの論戦が展開できたのであり、それも総選挙での議席増のお陰でした。さらに議席を増やせば、もっと多くの討論時間を確保できます。そうすれば、さらに安倍首相を追い込むことができるはずです。
 志位委員長の論戦を通じて、「後方支援」とは国際的には「平たん活動」のことであり、かつて「戦闘地域」とされた場所にまで出かけて「後方支援」すれば「殺し、殺される」危険性が高まること、国連平和維持活動(PKO)法の改定によって形式上の停戦合意がなされても戦乱が続く地域での治安維持活動、たとえばアフガニスタンに展開した国際治安支援部隊(ISAF)に加われるようになれば戦闘に巻き込まれる危険性が高まること、米国が先制攻撃した場合でも集団的自衛権を発動して無法な戦争に協力させられることなどが明らかになりました。

 政府・与党が陥っている「五面楚歌」

 国会の会期延長によって、さらに「戦争法制」の審議が続くことになります。いくら会期を長くしても、国民の理解が進むはずがありません。平和のために戦争しやすくするとか、日本を防衛するために外国を守るとか、安全を高めるためにリスクを覚悟するなどという奇天烈な論理や誤魔化しが通用するはずがないからです。どんなに時間をかけても、存立危機事態や重要影響事態、武力攻撃切迫事態の違いが分かるわけがありません。説明する方にだって分かっていないのですから……。
 その結果、安倍政権は「五面楚歌」に陥ることになりました。第1に世論の多数は説明不足だとして今国会での成立に反対し、第2に憲法の専門家や学者の大多数は「違憲だ」としており、第3に自民党の幹部や防衛官僚のOBも反対を表明し、第4に内閣法制局の先輩も懸念を示し、第5に地方議会でも法案の撤回や慎重審議を求める意見書を採択する動きが続いています。まさに、「五面楚歌」とも言うべき状況になりました。
 政府・与党は会期延長によって土俵を広げることができて、「やれやれ」と思っているかもしれません。しかし、土俵が広がれば、攻め込まれる余地も拡大することになります。国会での追及が続き、広い土俵の中で逃げ回るということにもなりかねません。「こんなことなら、早く閉じておけばよかった」と後悔させるところにまで追い込んでいく必要があります。

 国民的共同による政権交代と民主的政府樹立に向けて

 安倍首相の暴走によって、支配勢力に亀裂が生じ、幅広い国民的共同の条件が拡大し、たたかいに加わる人々の数は増え、若い世代の参加など質的な変化も生まれています。このようにして力は蓄えられ、政治を変えるチャンスが拡大し続けてきました。その力とチャンスを新しい民主的な政府の樹立に結びつけることが、これからの課題でしょう。
 かつて、2度にわたる「国共合作」によって中国は救われました。国民党と共産党を中心とする民主勢力の連携と協力によって、辛亥革命と抗日戦争ははじめて勝利することができたのです。今の日本では、「民共合作」のような統一戦線によって日本を救うことが必要です。民主党と共産党の連携と協力を軸に、幅広い民主勢力と市民の共同によって安倍政権を倒さなければなりません。
 この統一戦線の政策的な軸になるのは「戦争法制」に対する反対と9条改憲の阻止、労働の規制緩和への反対です。それに、小選挙区制の廃止を含む選挙制度改革を必ず政策合意に加えていただきたいと思います。日本の政治を歪め劣化させている元凶は小選挙区制にあるのですから……。
 このようにして、安倍政権の暴走を阻止する戦いを新たな政治革新と民主的政府樹立に結びつけることができるかどうか。「日本の暑い夏」は、始まったばかりです。

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7月17日(金) 言論抑圧発言 セクハラ都議復帰 国政でも都政でもおごる自民 [論攷]

