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8月23日(水) 古い民主党の前原さんと新しい民進党の枝野さんの対決となった代表選挙 [民進党]

 「昔の名前で出ています」という歌を思い出しました。前原さんの出馬に当たっての発言を読んだときです。
 この発言のどこに新しさがあるのでしょうか。この間の運動の到達点が、一体どこに反映されていると言うのでしょうか。

 8月21日告示、9月1日投開票という日程で、民進党の代表選が実施されます。立候補したのは前原誠司元外相(55)と枝野幸男前幹事長(53)の二人で、一騎打ちの様相になりました。
 憲法改正や野党共闘、消費増税などをめぐって、保守系とされる前原さんとリベラル系と見られている枝野さんの主張は対照的になっています。しかし、代表選後にしこりを残さないようにするという配慮もあって、二人の違いはそれほど決定的なものではありません。
 記者会見の冒頭発言で枝野さんが「代表選の相手は、安倍晋三首相であり、自民党だ。同志である前原さんと競うのではない。前原さんと力を合わせ、遠からず政権を奪い返す」と強調しました。2人とも「目指す社会像は同じ」と述べて、党内融和を優先する姿勢を明らかにしています。

 改憲問題でも、民進党憲法調査会長である枝野さんは改憲を否定しないとしつつも安倍首相が目指す9条改憲には否定的です。前原さんも「9条3項などの形で自衛隊の明記を」としつつも、安全保障法制については「違憲」だとして安倍首相との違いを強調しています。
 つまり、両者ともに安倍さんの目指す改憲スケジュールには与しない姿勢を示しているということになります。この点では、共産党など他の野党とも共通しています。
 「対照的」とされる2人の候補者ですが、安倍さんの目指す2020年9条改憲施行という方針に対決するという点で共通していることは、今後の改憲阻止の運動にとって極めて重要です。この点で民進党はまとまっており、市民や立憲野党との共闘の基盤が存在しているということを確認しておきたいと思います。

 ただし、その他の消費増税や原発、共産党との共闘については、両者の主張に微妙な違いがあります。消費税増税をめぐっては、前原さんが増税を前提に「相当の覚悟」を要求しているのにたいし、枝野さんは「当面消費税を上げると言ってはいけない」と消極的です。
 また、原発政策では、前原さんが民主党政権時代に決めた「2030年代原発ゼロ」方針を踏襲しているのに対し、枝野さんは「相当早く原発ゼロを実現できる」として具体的な工程表を示す法案を年内にでも提出する考えを明らかにしました。前原さんは、ここでも「昔の歌」を歌っているということになります。
 福島第1原発での事故以降、原発ゼロを目指す運動が継続され、反原発の世論にも依然として大きなものがあるにもかかわらず、前原さんの見解には全く反映されていません。電力関連の労働組合や連合の圧力に屈し、労働組合頼りの姿勢を取り続けているという点で、民主党時代の「体質」と大きな変化はないと言わざるを得ません。

 このようななかで、最も大きな違いが示されているのが野党共闘をめぐる姿勢です。前原さんは共闘を「選挙互助会だ」と批判しています。
 「何を、今さら」と言いたくなります。民進党自体がある種の「選挙互助会」ではありませんか。
 これに対して、枝野さんは「参院選で成果を上げることができたのは理念、政策が違うなか、自民党の暴走を止めて欲しいという市民の声を受け、ギリギリの努力をしたからだ」と反論し、「排除する理由はない」と共闘を評価しています。幹事長時代に野党共闘路線を推進した枝野さんからすれば当然の発言ですが、ここでも連合との腐れ縁に引きずられ、この間の共闘の成果をきちんと評価できない前原さんの弱点が示されています。

 なお、理念・政策について枝野さんは「理念、政策が違うなか」と言い、前原さんも「政権選択をする選挙で理念・政策が合わないところと協力するというのはおかしい」と述べています。おかしくありません。おかしいのは、この考え方です。
 違う政党ですから、理念や目標が異なっているのは当然です。これが一致していれば、別の政党である理由はなく、合流すれば良いだけです。
 しかし、政策については事情が異なります。別の政党ですから全ての政策が一致することはありませんが、全ての政策が異なっているというわけではなく一致できる点もあります。

 この一致できる政策の実現を目指して協力し、必要であれば政権連合も組むというのが共闘の論理であり、連立政権の姿です。自民党と公明党の連立でも世界のどの国の連立政権でも、このような例は普通に見られます。 
 しかも、共産党を含む立憲野党には、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪などに反対するという明確な一致があり、「森友」「加計」学園疑惑や南スーダンPKOの日報隠蔽問題では疑惑解明という点での合意があり、アベノミクスに反対し「中間層」を大切にする経済政策という点でも共通する立場が形成されました。これらの政策的な一致点や合意、共通の立場があったからこそ共闘が可能になったのであり、それはアベ暴走阻止という一点に集約されたのです。
 まさに、枝野さんが「自民党の暴走を止めて欲しいという市民の声を受け、ギリギリの努力をした」と指摘されている通りです。この「市民の声」こそ共闘や連立の基盤であり、それに応えて勝利へと至ることのできる唯一の道が野党共闘だったのです。

 他方、小池百合子東京都知事の「小池新党(日本ファーストの会)」や離党組との関係では、枝野さんが「厳しく対応しなければならない」と述べているのに対して、前原さんは「総合的に判断する」として連携に含みを残しています。小池新党の理念や政策がどうなるかが、全く分かっていないにもかかわらず。
 これはダブルスタンダードであり、矛盾した対応ではありませんか。政策が部分的に共通している共産党との連携については背を向け、一致点があるかどうかも分からない小池新党との連携には前のめりになっているわけですから。
 この点に関連して、本日の『朝日新聞』には細川護熙首相の下記のような興味深いインタビューが掲載されています。「まさにその通り」と言いたくなるような内容です。

 「小池さんは例えば憲法や原発にしても、どの方向を目指しているのか分からない。知事就任後、2人で何度か会った際に『そうしたところをはっきりさせれば、政治的な幅ももっと広がっていく』と伝えたが、小池さんからはまだはっきり聞いていない。
 ――前原さん、枝野さんはどうですか。
 前原さんは小池さんと同様、明確に言っていないところがある。例えば自民党との距離感。『自民党と何が違うんだ』と感じることもあるし、憲法もそう。安倍晋三首相と言っていることは違わないんじゃないかと心配になることもある。野党共闘については、枝野さんの方が現実的に進めるんじゃないか。憲法も、私は枝野さんに考え方が近い。しかし、どちらかに肩入れしているわけではない。
……連立政権ができると政治も変わる。細川内閣の時は8党派で連立を組んだのだから。共産党とも政策的に一致できるところは一緒にやったらいい。同じ小選挙区に民進、共産両党が候補者を立てて、共倒れになるのは愚の骨頂だ。」

 民進党にとって、今回の代表選は「党分裂の危機」を乗り越えるためのものではありません。それは市民や野党との共闘を確固とした基盤の上に据え「党再生の好機」を生み出すためのものです。
 すでに「15年安保闘争」や参院選、新潟仙台などでの地方選挙を通じて共闘の威力は実証されてきました。これらの取り組みにおいて、共闘実現のために力を尽くして汗を流し誠実に努力してきた民進党の関係者の方も沢山おられます。
 民進党の議員・党員・サポーターの皆さんには、この間の経験や実績を十分に踏まえた賢明な選択をしていただきたいものです。市民や立憲野党とともに「新しい歌」を歌えるような希望の持てる選択を……。

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