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9月6日(火) 民進党の代表選挙と憲法問題への対応をどう見るか [政党]

 昨日のブログで、民進党の代表選挙で最も注目されているテーマとして共産党など野党との共闘への対応について私の見方を書きました。共産党と一緒にやるのが嫌ならやめればいいんです。
 しかし、それで与党に勝てますか、市民や公党間の約束を反故にして信頼が得られますか。最有力とみらている蓮舫候補は「目指すのは新世代の民進党だ。信頼を取り戻し、わくわくする政治をつくる」と言っていますが、それなら野党共闘をさらに発展させて国民を「わくわく」させれば良いじゃありませんか。

 さて、今日は民進党の代表選挙で注目されているもう一つの重要なテーマである憲法問題について書くことにします。これについても、3人の代表候補の発言は微妙な違いを見せているからです。
 最初に、3人が共通している点について確認しておきたいと思います。その一つは、憲法審査会が再開されれば、それに参加する意向を示していることであり、もう一つは、いずれの方もそろって自民党改憲草案に反対していることです。
 先の参院選の結果、衆参両院で改憲勢力が3分の2を超えましたから、改憲反対勢力がボイコットしても憲法審査会を再開して審議を進めることは十分に可能です。そうなったら、勝手に審議を進めて勝手に改憲発議まで持っていく恐れもありますから、ストップをかけるために議論に加わり、その場を利用して安倍首相が目論んでいる「壊憲」策動の危険性を暴露することが必要です。

 また、このブログで何回も書いてきたように、自民党の改憲草案は現行憲法の「三大原理」に反し、自由で民主的な平和国家としてのこの国の形を破壊する「壊憲」草案にほかなりません。これに反対するということは「壊憲」に反対するということですから、安倍首相や自民党とは異なった立場に立っていることを示しており、評価できる点です。
 なお、これに関連して、本日の『東京新聞』の主張「変えられぬ原則がある」が「基本法(憲法)を六十回改正したドイツを例に挙げ」て、「改正が許されない基本原則もある」と指摘している点は重要です。すなわち、「基本法79条は、人間の尊厳の不可侵、民主的な法治国家、国民主権、州による連邦主義などに触れることは許されていない、と規定している」と。
 これは「ナチスのような暴政を繰り返すまいとの決意表明」であり、「国是と言ってもいい」もので、「日本にもむろん、守るべき憲法の精神がある」と指摘しています。社説はこの「精神」が何であるかは明示していませんが、それは「憲法の三大原理」と自由で民主的な平和国家としての国のあり方であり、「国是」としての9条にほかなりません。

 ということで、3人の候補者の憲法改正への姿勢でも9条への対応が注目されるわけですが、これについては若干の違いが示されています。蓮舫さんは「憲法9条、これは絶対に守るべきです。9条においては絶対に変えてほしくないという国民の声を、わたしは大切にします」、前原さんは「1項、2項は守ると、今の憲法9条は守って、加憲でこの自衛隊の位置づけをみんなで議論していきたい」、玉木さんは「制約のないフルスペックの集団的自衛権、海外での自衛隊の武力行使を認めるような9条の改正には反対だ」と述べています。
 つまり、蓮舫さんは9条護憲、前原さんは9条加憲、玉木さんも基本的には9条護憲ですが、「制約のないフルスペックの」という条件を付けているところが気になります。一定の制約があって「フルスペック」でなければ、「集団的自衛権、海外での自衛隊の武力行使を認めるような9条の改正」には反対しないということなのでしょうか。
 もっと微妙なのは前原さんの主張です。現行の9条は護るということですから9条護憲に見えますが、同時に「加憲でこの自衛隊の位置づけをみんなで議論していきたい」と付け加えているからです。

 このような前原さんの「9条加憲論」を、直ちに安倍「壊憲」路線への同調だとして糾弾してはなりません。それが憲法の精神である平和主義や平和国家としての国の形を壊すことになるのか、それとも守るためのものなのかが見極められなければならないからです。
 これはすでに8月26日のブログ「改憲への賛否や9条改憲への賛否を問う世論調査の『落とし穴』」で書いたことですが、「9条改憲論の中にも、自衛隊の現実にあわせて憲法を変えるという意見と自衛隊が海外に派遣されて米軍などの支援を行う『外征軍』化を防ぐために憲法を変えるという意見があ」り、「『専守防衛』の壁を破るための9条改憲とその壁を強化するための9条改憲という正反対の意見が混在している」からです。前原さんの9条加憲論についても、前者なのか後者なのかが問われなければならないでしょう。
 そして後者であれば、それは憲法の原理や理念を壊す「壊憲」ではなく、それに沿った「改憲」であり、その主張は憲法の「改悪」ではなく「改正」だということになります。そのどちらなのかを、前原さんは明確にするべきでしょう。