〔以下のインタビュー記事は、『東京民報』7月12日号、第1896号、に掲載されたものです。〕

 安倍首相を応援しようという勉強会だったはずだが、若手議員や作家による暴言が批判を招くことになった。おごり高ぶりによる“オウンゴール”のようなものではないか。
 「懲らしめる」とか「つぶす」などという発言は治安維持法的発想そのものだ。なぜ、このような発言が出てくるのか―。
 「一強多弱」の多数議席にあぐらをかき、気に入らないものを力ずくで抑え込む、反対があろうが押し通してしまうという空気が広まったからだ。安倍首相の強権的な体質が自民党に浸透した結果で、“氷山の一角”にすぎない。
 当初、安倍首相は責任を認めず、謝ろうともしなかった。その後、国会審議への悪影響を懸念して謝罪したが、悪いこと、許されないことだという認識からではなく、政治的な判断からにすぎない。党本部で開かれた安倍応援団の会合での発言であり、すぐに謝って関係議員を除名するべきだった。
 大西議員に対しても、都議会のセクハラ発言についても、自民党の対応は甘すぎる。当人たちも反省しているようには見えない。自民党は完全に自浄能力を失ってしまっている。
 政党としての劣化を示す好例と言えるが、議員の質の問題でもある。歴史に学ばず、民主主義の何たるかを知らない議員が増えてきた。これも、一選挙区で一人しか選ばれない小選挙区制の害悪だ。候補になれば当選しやすく、議員としての資質を鍛える機会が失われているからだ。
 同時に、自民党が教育に介入してきた結果でもある。歴史教科書を変えて、民主的な学校運営を敵視し、トップダウンの制度へと変えてきた。歴史的事実を知らず、民主主義の大切さが分からない若者が生まれてくるのも当然だろう。
 今回のような問題は端緒にすぎないと思う。「教育改革」が進めば、歴史を知らず、基本的人権の大切さを理解できない若手議員が増えてくるにちがいない。
 今回の事例は、安倍政権による暴走政治が招く日本の未来を垣間見せた一瞬だったのではないか。

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7月15日(水) 「戦争法案」の衆院特別委員会での強行採決を糾弾する [戦争立法]

 衆院特別委員会で、「戦争法案」の強行採決が行われました。このような暴挙を断じて許してはなりません。強く糾弾するものです。

 強行採決の方針は、昨日の特別委員会の理事会で自民党によって示されました。その時、私は「安保関連法案に反対する学者の会」の一員として国会にいました。
 学者9766人の廃案要請を携えて、各党への申し入れを行うためです。佐藤学さん、広渡清吾さん、上野千鶴子さん、内田樹さん、間宮陽介さんなど14人の研究者が参加しました。
 私は民主党の長妻昭議員の部屋に行きましたが、同時刻に理事会が開かれていたため不在で、秘書の方が応対してくださいました。明日にも強行採決があるかもしれないという緊迫した国会情勢が話され、私たちは最後まで反対を貫くよう要請して激励してきました。

 今日の朝日新聞の一面には「イラン核協議 最終合意」という記事が出ています。先日は自民党の二階総務会長が3000人の代表団を連れて中国を訪問し、安倍首相も訪中の可能性を探っているという記事が出ていました。
 このような時に、どうして「戦争法制」なのか、と誰もが不思議に思うことでしょう。「安全保障環境」は「悪化」しているどころか、明らかに「改善」しているのですから……。
 その必要性が分からないような法案を、なぜ今、無理やり成立させようとするのでしょうか。世論調査では反対が多く、石破さんや安倍首相自身でさえ国民の理解が進んでいないことを認めているというのに……。

 政府・与党は59年の砂川事件最高裁判決と72年の閣議決定を集団的自衛権行使容認の根拠として示しています。しかし、この判決と閣議決定によって集団的自衛権の行使が認められるようになったというのであれば、どうしてその時に集団的自衛権行使容認という憲法の解釈変更を行わなかったのでしょうか。
 砂川判決からは半世紀以上も経ってから、閣議決定からでも半世紀近くの歳月を経てからそれを行ったのは、誰もそれが集団的自衛権の行使を容認する内容だと考えなかったからです。それも当然でしょう。集団的自衛権については何も書かれていないのですから……。
 当時は「自衛権」といえば個別的自衛権だというのが常識でしたから、この判決や閣議決定が集団的自衛権の行使を容認するものだとはだれも考えなかったのです。しかも、砂川判決は三審制を無視して地裁から最高裁に跳躍上告され、事前に判決内容が駐日米公使に漏らされていたなど、違法性の強い判決でした。

