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8月14日(月) ようやく1週間の帰省と休養、充電期間が可能になった [日常]

 明日、故郷の新潟・上越市に帰省します。1週間ほどの休養を取り、充電に努めたいと思います。
 実家の集落は日本海に近い古砂丘の上にあり、陸側は水田が海のように広がっています。その彼方には頸城連山が横たわり、子ども時代には「その向こう」に思いをはせていたものです。

 そして今は、「その向こう」のはるか遠くに住んでいます。「思えば遠くに来たもんだ」という歌の文句にある通りの人生になってしまいまいました。
 穀倉地帯新潟の専業農家の長男であったにもかかわらず、その家業を継ぐことなく縁遠い大学での研究者生活を送ってきました。その意味でも、「遠くに来た」ということになります。
 その学者人生もすでにリタイアしてしまいました。とはいえ、講演や執筆などに追われる日々を送っており、社会活動や運動からの「引退」はまだまだ先のことになりそうです。

 世界では、アメリカと北朝鮮が互いに挑発しあい、脅しあう「チキン・レース」が始まりました。不穏な空気が漂い戦争の危機が高まっていることに、遠く離れたドイツやフランなどのヨーロッパや中南米の指導者たちまでもが冷静な対応と自制を求め話し合いでの解決を主張しています。
 しかし、すぐ隣の日本の安倍首相は「交渉のための交渉はするべきではない」と述べて話し合いに反対し、故郷に帰って夫婦での盆踊りに興じています。何という大きな違いか、なんという無責任な態度なのかと驚くばかりです。

 安倍政権はアメリカのB1爆撃機と航空自衛隊機との共同訓練を行い、グアム周辺へのミサイル発射に備えてPAC3ミサイルを島根、広島愛媛高知の自衛隊基地に配備しました。しかし、PAC3は射程距離数十キロと短いので届かず、ほとんど「気休め」にすぎません。
 日本だけが軍事的対応一本やりである点に危うさを感じている国民は多いでしょう。 米朝ともに戦争を望んでいるとは思えませんが、偶発的な衝突の可能性は否定できません。
 戦争ではなく対話によって問題を解決するべきであるということを、各方面に訴える必要があります。政府は「武力による威嚇」を禁じた憲法9条に沿った冷静な対応に努めるべきでしょう。

 このような時に故郷に帰って休みを取るのはいささか気が引けますが、これも冷静な対応の一環ということでお許し願いたいと思います。情勢に流されず、一喜一憂することなく日常の生活を送ることこそ、私たち庶民にできることなのですから。
 『日刊ゲンダイ』8月12日付は、「『死に体』安倍政権を待つ時限爆弾」という記事で「心ある有権者は、帰省先で先祖に手を合わせながら、「政権打倒」を誓った上で、お盆休みを満喫して欲しい」と書いています。私は「心ある有権者」を自任していますから、「帰省先で先祖に手を合わせながら、『政権打倒』を誓った上で、お盆休みを満喫」させていただこうと思います。

 ということで、しばらくの間、このブログをお休みさせていただきます。来週の中ごろには再開しますので、ご了承いただければ幸いです。


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8月12日(土) 「こんな人たち」の怒りが噴出した都議選 [論攷]

〔以下の論攷は、『東京革新懇ニュース』第424号、2017年8月5日付、に掲載されたものです。〕

 「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかないんです」
 都議選の最終盤、安倍首相は秋葉原駅前でこう叫びました。「こんな人たち」として敵視された都民の怒りが噴出し、驚天動地の結果になりました。自民党は改選57議席を23議席に激減させ、都民ファーストの会は49議席を獲得。その間で「埋没」すると見られていた共産党は改選17議席から19議席へと善戦健闘しました。

 積み重なった敗因

 自民党の敗北はかつて経験したことのないものです。これまでの最低は38議席でしたが、それを15議席も下回りました。文京区と日野市で惜敗した共産党候補が自民党候補を蹴落として当選していれば、21議席で並んでいたのに惜しいことをしました。
 どうしてこれほどの歴史的惨敗を喫したのか。それはいくつもの敗因が重層的に積み重なったからです。築地市場移転問題の混迷など「都政の闇」を生み出してきたことへの責任追及、通常国会での共謀罪法案の強行採決や不祥事、暴言など政治と政治家の劣化への批判、改憲発言や「森友」「加計」学園疑惑での安倍首相と夫人の昭恵氏への忖度や国政の私物化に対する不信感、安倍首相の政治姿勢や体質への嫌悪感などが蓄積され、怒りのマグマとなって爆発したのです。
 これにとどめを刺したのが、秋葉原駅前での安倍首相による「こんな人たち」演説でした。全ての国民を視野に入れ、その生命と生活を守って国全体を統合する役割を担うべき首相が、自分を批判する人々を「こんな人たち」とひとくくりにして非難したのです。国民を線引きして分断し、「味方」や「お仲間」には優しいアベ政治の本質が顕われた瞬間であり、それに対しても厳しい審判が下されました。

 ポピュリズム選挙という「突風」

 今回の選挙では。ポピュリズム選挙という「突風」が吹きました。この風に吹かれて舞い上がったのが小池百合子都知事に率いられた都民ファーストの会です。現有6から49議席に躍進し、追加公認を含めて55議席になりました。「今回だけは支持できない」「安倍首相にお灸を据えたい」と考えた自民党支持者や無党派層にとって「非自民」の「手ごろな受け皿」となったからです。
 このようなポピュリズム選挙の「突風」はアメリカの大統領選挙、フランスの大統領選挙や議会選挙でも吹きました。日本では日本新党、大阪維新の会や名古屋での減税日本などの議員も、ポピュリズムの風に押し上げられ、あれよあれよという間に当選し、議会に送り込まれたことがあります。
 しかし、日本新党の都議はすぐに消え、大阪維新や減税日本のブームもしぼんでしまいました。今回当選した「小池チルドレン」の半分近くは議員経験がなく、きちんとチェック機能が果たせるのか、これから問われることになるでしょう。「突風」による躍進にはポピュリズム選挙の危うさが孕まれていることを忘れてはなりません。

