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9月4日(金) 国会最終盤で落とされた3つの「爆弾」 [国会]

 今の通常国会の会期は27日までとなっています。しかし、26日が土曜日で27日は日曜日ですから、事実上25日までということになります。
 この国会最終盤になって、安倍政権にとっての「爆弾」が3つ、落とされました。1つは8月30日の「国会10万人・全国100万人大行動」、2つ目は共産党議員によって暴露された2つの自衛隊統合幕僚会議に関する秘密文書、3つ目は昨日の『朝日新聞』に掲載された元最高裁長官のインタビュー記事です。

 第1の「国会10万人・全国100万人大行動」は政府・与党に大きな衝撃を与えています。これほど多くの人々が国会周辺だけでなく、全国各地で戦争法案反対の行動に出るとは考えていなかったからでしょう。
 産経新聞や週刊新潮は主催者発表の12万人は多すぎるとケチをつけています。しかし、それでも警察情報の3万人以上が集まったことは認めています。
 12万人という数については、すでに前回のブログで、最寄りの地下鉄駅の降車客数の増加による推定を紹介し、国会正門前に3万人以上、周辺を含めて12万人だとする根拠を示しました。いずれにせよ、このような形で当日の参加者数が問題にされていること自体、この「大行動」の衝撃の大きさを物語っていると言って良いでしょう。

 なお、この日正門前で、民主・共産・生活・社民4党の党首がスピーチし、結束して戦争法案に反対する決意を表明したことには大きな意味があります。というのは、昨年末に実施された総選挙での絶対得票率(有権者内での得票率)は、小選挙区で自民25.5%、公明7.4%、与党計32.9%、比例代表で自民17.0%、公明7.0%、与党計24.0%となっているのに対し、野党4党の方は、小選挙区で民主21.1%、共産6.8%、生活0.5%、社民0.4%、4党計28.8%、比例代表で民主9.4%、共産5.8%、生活1.0%、社民1.3%、4党計17.5%となっていたからです。
 これらの数字では、確かに4党計よりも与党計の方が多くなっています。しかし、自民党だけとの比較では、小選挙区で25.5%対28.8%、比例代表で17.0%対17.5%と、4党計の絶対得票率の方が上回っていました。
 有権者内での得票率、つまり絶対得票率に示されている数字は自民党より野党4党の合計の方が多くなっていたのです。4野党党首の背後にある「安倍政権ノー」の民意は、昨年末にはすでに自民党を凌駕していたという客観的事実を忘れないようにしたいものです。

 第2の自衛隊内部文書の暴露も、戦争法案の内容を先取りして「軍部」が暴走していることを示すもので、重大な問題を孕んでいます。集中審議による関係者の証人喚問や責任の追及がなされなければなりません。
 8月11日の参院安保特別委員会で小池晃議員が暴露した統合幕僚監部の内部文書「『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について」は、「ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと、平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中では、これらが区別されることなく記載されています」と記し、ガイドラインが上位にあって、その実効性確保のために戦争法案が必要であると述べられていること、「平時から利用可能な常設の同盟調整メカニズム」「軍軍間の調整所」を明記し、日米共同の司令部を設置して共同作戦計画のもとに自衛隊を活動させることが述べられていること、南スーダンでの国連平和維持活動(UNMISS)についても、「駆けつけ警護」や「武器使用の権限」の拡大が「UNMISS派遣施設隊の業務に追加される」と記して法案を先取りしていること、戦争法制が8月に「成立」、来年2月に「施行」と「日程表」に表記され、国会を無視していることなどの問題があります。

 また、9月2日の安保特別委員会で仁比聡平議員は、河野克俊統合幕僚長が昨年12月に訪米して米軍幹部と会談した際の記録文書を暴露しました。この文書でも、「安保法制」について聞かれた際に「与党の勝利により2015年夏までには終了する」と説明していたこと、「(基地の日米)共同使用が実現すれば、……沖縄の住民感情も好転するのではないか」と発言していたこと、米軍輸送機オスプレイについても「不安全性をあおるのは一部の活動家だけだ」などと述べていたことが示されており、日米同盟強化に向けて暴走する日米制服組の生々しい本音を伝える異例の内部文書となっています。
 このほか、「政治的中立性」が厳しく問われるべき自衛隊のトップである河野克俊統合幕僚長が自らの政治的見解を米軍幹部らに繰り返し伝えています。たとえば、辺野古新基地については「政治レベルの議論だ」としながら、「安倍政権は(新基地を)強力に推進するであろう」との見通しを述べ、オスプレイの日米共通の整備拠点については「日本に置いて頂けると更なる運用性の向上になる」と誘致し、海賊対処の拠点として国会で説明してきたアフリカ北東部・ジブチの自衛隊基地について「今後の幅広い活動のため利用を拡大させたい」との方針を明言しています。
 この文書について、3日の記者会見で質問された河野克俊統合幕僚長は、「防衛省内で確認中だ」と述べて内容の真偽などに関し明言を避け、確認できる時期は「近日中」と説明したそうです。発言したのは、河野さん本人ではありませんか。
 笑っちゃいますね。本人が自分に「確認中」で、結果が分かるのは「近日中」だなんて……。