 今回、それが大きく変わったのは、安倍首相が集団的自衛権の行使容認を打ち出したからです。その意向を汲んで高村さんが「何か使えるものはないか」と探し回ったあげく、見つけたのがこの判決と閣議決定だったのです。
 先に、集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈変更という意図があったのです。そのために歴史の屑籠の中から拾い出されてきたのが、この判決と閣議決定でした。
 しかし、それは「集団的自衛権」の「集」の字も書かれていない「欠陥品」でした。仕方なく、「自衛権」の前に勝手に「集団的」とくっつけて、解釈変更の根拠にでっちあげたというわけです。

 これで騙されるのは公明党ぐらいだったでしょう。いや、その公明党でさえ「欠陥品」であることを知っており、根拠として明示することに反対したため、昨年7月1日の閣議決定では言及されませんでした。
 それなら、このような「欠陥品」ではなく、もっとはっきりと集団的自衛権の行使容認を認める最高裁判決などを根拠にすれば良いのにと、誰もがそう思うでしょう。ところが、そんなものはありません。
 辛うじて使えそうなものは、この二つしかなかったのです。いかに「欠陥品」であっても、使えそうならむりやり使うしかないということで、その後の国会審議で再びこの二つが根拠として示されることになりました。

 与党の仲間である公明党でさえ騙されなかった「欠陥品」です。国民の多くが騙されるはずがありません。
 ということで、審議が進むにつれて、その「欠陥」が次第に明らかになってきました。まして、専門の憲法学者がこのような「欠陥品」によって合憲だなどと納得させられるはずがありません。
 自民党推薦の長谷部早稲田大学教授をはじめ3人の参考人がはっきりと「憲法違反だ」と答えたのは当然でしょう。そう答えなかったら、憲法研究者としての能力と資格が問われたにちがいありません。

 このような問題があってもなお、自民党は特別委員会での採決を強行しました。このことを、忘れないようにしたいものです。
 野党が反対する下での採決の強行は、議会制民主主義の破壊にほかなりません。安保闘争の時は、強行採決の後、議会制民主主義を守れという大波が国会をとりまき、反対運動はかえって大きくなりました。
 今回も、安保闘争のような大波を生み出し、与党の暴挙を糾弾する必要があります。そして、岸首相の退陣を実現した時と同じように、安倍首相を退陣に追い込まなければなりません。

 奇しくも55年前の今日、安保条約の衆院採決を強行して自然成立を図った岸首相は退陣しました。この歴史を繰り返すに足る大波を生み出すことで、安倍政権を打倒しようではありませんか。
 その波の一つになるべく、今日これから、私は国会正門前に行くつもりです。この暴挙の日を忘れないためにも……。

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7月14日(火)  「安保法案」について安倍首相に聞かなければならないこれだけの疑問 [戦争立法]

 「安保法案」(戦争立法)についての審議が進んでいます。この過程で不思議な現象が起きました。
 審議が進めば進むほど、「反対」意見が増えていることです。説明すればするほど「説明不足だ」という声が強まるという珍現象をどう理解したら良いのでしょうか。

 審議が進んで反対意見が増えるのは、「法案」の内容が知られるようになるにつれて、そのいい加減さや危険性が理解されるようになっているからでしょう。ということは、今後も審議を続ければ、反対が増えることになります。
 また、説明すればするほど「説明不足だ」と言われるのは、もともと説明できない違憲の「トンデモ法案」だからです。説明しても理解できない内容が多く含まれていること、説明の仕方が不十分なこと、そもそも論理的に破たんしているから説明する方もされる方も理解不能なことなどの問題がありますから、いくら説明しても理解が進むはずがありません。
 そこで、法案のデタラメさを明らかにし、その論理的破綻ぶりを示すために、以下、箇条書きで疑問を提起したいと思います。これらについて、国会での質疑などでさらに追及していただければ幸いです。