 共産党の善戦

 共産党は2議席増と善戦健闘し、得票数と得票率も増やしました。前回の都議選で8議席から17議席に倍増していますから2回連続での増加で、32年ぶりのことになります。都民ファーストの会への「追い風」が吹いたにもかかわらず、吹き飛ばされることなく前進したのは重要な成果でした。
 これは強固な組織的基盤の成果ですが、市民や他の野党との共闘の前進も大きな力になりました。無党派層の支持も増え、出口調査(8社共同)では、支持政党なし層の投票先として共産党は19.6%で、都民ファーストの会の20.8%に次ぐ2位となっています。
 「森友」「加計」問題などでの調査と追及、アベ政治に対峙し続けてきたぶれない政治姿勢、9条改憲阻止など国政上の争点も訴えた選挙戦術、豊洲移転に反対して築地再整備を掲げた唯一の政党という政策的立場などが支持された結果です。安倍首相に最も強烈な「ノー」を突きつける「反自民」のための「信頼できる受け皿」として選ばれたということでしょう。
 このような「受け皿」を提供することができれば、総選挙でも地殻変動を起こして自民党を大敗させることができます。市民と野党との共闘によってそのような「受け皿」を生み出すことができるかどうかが問われています。
 内閣支持率が低下し続け、「潮目」が変わりました。いつ国会が解散されても勝利できるような準備を進め、安倍政権を解散・総選挙に追い込むことがこれからの課題です。

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8月11日(金) 幕引きのためのアリバイ作りにすぎなかった日報隠蔽疑惑についての閉会中審査 [国会]

 自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題に関する閉会中審査が衆参両院で開かれました。この隠蔽に稲田朋美前防衛相がかかわっていたのではないかとの疑惑を解明するためのものでしたが、中心人物は招致されず、事実関係ついての説明が拒まれ、再調査もしないなど、結局は幕引きのためのアリバイ作りにすぎなったようです。

 そもそも、隠蔽問題を協議したのではないかという疑惑の中心である稲田前防衛相や防衛省事務方トップの黒江哲郎事務次官、陸上自衛隊トップの岡部俊哉陸上幕僚長の出席が自民党によって拒否されました。疑惑解明のための参考人招致であるにもかかわらず、その疑惑の中心人物を招致しなかったわけです。
 初めから疑惑を解明する気がなかったと言うしかありません。野党の要求に応えたポーズをとり、国民の批判を和らげるためのアリバイ作りにすぎない対応でした。
 自民党は辞任したことを招致拒否の理由としていましたが、田中真紀子元外相を招致した例がありました。今回の対応によって、辞任すれば説明責任を逃れられるという前例を残したことになります。

 委員会の冒頭、小野寺五典防衛相は特別防衛監察の結果を説明して「大変厳しく反省すべきものだと受け止めている。再発防止に努めたい」と述べ、「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しい中、国民の皆さまに本当に申し訳ない」と陳謝しました。そのうえで、「情報公開に対する姿勢に疑念を抱かせ、防衛省・自衛隊のガバナンスに対する信頼を損なった」と反省の弁を述べました。
 しかし、質疑では、野党が防衛監察報告の有無やそれぞれの証言者の内訳などを追及したのに対し、防衛監察本部の担当者は「個人が特定され、供述が明らかになる恐れがあるので差し控える」と踏み込んだ説明を拒み、防衛省の辰巳審議官も「これ以上申し上げることは差し控える」と繰り返し、具体的な説明を拒否ました。また、稲田防衛相に日報データを報告した際のやりとりを残したとされるメモや、陸自がまとめた調査結果の公表を要求されると、小野寺さんは「入手した資料を開示すれば、今後の監察業務に支障をきたす」とノーコメントを連発しました。
 新しい事実が出てこない不毛なやり取りが続いたわけですが、それは関係者が新しい事実を出すことを拒み、隠蔽問題の解明にかかわる事実関係についても更なる隠蔽を繰り返したからです。不毛なやり取りは、野党の質問に対して誠実に答え事実を解明すると言う姿勢が欠落していたからにほかなりません。

 野党側は、防衛省が行った特別防衛監察では引稲田朋美元防衛相の関与の有無が曖昧だとして再調査を求めたのに対し、小野寺防衛相は稲田さんにも間違いがないかを確認したとして「しっかり報告された内容だ」と強調し、再調査を行う考えがないことを明らかにしました。
 これで幕引きを図るために開かれた閉会中審査でしたから、こう答えるのは当然かもしれません。しかし、それで世論は納得するのでしょうか。
 国民の信頼を回復するためには、「隠蔽内閣」としてのあり方を一掃しなければなりません。真相を明らかにするために必要なこと、国民が知りたいことを包み隠さず明らかにすることが必要です。

 自衛隊が日報を公表しない判断をした背景には、安保法に基づく「駆け付け警護」などの新しい任務を付与するために撤収するわけにはいかないという政権への忖度があったのではないでしょうか。この判断については稲田さんだけでなく安倍首相も関与していたのではないかという疑惑は残ったままです。
 第三者による再調査や国会による真相解明、稲田さんだけでなく黒江前防衛事務次官や岡部前陸上幕僚長ら関係者らの証人喚問などが不可欠です。幕引きを図ってウヤムヤにしようという「隠蔽内閣」の目論みを許してはなりません。

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8月10日(木) 次々と明らかになってきたアベ暴走政治の破綻 [首相]

 鳴り物入りの内閣改造によって選挙での敗北と支持率の低下という「負のスパイラル」からの脱出を図った安倍首相でした。しかし、それは成功せず、アベ暴走政治の破綻が次々と明らかになってきています。

 その第1は、非核政策の行き詰まりです。6日に広島で、9日に長崎で開かれた原爆犠牲者を追悼する平和式典に参加した安倍首相は7月に国連で採択された核兵器禁止条約について全く言及せず、「どこの国の総理か」と被爆者から鋭く批判されました。
 長崎での式典で平和宣言を読み上げた田上市長は「核兵器のない世界を目指してリーダーシップをとり、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役を務めると明言しているにも関わらず、核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください。日本の参加を国際社会は待っています。また、二度と戦争をしてはならないと固く決意した日本国憲法の平和の理念と非核三原則の厳守を世界に発信し、核兵器のない世界に向けて前進する具体的方策の一つとして、今こそ「北東アジア非核兵器地帯」構想の検討を求めます」と日本政府に訴えました。この式典に参加していた国連等国際機関、58の国や地域と欧州連合(EU)等の代表もこの訴えを聞いたはずです。
 唯一の戦争被爆国の政府であるにもかかわらず核兵器の禁止を求める国際社会の大きな波に背を向けて「ゼロ回答」を続ける安倍首相の姿こそ、日本のトップリーダーとしての資格の欠如を明確に示しています。非核の政府を実現するためには、安倍首相を交代させるしかありません。

