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7月18日(土) 「戦争法案」審議で明らかになった共産党議席増の大きな意義 [論攷]

〔以下の論攷は、東京大学人・研究者日本共産党後援会ニュース『波濤』7月13日付、166号、に掲載されたものです。〕

 「戦争法制」審議で追い込まれた政府・与党

 国会で「戦争法制」についての審議が行われています。しかし、それは政府・与党の目論見通りには進んでいません。次々と問題が明らかになり、審議が進むほどにかえって反対世論が強まっているからです。
 法案が衆院を通過しないうちに通常国会の会期は終わってしまいました。法案成立に執念を燃やす政府・与党は、95日間という戦後最長の会期延長を行っています。衆院の強行突破によって参院での審議が空転しても、60日間経ったら否決されたとみなして衆院で3分の2の多数で再可決するという「60日間ルール」を見越しているからです。
 こんなやり方が通用するのであれば、参院が存在する意味がありません。2院制の否定そのものではありませんか。参院の自民党からも「我々を無視するのか」と文句を言われるような暴挙に出たのは、それだけ政府・与党が追い込まれているからです。苛立った自民党の若手議員は党本部での勉強会で「マスコミを懲らしめる」などと発言し、責任者が処分されるなど、大きな批判を受けました。

 「潮目」を変えたのは志位質問

 このような形で誤算が生まれ、法案審議で追い込まれてしまったのは、いつからでしょうか。それははっきりしています。5月20日の党首討論に共産党の志位和夫委員長が登場してからです。
この時、志位委員長はポツダム宣言にある「間違った戦争だった」という認識について質問し、「この認識をお認めにならないのですか」と詰め寄りました。とっさに言い逃れようとした安倍首相は、「まだ、その部分をつまびらかに読んでおりませんので……論評することは差し控えたい」と答えてしまいました。これが「潮目」の変わるきっかけです。
 この後、5月26日の衆院本会議での代表質問と、これに続く5月27、28両日の安保法制特別委員会での志位委員長の質問も大きな反響を呼びました。緻密な論理と周到な準備に裏付けられた質問によって安倍首相などを追い込んでいく様子は、法廷劇のような緊張感に満ち、多くの国民に鮮烈な印象を与えたからです。

 論戦で何が明らかになったのか

 政治とは言葉であり、論戦とは議論による戦いであることを示す好例でした。政治家はかくありたい。言葉で勝負し、事実によって嘘や誤魔化しをあばき問題点を浮き彫りにするのが論戦力であり、そのような力を持った政治家こそ本物の政治家なのだということをはっきりと示した瞬間でした。
 しかし、そのような力を持っていても、それを発揮する機会は長い間、志位委員長に与えられませんでした。衆院での共産党の議席が少なく、党首討論に参加する資格を得られなかったからです。今回、党首討論に出られたのは、昨年の総選挙で共産党が躍進して議席を増やしたからです。
 とはいえ、討論時間はたったの7分間にすぎません。もっと長い時間であれば、さらに安倍首相を追い込むことができたでしょう。特別委員会での質疑も、以前より長い時間が確保できたからあれだけの論戦が展開できたのであり、それも総選挙での議席増のお陰でした。さらに議席を増やせば、もっと多くの討論時間を確保できます。そうすれば、さらに安倍首相を追い込むことができるはずです。
 志位委員長の論戦を通じて、「後方支援」とは国際的には「平たん活動」のことであり、かつて「戦闘地域」とされた場所にまで出かけて「後方支援」すれば「殺し、殺される」危険性が高まること、国連平和維持活動(PKO)法の改定によって形式上の停戦合意がなされても戦乱が続く地域での治安維持活動、たとえばアフガニスタンに展開した国際治安支援部隊(ISAF)に加われるようになれば戦闘に巻き込まれる危険性が高まること、米国が先制攻撃した場合でも集団的自衛権を発動して無法な戦争に協力させられることなどが明らかになりました。

 政府・与党が陥っている「五面楚歌」

 国会の会期延長によって、さらに「戦争法制」の審議が続くことになります。いくら会期を長くしても、国民の理解が進むはずがありません。平和のために戦争しやすくするとか、日本を防衛するために外国を守るとか、安全を高めるためにリスクを覚悟するなどという奇天烈な論理や誤魔化しが通用するはずがないからです。どんなに時間をかけても、存立危機事態や重要影響事態、武力攻撃切迫事態の違いが分かるわけがありません。説明する方にだって分かっていないのですから……。
 その結果、安倍政権は「五面楚歌」に陥ることになりました。第1に世論の多数は説明不足だとして今国会での成立に反対し、第2に憲法の専門家や学者の大多数は「違憲だ」としており、第3に自民党の幹部や防衛官僚のOBも反対を表明し、第4に内閣法制局の先輩も懸念を示し、第5に地方議会でも法案の撤回や慎重審議を求める意見書を採択する動きが続いています。まさに、「五面楚歌」とも言うべき状況になりました。
 政府・与党は会期延長によって土俵を広げることができて、「やれやれ」と思っているかもしれません。しかし、土俵が広がれば、攻め込まれる余地も拡大することになります。国会での追及が続き、広い土俵の中で逃げ回るということにもなりかねません。「こんなことなら、早く閉じておけばよかった」と後悔させるところにまで追い込んでいく必要があります。

 国民的共同による政権交代と民主的政府樹立に向けて

 安倍首相の暴走によって、支配勢力に亀裂が生じ、幅広い国民的共同の条件が拡大し、たたかいに加わる人々の数は増え、若い世代の参加など質的な変化も生まれています。このようにして力は蓄えられ、政治を変えるチャンスが拡大し続けてきました。その力とチャンスを新しい民主的な政府の樹立に結びつけることが、これからの課題でしょう。
 かつて、2度にわたる「国共合作」によって中国は救われました。国民党と共産党を中心とする民主勢力の連携と協力によって、辛亥革命と抗日戦争ははじめて勝利することができたのです。今の日本では、「民共合作」のような統一戦線によって日本を救うことが必要です。民主党と共産党の連携と協力を軸に、幅広い民主勢力と市民の共同によって安倍政権を倒さなければなりません。
 この統一戦線の政策的な軸になるのは「戦争法制」に対する反対と9条改憲の阻止、労働の規制緩和への反対です。それに、小選挙区制の廃止を含む選挙制度改革を必ず政策合意に加えていただきたいと思います。日本の政治を歪め劣化させている元凶は小選挙区制にあるのですから……。
 このようにして、安倍政権の暴走を阻止する戦いを新たな政治革新と民主的政府樹立に結びつけることができるかどうか。「日本の暑い夏」は、始まったばかりです。

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