 ① 「安保法案」が必要なのは日本周辺の安全保障環境が悪化しているからだとされていますが、冷戦時代と比べて悪化していると言えるのでしょうか。ソ連太平洋艦隊が北海道を侵攻するという危機説と、中国が尖閣諸島を占領するという危機説とでは、どちらの方の安全保障環境が悪化しているということになるのでしょうか。

 ② 安全保障環境が悪化している証拠として、安倍首相は自衛隊機による緊急発進(スクランブル)の回数が10年前より7倍になったことを挙げていますが、30年前の1984年の944回より2014年の943回は1回少なくなっています。10年前ではなく30年前と比較すれば、安全保障環境が悪化したとは言えないのではないでしょうか。

 ③ 1990年代以降、スクランブルの回数はほぼ500回を下回っていましたが、2012年567回、13年810回、14年943回と、安倍首相になってから急増しています。これを減らすためには、安倍首相が退陣して中国との関係を改善する方が効果的で手っ取り早いのではありませんか。

 ④ 周辺の安全保障環境が悪化していると言いながら、今回の「安保法案」では「周辺事態法」の「周辺」を削除して「重要影響事態法」に変えようとしています。周辺が大変だと言いながら、法の対象範囲を地球の裏側にまで拡大するのは論理的な整合性が取れないのではないでしょうか。

 ⑤ 日本周辺の安全保障環境の悪化を理由に集団的自衛権の行使容認を正当化しながら、その具体例として出されるのはホルムズ海峡での機雷掃海です。これも論理的な整合性がとれません。ホルムズ海峡の機雷を掃海できるように法整備を行えば、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍事費増が抑制されるのでしょうか。

 ⑥ ホルムズ海峡を機雷封鎖する能力を持つのはイランですが、そのような現実的な可能性があるのでしょうか。封鎖はイランにとってもマイナスで、核開発問題での欧米との和解や「イスラム国」(IS)対策での協調という動きもあります。安全保障環境は改善しており、機雷掃海のための法整備など必要なのでしょうか。

 ⑦ もし、ホルムズ海峡が封鎖されても、日本には半年分以上の石油が備蓄されており、パイプラインもできていてオマーン経由での石油輸入も可能です。イラン以外の他の国や地域からの輸入もできます。「他に適当な手段がない」とは言えませんから、「存立危機事態」として認定できないのではないでしょうか。

 ⑧ 機雷掃海は極めて危険な作業であり、朝鮮戦争では掃海作業に当たった船が沈没して戦後唯一の戦死者が出ています。後方支援活動でも自衛隊員のリスクは高まらず、危険性は通常業務と変わらないと説明されていますが、それなら戦死者に対する特別の追悼や取り扱い、処遇などは行わないということなのでしょうか。

 ⑨ 安倍首相は北朝鮮がアメリカに向けて発射した大陸間弾道弾(ICBM)を撃ち落とすために集団的自衛権の行使容認が必要だと説明していますが、北朝鮮からアメリカ本土に向かうミサイルは日本の上空を通らず、カムチャツカ半島方面に向かいます。それをどのようにして撃ち落とすというのでしょうか。領空を通らないミサイルを勝手に撃ち落とすようなことが許されるのでしょうか。

 ⑩ 北朝鮮がハワイやグアム、在日米軍基地などに向けてミサイルを発射する前に攻撃しようという「敵基地攻撃論」があります。しかし、発射されるミサイルが訓練や実験ではなく実戦であること、これらの基地を狙って発射されようとしていることが、どのようにして判断できるのでしょうか。このような攻撃は先制攻撃そのものではありませんか。

 ⑪ 半島有事において避難する母親や子供を載せた米輸送艦を防護するために集団的自衛権の行使が必要だとされています。しかし、軍艦は原則として民間人を載せず、そのようなケースがあったとしても緊急時の例外的な措置としてなされるにすぎません。安倍政権は最優先で避難させられるべき母親や子供が逃げ遅れること、つまり救出の失敗を前提に避難計画を立てているのでしょうか。