 第2に、日本周辺の安全保障環境の悪化です。北朝鮮のミサイル発射実験をめぐって国連はかつてない厳しい制裁決議を挙げ、アメリカと北朝鮮は激しく挑発しあっています。
 トランプ大統領は「世界がこれまで見たことのないような砲火と激烈な怒りに直面することになるだろう」と強く警告し、北朝鮮は「米国に厳重な警告を送るため、中長距離弾道ミサイル『火星12』によるグアム島周辺の包囲射撃作戦を慎重に検討している」という声明を出すなど朝鮮半島情勢は緊迫の度を増し、航空自衛隊のスクランブルの回数は過去最多になっています。戦争が始まるのではないか、それに巻き込まれるのではないかという国民の不安が高まっているのも当然です。
 しかし、安保法が審議されているときに安倍首相は、この法律が制定されて日米同盟の絆が強まり「抑止力」が高まれば日本周辺の安全保障環境は改善されると請合っていました。安保法の成立によって実際に強化されたのは「抑止力」ではなく軍事的挑発であり、北朝鮮とアメリカなどの軍拡競争に日本が巻き込まれてしまったというのが現実です。

 第3には、「森友」「加計」学園疑惑の深まりと「佐川隠し」です。閉会中審査の後も、疑惑を裏付ける新たな事実が次々と明らかになっています。
 「森友」学園疑惑では、値引きの根拠とされたゴミは100分の1しか存在しなかったこと、最初から金額を提示しての交渉だったこと、異例の10年分割が提案されていたことなどを裏付ける音声や文書資料が出てきています。「加計」学園疑惑では、愛媛県と今治市の担当者が2015年4月2日に首相官邸を訪れた際に加計学園事務局長が同行していたこと、官邸で対応したのが当時の柳瀬唯夫・首相秘書官(現・経済産業審議官)だったこと、このとき下村文科相がやってきて「やあ加計さん。しっかりやってくれよ」と激励されたという証言があること、2016年6月に開かれた国家戦略特区諮問会議にも加計学園側の幹部3人が出席していたにもかかわらず伏せられており、議事要旨も改ざんされていたことなどが分かりました。
 「森友」疑惑を隠蔽する先頭に立っていた佐川理財局長は国税局長官になりましたが、慣例となっている就任会見を取りやめました。「森友」疑惑について質問が集中することを恐れての措置だとみらており、説明や言い訳ができないから逃げ隠れしているということでしょう。

 第4に、南スーダン日報問題と「稲田隠し」です。この問題では本日閉会中審査が開かれていますが、稲田朋美前防衛相などの当事者は参加していません。
 行政文書の扱いや公文書管理のずさんさ、自衛隊に対するシビリアンコントロールという点でも大きな問題がありますが、それ以上に「戦闘」と書かれた日報が意識的に隠されたのではないかという疑惑があります。陸自などの現場が勝手にやったのではなく、稲田防衛相やさらにその上の安倍首相からの指示によるものではなかったのかという疑惑が生じていますが、当人が出てこないのでは、どれだけ解明されるか大いに疑問です。
 日報に対する情報開示請求が出されたのは安保法によるPKOへの新任務付与が問題になっており南スーダンでの安全性に疑問が出されているときでした。そんなときに「戦闘」と書かれた日報を開示するわけにはいかないということで廃棄したことにして廃棄し、事実を隠蔽したということではないでしょうか。

 第5に、内閣改造の不発と新たな「火種」の発生です。安倍首相の目論み通り、改造後の内閣支持率は軒並みアップしましたが、それは期待されたほどではなく、それどころか前途を懸念させるに十分な不安材料がてんこ盛りとなっています。
 改造による支持率アップは野田聖子総務相と河野太郎外相という「異分子」の入閣が評価されたためですが、これも新たな「火種」となる可能性があります。「異分子」が安倍首相に従えば国民は失望し、もし従わなければ閣内不一致となるかもしれないからです。
 早くも、江崎鉄磨沖縄北方相の失言が飛び出してマスコミの注目を浴び、週刊誌などでも閣僚のスキャンダルなどが報道され始めています。今後、これらの「火種」が大きな「火災」を引き起こす可能性も小さくありません。

 日本ファーストの会の発足と民進党の代表選など、自民党に対抗する新たな動きも生じています。それについて判断し評価を下すのは早計ですが、いずれも「受け皿」づくりの試みであるという点では共通しています。
 どの程度自民党に対抗することになるかは今のところ不明ですが、少なくともアベ暴走政治を支えてきた「一強」体制を崩すものでなければなりません。そうでなければ、結局は国民の期待を裏切ることになってしまうでしょうから。

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8月8日(火) 「政治の劣化」「行政の劣化」とは何か―どこに問題があるのか、どうすべきか(その3) [論攷]

〔以下の論攷は『法と民主主義』No.520、2017年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

3 通常国会後に明らかになった疑惑や不祥事

 「加計」疑惑での新たな展開

 通常国会が幕を閉じた途端、「萩生田副長官ご発言概要」という新たな内部文書が見つかりました。「加計」疑惑に萩生田光一内閣官房副長官が関与していたことを示すもので、学部新設について「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30年(2018年)4月開学』とおしりを切っていた」などと書かれています。
 萩生田さんはこの内容を強く否定し、加計さんとの関係についても「親しくお付き合いさせていただいているという事実もありません」と答えていました。しかし、安倍首相の別荘で、安倍、加計、萩生田さんの3人がバーベキューをしながら缶ビール片手に談笑している4年前の写真が萩生田さんのブログに投稿されています。
 加計孝太郎理事長が自民党岡山県自治振興支部の代表で、会計責任者も加計学園の理事を務めた人物、支部の事務所が加計学園系列校と同じだったことも判明しています。また、岡山が地元の加計学園が選挙区の逢沢一郎元外務副大臣に100万円を献金しており、獣医学部の新キャンパスの工事を請け負っている「アイサワ工業」は岡山市が本社で逢沢さんのいとこが社長をしているファミリー企業です。しかも、建設費の坪単価は一般的な坪単価の2倍以上もすることが明らかになっています。
 さらに、この加計学園が当時文科相であった下村博文さんに200万円の献金をしていた疑惑も報道されました。この後、加計学園が望んでいた教育学部の新設が認められていたことも分かっています。また、下村夫人の今日子さんは広島加計学園の教育審議委員をやっており、安倍夫人の昭恵さんと一緒に加計学園のパンフに登場したり、年に数回は同施設のイヴェントに参加したりしていました。

