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7月14日(金) 「残業代ゼロ法案」の条件付き容認に転じた連合は労働者を守る気がないのか [労働]

 労働組合関係者の間に衝撃が走っています。労働組合最大のナショナルセンターである連合の神津会長が安倍首相と官邸で会談し、「企画業務型裁量労働制」と「高度プロフェッショナル制度」につて修正を求め、要請が受け入れられれば容認に転ずる姿勢を明らかにしたからです。
 これらの制度は長時間労働を助長して過労死などの危険性を高める「残業代ゼロ法案」だとして、連合も強く反対してきたものです。一定の手直しを前提としつつ条件付きでそれを認めるというのですから、連合は労働者を守る気がないのかと強い批判と憤りが吹き上がるのも当然でしょう。

 連合は制度の修正を求めていますが、今日の『東京新聞』のQ&Aでは、「これで働きすぎは防げますか」という問いに、「そうとも限りません」「過労死の可能性は消えていません」と答え、「導入されれば会社から過大な成果や仕事を求められる心配がありますし、経済界には対象拡大のため年収要件を下げるべきだとの声があります」と指摘しています。
 修正されてもほとんど実効性がなく、過労死対策には効果がないというわけです。電通の過労死問題を契機に世論の関心が高まり、過労死をなくすためのチャンスが訪れているのに、それに逆行するような修正を労働組合の側から提案することに強い批判が寄せられるのは当然でしょう。
 しかも、安倍内閣支持率が急落し、都議選での歴史的惨敗もあって安倍首相は追いこまれています。そのような時に、連合の側から安倍首相に救いの手を差し伸べるようなものではありませんか。

 しかも、この方針転換の経緯は極めて不透明であり、非民主的なものです。今日の『朝日新聞』は、「傘下の労働組合の意見を聞かず、支援する民進党への根回しも十分にしないまま、執行部の一部が『方針転換』を決めていた」と報じています。
 実は、執行部の側は「3月の末から事務レベル」で働きかけており、それを「転換」ではないとして「組織内での議論や了承は必要ない」と強弁しているようです。「水面下の交渉」に当たってきたのは「逢見直人事務局長、村上洋子総合労働局長ら執行部の一部メンバー」で、「神津氏も直前まで具体的な内容を把握していなかったようだという」のも問題でしょう。
 神津会長は10月の連合大会で退任し、後任には逢見事務局長の名前が挙がっています。今回の修正容認の表明は、逢見さんの連合会長就任に当たっての安倍首相への「手土産」ということなのでしょうか。

 労働者の生命と生活、労働条件を守る労働組合のあり方からすれば、まさに変質であり、裏切りにほかなりません。連合組織内からも公然と強い批判の声が出てくるのは当たり前です。
 派遣社員や管理職などでつくる連合傘下の「全国ユニオン」は、鈴木剛会長名で下記のような反対声明を出しました。その批判にどう答えるのでしょうか。
 連合は労働組合として労働者を守る気があるのかないのか。働く者の代表としての存在意義が問われています。
 以下に、「全国ユニオン」が鈴木剛会長名で出した反対声明の一部を紹介しておきましょう。

 ……7月10日、突如として「『連合中央執行委員会懇談会』の開催について」という書面が届き、出席の呼びかけがありました。開催は翌11日で、議題は「労働基準法改正への対応について」です。
 異例ともいえる「懇談会」で提案された内容は、報道どおり労働基準法改正案に盛り込まれている「企画業務型裁量労働制」と「高度プロフェッショナル制度」を容認することを前提にした修正案を要請書にまとめ内閣総理大臣宛に提出するということでした。
 しかし、連合「2018~2019年度 政策・制度 要求と提言(第75回中央執行委員会確認/2017年6月1日)」では、雇用・労働政策(※長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを実現する。)の項目で「長時間労働につながる高度プロフェッショナル制度の導入や裁量労働制の対象業務の拡大は行わない。」と明言しており、明らかにこれまで議論を進めてきた方針に反するものです。労働政策審議会の建議の際にも明確に反対しました。ところが、逢見事務局長は「これまで指摘してきた問題点を文字にしただけで方針の転換ではない」など説明し、「三役会議や中央執行委員会での議論は必要ない」と語りました。まさに、詭弁以外の何物でもなく、民主的で強固な組織の確立を謳った「連合行動指針」を逸脱した発言と言って過言ではありません。しかも、その理由は「働き方改革法案として、時間外労働時間の上限規制や同一労働同一賃金と一緒に議論されてしまう」「圧倒的多数の与党によって、労働基準法改正案も現在提案されている内容で成立してしまう」ために、修正の要請が必要であるとのことでした。
 直近の時間外労働時間の上限規制を設ける政労使合意の際も、私たちはマスメディアによって内容を知り、その後、修正不能の状況になってから中央執行委員会などの議論の場に提案されるというありさまでした。その時間外労働時間の上限規制と、すでに提出されている高度プロフェッショナル制度に代表される労働時間規制の除外を創設する労働基準法改正案とを取引するような今回の要請書(案)は、労働政策審議会さえ有名無実化しかねず、加えて、連合内部においては修正内容以前に組織的意思決定の経緯及び手続きが非民主的で極めて問題です。また、政府に依存した要請は、連合の存在感を失わせかねません。
 ……
 私たち全国ユニオンは、日々、長時間労働に苦しむ労働者からの相談を受けており、時には過労死の遺族からの相談もあります。過労死・過労自死が蔓延する社会の中、長時間労働を助長する制度を容認する要請書を内閣総理大臣宛に提出するという行為は、働く者の現場感覚とはあまりにもかい離した行為です。加えて、各地で高度プロフェッショナル制度と企画業務型裁量労働制の反対運動を続けてきた構成組織・単組、地方連合会を始め、長時間労働の是正を呼び掛けてきた組合員に対する裏切り行為であり、断じて認めるわけにはいきません。また、このままでは連合は国民・世論の支持を失ってしまうおそれがあります。
 シカゴの血のメーデーを例にとるまでもなく、労働時間規制は先人の血と汗の上に積み上げられてきました。私たち労働組合にかかわる者は、安心して働くことができる社会と職場を後世に伝えていくことが義務であると考えます。今回の政府に対する要請書の提出は、こうした義務を軽視・放棄するものに他なりません。全国ユニオンは、連合の構成組織の一員としても、政府への要請書の提出に強く反対します。
以 上

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