 ⑫ この米輸送艦を自衛艦が防護するということは、近くに自衛艦がいるということを意味しています。それなら、米輸送艦ではなく、その近くいる自衛艦で日本人の親子を救出すれば良いではありませんか。自衛艦ではなく米輸送艦によって運ばれなければならない理由でもあるのでしょうか。

 ⑬ 日本人に対する攻撃が予想され、それが日本への攻撃につながる可能性があれば、攻撃への着手を意味することになり、武力攻撃予測事態として反撃することが可能になります。ということは、集団的自衛権の行使は必要なく、個別的自衛権によって対応することが可能なのではないでしょうか。

 ⑭ 中谷防衛相は日本に対する攻撃意図が明確でなくても集団的自衛権の行使が可能であると答弁しています。攻撃意図が明確でなければ、新3要件の「我が国の存立が脅かされる」ような「明白な危険」があるとは言えず、したがって「存立危機事態」と認定することはできないはずです。それを可能だという中谷さんの答弁は、新3要件による「限定」が無意味だということを示しているのではないでしょうか。

 ⑮ 集団的自衛権行使のための「存立危機事態」、重要影響事態法発動のための「重要影響事態」、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態である「武力攻撃予測事態」の違いはどこにあるのでしょうか。いずれも、攻撃はされていないがその危険性があるというのであれば、個別的自衛権による「武力攻撃予測事態」に含まれるのではないでしょうか。

 ⑯ 「後方支援」であっても危険な場所にはいかないというのであれば、今回の法案でわざわざ「非戦闘地域」という限定を外したのは何故でしょうか。今までと変わらないのであれば、変える必要はなかったのではありませんか。法案に明記することを避けたのは「戦闘地域」にまで活動の範囲を広げることを意図しているからではありませんか。

 ⑰ 「現に戦闘が行われている地域」以外であれば、「後方支援」が可能だとされています。ということは、これまで戦闘が行われていた地域やこれから戦闘が行われる可能性のある地域でも活動するということになります。その場合でも自衛隊員のリスクが高まらないと断言する根拠はどこにあるのでしょうか。

 ⑱ 弾薬の補給が必要になるのは戦闘によって消費されるからです。その場所から「後方支援」を要請された場合、「そこは危険だから行けない」と断るのでしょうか。弾薬の補給や武器の運搬などを行っている際に戦闘が生じた場合、自衛隊だけが撤退できるのでしょうか。その結果、大きな被害が出るようなことはないのでしょうか。

 ⑲ 国連平和維持活動(PKO)での「駆けつけ警護」など活動内容を拡大し、任務遂行のための武器使用基準を緩和した場合でも、これまで以上にリスクが高まることはないという根拠はどこにあるのでしょうか。住民に周りを取り囲まれ、任務遂行か困難になるような場合、威嚇射撃などを行うのでしょうか。誤って市民に犠牲者が出るようなことはないのでしょうか。

 ⑳ 今回の「安保法制」整備は「抑止力」を高めるためだとされています。その対象は北朝鮮や中国なのでしょうか。「抑止」ではなく「挑発」となり、かえって軍拡競争を強める危険性はないのでしょうか。また、ISのようなテロ組織に「抑止力」は働かず、かえって「米国の手先」として敵視され、テロの危険性を高めるのではないでしょうか。

 さし当り、以上のような20の疑問を提起させていただきます。これらの疑問や問題点はこれまでの審議でも解明されたとは言えません。
 国民が理解し、納得できるような形で説明されたわけではないからこそ、「説明不足だ」という意見が8割にも上るのです。これ以外にも、まだまだ多くの疑問があり、質疑で解明されなければならないでしょう。
 質疑を打ち切って、特別委員会での採決を強行するような動きが伝えられていますが、とんでもありません。少なくとも、これらの疑問が解消されるまで、さらに審議を尽くすべきです。