 稲田防衛相による自衛隊の政治利用

 選挙戦の応援では、稲田朋美防衛相が演説で「防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と投票を呼びかけて大きな問題になりました。自衛隊を「自民党のもの」であるかのように扱って政治利用しただけでなく、指揮権を持つ防衛相が言えば自衛隊員は特定政党を応援しなければならないと誤解してしまいます。
 政治的に中立公平であるべき公務員や自衛隊のあり方からの逸脱という点でも、「党務」と「公務」の混同という点でも、この発言は自衛隊法や公職選挙法に反する暴言にほかなりません。
 稲田防衛相は何回も、閣僚の資質を疑われる言動を繰り返してきました。こういう人を選んだだけでなく、どうして今まで続投させてきたのでしょうか。このような暴言を言い出しかねない人を安倍首相はかばい続け居座らせてきました。きちんとけじめをつけず、放置してきた責任は大きいと思います。
 「森友」「加計」学園疑惑では、権力者の意向を忖度し、一部の人を優遇したりえこひいきしたりして行政を歪めているとの批判が高まりました。安倍首相に近いというだけで稲田さんばかりが甘やかされ特別扱いされている姿こそ、政治責任の取り方まで歪み公平性や信頼を大きく損ねていることを示す実例であるように思われます。

 相次いだ暴言と不祥事

 まだ、あります。選挙中に明らかになった豊田真由子衆院議員の秘書に対する暴言・暴行というスキャンダルです。豊田議員は責任を取って自民党に離党届を出しましたが、辞めるべきは自民党ではなく国会議員の方でしょう。
 夫の宮崎謙介衆院議員の女性スキャンダルが『週刊文春』に報じられたことのある金子恵美衆院議員についても、公私混同疑惑が浮上しました。公用車で子どもを保育園に送ったり、母親を駅に送り届けたりするなど、私的使用が常態化していたというのです。
 これらの若手議員を厳しく監督するべき二階俊博幹事長自身が、都議選の応援演説で「よく変なものを打ち上げてくるキチガイみたいな国がある」と述べ、後で「表現として必ずしも適切でないものが一部あった」と、精神障害者への差別的表現について釈明し、「私らを落とすなら落としてみろ。マスコミの人だけが選挙を左右するなんて思ったら大間違いだ」と居直ったりする始末です。
 末期症状ともいうべき状況が積み重なりました。まさに、政治・政治家の劣化を示す典型的な例だと言うべきでしょう。それに対する国民の批判と怒りが徐々に蓄積されていきました。それが投票という行為を通じて、一挙に噴き出したのが都議選の結果だったのです。

 むすび

 長い間、「安倍1強」と言われるような状況が続き、内閣支持率が安定していました。民主党中心の前政権への失望が大きく、国民は諦めて達観してしまったようです。もともと安倍政権への期待値は低いものでした。ですから、何らかの問題が生じても「まあ、こんなものだろう」ということで、内閣支持率はあまり下がりませんでした。
 しかし、政治・行政の劣化と異常な国会運営を見て、さしもの国民の「堪忍袋の緒」も切れてしまったようです。安倍内閣に対する支持率は軒並み急落し、都議選でも自民党は歴史的な惨敗を喫しました。政権運営にとって重要なのは世論と選挙ですが、そこでの質的な変化が生じたのです。
 「安倍1強」の潮目が変わりました。世論を変えて選挙で決着をつけ、特定秘密保護法、安保法(戦争法)、共謀罪というアベ暴走政治が生み出した悪法を廃止できるような政府を実現する展望が生まれています。
 その出発点が都議選でした。国政にも大きな影響を及ぼすことになります。善戦健闘した共産党をはじめ、立憲野党の前進を背景に解散・総選挙を勝ち取り、さらなる追撃戦によってアベ政治の「終わりの終わり」を実現しなければなりません。
 もし、安倍政権が都議選で示された声を無視し続ければ、次の国政選挙でさらに大きな「ノー」が突き付けられることでしょう。解散・総選挙に追い込んで、その機会を早く実現したいものです。そのためにも、市民と野党との共闘を推進し、いつ国会が解散されても対応でき勝利できるような準備を進めることがこれからの課題です。


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8月7日(月) 「政治の劣化」「行政の劣化」とは何か―どこに問題があるのか、どうすべきか(その2) [論攷]

〔以下の論攷は『法と民主主義』No.520、2017年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

2 通常国会での暴走・逆走

 9条改憲方針の明言

 第193回国会は1月20日に召集され、6月18日までの150日間でした。この通常国会はアベ政治の暴走・逆走が際立ち、政治・行政の退廃と混迷が露わになるという異常な国会でした。
 なかでも、5月の連休中に安倍首相が9条改憲の意図を明らかにして注目されました。改憲に向けてのギアを入れ替えたことになります。与野党の合意をめざして「低速」で慎重な運転を行ってきたこれまでのやり方を投げ捨て、3分の2を占めている改憲勢力だけで突っ走ろうというわけです。
 安倍首相は9条の1項と2項をそのままにして、新たに自衛隊の存在を明記することで公明党を引き込み、教育費無償化を書き込むことで日本維新の会を抱き込もうとしています。これに他の改憲勢力を合わせれば、民進党などの協力を得なくても衆参両院の3分の2議席を占めて発議が可能になります。
 秋の臨時国会で自民党案を提起し、来年の通常国会で発議したうえで衆院選と同時に国民投票で可決するというのが安倍首相の目論みです。それまでは改憲議席を維持しなければなりません。首相の側から解散・総選挙を実施することは避けようとするでしょう
 こうして、9条改憲をめぐる対決の構図は明確になってきました。安倍首相が改憲議席を維持したいと考えて総選挙を先延ばしするのであれば、改憲発議ができなくなるほどに議席を減らすことをめざして解散に追い込み、総選挙で勝利を勝ち取らなければなりません。9条をめぐる「激突の時代」が始まりました。私たちも腹を固めて対抗することが必要です。1人1人の決意と本気度が試される局面がやって来たということになります。

 「共謀罪」法の成立

 このような9条改憲に反対し、憲法を守ろうとする市民運動をあらかじめ取り締まるための武器も調達されました。それが共謀罪を制定した目的の一つだったように思われます。2013年の特定秘密保護法、15年の安保法(戦争法)、そして17年の共謀罪と、アベ政治の暴走は続いてきました。この戦争できる国づくりへの道は9条改憲へとつながっています。
 国民の多くが不安に思い、世論調査では反対が増え、成立を急ぐ必要はないという意見も多い法案でした。心の中が取り締まられるのではないか、一般の人が対象とされるのではないか、拡大解釈によって適用範囲が広がるのではないか、政府に都合の悪い運動などが監視され密告される恐れがあり、委縮してしまうのではないかなどの疑問が出されました。しかし、いくら審議しても、これらの懸念は解消されませんでした。
 これらの疑問や懸念に丁寧に答えるどころか、委員会採決の省略という問答無用の強権的な方法が取られました。異例の奇策による完全な「だまし討ち」です。内心の自由を取り締まる法案の内容も問題ですが、「中間報告」という「禁じ手」を用いた強行採決も大きな問題でした。まさに立法府の劣化というしかありません。
 テロ等準備罪という名前に変えて粉飾を凝らし、オリンピックを名目にして成立を強行しましたが、テロや五輪・パラリンピックという看板を掲げれば国民を騙せると高をくくっていたのでしょう。騙されてはなりません。共謀罪によって取り締まる対象と市民や市民活動との違いを曖昧にしているのは、政府に都合の悪い発言をしたり活動に加わったりする一般市民や正当な市民活動、社会運動を取り締まるためであり、拡大解釈によって共謀罪を適用する余地を残しておきたかったからではないでしょうか。

