So-net無料ブログ作成
検索選択

2月1日(日) 日本の労働における3つの不思議 [労働]

────────────────────────────────────────
 拙著『労働再規制-反転の構図を読みとく』(ちくま新書)刊行中。240頁、本体740円+税。
 ご注文はhttp://tinyurl.com/4moya8またはhttp://tinyurl.com/3fevcqまで。
────────────────────────────────────────
 アメリカの経営者は異常だ、と思いました。オバマ大統領の怒りももっともです。

 米ニューヨーク・タイムズ紙は29日、金融機関のトップらが08年に受け取ったボーナスは、過去6番目の高さだったと報じました。合計すると約184億ドル(約1.6兆円)に達するほどだといいますから、驚きです。
 最も高額だったのは、メリルリンチのジョン・セイン最高経営責任者(CEO)の計8300万ドル(約74億円)です。これには、基本給、ボーナス、ストックオプション(自社株購入権)が含まれています。
 給与以外でも手厚い待遇を受けていたのは、銀行大手JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEOでした。家族のいるシカゴから約1100キロ離れたニューヨークまで自家用ジェット機で通勤していたため、経費は21万ドル(約1900万円)に達したそうです。

 これに対して、オバマ新大統領は「無責任の極みで、恥ずべきことだ」「金融機関は崩壊の瀬戸際で、納税者に助けを求めた。自制心、規律、責任感を求めたい」と語って、怒りをあらわにしました。当然でしょう。
 一方では、税金を投入して危機を救ってもらい、他方では、その危機を招いた経営責任を負うことなく、莫大な報酬を手に入れたのですから……。まるで、沈み始めた船から船長だけが大きな浮き袋を抱えて逃げ出したようなものです。
 わずか400人が国全体の資産の半分を占めているアメリカの異常さが、このようなところにも現れていると言うべきでしょうか。

 「異常さ」と言えば、日本も異常です。「恐らく外国人には理解できないだろう」と、名古屋東京での講演で話してきました。
 過労死あるいは過労自殺、不払い残業(サービス残業)、そしてワーキングプアのことです。そこには、日本人の働き方の異常さが象徴されているように思われます。
 これらは「日本の労働における3つの不思議」とも言うべきものでしょう。外国の人に説明しても、なかなか理解してもらえません。

 第1の過労死あるいは過労自殺は、働きすぎて死に至るということです。健康を害して亡くなるのが過労死で、精神を病んで自ら死を選ぶのが過労自殺です。
 どちらも、「働くことに命をかけている」ということです。生きるために働くというのが本来の姿なのに、この国では一部でそれが逆転してしまっているのです。
 しかも、このような現象が問題になったのは1988年で、この年に「過労死110番」が初めて取り組まれ、10月には過労死弁護団全国連絡会議が結成されました。それから20年以上も経つというのに未だに問題が根絶されていないということ自体が、まことに異常なことだと言うべきでしょうか。

 第2の不払い残業(サービス残業)は、外国の人にとってはもっと理解できないことかもしれません。対価なしでの労働を「サービス」させられているというのですから……。
 06年4月~07年3月の一年間、不払い残業で摘発され割増賃金を請求されたのは1679社18万人分で、その総額は227億円に上ります。これは、おそらく「氷山の一角」で、実際にはもっと多いのではないでしょうか。
 それでも227億円もの額が、不払い残業によって「サービス」させられていました。過去最高益を更新していたにもかかわらず賃金を引き上げなかったばかりか、このような形で、支払うべき賃金さえも誤魔化されていたのです。

 第3のワーキングプアは、「働いているのにまともな生活ができない」人々です。「働いていなくてもまともな生活ができる」ヨーロッパの人々との違いは顕著です。
 普通、働く目的は、収入を得て生活するためです。このような目的を充足できないような労働が存在するということは、恐らく、ヨーロッパなどでは考えられないのではないでしょうか。
 もちろん、例外はどこにでもありますから、このような低賃金の劣悪労働が皆無だということはないでしょう。しかし、今日の日本のように、年収200万円以下という生活保護水準に満たない年収の労働者が1000万人以上も存在するなどということは、信じられない「ミラクル」だと受け取られるに違いありません。

 1番目の過労死あるいは過労自殺は、「働き中毒」と言われた日本人の労働にかかわる古くからの問題でした。2番目の不払い残業は、リストラが猛威をふるった「失われた10年」を通じて目立ってきた現象です。
 そして、3番目のワーキングプアは、派遣労働などの拡大や非正規化にともなって増大してきた新しい問題です。その背後には、新自由主義的な労働の規制緩和が存在していました。
 つまり、日本的経営の下で存在した古い問題と、新自由主義的なアメリカ・モデルの導入によって発生した新たな問題が重層化する形で、日本人の労働を歪め、外国人の目から見れば「不思議」としか言いようのない異常さをもたらしているということになるでしょう。

 今日の経済危機や雇用危機は、このような異常さをさらに強める方向で作用する危険性があります。ここに、日本が陥っている危機の深刻さがあると言わなければなりません。
 緊急事態ですから、当面の措置を緊急に施すことは確かに必要です。しかし同時に、ここで指摘したような問題を拡大しないように配慮しなければなりません。
 当面の対応に目が奪われ、中長期的にはかえって問題を拡大してしまうというようなことがあってはなりません。アメリカ・モデルの浸透によって、経営者の発想が短期的で近視眼的なものになってきているがゆえに、特にこの点を強調しておく必要があるように思われます。


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 1

モンクレール

アバクロ http://www.abercrombie.ne.jp
モンクレール http://www.moncler.ne.jp
モンクレール http://www.monclersales.jp
ugg http://www.agushop.com
エドハーディー http://www.edhardyshop.jp
レディース 靴 http://www.lakuho.com
ミュウミュウ http://www.miumiu.ne.jp
ティファニー http://www.tiffanyshop.jp
iPhone 4 ケース http://www.iphone-cases-sale.com
iPhone 4 ケース http://www.iphonecases.jp
アバクロ http://www.abakuro.jp
アバクロ http://www.abakuros.com
アバクロ http://www.abakurosale.com
アバクロ http://www.abakuroshop.com
アバクロ http://www.abercrombies.jp
UGG, トリーバーチ、クリスチャンルブタン http://www.brandfans.jp
エドハーディー http://www.ed-hardy.jp
モンクレール http://www.moncler007.com
モンクレール http://www.monclershop.jp
モンクレール http://www.monclerstore.jp
モンクレール http://www.monkureru.com
モンクレール http://www.monkureru.info
モンクレール http://www.monkureru.org
モンクレール http://www.replicafans.com
モンクレール http://www.monclersale.jp
アバクロ http://www.abercrombieclub.com
レディース 靴 http://store.shopping.yahoo.co.jp/lakuho-sp/index.html
レディース 靴 http://storeuser10.auctions.yahoo.co.jp/jp/user/lakuho999
Paul Smith http://www.paulsmithmart.com
iphone 4 cases http://www.iphone-cases-shop.com
iphone 4 cases http://www.casesonsale.com
Links of London http://www.linksoflondonbox.com
ugg http://www.ugg-emu.com
Abercrombie and Fitch http://www.abercrombiemart.com
Ed Hardy http://www.edhardyeshop.com
ugg http://www.monclershop.jp/ugg.html
クロックス http://www.crocsmart.com

by モンクレール (2011-08-24 12:02) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0