 与党と維新の党によって特別委員会の開会が強行され、明日にも採決がなされようとしています。安倍首相の独裁を許してはなりません。
 民意よりもアメリカとの約束を優先する安倍従米政権の暴走を阻止するために、今こそ声を上げましょう。違憲の法案を通してはイケン、と……。
 今日は、私も各党への要請のために国会に行く予定です。行動せず、後になって後悔することのないように……。

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7月13日(月) 「安保法案」を廃案に追い込み安倍政権を打倒し新たな民主的政権の樹立をめざそう [内閣]

 先日、久しぶりにハーバード大学教授のアンドルー・ゴードンさんにお会いし、お酒を酌み交わして旧交を温めました。早稲田大学での研究会でゴードンさんが報告され、その後、懇親の機会があったたからです。

 ゴードンさんとは、彼がデューク大学に就職する前で私も大原社研の兼任研究員だった時代からの付き合いですから、もう30年以上になります。その縁で、彼がハーバード大学のライシャワー日本研究所の所長をしていた時に客員研究員として留学し、大変、お世話になりました。
 ゴードンさんは、いま在外研究として京都大学に滞在しており、ひと月だけ早稲田大学に招聘されて東京に来ていたそうです。今回の研究会は「『失われた20年』の政治変容(2):日本型保守とジェンダー」というもので、4回にわたった研究会の最後に当たるものでした。
 4回の研究会のうち、前半の2回は鼻の手術で入院していために出席しできませんでした。いよいよゴードンさんの研究が現代史に焦点を当てるものとなり、それも「政治変容」や「日本型保守」を取り上げるというのですから、大いに期待しています。

 私は後半の2回の見解に参加したわけですが、報告とその後の議論を聞いていて、気がついたことがありました。ゴードンさんは「失われた20年」の検証に関心を持たれているようで、報告は大平内閣の政策研究会から始まりました。
 それから今日までの内閣の変遷を振り返ってみると、面白い「法則」があるように思われたのです。以後の「政治変容」は左右への揺れを繰り返してきたという「法則」です。
 もう少し詳しく言えば、「保守本流・ハト派・吉田」の流れと、「保守傍流・タカ派・岸」の流れが、一定の期間を経て交代するような形で入れ替わってきたということになります。簡単にいえば、左の後に右、そしてまた左へという変化が繰り返され、そのようななかで、軍事大国化、右傾化、新自由主義化が深まり、その行き着いた頂点が今の安倍政権だということになるでしょう。

 大平政権からの流れを見ても、その後の鈴木政権までは左です。中曽根政権で右に揺れ、竹下・宇野・海部・宮沢・細川・羽田・村山・橋本・小渕政権は、いずれも宏池会(旧池田派)や旧田中派の流れを汲み、その源流は吉田茂ですから左のハト派政権だったとみることができます。
 この後はまた右に揺れ、森・小泉・安倍・福田政権が続きました。いずれも旧福田派の流れを汲むタカ派政権です。
 麻生さんは吉田茂の孫にあたりますから、一応、吉田亜流とすれば、その後の政権交代で、鳩山・菅・野田の左派政権が続くことになります。そして、再び政権交代が起こって安倍さんの再登場となり、大きく右に揺れていることは皆さんが目撃されている通りです。

 以上の経過を見て、直ぐに気が付くことがあります。中曽根政権、小泉政権、安倍政権は、他の左の政権とは異なっていずれも長期政権の維持に成功しているということです。
 中曽根さんは1982年から87年、小泉さんは2001年から06年、そして、安倍さんは06年から07年の1年間と再登場した12年から今までをあわせて3年半になります。中曽根さんや小泉さんの例から言えば、あと1年半くらいは政権を維持できるということでしょうか。
 そして、以前のような「法則」が働くとすれば、その後には左への揺れが生じ、「保守本流・ハト派・吉田」の流れを受け継ぐ政権が登場するということになります。このハト派の流れには、旧田中派出身の岡田さんが率いている民主党も含まれます。