 「森友」「加計」学園疑惑

 もう一つの焦点となった「森友」「加計」学園疑惑も、安倍政権のいかがわしさをはっきりと示しています。官庁や役人が安倍夫妻の意向を「忖度」して知人や友人を優遇したり便宜を図ったりして、一部の人によって政治と行政が私物化されているのではないかという疑惑が表面化したからです。
 「森友」疑惑では、教育勅語を暗唱させるような籠池泰典前理事長の教育方針に共鳴した首相夫人の昭恵さんが「力になりたい」と考えて「神風」を吹かせ、国有地を8億円もディスカウントしたのではないかと疑われています。「加計」疑惑では加計孝太郎理事長の30年来の「腹心の友」である安倍「総理のご意向」に従い、「加計ありき」で岡山理科大への獣医学部新設と国有地の取得に便宜が図られたのではないかとの疑惑が浮かび上がりました。
 昭恵さんを守ったのは、その意向を「忖度」して便宜を図った財務官僚だと見られていますが、計算違いは籠池森友学園前理事長です。安倍首相からの「100万円」の寄付を暴露された腹いせに証人喚問するなど「敵」に回したため、財務省への働きかけを示すファクスを暴露されるなど首相も昭恵さんも窮地に陥りました。
 他方の「加計」疑惑で安倍首相を守ったのは内閣府だったようです。交渉の経過を示すメールや内部文書が文科省で発見されましたが、それに対する追及が「官邸の最高レベル」に届かないようにする作戦だったと思われます。文科省(第1の防衛線)は突破されましたが、内閣府(第2の防衛線)でストップさせようとしたのでしょう。
 「加計」疑惑での計算違いは前川喜平前文科事務次官です。文科省内で作成された内部文書は本物で「確実に存在していた」「あったものを無かったことにはできない」「行政のあり方がゆがめられた」と証言しました。官邸は人格攻撃までしてこれを否定しましたが、結局はむりやり国会を閉じて疑惑を隠すという醜態をさらすことになったのです。

 アベ政治の退廃と混迷

 通常国会では、政治と行政の劣化、アベ政治の退廃と混迷も余すところなく示されました。
 その第1は、情報の秘匿と隠ぺいです。行政文書など保管されるべき記録が廃棄されたり、隠されたりしました。南スーダンへの自衛隊PKOの「日報」が隠蔽され、「森友」「加計」疑惑での財務省や文科省、内閣府の情報隠しも大きな批判を招きました。行政の透明化、検証可能性、知る権利の保障という意識も仕組みも極めて劣弱であることが改めて明らかになっています。
 第2に、国連関係者からの懸念や批判です。共謀罪については国連人権理事会の特別報告者であるケナタッチさんがプライバシーを制約する恐れを指摘し、報道の自由に関して懸念を表明しました。人権理事会のケイ特別報告者も特定秘密保護法について改正を促しました。日本は国際標準から逸脱しつつあり、国際社会から後ろ指をさされるような国になってしまったようです。
 第3に、「安倍一強」体制の下での独裁と強権化です。小選挙区制の導入や内閣人事局の新設などによって官邸支配の体制ができ、国家戦略特区によってトップ・ダウンの政治主導が強まりました。多数党が強権を振るうことができる仕組みができ、三権分立の歪み、総理・総裁や公人・私人の使い分けなどによる政治・行政の私物化が生じています。
 第4に、マスメデイアが変質し、一部のメディアの劣化が進みました。政治権力の批判・監視を行う「第4の権力」から権力への迎合・走狗へという機能転換が生じています。とりわけ最大の部数を持つ『読売新聞』が安倍首相の9条改憲インタビューや「加計」疑惑での前川さんの「出会い系バー通い」を報ずるなど、安倍首相によって利用され、報道機関として大きな汚点を残すことになりました。

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8月6日(日) 「政治の劣化」「行政の劣化」とは何か―どこに問題があるのか、どうすべきか(その1) [論攷]

〔以下の論攷は『法と民主主義』No.520、2017年7月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップします。〕

 はじめに

 「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかないんです」
 都議選の最終盤、秋葉原駅前での唯一の街頭演説で放った安倍首相の言葉が、これでした。「帰れ」「安倍ヤメロ」とコールして自分を批判する人々を指さし、「こんな人たち」と言って非難したのです。
 総理大臣は全ての国民を代表し、批判的な人々も含めてあらゆる国民に責任を負って国をリードする立場にあります。支持者や一部の仲間だけでなく、全ての国民を視野に入れ、その生命と生活を守り、国全体をまとめ統合するという役割を担っているはずです。
 それなのに、自分を批判する人々を「こんな人たち」とひとくくりにし、「私たちは負けるわけにはいかない」と対抗心むき出しにして非難したのです。国民を線引きして自ら分断を持ち込んだということになります。「敵」と「味方」を色分けし、「敵」に対しては厳しく「味方」や「お仲間」には優しいアベ政治の本質が顕われた瞬間でした。
 国会での審議でも、安倍首相は「こんな人たち」と思い込んだ批判者に対し、強い敵意をむき出しにヤジを飛ばしたりして攻撃的な対応に終始してきました。批判する人々や野党の背後にも、多くの国民がいるということを忘れているようです。批判者に対してきちんと答えることを通じて、その背後にいる国民にも理解してもらえるような丁寧な政権運営を行うというのが、本来あるべき姿ではありませんか。
 他方で、安倍首相は「味方」である「私たち」の仲間や身内を大事にしてきました。第一次安倍政権は「お友達内閣」と言われ、今年の通常国会でも親しくしてきた知人や友人を特別扱いしたり優遇したりしたのではないかとの疑惑が持ち上がりました。しかし、疑惑に答えることなく、共謀罪法案の強行採決を行ったうえで強引に幕引きを図ってしまいました。
 こうして、政局は都議選へとなだれ込むことになります。都議選では、アベ政治における政治や政治家の劣化、行政の劣化に対する批判と怒りのマグマが噴出しました。その結果が、自民党の歴史的惨敗という驚天動地の出来事だったのです。
 都議選での自民党惨敗は都民によるアベ政治への明確な審判でしたが、何に対して、どのような審判を下したのでしょうか。都議選に先立つ通常国会では、どのような問題が明らかになったのでしょうか。政治と政治家の劣化、行政の劣化という側面に焦点を当てながら、このような問いへの答えを探してみましょう。答えが見つかれば、それを是正するにはどうすべきなのかも明らかになるにちがいありません。

