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5月6日(土) ついに「壊憲」の本音を現わした安倍首相の驕りと焦り [憲法]

 「壊憲」というのは、憲法の理念を破壊するということです。現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という3大理念と、これに議会制民主主義と地方自治を加えた5原則をぶっ壊すような条文の書き換えを、この理念や原則の範囲内での条文の書き換え(改憲)とは区別してこう呼んでいます。
 安倍首相は、現行9条の1項と2項をそのままに、新たに自衛隊の存在を明記する3項を付け加えることを明らかにしました。平和主義の原理を逸脱する「壊憲」への本音を示したことになります。

 安倍首相は5月3日、超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」が開いた大会で、「いよいよ機は熟してきた」「(日本国憲法の施行70周年という)この節目の年に必ずや歴史的な一歩を踏み出す」とあいさつし、「圧倒的第1党として現実的かつ具体的な議論をリードしていく決意だ」と述べました。同時に、憲法第9条改正と2020年の施行を目指す考えを表明し、在任中の改憲の実現に強い意欲を示しました。
 これまでは、与野党の合意を優先して国会の議論を見守る姿勢をみせてきました。それだけに、突然、このような形で突出したことに対して与党内にも困惑が広がっているようです。
 安倍首相は一種の勝負に出たわけですが、それが改憲に向けての議論を加速させることになるのか、それとも与野党の合意を難しくさせてしまうのかは不明です。少なくとも、このような勝負に出ざるを得なくなったのは、朝鮮半島危機によって国民の不安が高まり「安倍一強」の今ならやれるかもしれないという驕りと、任期中に何としても道すじをつけたいという焦りの両方の現れだと思われます。

 昨年7月の参院選が終わったころに、安倍首相は「9条3項に自衛隊を明記したい」と漏らしていたそうです。今回表明した構想は、その頃から表明のタイミングを探っていたことになります。
 この構想は公明党の主張する「加憲」の発想に近いものです。民進党内にもこのような考え方がありますから、そこに一石を投じたのでしょう。
 高等教育まで含めた教育費の無償化は日本維新の会が主張しています。これも、野党を分断して一部を引き寄せるための狙いに基づくものです。

 しかし、このような改憲論が憲法尊重擁護義務を有する国務大臣の長たる首相から、突然、改憲派の仲間内で打ち出されるのは極めて異例です。トップダウンで新たな「壊憲」方針が示されたのは、現行憲法の平和主義や9条に対する支持は高く、9条改憲論が国民の中から盛り上がって来ていないからです。
 安倍首相の言う「いよいよ機は熟してきた」というのは、9条に関する限り、真っ赤な嘘です。憲法そのものについても、変える必要があるという意見は過半数を上回っていません。
 毎日新聞全国世論調査では、憲法を改正すべきだと「思う」という回答は48%、「思わない」は33%で、憲法第9条に関して改正すべきだと「思わない」が46%で、「思う」の30%を上回っています。共同通信社の世論調査では、日本が戦後、海外で武力行使しなかった理由について「9条があったからだ」とする回答は75%に上り、9条改正については必要49%、必要ない47%、安倍晋三首相の下での改憲に51%が反対し、賛成は45%でした。

 安倍首相の発言とは逆に国論は割れており、全く「機は熟して」おりません。このような世論状況も、安倍首相の焦りを生む一因だったと思われます。
 このような世論に慌てて、力づくでこじ開けようとしても上手くいくのでしょうか。ますます世論の危機感を高めて野党の反発を強めるということになるかもしれません。
 私たち国民からすれば、安倍首相によって挑戦状をたたきつけられたようなものです。戦後の平和国家としての歩みを転換することへの是非を問われているわけですから……。

 憲法をめぐって日本の進路が真正面から争われる時代が、いよいよやってきたということになります。これにどう答えるべきかが、今後の選挙での一貫した争点となるにちがいありません。

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