 第3の山口繁元最高裁長官の証言も重大な意味を持っています。「少なくとも集団的自衛権の行使を認める立法は違憲だと言わざるを得ない」と述べたからです。
 かつて、稲田朋美自民党政調会長は「憲法解釈の最高権威は最高裁。憲法学者でも内閣法制局でもない。最高裁のみが憲法解釈の最終的な判断ができると憲法に書いている」と語り、高村自民党副総裁も「憲法の番人は、最高裁判所であって憲法学者ではない」と学者の違憲論に反論していました。その最高裁の元トップも戦争法案は憲法違反だと明言し、「(解釈変更に)論理的整合性があるというのなら、(政府は)これまでの見解が間違いだったと言うべきだ」と、政府を批判したことになります。
 憲法研究者、弁護士、内閣法制局長官の経験者などに続いて、ついに元最高裁長官も戦争法案の違憲性を指摘する発言を行いました。これで、すべての法曹関係者が戦争法案は憲法違反だと認めたわけです。

 山口元最高裁長官は、「我が国は集団的自衛権を有しているが行使はせず、専守防衛に徹する。これが憲法9条の解釈です。その解釈に基づき、60余年間、様々な立法や予算編成がなされてきたし、その解釈をとる政権与党が選挙の洗礼を受け、国民の支持を得てきた。この事実は非常に重い」とし、「違憲」の根拠について「集団的自衛権の行使は憲法9条の下では許されないとする政府見解の下で、予算編成や立法がなされ、国民の大多数がそれを支持してきた」と指摘したうえで、「従来の解釈が憲法9条の規範として骨肉化しており、それを変えるのなら、憲法改正し国民にアピールするのが正攻法だ」と述べています。
 安倍首相らは砂川事件最高裁判決が、法案の合憲性の根拠になると主張していますが。これに対しても山口さんは「当時の最高裁が集団的自衛権を意識していたとは到底考えられないし、(憲法で)集団的自衛権や個別的自衛権の行使が認められるかを判断する必要もなかった」と反論しました。また、1972年の政府見解と論理的整合性が保たれているという政府見解についても、「何を言っているのか理解できない。『憲法上許されない』と『許される』。こんなプラスとマイナスが両方成り立てば、憲法解釈とは言えない。論理的整合性があるというのなら、72年の政府見解は間違いであったと言うべきです」と明確に否定しています。
 「安全保障関連法案についてどう考えますか」という問いには、「長年の慣習が人々の行動規範になり、それに反したら制裁を受けるという法的確信を持つようになると、これは慣習法になる。それと同じように、憲法9条についての従来の政府解釈は単なる解釈ではなく、規範へと昇格しているのではないか。9条の骨肉と化している解釈を変えて、集団的自衛権を行使したいのなら、9条を改正するのが筋であり、正攻法でしょう」と述べ、「内閣法制局の現状」については「非常に遺憾な事態です」と批判し、「内閣法制局は、時の政権の意見や目先の利害にとらわれた憲法解釈をしてはいけない。日本の将来のために、法律はいかにあるべきかを考えてもらわなければなりません」と述べています。横畠内閣法制局長官は、この指摘をどう受け止めるのでしょうか。

 世論調査でも戦争法案への反対は多く、今国会での成立を急ぐべきではないという声の方が多数になっています。反対の民意は国会周辺に集まった人々によって示されているだけではありません。
 すでに自衛隊が戦争法案を先取りした「軍部の暴走」を始めていることも明らかになりました。米軍の手先や下請けとしてさらに一体化や従属を進めていくためのものだという戦争法案の狙いを明らかにしていると言うべきでしょう。
 元最高裁長官も違憲だと明言し、「憲法解釈の最高権威は最高裁」だという逃げはもはや通用しません。事ここに至っても、まだ戦争法案の成立を強行するつもりなのでしょうか。

 公明党は「平和の党」という看板を投げ捨てて自民党と心中するつもりなのか、自民党の良心的リベラル派やハト派は、自らの政治信条に反して極右の安倍首相に追随するつもりなのか――いま、そのことが問われ、歴史によって検証されようとしています。

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