1 都議選の結果をどう見るか

 自民党の歴史的惨敗

 7月2日に投開票された都議選の結果は、別表の通りでした。ついに噴き出した「怒りのマグマ」によって自民党が歴史的惨敗を喫したというしかない結果です。

都民ファーストの会:6→49(+43)
自民党:57→23(-34)
公明党:22→23(+1)
共産党:17→19(+2)
民進党:7→5(-2)
東京・生活者ネットワーク:3→1(-2)
日本維新の会:1→1
社民党:0→0
無所属:4→0(-4)
無所属(都民推薦):9→6(-3)

 秋葉原での選挙戦最後の街頭演説で、安倍首相は「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫びましたが、多くの都民は「こんな人たちに、私はなりたい」と考えたわけです。その結果、安倍首相はこれまで経験したことのない厳しい鉄槌を下されました。
 自民党の獲得議席は23でした。過去最低だった38議席を15も下回っています。今回の都議選ほど自民党が選挙の恐ろしさを実感したことはなかったにちがいありません。地殻変動によって地割れが生じ、奈落の底に落ち込んでいくような恐怖を味わったのではないでしょうか。
 こうなった原因は3つ考えられます。第1に自民党都連への批判であり、第2に国政への不満であり、第3に安倍首相への反感です。これらが積み重なって生じた敗北であるからこそ、これまでになかったような歴史的惨敗となりました。不明朗な築地市場移転問題の経緯など都政の闇を生み出してきた自民党都連への批判は、都議選が終わって都政改革が進められればある程度は解消するかもしれません。しかし、国政への不満や安倍首相への反感は、選挙が終わったからと言ってなくなるとはかぎりません。
 石原、猪瀬、舛添という過去三代の都知事を与党として支えてきた自民党都連への批判以上に、都民の怒りは国政とその中心にいる安倍首相に向けられました。9条改憲を打ち出し、「森友」「加計」学園疑惑に頬かむりしたまま共謀罪を強行採決して国会を閉じた強引なやり方や、その後も相次いだ不祥事、暴言、疑惑隠しなどに対しても都民の怒りは爆発したのです。
 選挙後、「THIS is 敗因」という言葉が飛び交いました。惨敗を生み出した「戦犯」はT(豊田真由子)、H(萩生田光一)、I(稲田朋美)、S(下村博文)の4人だというのです。しかし、正確には「THIS is A 敗因」と言うべきでしょう。何よりも、A(安倍晋三)という「大戦犯」がいるからです。
 これに加えて、公明党の裏切りがあります。今回、公明党は自民党とたもとを分かち「都民ファーストの会」を支援したため、公明党の支えを失った自民党は1人区や2人区だけでなく3~5人区でも苦戦することになりました。「都民ファーストの会」とともに上位当選した公明党に蹴落とされてしまったのです。

 「都民ファーストの会」の躍進

 歴史的惨敗に沈んだ自民党にとって代わったのが「都民ファーストの会」です。50人立候補して49人当選、追加公認を含めて55人になりました。自民党が減らした議席の大半は「都民ファーストの会」に流れ込みました。今回だけは支持できない、お灸を据えたいと考えた自民党支持者や無党派層にとって、「非自民」の「手ごろな受け皿」となったからです。
 このような「受け皿」を提供することができれば、今回と同様の地殻変動を国政レベルでも引き起こすことができるにちがいありません。それをどのように提起し、認めてもらうかが、安倍政権打倒に向けての課題になります。
 同時に、今回の選挙では欧米のようなポピュリズムの「追い風」が強烈に吹きました。「都民ファーストの会」は大阪維新の会や名古屋での減税日本と同様に、ポピュリズムの風に押し上げられて都議会に送り込まれたのです。「どうしてこんな人が」と思われるような人もあれよあれよという間に当選し、議員になって議会に送り込まれるというポピュリズム選挙の危うさが孕まれていることも忘れてはなりません。
 1993年にブームを起こした「日本新党」の都議はすぐに消えてしまいました。名古屋市の「減税日本」も4年後に再選されたのは6人だけでした。「都民ファーストの会」で当選した新人議員「小池チルドレン」の半分近くは議員経験がなく、スキャンダルを抱えている「ポンコツ議員」もいます。はたして小池与党としてきちんとしたチェック機能が果たせるのか、これから問われることになるでしょう。 

 共産党など立憲野党の善戦

 このようなポピュリズムの嵐の中で、共産党や民進党などの立憲野党は埋没することなく持ちこたえることができました。共産党は2議席増の19議席となり、民進党は「壊滅するのではないか」と見られていましたが、改選7議席から2議席減の5議席にかろうじて踏みとどまったからです。
 共産党は前回の都議選で8議席から17議席に倍増していますから2回連続での増加で、32年ぶりのことになります。小池対自民党都連という対立構図が喧伝され、「都民ファーストの会」が大量当選するというポピュリズム選挙の嵐が吹き荒れたにもかかわらず、埋没することも嵐に吹き飛ばされることもなく善戦健闘したのは重要な成果でした。
 これは強固な組織的基盤を持っている共産党の強みを背景としています。同時に、市民と野党の共闘の前進も大きな力になりました。無党派層の投票先で「都民ファーストの会」に次ぐ2位でしたから、組織の力だけではない幅広い支持層を得た結果でもあります。
 「森友」「加計」問題などでの調査と追及、アベ政治に対峙し続けてきたぶれない政治姿勢、9条改憲阻止などの国政上の争点も掲げた選挙戦術、豊洲移転に反対して築地再整備を掲げた唯一の政党という政策的立場などで得られた支持の広がりでした。このような、国政上の実績、選挙戦術、都政政策などの点で独自の優位性を発揮し、アベ暴走政治に最も強烈な「ノー」を突きつけたいという「反自民」のための「信頼できる受け皿」として支持されたということでしょう。
 このようなアベ暴走政治の問題点が明確に示され、国民の目に焼き付けられたのが、都議選の直前まで開かれていた通常国会でした。この国会における政府・与党の暴走・逆走とその後も続いた政治や行政の劣化に対する怒りこそが、都議選での自民党の歴史的惨敗という驚天動地の出来事をもたらした最大の要因だったのではないでしょうか。