 しかし、それでも問題は残ります。「このような9条改憲論には慎重でなければならない」と思うからです。
 その理由も、9月1日のブログ「自衛隊をどう『活かす』のか」で、次ように書いた通りです。「9条加憲論」にも、このような問題があるということを、前原さんは自覚されているのでしょうか。

「一つにはタイミングの問題があり、今の時点でのこのような提起は「壊憲」勢力に利用される恐れがあるからです。
 もう一つは、9条の戦争放棄・戦力不保持という規定はもう二度と戦争の脅威を与えないという国際社会、とりわけ周辺諸国に対する国際的な誓約となっており、それを変えて自衛隊の保持を明記すれば国際社会や周辺諸国に誤ったメッセージを与えることになるからです。まして、戦前型社会と軍国主義の復活を目指しているのではないかと疑いの目で見られている安倍首相の下での変更は避けるべきでしょう。
 さらに、自衛隊の存在は歴代自民党政権によって意識的に生み出されてきた「反憲法的現実」そのものですから、それを憲法に明記してしまえば現実を追認することになります。自民党による長年の「反憲法的政治」によって9条と大きく乖離してしまっている現実をそのまま受け入れるのではなく、そのような歪んだ現実を9条に近づけていく努力こそが求められるという「活憲」の課題が失われ、戦争放棄・戦力不保持が実現できるような周辺環境や国内状況を生み出すという将来ビジョンを掲げることができなくなります。
 このような戦争放棄・戦力不保持という9条の理念を実現しようという意思と方向性を持っているかどうかが、今後の安保・防衛政策や外交路線にとって決定的です。そのための緊張緩和や友好関係の樹立など、外交努力が不可欠になるからです。」

 9条以外では、蓮舫さんは「地方自治のあり方」、玉木さんは「憲法裁判所の必要性、衆院と参院の関係、地方自治など統治機構のあり方」などを列挙し、玉木さんは民主党の2005年の「憲法提言」を挙げて「ああいったものを民進党でも1年ぐらいのめどでまとめるべきだ」とも述べています。
 このような憲法の原理や理念に抵触しない「改憲」案について議論したり検討したりすることは全く問題ありません。「壊憲」につながる「改悪」ではなく、統治ルールの変更や時代の変化に沿った見直しなどの「改憲」を目指した「改正」は、憲法の禁ずるところではないのですから。
 しかし、この程度の「改正」をいま、この時点で行う必要があるのかということについては、また別の議論と判断が必要でしょう。改憲には膨大なエネルギーを必要としますから、それをいま最優先の課題として取り組むべきなのでしょうか。

 周辺諸国との関係や安全保障環境の改善、景気回復や社会福祉の立て直し、少子化問題の解決と持続可能な社会への転換、東北大震災や豪雨災害、原発事故からの復旧・復興など、優先して取り組まなければならない課題は山積しており、持てる政治のエネルギーをすべて注ぎ込んでその解決に当たることこそ、最も優先されるべきことではないでしょうか。
 自民党ではなく民進党にこそ、それが可能だということを国民に示すことができなければ、代表が変わっても政権を変える展望は生まれてきません。このことを理解している方にこそ、民進党の代表になっていただきたいものです。

 なお、今月の講演の予定は次のようになっています。関係者の方、お近くの方に足を運んでいただければ幸いです。

9月10日(土)午後2時 雲仙・富貴屋ホテル:長崎民商
9月14日(水)午後6時半 明治大学駿台キャンパス研究棟:千代田9条の会
9月16日(金)午後6時半 生活産業プラザ:豊島革新懇
9月17日(土)午後2時 本牧・山手9条の会
9月20日(火)午前9時40分 全労連会館:民医連
9月21日(水)午後6時 日野市勤労・青年会館:平和ひのはち市民のつどい
9月24日(土)午後2時半 東村山革新懇

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