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1月16日(金) 春闘向けの世論工作に惑わされてはならない [09春闘]

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 09春闘に向けて、連合と日本経団連とのトップ会談が開かれ、労使交渉が幕を開けました。会談の冒頭、使用者側の御手洗経団連会長は「例年以上に厳しい労使交渉になることが予想される」と牽制しました。これに続いて、使用者側からは「第一義的には雇用確保」「雇用不安の中で賃上げ賃上げというのは国民の共感が得られるのか」という意見が相次いだそうです。

 予想通りの展開です。昨年の秋、『日経ビジネス』記者の質問に、私は「非正規社員を削減する事例が増えており、賃金抑制の動きも出ている。今後は金融危機に乗じて、経営者が悪乗りし、古典的な労働問題が発生するでしょう」http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2008-12-26と答えていました。
 私としては、「金融危機に乗じて、経営者が悪乗りし、古典的な労働問題が発生」するであろうことは「想定の範囲内」です。今回の連合と日本経団連とのトップ会談における使用者側の対応もまた、十分に予想されるものでした。

 思い返してみれば、今回の金融危機が発生したのは、昨年9月中旬の「リーマン・ショック」が契機でした。「派遣切り」「非正規切り」と呼ばれる派遣労働者の大量解雇が発生したのは、それからわずか3カ月も経たない12月の初めです。
 この手際の良さは、あまりにも不自然ではありませんか。しかも、年末年始という時期を控えての「派遣切り」です。「切られた」人が困ることは、容易に想像できたはずです。
 製造業関係の派遣労働者の解雇が大きな社会問題になったのは、これらの人々が職を失っただけでなく、住居からも追い出されたからです。そうであればなおさら、この時期の大量解雇が大きな社会問題を生み、世間の注目を浴びることは分かっていたはずではありませんか。

 そうです。「派遣切り」「非正規切り」が大きな社会問題を引き起こすことは、切る側だった御手洗さんなどにも十分、分かっていたはずです。
 だからこそ、それを強行したのではないでしょうか。これによって「雇用危機」の深刻さを社会的にアピールするという隠された狙いが、そこにはあったように思われます。
 つまり、解雇の目的は、これらの低賃金労働者の労働コストの節約ではなかったということです。それよりも、「雇用危機」を演出し、それを強く印象づけることによって賃上げ攻勢を回避するという、もう一つの狙いがあったのではないでしょうか。

 「派遣切り」「非正規切り」を率先して実行したのは、中小企業ではなく日本経団連の会長や副会長などを出しているキヤノンやトヨタなど、日本のリーデングカンパニーでした。これらの企業は、春闘に向けての世論工作においても、日本の企業をリードしようとしたということでしょう。
 大企業は、02年以降5年連続で過去最高益を更新して巨額の「内部留保」を蓄積し、大手16社の合計額は08年9月末で約33兆6000億円にもなっています。つまり、今にも沈みそうに見せていたけれど、実は、船底に大きな浮き袋が隠されていたのです。
 本当に沈む危機にさらされているのは、02年以降も景気回復の恩恵を受けなかった中小企業の方です。こちらの方は何とか雇用を維持すべく頑張っているのに、大企業の方はさっさと「派遣切り」「非正規切り」を行い、行政や社会に尻ぬぐいを迫りました。

 そもそも経営者にとって、派遣労働者の存在は賃金抑制の手段として利用価値の高いものでした。景気が良いときも危機に陥ったときも、いずれの場合でも賃金抑制の手段として派遣労働者は利用されてきたのです。
 「人材のジャストインタイム」と言われるように、必要なときにはいつでも雇用でき、必要なくなると雇い止めできる派遣労働者は、「使い勝手」の良い安価な労働力でした。このような労働者が増えれば増えるほど、非正規労働者全体の賃金水準と労働条件は低下し、正規労働者の賃上げも難しくなります。
 他方、現在のような経済危機の下では、派手な「派遣切り」や正規・非正規の格差、対立関係の強調などによって、正規労働者の運動を押さえる「口実」として利用されています。「このような経済危機の元では賃上げなどはとても無理。せめて雇用維持を」あるいは「非正規労働者のために、正規労働者は賃上げどころか賃金カットも我慢するべきだ」というわけです。

 しかし、当面の景気対策としても、中・長期的な対応としても、このような言い分は正しいのでしょうか。もちろん、中小企業の中には、こう言わざるを得ないところがあることは理解できますが、しかし、この間、史上最高益を更新して「内部留保」を貯めこんできた大企業は別です。
 景気対策ということでいえば、赤字の国庫から確定給付金をばらまくよりも、黒字の「内部留保」を大企業からはき出させて賃金を引き上げた方がよいでしょう。企業業績が好調だった去年までの賃上げは極めて不十分であり、本来、労働者の取り分に回るはずのものが内部留保や株式配当、役員報酬に回っていたのですから……。
 この間、春闘のたびに賃上げを求められた経営者は「今は良くても、いつ悪くなるか分からない。いざというときのために取っておく必要がある」と、言い訳していたはずです。今回、いざとなって、「この時こそ、儲けをはき出すべきだ」と迫っても、「今は苦しいからダメだ」と言うのでしょうか。それなら、いつ賃金を上げるのですか。

 中・長期的な観点からいえば、産業社会としての日本の生き残りのために、内需の拡大は不可欠です。労働分配率を是正し、労働者の可処分所得を増やすことによって将来的な内需の拡大に結びつけるという視点が重要でしょう。
 02年以降の経済成長期における労使間の取り分では、労に少なく使が取りすぎていたことは、使用者側や政府も認めていたはずです。一昨年の日本経団連の「経労委報告」は「家計」を重視し、今春闘に向けても首相や経産相が賃上げを要請していたではありませんか
 これを是正する絶好のチャンスは、昨年の08年春闘でした。しかし、連合はベースアップ要求を掲げず、ようやく8年ぶりに掲げた09年春闘では危機に「悪乗り」した「賃上げよりも雇用だ」という世論工作に直面してしまったというわけです。

 1年、タイミングがずれたという問題はあります。しかし、今からでも遅くはありません。労と使における分配の不均衡を正すことが必要です。
 「雇用が大変だから、賃上げなどとんでもない」などという世論工作に負けてはなりません。賃上げ要求の自粛など、大企業経営者の思うつぼです。それは、当面の景気回復も将来的な内需拡大への道をも塞ぐ亡国の策だというべきでしょう。

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