 このように、自民党政権においても、中曽根、小泉、安倍政権は「保守傍流・タカ派・岸」の流れを汲む特異な政権であることが理解できます。それが長期政権を維持できたのは、対米協調路線を取って来た保守本流よりも軍事大国化を志向する傍流の方が軍事分担を求めるアメリカにとって都合が良かったからであり、右傾化を強める社会意識の変化にも適合し、新自由主義的改革路線によって本流が担ってきた従来の保守支配の構造を打破する強い志向性を持っていたからです。
 しかし、それは憲法を前提とした戦後支配のあり方へのバックラッシュ(反動)でもあるため、平和志向の民意との乖離と衝突を避けられません。また、民主党の結成や第3極諸党の結成によって「保守本流・ハト派・吉田」の流れを汲む勢力が自民党の外に流出したために自民党内での「保守傍流・タカ派・岸」の比重がたまり、キャッチオールパーティーとしての性格がなくなっていきます。
 こうして自民党は右傾化を進め、極右政党としての性格を強めたために合意形成能力が失われていきました。そして、合意形成が難しくなればなるほど、さらに右派的イデオロギーによる国民統合を図ろうとして右傾化を強めるという悪循環に陥っています。

 中曽根政権、小泉政権、安倍政権と変遷するにつれて、軍事大国化が強まり、自衛隊の海外派兵の動きが具体化してきました。中曽根政権の時にもアメリカからペルシャ湾への掃海艇派遣が要請されましたが、旧田中派出身の後藤田正晴官房長官は「閣議ではサインしません」と迫って派遣を断念させています。
 しかし、小泉政権の時にはこのような抑止は働かず、イラク戦争の復興支援ということで自衛隊が派遣されました。そして、今回、自衛隊をいつでも海外に派遣するために「国際平和支援法」という恒久法が制定されようとしています。
 これ以外にも、「重要影響事態」や「存立危機事態」という認定がなされれば、自衛隊は米軍などの「後方支援」のために海外に派遣され、国連平和維持活動(PKO)でも自衛隊の活動範囲を拡大し、治安維持や駆けつけ警護などができるようになります。こうして、事実上の憲法改正がなされるほどに、右傾化が進行しているのが現状です。

 新自由主義化についても、中曽根政権以来の規制緩和路線の終着点が近づいているようです。それは、中曽根政権による「臨調・行革路線」として始まり、小泉政権による「構造改革」へと受け継がれ、安倍政権の労働の規制緩和路線によって総仕上げされようとしています。
 労働者派遣法の改定も労働基準法の改定も、共に原理的な転換を含んでいるからです。それは規制緩和の量的な拡大ではなく、派遣事業や労働時間についての質的な変化をもたらすことでしょう。
 派遣は「一時的・臨時的」なものではなくなり、「常用労働者」に対する代替がすすみ、正規労働者が派遣などの非正規労働者に置き換えられることになります。労働時間に対する制限が撤廃され、労働に対する時間管理という考え方自体が時代遅れであるとして否定されるにちがいありません。

 このような形で軍事大国化、右傾化、新自由主義化が進み、それに伴って自民党も変質してきた結果、自民党は社会の右側に集まっている一部の民意を代表するだけの部分政党に変貌しました。ここに、自民党内でさえ影の存在であった安倍首相とそのお仲間である日本会議や在特会と親和的な極右勢力が政権を担当できる理由があります。
 一部の民意を代表するに過ぎない部分政党が政権を担当できる秘密は簡単です。そのカラクリは小選挙区制という選挙制度にあります。
 昨年の総選挙で、自民党の絶対得票率(有権者内での得票割合)は、小選挙区で24.5%、比例代表で17.0%にすぎませんでした。自民党が代表する「一部の民意」とは、正確に言えば、有権者の4分の1から6分の1ほどにすぎないものなのです(詳しくは、拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』学習の友社、をご覧ください)。