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8月4日(金) 疑惑隠しとゴミ掃除、看板塗り替えで支持率アップを狙った内閣改造 [内閣]

 台に細工しているのではないかと疑われて客の入りが悪くなった安倍パチンコ屋が、疑惑を受けている台や動きが悪い台を入れ替えて目先を変え新装開店しました。これで客の入りが良くなるでしょうか。
 
 内閣支持率の急落に直面して慌てた安倍首相が、政権浮揚をかけて実施した内閣改造・自民党役員人事でした。「結果本位の仕事人内閣」と称して提出した閣僚名簿ですが、思惑通りにはいかなかったようです。
 問題を抱えるポストにはことごとく経験者が起用されました。しかし、加計学園疑惑で焦点となった文科相には、当初、大臣経験者の伊吹文明元衆院議長を想定し、ひそかに会談して就任を打診しましたが、固辞されたそうです。
 外相には、当初、岸田文雄外相の留任を想定していましたが、総裁選への思惑もあって構想が狂ったようです。外相選びは最後まで難航した結果、河野太郎衆院議員に決まりました。

 思惑通りだったのは、森友・加計・PKOの「3点セット」についての「疑惑隠し」という点だけでした。疑惑にかかわっていたとみられる松野博一文科相、山本幸三地方創生相と、改造を待たずに辞任した稲田朋美防衛相の3大臣を入れ替えています。
 南スーダンPKO部隊の日報隠蔽問題について衆院安全保障委員会での閉会中審査を8月10日に開催することになりましたが、稲田前防衛相の参考人招致については平行線のままです。隠すための改造でしたから、あくまでも稲田さんを隠し通そうとしているわけですが、それで疑惑が解明され国民の理解が得られると考えているのでしょうか。
 加計学園疑惑についても、外部の第3者による追加調査や加計考太郎理事長の国会招致が必要ですが、新任の林芳正文科相は追加調査について「現時点では考えていない」と答えています。隠すための改造でしたから予想された対応ですが、それで疑惑が解明され国民が納得するのでしょうか。

 今回の改造で、安倍首相は「骨格は変えないで人心一新を図る」ことをめざしました。しかし、骨格を変えなければ人心は一新できません。
 副総理兼財務相、官房長官、自民党幹事長の骨格は変えず、6人を初入閣させ、それで人心を一新させたという「印象」を与えようとしました。まさに内閣改造による「印象操作」ですが、変わったように見せて骨格も内実も実際には変わっていません。
 改憲姿勢についても「スケジュールありきではない」と述べて今後は自民党主導で進めるよう求めましたが、改憲の意図そのものは変わっていません。逆風が強まったから、頭を低くして突破しようと考えているだけです。

 本当に「人心一新」を図るためなら、内閣総辞職しかないでしょう。疑惑の核心には安倍首相夫妻がおり、国民の不信感と嫌悪感は安倍首相本人に向けられているのですから。
 自民党は安倍内閣とともに「心中」するのか、それとも安倍首相を見限って自らを守ろうとするのか、やがて決断を迫られる局面がやってくるのではないでしょうか。アベ政治の暴走が自民党支配を脅かし不協和音が強まってくれば、いずれ根本から民意を問うことが避けられなくなるにちがいありません。

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8月1日(火) 森友学園疑惑での籠池逮捕を「トカゲのしっぽ切り」にしてはならない [スキャンダル]

 「森友学園」が大阪府豊中市の国有地で開校を計画した小学校を巡って国の補助金約5600万円をだまし取ったとして、大阪地検特捜部は前理事長の籠池泰典と妻の諄子の両容疑者を詐欺容疑で逮捕し、豊中市の自宅を捜索しました。自民党が「籠池、籠池」と言うたびに「監獄行け、監獄行け」と聞こえていましたが、その自民党の願いが実現したことになります。
 しかし、これで「一見落着」ということにしてはなりません。検察に捕まえられたしっぽを切り落として逃げ去り、国有地の格安払い下げ疑惑で窮地に陥っている「安倍首相夫妻と不愉快な仲間たち」を一網打尽にする突破口としなければなりません。

 森友学園疑惑の核心は、小学校用地として国有地を鑑定評価より8億円以上安い1億3400万円で購入していたことにあります。新設する計画の小学校がスピード認可され、ゴミが出たという理由で8億円も値下げし、払い下げ価格について事前の打診があり、さらに10年での分割払いが認められました。
 いずれも、籠池さんが「神風が吹いた」というほどの異例の優遇ぶりでした。しかも、どうしてそうなったのかについて、経過を検証できるような記録はなく、納得できるような説明もありません。
 はっきりしていることは、大阪府知事や首相夫妻などが籠池さんの復古的で国粋主義的な教育方針に共感し、応援してあげたいと考えていたことです。そのために、どれほどの便宜を図ったのか、その意向を知った周辺の関係者がどのような「忖度」を働かせ、いかなる優遇措置を講じたのかは、今もって闇の中です。

 これらの闇が、今後の捜査によって解明されることを期待したいと思います。すでに、8億円ディスカウントの根拠とされたゴミが予想された2万トンではなく、その100分の1の200トン弱しか出ていなかったことが明らかになっています。
 それなのに、どうしてこれほどのディスカウントがなされたのか、これは国有財産を不当に廉売した背任にあたるのではないかということで市民団体が告発して特捜部も受理しています。この土地の売買についても特捜部はこれまで近畿財務局の職員らから任意で事情聴取しており、これから籠池容疑者らからも経緯を聴く方針だといいます。
 国有地の格安払い下げという核心に向けての捜査が行われ、国と学園の売買経緯の解明がなされなければなりません。今回の逮捕がそのきっかけになり、新たな突破口が切り開かれることを期待しています。

