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8月8日(火) 「政治の劣化」「行政の劣化」とは何か―どこに問題があるのか、どうすべきか(その3) [論攷]

〔以下の論攷は『法と民主主義』No.520、2017年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

3 通常国会後に明らかになった疑惑や不祥事

 「加計」疑惑での新たな展開

 通常国会が幕を閉じた途端、「萩生田副長官ご発言概要」という新たな内部文書が見つかりました。「加計」疑惑に萩生田光一内閣官房副長官が関与していたことを示すもので、学部新設について「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30年(2018年)4月開学』とおしりを切っていた」などと書かれています。
 萩生田さんはこの内容を強く否定し、加計さんとの関係についても「親しくお付き合いさせていただいているという事実もありません」と答えていました。しかし、安倍首相の別荘で、安倍、加計、萩生田さんの3人がバーベキューをしながら缶ビール片手に談笑している4年前の写真が萩生田さんのブログに投稿されています。
 加計孝太郎理事長が自民党岡山県自治振興支部の代表で、会計責任者も加計学園の理事を務めた人物、支部の事務所が加計学園系列校と同じだったことも判明しています。また、岡山が地元の加計学園が選挙区の逢沢一郎元外務副大臣に100万円を献金しており、獣医学部の新キャンパスの工事を請け負っている「アイサワ工業」は岡山市が本社で逢沢さんのいとこが社長をしているファミリー企業です。しかも、建設費の坪単価は一般的な坪単価の2倍以上もすることが明らかになっています。
 さらに、この加計学園が当時文科相であった下村博文さんに200万円の献金をしていた疑惑も報道されました。この後、加計学園が望んでいた教育学部の新設が認められていたことも分かっています。また、下村夫人の今日子さんは広島加計学園の教育審議委員をやっており、安倍夫人の昭恵さんと一緒に加計学園のパンフに登場したり、年に数回は同施設のイヴェントに参加したりしていました。

 稲田防衛相による自衛隊の政治利用

 選挙戦の応援では、稲田朋美防衛相が演説で「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と投票を呼びかけて大きな問題になりました。自衛隊を「自民党のもの」であるかのように扱って政治利用しただけでなく、指揮権を持つ防衛相が言えば自衛隊員は特定政党を応援しなければならないと誤解してしまいます。
 政治的に中立公平であるべき公務員や自衛隊のあり方からの逸脱という点でも、「党務」と「公務」の混同という点でも、この発言は自衛隊法や公職選挙法に反する暴言にほかなりません。
 稲田防衛相は何回も、閣僚の資質を疑われる言動を繰り返してきました。こういう人を選んだだけでなく、どうして今まで続投させてきたのでしょうか。このような暴言を言い出しかねない人を安倍首相はかばい続け居座らせてきました。きちんとけじめをつけず、放置してきた責任は大きいと思います。
 「森友」「加計」学園疑惑では、権力者の意向を忖度し、一部の人を優遇したりえこひいきしたりして行政を歪めているとの批判が高まりました。安倍首相に近いというだけで稲田さんばかりが甘やかされ特別扱いされている姿こそ、政治責任の取り方まで歪み公平性や信頼を大きく損ねていることを示す実例であるように思われます。

 相次いだ暴言と不祥事

 まだ、あります。選挙中に明らかになった豊田真由子衆院議員の秘書に対する暴言・暴行というスキャンダルです。豊田議員は責任を取って自民党に離党届を出しましたが、辞めるべきは自民党ではなく国会議員の方でしょう。
 夫の宮崎謙介衆院議員の女性スキャンダルが『週刊文春』に報じられたことのある金子恵美衆院議員についても、公私混同疑惑が浮上しました。公用車で子どもを保育園に送ったり、母親を駅に送り届けたりするなど、私的使用が常態化していたというのです。
 これらの若手議員を厳しく監督するべき二階俊博幹事長自身が、都議選の応援演説で「よく変なものを打ち上げてくるキチガイみたいな国がある」と述べ、後で「表現として必ずしも適切でないものが一部あった」と、精神障害者への差別的表現について釈明し、「私らを落とすなら落としてみろ。マスコミの人だけが選挙を左右するなんて思ったら大間違いだ」と居直ったりする始末です。
 末期症状ともいうべき状況が積み重なりました。まさに、政治・政治家の劣化を示す典型的な例だと言うべきでしょう。それに対する国民の批判と怒りが徐々に蓄積されていきました。それが投票という行為を通じて、一挙に噴き出したのが都議選の結果だったのです。

 むすび

 長い間、「安倍1強」と言われるような状況が続き、内閣支持率が安定していました。民主党中心の前政権への失望が大きく、国民は諦めて達観してしまったようです。もともと安倍政権への期待値は低いものでした。ですから、何らかの問題が生じても「まあ、こんなものだろう」ということで、内閣支持率はあまり下がりませんでした。
 しかし、政治・行政の劣化と異常な国会運営を見て、さしもの国民の「堪忍袋の緒」も切れてしまったようです。安倍内閣に対する支持率は軒並み急落し、都議選でも自民党は歴史的な惨敗を喫しました。政権運営にとって重要なのは世論と選挙ですが、そこでの質的な変化が生じたのです。
 「安倍1強」の潮目が変わりました。世論を変えて選挙で決着をつけ、特定秘密保護法、安保法(戦争法)、共謀罪というアベ暴走政治が生み出した悪法を廃止できるような政府を実現する展望が生まれています。
 その出発点が都議選でした。国政にも大きな影響を及ぼすことになります。善戦健闘した共産党をはじめ、立憲野党の前進を背景に解散・総選挙を勝ち取り、さらなる追撃戦によってアベ政治の「終わりの終わり」を実現しなければなりません。
 もし、安倍政権が都議選で示された声を無視し続ければ、次の国政選挙でさらに大きな「ノー」が突き付けられることでしょう。解散・総選挙に追い込んで、その機会を早く実現したいものです。そのためにも、市民と野党との共闘を推進し、いつ国会が解散されても対応でき勝利できるような準備を進めることがこれからの課題です。


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