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4月2日(土) サルコジ仏大統領は、なぜ日本にやってきたのか [災害]

 フランスからサルコジ大統領がやってきて菅首相と会談しました。たった3時間の滞在にすぎませんでした。
 東日本大震災後に外国の首脳が東京を訪れたのは初めてのことです。どうして、こんなに短い時間、サルコジさんはわざわざ日本にやってきたのでしょうか。

 理由の一つは、福島第1原発の事故に対する、世界第2位の原発大国としての危機感でしょう。これ以上、事態が悪化して、原発に対する逆風が強まることを恐れたのです。
 EU内での原発に対する風当たりは強まり続けています。ドイツでは大きな反原発のデモがあり、フランス国内でも原発に対する不信が高まっています。
 サルコジさんは、菅直人首相に福島第1原発事故への対応で協力を約束し、世界中に日本への支援を呼びかけました。今回の来日の目的がここにあったことは明らかです。

 同時に、サルコジ大統領は、今年の主要8カ国(G8)と20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の議長を務めることになっています。ここでの主導権を確立するチャンスだと考えたのかもしれません。
 今年のサミットは、5月26~27日に、フランス北西部のドービルで開かれることになっています。当然、今回の原発事故が主要議題になることでしょう。
 菅首相との会談で、サルコジさんは、このサミットで原発の安全に関する共同声明を出すこと、年末までに世界共通の原発安全基準をまとめることも明らかにしました。中国の南京で開かれたG20関連の国際通貨システムに関するセミナーに出席したついでに日本に立ち寄ったということも、今回の来日がサミット議長国としての行動の一環であったということを示しています。

 サルコジさんが日本にやってきた頃、もう1人のフランス人が、成田空港に降り立ちました。世界最大の原発企業AREVAの女性 CEO、アンヌ・ロベルジョン社長です。
 彼女は、福島第1原発事故の対応について日本側と支援策を協議するためにやってきました。アレバはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料製造などを通じて日本との関係も深く、福島第1原発3号機で使われているMOX燃料も製造しています。
 東京電力からの支援要請に応えての来日だとされています。それは「善意」の来日だったのでしょうか。

 来日した2人のフランス人が福島第1原発の事故を早期に解決し、日本の役に立ちたいと考えていたことは疑いありません。世界1の原発大国であるアメリカも、様々な支援の手を差し伸べています。
 このような国際的な支援が功を奏して早期に原発の暴走が治まり、放射能漏れがなくなって欲しいと、私もそう願っています。それは国民の安全のためであり、原発の被害をこれ以上拡大させないためです。
 しかし、彼らの目的はそれだけでなく、もう一つ別の思惑もあるように思われます。事故を解決して技術力の高さを示し、原発の安全性についての新しい「神話」を生み出そうと狙っているのでしょう。

 来日したサルコジ大統領は、「明日原発が廃止されたら何が失われるか。安全基準を高めて原発を推進するしかないのだ」と強調しました。来年の大統領選に向けて、福島原発事故の収拾を図って手柄にしたいと思っているのかもしれません。
 来日したアレバCEOは、事故対応の手際を示して技術力の高さを誇示し、新たな原発ビジネスの拡大を狙っているのかもしれません。「これほどの事故を解決したのですから、私たちの原発を買ってください」と……。
 様々な支援を申し込んでいるアメリカは、密かに、福島原発の事故対応を、色々なことを試したり経験を積ませたりする実験と訓練の場にしようと考えているのかもしれません。将来あるかもしれない自国内での事故に備えるために……。

 これらの人々や国にとって、福島第1原発の事故を収拾することは、日本のためだけではないのです。原子力発電を推進し、原発ビジネスの拡大を狙っている自分たち自身のためでもあります。
 ここで原発に対する事故対応と技術力の高さを示すことができれば、新たな「安全神話」が生まれ、ビジネス・チャンスが拡大するという思惑もあるでしょう。その意味では、今回の事故は必ずしも原発にとっての「逆風」を生み出すとは限りません。
 事故の克服を通じて、新たな「追い風」を吹かせてしまう可能性もあります。そうしないためにも、今後、福島第1原発の事故をどう総括し、どのような教訓を引き出すかが問われることになるでしょう。

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