 今回の籠池夫妻の逮捕は補助金の不正受給という詐欺容疑によるもので、格安売買も森友だからという特別扱いによるものでした。その背後には籠池さんの教育理念に共鳴し社会的な信用を生み出そうとした応援団の存在があります。
 このブログで明らかにしてきたように、森友学園が経営する塚本幼稚園での「教育講演会」には、百田尚樹、曽野綾子、平沼赳夫、青山繁晴、竹田恒泰、渡部昇一、中西輝政、櫻井よしこ、田母神俊雄、中山成彬、米長邦雄などがずらりと登場していました。中山成彬衆議院議員(元文部科学大臣)、軍事評論家の田母神俊雄第29代航空幕僚長、西村眞悟衆議院議員(元防衛政務次官)、竹田恒泰慶應義塾大学大学院法学研究科講師の4人はホームページにも登場して推薦の言葉を寄せていました。
 森友学園からの陳情を受けていた鴻池祥肇さんも塚本幼稚園で開かれた「教育再生地方議員百人と市民の会」第10回定期総会で基調講演をしています。また、NHKの経営委員である長谷川三千子埼玉大学名誉教授(日本会議代表委員)も昨年4月29日の『第11回「昭和の日」記念式典』で基調講演を引き受けていました。
 なかでも、安倍総理夫人の昭恵さんは3回も講演し、安倍首相自身も2012年9月16日に塚本幼稚園での「教育講演会」で講演する予定でした(総裁選立候補ため中止)。昭恵さんが新設予定の瑞穂の国記念小学校の名誉校長を引き受けていた(その後辞任)ことは良く知られています。

 もし、籠池さんが大阪府や国を騙していたということで詐欺罪になるのなら、その籠池さんに共鳴し戦後教育の理念を否定するいかがわしい教育団体を権威付けて信用させ、持ち上げて宣伝する「広告塔」として手助けした人々は詐欺のほう助をしたことになるのではないでしょうか。
 これらの応援団の存在や人間的なつながりは森友学園の小学校設立認可や国有地の格安取得、生徒の募集や募金・寄付金集めがやりやすくなるような形で有効に利用されました。森友学園の特別扱いには、周囲がそれを信用したり忖度したり、共鳴したりする「共通の思想空間」や首相夫妻との関係が大きく影響していたのです。
 このような「全自動忖度機」を作動させるうえで、安倍昭恵さんが果たした役割には極めて大きなものがあります。森友学園疑惑の解明には昭恵さんから事情を聴くことが不可欠であり、ぜひ証人喚問に応じてもらいたいものです。

 森友学園疑惑が世間の関心を集め批判が高まるにつれて、これまで応援していた安倍首相夫妻やその「不愉快な仲間たち」はすっかり口を閉ざしてしまいました。これらの人々は全ての問題を籠池夫妻におっかぶせて逃げ出そうとしているようです。
 しかし、これらの応援団の社会的責任は極めて大きく、籠池さんという「しっぽ」を切ったままでのトカゲ本体の逃走を許してはなりません。もし、大阪地検特捜部の捜査がこれで幕引となれば、国民はとうてい納得できず、安倍政権と政治への信頼はさらに低下することになるでしょう。

 なお、8月の講演などの予定は以下の通りです。お近くの方や関心のある方に足を運んでいただければ幸いです。

8月5日(土)13時30分 新座市民会館:新座革新懇
8月26日(土)10時30分 京建労会館:京建労主婦の会幹部学習
8月30日(水)19時30分 調布市文化会館たづくり:東京土建調布支部

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7月28日(金) 加計学園園疑惑について低姿勢で嘘をつき丁寧にごまかした安倍首相 [首相]

 7月24日と25日に衆参両院で閉会中審査が開催され、安倍首相が出席して加計学園疑惑などについて答えました。これまでの傲慢さは影を潜めたことは評価できますが、低姿勢で嘘をつき丁寧にごまかしたと言うしかありません。

 2日間の質疑について、何も新しい事実が出てこなかったという評価があります。このようなことを言う人は、何も見ていなかったのでしょう。
 この質疑では沢山のことが明らかになり、判明した事実も多くあったからです。何よりも、この疑惑をめぐるやり取りが裁判であったとすれば、安倍首相とその側近こそが被告であるということがはっきりしました。
 政治や行政を私物化して歪めたのではないかという疑惑を持たれているのは安倍首相らであり、その疑惑について告発しているのは前川さんで、それを裏付けているのがメールや内部文書の存在です。

 この疑惑については、すでに多くの物的証拠や事実が明らかになっています。安倍さんらにとっては、それを否定して疑惑を晴らす絶好のチャンスが今回の閉会中審査でした。
 与党や安倍首相の側は、このチャンスを最大限生かそうとする姿勢を示しませんでした。野党の側の要求を拒んだり条件を付けて逃げ回ろうとしたりする姿勢が、すでに疑惑が本物であることを裏付けていたと言うべきでしょう。
 疑惑が疑惑にすぎず事実ではないと言うのであれば、野党の側の要求をすべて受け入れ、正々堂々と対応することができたはずです。やましいところがなく、濡れ衣を晴らすだけの材料を持っていれば、どのような要求にも潔く応えられたはずではありませんか。

 実際には、そのような材料は皆無でした。だから、逃げ回っていたのです。
 疑惑を指摘する側には、メールや内部文書などの物証があり、それらを裏付ける事実もありました。しかし、疑惑を否定する側には、それを裏付ける客観的な物証もなければ具体的な事実もありませんでした。
 重要なポイントになれば、真正面から否定することもできず、「記憶がない」「認識がない」と答えるばかりです。いつか見たような光景ですが、過去の例では「記憶がない」というのはシラを切る時の常套句であり、こう答えた瞬間に「自白」したようなものではありませんか。

 安倍首相に至っては、加計学園による獣医学部の申請を始めて知ったのは今年の1月20日だとし、これと矛盾する過去の発言を謝罪して訂正しました。このような見え透いた嘘を、どうしてついたのでしょうか。
 それは、第2次政権発足以来14回も加計さんとゴルフや会食をしていることが明らかになり、「私がごちそうすることもあるし、先方が支払うこともある。友人関係ですので割り勘もある」と答えてしまったからです。もし、学部新設の申請を知っていておごってもらっていたら大臣規範に抵触し、収賄罪の可能性すらあるということに気づいたからでしょう。
 だから、慌てて今年の初めまで知らなかったことにしたのです。2015年6月4日に今治市が岡山理科大での獣医学部新設を含む国家戦略特区の提案申請を行ったことを知っており、12月15日の国家戦略特別区域諮問会議でも「今治に獣医学部を整備」と発言している議事録があり、これは加計学園によるものだと十分に知り得る立場にあったにもかかわらず……。

 安倍首相のこの答弁こそ、政治家と政治に対する信頼を真っ向から裏切るものでした。もし、そうではないと言いたいのであれば、カギを握る中心人物に証言してもらうしかありません。
 加計学園疑惑でカギを握る重要参考人は加計孝太郎さんであり、森友学園疑惑では安倍夫人の昭恵さんです。この2人の証人喚問を拒み続けていること自体が、これらの疑惑を「推定有罪」だと判断すべき有力な証拠ではないでしょうか。

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