 もともと国民の少数の支持しか得ていないのに、選挙制度のカラクリによって「虚構の多数派」を形成することができたのが、いまの安倍政権です。この「虚構」が、安倍首相自身の暴走によって崩れ始めています。
 小選挙区制のカラクリによって隠されていた本当の民意が、集会やデモ、署名や声明、地方議会での決議や要請書、ツイッターやフェイスブックでのつぶやきや意見表明、そして世論調査での反対の多さや内閣支持率の低下という形で、はっきりと目に見えるようになってきました。「虚構」に対する「実像」の可視化です。
 国会での多数議席は「虚構」の上に築かれた「砂上の楼閣」にすぎません。安倍首相がこの「楼閣」を頼みにして民意に反する強行採決に出れば、たちどころに崩れ去るにちがいありません。

 そして、政権が左右への揺れを繰り返してきたという、これまでの「政治変容」の「法則」が働くとすれば、右派的政権に対する反発が生じ、次の政権は左へと揺れることになるでしょう。その「法則」を現実のものとすることができるかどうかは、これからの私たちの実践にかかっています。
 「安保法案」を廃案に追い込んで安倍首相に引導を渡すだけでなく、自民党内での政権たらいまわしを許さず新たな民主的政権の樹立に結びつけることがこれからの課題です。「政治変容」のレベルを安倍政権打倒から自民党政治打破、政権交代にまで引き上げることができれば、「安保法案」を粉砕する明確な展望が生まれるにちがいありません。

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7月11日(土) 『「ふつうの働き方」を諦めない』(『女性労働研究』No.59、青木書店)所収の拙稿「普通の働き方を実現するために」のミスについての訂正とお詫び [日常]

 「あ、これはまずい」と、思いました。私の書いた論攷に、重大なミスを発見したからです。

 昨日、帰宅したら、青木書店からの荷物が届いていました。中には、雑誌が3冊入っています。
 女性労働研究会編『女性労働研究』No.59で、『「ふつうの働き方」を諦めない』という表題が付いています。発行は青木書店で、そこらか送られてきたものでした。
 この雑誌は、昨年夏のシンポジウムを活字にした論攷を載せており、「規制緩和に浸食される働く権利」という特集になっています。私はそのシンポジウムで「普通の働き方を実現するために」という報告を行い、それが特集の一本として掲載されています。

 重大なミスは、この論攷の最後に掲げられている「参考文献」にありました(42頁)。五十嵐仁(2014年)「非正規労働をめぐる政策と運動」大原社会問題研究所編『日本労働年鑑』第84集(2014年版)とあるのが、それです。
 この論攷は、私が書いたものではありません。実際の筆者は朝日新聞記者の「澤路毅彦」さんです。
 澤路さんは、記者としての綿密な取材を基に、労働の規制緩和についての政策的変遷と背後の動き、労働運動などとの関係について詳細な記述を行っています。一般の人には知りえない貴重な情報に満ちた優れた論攷であり、とても私などが書けるようなものではありません。

 出版社に送った原稿では筆者名を書かなかったため、編集者が気を利かせて私の名前を入れ、著者校正のときに気が付かず、そのまま印刷されてしまったのだと思います。筆者名を明示しなかったのは、『日本労働年鑑』では巻末に一括して列挙し、個別の論攷については筆者を明らかにしないことを原則としていたからです。
 私はずっと『日本労働年鑑』の編集責任者をしてきましたので、この原則にこだわってしまいました。しかし、特集の場合は例外を認め、この論攷についても本文の最後に(澤路毅彦)と明示されていたわけですから、最初から澤路さんの名前を明記するべきでした。
 そうすれば、編集者が勘違いして気を利かせることもなく、このようなミスが発生することもなかったでしょう。この場を借りて、雑誌の編集担当者と本当の筆者である澤路毅彦さんにお詫び申し上げたいと思います。

 ということで、拙稿「普通の働き方を実現するために」の「参考文献」に挙げている最後の記述を、澤路毅彦(2014年)「非正規労働をめぐる政策と運動」大原社会問題研究所編『日本労働年鑑』第84集(2014年版)、と訂正させていただきます。澤路毅彦さんはじめ関係者の皆様にご迷惑をおかけすることになりましたことを、重ねてお詫び申し上げます。

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