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12月23日(火) 拙著『労働再規制』に対する池田信夫氏の書評への反論(その4) [論攷]

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 池田「書評」に対する反論を続けます。その前に、昨日書いたことに対する補足を一つ。

 池田さんは、昨日取り上げた部分の最後で、「一次情報を見るとOECD統計のように著者の憶測とは逆のデータしかないので、故意に無視しているのかもしれないが」と書かれています。
 しかし、2006年のOECD「対日経済審査報告書」は、日本の相対的貧困率がOECD諸国の中でアメリカに次いで第2位であることを明らかにし、大きな衝撃を与えました。これは「著者の憶測とは逆のデータ」なのでしょうか。私はこれを「故意に無視」したのではなく、良く知られているので言及しなかっただけです。

 というところで、昨日の続きです。
 第4に、〈「交渉力の非対称性」を持ち出す厚労省官僚の論理はもっと奇妙だ。そもそも経済学にそんな概念はない。交渉力はつねに非対称なものだからである。それを「行政が補完するために労働基準法がある」のだそうだ。なるほど、官僚はそういうふうに考えているのか〉という記述は、池田さんが労働問題について無知だということをよく示しています。
 これは私に対する批判というよりも、「厚労省官僚」に対する難癖です。しかし、この部分にも問題点満載ですので、以下、反論させていただきます。

 まず、事実の確認をしておく必要があるでしょう。池田さんは、「それを『行政が補完するために労働基準法がある』のだそうだ」と書かれ、「行政が補完するために労働基準法がある」という部分をわざわざカッコに入れています。しかし、拙著の中にはこのような記述はありません。
 書評では、通常、カッコに入っている部分は対象の本からの引用だと理解されます。その引用すら、正確になされていないのは、何故でしょうか。
 池田さんは、カッコの中の引用文は原文をそのまま入れるという基本的なルールすらご存じないようです。学生や院生に対して、一体、どのような論文指導をしているのでしょうか。

 ただし、拙著には、池田さんが不正確に引用した文と似た箇所があります。195頁の第8回労働タスクフォースに参加した厚労省労働基準局監督課の岸本調査官の発言を紹介した部分です。
 ここで私は、「岸本調査官は、労使間では交渉力や持っている資産も違っているから、『それを補完するような法規制を設けることが公正さの観点から必要であるという考え方があるのではないか』と指摘」したと書いています。

 この発言の「それを補完するような法規制を設けることが公正さの観点から必要である」という部分が、「行政が補完するために労働基準法がある」と、不正確に引用されているわけです。ここで注目されるのが、「法規制」が「労働基準法」と書き換えられていることです。
 恐らく、池田さんは何気なく書き換えてしまったのでしょう。しかし、この書き換えこそ、池田さんの労働問題への無知を明瞭に物語っています。

 「交渉力の非対称性」について、池田さんは「経済学にはそんな概念はない」と書かれています。しかし、労使関係論にはあるのです。しかも、中心的なキー概念として……。
 使用者と労働者との間で交渉力には大きな差があるということは、労使関係論の常識です。だから、この力の差を埋めるために、個々の労働者は組合を結成し、団結して集団的労使関係を築こうとしますし、労使交渉は団体交渉としてなされます。
 このような集団的労使関係に関わる「法規制」として何よりも重要なのは、労働基準法であるよりも労働組合法の方です。したがって、「交渉力はつねに非対称なものだからである。それを『行政が補完するために労働基準法がある』のだそうだ」という書き間違いは、上述の論理的関係を池田さんがまったく理解していないということをハッキリと示しています。

 ただし、池田さんがここで、思わず「労働基準法」と書き間違えてしまった理由は想像できます。この発言をされた岸本さんは厚労省労働基準局監督課の調査官であり、問題になっていたのは「労働基準関係の法規制」だったからです。
 そのために、池田さんは早とちりしてしまいました。ここで言う「法規制」は労働基準法のことに違いないと……。
 しかし、この問題が扱われている拙著の194頁から196頁には、「労働基準法」という用語はまったく登場していません。あるのは「労働法」という言葉であって、岸本さんがこう述べたのは、労働組合法なども含めた「法規制」全体を意識していたからだと思われます。

 ところが、池田さんはこのような背景がまったく分かっていません。引用文をそのままコピー・アンド・ペーストすれば良かったのに、その手間を惜しんだからでしょうか、ご自分で書いてしまったのです。
 そのために、大きな間違いを犯すことになりました。もっとも、この間違いの意味について、ここを読んでも理解できないかもしれませんが……。
 この文章の後で、「なるほど、官僚はそういうふうに考えているのか」と、池田さんは書いていますが、必ずしも「官僚はそういうふうに考えてい」ません。交渉力の非対称性を「行政が補完するために」必要なのは、「労働基準法」だけではなく、労働組合法も含む「労働法」全体なのですから……。



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コメント 5

地方に住む人

 こんにちは。
反論を見させていただきました。非常に納得がいきました。
ぜひ、弁護士の方にご相談して法的手段をとられた方が
よろしいと思います。池田氏はあまりにひどいと思います。
by 地方に住む人 (2008-12-25 23:09) 

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